【銀狼】とシャドービーストがアタシの店に来てから30分経った。
その間ずっと様子を伺っていた。いたのだが…。
「???これなあに?おせんべい?」
「…なんだろうこれ。なんで針がついてるのこれ。針も食べれるのかな」
「かたぬき?でもらむねってかいてる」
「形が四角のラムネなのかな。でも他にもラムネあるのになんで複数?」
「あ!にんじん!…これ、ほんとににんじん?」
「…これ中に入ってるの、米?人参じゃ無いなら詐欺じゃない?」
「いい加減にしなジャリガキ共!詐欺な訳あるか!」
「「わっ!」」
さっきから余りにももどかしいし何だったら詐欺呼ばわりしてきたので一喝する。
「なんだいガキ共!分からんなら人に聞くとかあるだろ!聞きな!」
「ごめんなさい…」
「謝る暇があるなら聞きなって言ってんだよ!何のダガシが気になるんだい!?」
「えっとね…じゃあこのくろいぼうはなに?」
「これはフガシだよ!「フ」って言う小麦粉から出来たやつに砂糖と飴を染み込ませたやつさ!」
そう言いながら袋を開けて図体だけデカイジャリガキに渡す。
「おら!食いな!」
「え、えっと…まってね…おかねだすから…」
「このフガシはアタシの店の商品!つまりアタシの物さ!自分の物を自分で開けてどうしようとアタシの自由!金なんぞいるか!」
「いやいくら店長でも商品を自分勝手にするのって良くないんじゃ…」
「細かい事気にするねジャリガキ!将来禿げる心配した方いいよ!じゃあこれは試食だよ!商品に問題ないか確認するだけさね!」
英雄【銀狼】なんて呼ばれてるガキにもフガシを渡す。
ハッ!鳩が豆鉄砲受けたみたいなツラしやがって!
「食いな食いな!食ってから買うか考えるんだよ!」
「じゃあいただきます」
「…頂きます」
「じゃあアタシも試食しようかね!」
3人でフガシを頬張る。側から見たらバカみたいだ。
「ん!あまくてふわふわ!」
「うん、美味しい。こんなのあったんだ」
「相変わらず甘ったるいね!酒飲みたいよ!」
二口で食べきり、手を叩いて付いたカスを払う。
「で!次は何が気になるんだい!?」
「えっとね、さっきのおせんべいなに?」
「あれか!ありゃソースせんべいさ!最近出来た調味料のソースを付けて食うのさ!別にジャムでもいいよ!」
「じゃああの針は?よく見ると糸付いてるけど…」
「まぁ見てな!」
ソースせんべいを開けて、机に置く。直置きにならないよう、開けた袋を下に敷いた形にし、少し離れる。
「フン!」
糸の付いた針を、重なって塔のようになってるせんべいに投げ刺す。
刺さったら糸を掴み、そおっと引き上げる。
針には5枚のソースせんべいがくっついていた。
「わぁ〜!おせんべいがつれた!」
「これはね、このせんべい釣りをやってそれで取れた分だけ食べれるという鉄の掟があるんだよ!」
「何かの儀式?」
「知らん!これ作ったやつがそう言ってたんだよ!なら従うのが道理さね!」
取ったせんべいにソースをかけて齧り付きながら、針をデカイガキに渡す。
「やってみな!言っとくけどね!力任せにやっても砕けるだけだよ!砕けたり割れたりしたら食べれないからね!力加減考えな!」
「うん!やってみる!うまくできるかな…」
「食べたいなら別に私が買ってあげるから心配しなくても大丈夫だよ」
「何言ってんだい!そんな理由なら売ってやらないよ!」
「店長なのに売上気にしないの!?」
「趣味でやってる店だし何よりアタシがルールだ!あ、一回やったら次の奴にやらせるんだよ!順番だよ順番!」
◇
「ふむ、届いたか。それで?回答はどうじゃ」
『はい。英雄に借り作れるなら、と言うことになりました。その間、辺境伯の穴埋めで来る方なんですが…」
「あー分かった分かった。どうせあの辺境伯にしろしろ馬鹿じゃろ?有能ではあるからな。少しの間なら問題なかろう」
『私、あの方苦手なんですが』
「仕事と言う事で割り切ってくれ。流石に無碍に扱うことは無いじゃろう」
『…貴方の手助けをしたいからこの仕事についたんですけど』
「…あー、まぁその。これも手助けだと言うことに…」
『分かりました。ひとまずはそう言うことにしておきます。ただ一つ、約束をしていただきたいのですが』
「おお!よいぞ!麻呂に出来る事なら何でもいいでおじゃるよ!」
『言いましたね?』
「え」
『それじゃあ戻ってきた時に言いますから、失礼します』
「待って。待って?今のはほら、言葉のあやややややぁぁぁ!?」
途中で切りおった!…ダメじゃ!通信魔法を拒否られる!
