黒い翠鳥の世界日記《ワールドダイアリー》   作:黒い翠鳥

1 / 3
生産職の異世界譚─ウインの世界日記─

おや、君がこの文章を見ていると言う事は、俺の世界日記を開いたって事だな。

 

俺なんかの物語に興味があるとは物好きな事だ。

期待していたのなら悪いが、大したもんじゃないぞ?

 

君が何処の世界の生まれで、どんな経緯でこれを見ているのかは知らないが、ルクリュスに居る奴にとっては珍しくも無い事。

ちょっと探せば結構見つかる、割とよくある話だ。

偶々手に取ったのがこの本だったってだけかも知れないが。

 

まぁ、何にせよ、せっかくこの本を開いたんだ。

ちょっとばかしでも読んでくれるなら有りがたいね。

 

暇つぶしくらいには成るさ。

 

 

 

 

 

まずは自己紹介をしておこう。

俺の名前は『ウイン・オルドウィロゥ』

ちなみに偽名だ。

 

いきなり何を言っているのかと思うだろうが、まぁ聞いてくれ。

 

そもそも俺はこの世界の人間では無い。

この世界って言うのは当然の事ながら俺が今いる世界。

 

あぁ、この世界日記の記述の舞台になる世界の事だ。

別にこの世界日記が存在する──君がこれを読んでいる──世界の事じゃないぞ。

 

まぁ、一言で言うとファンタジーなんだわ。

うん、中世ヨーロッパ風って感じで幻獣とかドラゴンとかいるアレだ。

もちろん、魔法も有ったさ。

 

そんな世界だから本名を名乗ると面倒な事が起こる場合があるからこの偽名を使っている。

 

それで、俺は何処の世界の人間かと言うと……

生まれも育ちも地球・日本。

時間軸で言うならば、平成生まれとだけ言っておこう。

 

科学がそれなりに発達していて、一般的には魔法の存在しない、オタク文化発祥の国。

どの世界の日本かまでは説明出来ないが。

 

あー、この説明だと地球のヒト以外には分かり難いか。

ルクリュスのヒトとか……分んなかったら適当にデータベースで探してくれ。

 

話が逸れた。

 

で、その日本人の俺が何でファンタジーな世界に居るかと問われれば、俺の義母さんのせいだ。

 

実は俺、小学生の頃に両親が他界している。

それで母さんの遺言で、母さんの親友だった女性の元へ里子に来たんだが、その里親──義母さんは魔法使いだったんだ。

 

さっき魔法の存在しない世界と言ったが、あくまで一般的にはって事で、裏側な世界には居た訳だ。

義母さんに言わせれば魔法では無く理操術。

ファンタジーな世界の魔法とは異なる物だと言っていたが、摩訶不思議な現象を起こすと言う意味では変わらない。

そりゃぁ、術式からエネルギー源まで全然違うけどさ。

 

ちにみに、理操術ってのは俺も使える。

何か素質と言うか、使えるようになる為の条件をクリアしてたみたいで、義母さんの猛特訓によって身に付けた。

身につけなければ命がいくつあっても足りない状況に何度も放り込まれたからな。

 

おっとすまん。

また話が逸れた。

 

それで、俺がファンタジーな世界にいる理由だが──

何という事は無い。

義母さんに連れてこられたからだ。

 

しかも本人は「ここで5年間暮らしなさい。5年後に迎えに来るからね」と言って、さっさと居なくなってしまった。

 

義母さんは世界すらも移動できる大理操術師。

だが俺は世界移動なんて出来る筈もなく、帰る手段が一切ないのだ。

即ち、俺は自力でこの世界を生きていかなければならない。

 

着の身着のままに放り出された俺は、様々な手段を使って生き延びた。

時にサバイバルで食料を探し、時に人里へ行って森で手に入れた物を元手に商売したり、時にトレジャーハンターの真似事をしてみたり。

 

当然楽な事では無かったし、何度も死に掛けた。

獣や盗賊の類を相手に命懸けの戦闘をした事だって両手の指で足りないほどにある。

 

それでも、何とか半年後にはヒトの街に寝床を確保し、2年後には小さいながらも店を開いた。

どこかで雇われて働くと言う選択肢もあったが、どうせならやりたい事をしたかった。

あと3年でこの世界から居なくなる身だと思ったのも有る。

 

店の内容については後で言うとして、この世界に来てから3年半後には常連も付き、店もそれなりに軌道に乗っている。

 

ただ、一つ理解しておいて欲しい事がある。

俺の年齢についてだ。

 

異世界に行っている間は義母さんが俺の年齢を20歳に固定している。

なので現在の俺の容姿は20歳な訳だが、元の世界に戻るときには元の年齢に戻してもらえる。

これを何度か繰り返しているせいで、俺の記憶は実に三十ウン年分にも上っているのだ。

 

ついでに言えば元の世界では現在14歳。

精神年齢はある程度肉体の年齢に引っ張られるとは言え、少々チグハグ感がある事は否めない。

 

故に、俺の年齢を10代と見るか20代と見るか30代と見るかはこの世界日記を見ているヒトに任せる。

正直、自分でも何歳と言うのが正しいのかよく分からん。

 

では、そろそろ始めようか。

 

俺の──『ウイン・オルドウィロゥ』の物語を。

 

 

 

なお、この世界に来てから3年半分の物語は別の世界日記に書かれているんだが、帰還後に義母さんが持って行ってしまったので何処にあるかは知らない。

 

多分ルクリュス中央図書館の書庫のどっかで埃かぶってるんだろうな……




設定だけは作り込んだけど何がしたいのか分からなくなって結局書かずじまいになった作品。

義母さんは「可愛い子には旅をさせろ」の精神で「獅子は我が子を千尋の谷に落とす」していますが、実はちゃんと見守ってくれているという設定。

《生産職の異世界譚》の評価を教えてください。

  • 続きが読みたい。
  • 連載されれば読む。
  • 特に興味を惹かれない。
  • 正直面白くなかった。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。