影の獣in 5歳   作:水道館

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大地

結局、あの幽霊に関してわかる事は無かった。

何でもスレミン達の元いた世界の【英語】という言語なのだそうだが、あまりにも簡単な物しか喋る事ができないようだ。

つまり事情を話す事は不可能らしい。

二者択一で聞こうにもいまいちうまくいっていない。

そもそも情報が少なすぎるのだ。二者択一しようがない。

ただ、ハルや他の者にも危害を加える気は無いようだ。

シオリ達が向かった家に居たのは単に空き家だったからという事もわかった。なんだそれ。

 

「今は私も彼女を視認出来るのですが…」

「見えないんだっけ。魂」

「はい。ハッキリ言って異常だと思います。私が言うのもなんですが」

 

戻ってきたハサイと2人だけで紅茶を飲みながら会議の様なものを行っている。

ハルやシオリ達には席を外してもらっている。と言うのもハサイがあまり不安を与えたく無いとか何とか。

 

「魂を見て、その者の罪の数が分かる相手は私より弱い相手だけ。…そう思ってました」

「でも、違ったと」

「考えてみればすぐ分かるはずだったんです。【支配者】なんて今ツルパゲさん達でも勝てるくらい弱い。なのに私はアレの罪を読む事ができない…つまり強さじゃ無いんです。私が見れる基準って」

「それが…【同類】?」

「はい。英雄としての力を持つ。それがキーなのでは無いかと思ってます。私達英雄の力は決して自然発生したものではない。そう確信しました」

「…そんな事できるのなんて、それこそ…」

「スレミンの方達からしたら、神の仕業にしか見えませんでしょうね」

 

だが、この世界の神は死んだのだ。間違いない。

何故なら私達がこうして生きている様々な土地。

これらは全て()()()()()()()()

 

この世界という空間を作り出した存在はその時点で力尽きた。

落ちた神の亡骸は世界を満たし、大地を、海を、生命を産んだ。

この世界の創生話として伝わっているものだ。どこの国でも知られている程の有名なもの。

 

故にこの世界に神は居ない。それが私たちの世界。

となると考えられるのは─。

 

「他の世界の神が…?」

「さぁ。そこまでは分かりません。ですけど現に尖兵送り込まれてるようなものですからね…今のは例えです。ハルさんをそんな風には思ってませんよ」

 

…ハサイの言葉に少し眉を寄せていたのが気づかれたようだ。

気にしていないと返す。

 

「いやめちゃくちゃシワ寄ってましたけど…とりあえずいいや。兎に角、この世界は他の神に干渉されてるんです。まだ大規模なものでは無いですしこの世界に害を成そうとしてる訳では無いですけど。それがいつからなのか。それこそ最初の英雄が生まれた時なのか。…正直私では分かりそうにありません。私、学無いので」

「…学に関しては…人のこと言えないかな…」

「なんてこった。2人して学無しじゃないですか。情けなくなりますね」

 

5歳から冒険者してたから仕方ない…と言うことにしておこう。

 

「まぁ…私から話す事はこのくらいですかね。これに関しては何とか調べては見ます。期待はしないで欲しいです」

「うん。了解」

「そっちから何か言うことあります?」

「…特に無いかな。奉仕活動の方も順調だよ。ミスも無いし」

「そうですか、それは良かった。ならこれ渡さないといけませんね」

 

そう言うとハサイは懐から皮袋を取り出して渡してきた。

中身は…金?結構な量だ。

 

「奉仕活動とは言いましたが何にも無しは流石に気が引けますので…こちらとしても大助かりしてますから」

「別に金なら私いくらでもあるけど…それに部屋借りてるし」

「部屋を貸してるのは私が招いたから当然です。そして報酬に関しても相手が金に困ってないから払わなくていい事にはなりません」

「でも教団って割と火の車なんじゃないの?」

「そうですよ?だからそれは私自身の金です。まぁ私の給金って新人と同じくらいしか貰ってないので大した財産持ってませんけど」

「もう少し貰えばいいのに」

「本当は賃金なんて私の分なんていらないんですよ。でも組織としてトップが無賃で働いてるって部下からしたら耐えられないらしいです。少しでいいから受け取ってくれと経理の方から泣きつかれました」

「…そう言うことなら、受け取っとく」

 

皮袋を仕舞い込んでいるとハサイが部屋を出ようと扉に向かっていた。

 