麻呂何させられるの?やだ怖い…禁酒だったら泣くと思う。
「なら今のうちに飲んでおくべきでは!?」
「何が?!」
いかんいかん。焦りすぎて通行人に話しかけてしまった…って。
「ん?お主ら、もしや…」
「ん?俺らの事、知ってんのか?」
「こっちは知らないっすね…そんな目立つ服着てたら忘れないっすもん」
間違いない。このスキンヘッドとツーブロックは…。
「新キャラ!」
「「新キャラって何!?」」
「ああ間違えた。ツルパゲとツブローじゃった」
「お、おう。名前は合ってるな。新キャラ云々は意味わからんが…」
「と言うか何で俺らの事知ってるんすか?」
「すまぬすまぬ。麻呂はハルの協力者の1人じゃ」
「「ハル(さん)の?」」
2人してハモって聞き返してくる。息ぴったりでおじゃるな。
「うむ。麻呂以外にも十数人おるが…まぁそこはいいか」
「何だ、あいつ助けようとする奴ってそんなに居たのか。少し肩の荷が降りたぜ」
「そう言えばハルさんがスレミンとか言ってましたけど…もしかして」
「その通り。麻呂はスレミンに属しておるぞ」
「ふーん。そうなのか…。で?そんなマロはこんな所で何してんだ?」
「いやちょっと本国の方に手紙を送っていてな。ちょいとばかり辺境伯留守にするけど【銀狼】に借り作れるから許可しろ的な。それの報告を受けてたところよ」
「…ん?辺境伯?」
「…辺境伯の…マロ?」
ツルパゲとツブローの2人が呆気に取られた様な顔をする。
「お、おま!もしかして【城塞都市ギラテル】のマロ辺境伯か!?」
「何だ、知っておるのか。いかにも。その通りじゃ」
「ハ、ハルとはどう言う関係なんだよ…?」
「うーんこれを説明するには実に荒唐無稽な話をしなければいかんのだが…?ツブローよ、何故隠れる?」
「イヤ!ホント!キニシナイデクダサイッス!ナンデモナインデ!」
「…明らか何かある感じじゃがハルの恩人兼友人に問い詰めるような事は出来んな。分かった。気にしないことにしよう」
「アザッス!」
そんな話をしていると何やら騒ぎ声が聞こえた。
振り向くと、どうやら近くの店からのようだ。
「? あそこの店はなんじゃ?」
「…俺らも最近聖都に来たから知らねぇな」
「何でしょう、行ってみます?」
男3人で店に近づく。随分と楽しげな声だ。
…て言うか。
「あれ?ハルと【銀狼】の声するんだけど麻呂だけ?」
「いや、俺も聞こえる」
「俺も聞こえるっすね。遊んでるのかな」
店の扉を開く。
この時麻呂は。
異世界に転生して。
1番の衝撃を受けた。
「だ、駄菓子屋…じゃと…」
「あ!マロ!マロもあそぶ?」
「ツルパゲとツブローも来たんだ…ここ知ってたの?」
「何だい!この変な帽子被った眉男は!?お前らの知り合いかい!?」
そこには、ソースせんべい釣りで遊ぶハル達がおった。
◇
350:麻呂
緊急事態発生!緊急事態発生!
至急応答せよ!
351:名無しの転生者
え、なに?
352:名無しの転生者
どうした!?
353:名無しの転生者
だ〜いじょぶかぁ〜?
354:名無しの転生者
冗談言ってる場合じゃねぇだろ!
355:特定ニキ
麻呂!今どこだ!すぐ合流する!
356:栞
自己催眠で瞬足になれるのですぐいけます!
357:名無しの転生者
願いの杖も今日の分は残っとるぞ!
358:コピーニキ
まだ何も覚えてない!!!
359:名無しの転生者
役立たず!
360:名無しの転生者
少しはコピーしろよ!
361:名無しの転生者
それで!?何があったってんだ!
362:麻呂
うむ、実はな…駄菓子屋があるのじゃ!!!
363:名無しの転生者
…
364:名無しの転生者
…
365:特定ニキ
は?
366:栞
ひ?
367:コピーニキ
ふへほ〜
368:名無しの転生者
…まじで?駄菓子屋あんの?!