「…ハサイ」

「何ですか?何か言うことありましたか?」

「あなたには恩があるから…何かあったら頼って欲しい」

「───」

「私もハルも、こうして安心して生活出来るのはあなたのお陰だから。あなたが聖都に誘ってくれなきゃ、私はもっと過激になってたと思うしハルを悲しませてた。だから…ありがとう」

 

ハサイの表情は見えない。扉の方を向いたまま動いていないから。

数十秒ほど固まった後に部屋を出ていく。

 

「有事の際にはよろしくお願いします。ただ─礼など、私には必要無いですよ」

 

そう吐き捨てながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「と言うわけでミドネさんと幽霊さんは同じ部屋と言うことで…」

「何がと言うわけなんですかぁぁぁ!?!?」

 

ハサイさんとシルさんが2人で話し合いしたいとの事で、私達は取り敢えず食堂で待機していた。

 

「ハサイからその分広い部屋を手配すると言質は取っておる。安心せよ」

「幽霊と同棲して安心なんて出来るわけ無いじゃないですか!無茶言わないでくださいよ!」

「でもほら。ミドネさん幽霊さんと相性良さそうじゃないですか。きっと人徳ですよ!」

「どこが!?どこが相性良く見えたんですか!?さっきめっちゃ睨まれましたよ!?眼力強過ぎですって!」

「いやそれはお主がハルに部屋変わってくれとダル絡みしたからであろう」

「変わってくれなんて言ってません!ちょっとシルさんが居ない間に上手いこと丸め込もうとしただけです!」

「命に関わるだろうからあの2人には黙っておいてやるが…お主めちゃめちゃクズじゃな…」

「さらっと丸め込むとか言わないでくださいよ…」

「まるめこむってなに?」

「大丈夫だよハルくん。知らなくて」

 

ハルくんをミドネさんから庇う。ちょっとこの人は悪影響が凄そうだ。

 

「ちょ!何にもしませんから!大丈夫ですって!」

「お主そう言ってさっき初めてハルに会った時化け物とか言いやがったじゃろ」

「シルさんに顔面掴まれて持ち上げられてましたよね。よかったですね。殺されなくて」

「反省!反省してます!だからハルさん…でしたっけ!ミドちゃんと仲良くしましょう!そして私がやらかした時庇って!」

「図々しさが天元突破してますね」

「グレンラガンでもここまでじゃないぞ」

 

ハルくんに近づいてくるミドネさんを押し戻す。こっちくんな。

 

「ぼくとなかよくしたいの?」

「はい!自分で言うのも当然ですけど私可愛いですから!おすすめですよ!」

「何のおすすめなんですか」

「何って…今日の一押し!的な?」

「ドンキの安売りでおじゃるか?」

 

後ろから出てきたハルくんがミドネさんの手を握る。

 

「うん!ぼくはハルだよ。よろしくねミドちゃん!」

「え…やだ…やさしい…私に優しくしてくれる相手久しぶりな気がする…!」

「ちょろいなこやつ」

「人と関わりが無かったせいで免疫無いんですかね…」

 

まぁ…監視しておけばいいだろう。流石にミドネさんもシルさんの逆鱗に触れたくは無いだろうし…。

 

「話し合い終わったけど…何してるの?」

「あ、シルさん」

 

食堂の入り口からシルさんが近づいて来た。少し不機嫌?

…さらっとハルくんの隣に立つ。

 

「? シル、さむいの?そんなにくっついて」

「…ちょっと寒いかなー。ちょっとねー」

「え!?たいへん!あったかくしないと!」

 

ミドネさんと繋いでいた手を離してシルさんを抱きしめるハルくん。

感動してた所で離されてショック受けてるミドネさん。ハルくんに見えないようにドヤ顔してるシルさん。我関せずと遅めの昼食を取る麻呂さん。配膳してる幽霊さん。なんだこれ。

 

 

「あ、ミドネ。あなたあの幽霊と一緒に教団近くの空き家にぶち込まれるから準備しといてね」

「拒否権は!?」

「無いよ。ちょっとあなた自堕落すぎるからね。そこの幽霊に少し矯正してもらいなよ」

「ok」

「やだ!やだ!やさしくして!あまやかして!」

「毎日昼過ぎに起きて来てダラダラしてるんだから当然でしょ。反省しなよ」

「さっき反省したから残ってないんですよ!」

「お主の反省ってストック制かよ」

「無限増殖して欲しいですね」

 

結局その後は喚くミドネさんを宥めて1日が終わった。

…あれ!?私のハルくんと遊ぶ件は!?




やっと異世界の設定出せた
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