369:名無しの転生者
う、うそだ…ぼくをだまそうとしている…
370:名無しの転生者
うまい棒あるの?!
371:名無しの転生者
きな粉棒あんの?!
372:名無しの転生者
ソーダ餅は!?
373:麻呂
全部あるぞ 包装は違うが
374:名無しの転生者
な、なんてこった…
375:栞
…えっと、それのなにが緊急事態なんですか?
376:麻呂
分からんのか!この戯けが!
377:栞
凄い漢!?
378:麻呂
冷静に考えてみよ!異世界にうまい棒もきな粉棒もソーダ餅もあるのおかしいじゃろ!!!
379:名無しの転生者
それはそう
380:名無しの転生者
…てことはもしかして
381:特定ニキ
俺ら以外の転生者が居るのか!?
382:名無しの転生者
嘘だろ承太郎!
383:名無しの転生者
ああ、嘘じゃないぜ!
384:名無しの転生者
マヌケが見つからないじゃん!
385:栞
そ、そっか…もしかして、その駄菓子を広めた人があの2人を…!
386:名無しの転生者
…あのーすいません
387:名無しの転生者
どうした?
388:名無しの転生者
今割と緊急事態だから後にできんか?
389:名無しの転生者
いや、その、ごめん
390:コピーニキ
なにが?
391:名無しの転生者
俺生産チート貰っててさ
392:名無しの転生者
うん
393:名無しの転生者
どう言うやつかって言うと自分の記憶にある物いくらでも作れるんだ
394:名無しの転生者
すごい
395:名無しの転生者
ガチチートきたな
396:麻呂
いやまて、お主まさか…
397:名無しの転生者
…うん。ごめん。その駄菓子屋、俺が物卸してる
398:名無しの転生者
焦って損した
399:名無しの転生者
変に疲れたな
400:名無しの転生者
よかった これで解決ですね
401:特定ニキ
…出どころが分かってんなら安心出来るよな?
402:名無しの転生者
そうだね
403:名無しの転生者
それが?
404:特定ニキ
久しぶりにうまい棒コンポタ味食いたい
405:名無しの転生者
…
406:名無しの転生者
…俺も
407:名無しの転生者
よっちゃんイカ食いてえ
408:名無しの転生者
あのばかでけぇ飴食べたいな…
409:名無しの転生者
…なぁ麻呂 それどこ?
410:麻呂
聖都東区の端っこじゃ
411:名無しの転生者
近いわ 行こ
412:名無しの転生者
ちょっと行ってみようかな…
413:コピーニキ
もんじゃとかある!?もしかして!
414:名無しの転生者
一応作り方は教えた
415:名無しの転生者
マジで!?
416:名無しの転生者
も、もんじゃ焼きか…
417:名無しの転生者
日本食まるっきり食えてないから行くわ
418:名無しの転生者
ココアシガレットくれ!!!
419:栞
ちょ、ちょっとみんな…そんな駄菓子如きで…
420:麻呂
ちなみに今ハルと【銀狼】も居てな
ソースせんべい釣りが気に入ったのかずっとやっとるぞ
今来れば混ざれるかもな
421:栞
東区の端ですね あと5分で着くと思います
422:名無しの転生者
早くなーい?
423:名無しの転生者
判断が早い
424:名無しの転生者
早すぎるんだよね 手のひら返しが
425:名無しの転生者
これ駄菓子屋で集合する感じ?
426:名無しの転生者
多分そう
427:名無しの転生者
たまにはいいかなぁ
428:名無しの転生者
そういやなんで駄菓子作ったの?
429:名無しの転生者
確かに
430:名無しの転生者
子供の頃自分だけ買ってもらえなかったからつい…
431:名無しの転生者
悲しい
432:名無しの転生者
元気出せよ
433:名無しの転生者
一緒に買い食いしようぜ!!!
434:名無しの転生者
尚自分で作った物である
435:名無しの転生者
料理と同じだよ 1人で食うのと複数人で食うのとじゃ話違うだろ
436:名無しの転生者
一人暮らしすると余計分かる
437:名無しの転生者
洗い物めんどくさ過ぎて出来合いのヤツしか食ってなかった
異世界来てからはずっと外食
438:名無しの転生者
ダメ人間じゃん
439:名無しの転生者
俺らじゃん
440:特定ニキ
一緒にすんな
441:管理者
あ、私蒲焼さん太郎お願いします
442:名無しの転生者
ちゃっかり頼んでんじゃねーよ!