ようこそ(勘違い)大和撫子の学校生活へ 作:エカテリーナ
今回は短め。相変わらず、進まない今作ですが、
次回で五月入りさせたいです。
そのため今回は、番外の位置づけとなってます。
では、どうぞ!
「それで、その二人が…」
「それはお前は、悪くねえだろ…」
龍園翔は困惑していた。…何故、自分は見ず知らず(会って数分)の女から友人関係?の相談を受けているのか。
Cクラスに配属された当初、彼は退屈していた。
政府主導の学校と聞いてどんなものかと思えば緩い授業に面白くもないクラスメイト、オマケに虐めは厳罰だの、カツアゲは退学がどうのと
それが少し、興味を向けることになったのは1、2週間経ってからのことだ。
元々、暴力と恐れ知らずの恐怖で他人を打ちのめしてのし上がってきた男だ。人の機微にはそれなり以上に気がついて、弱みを的確についてきた。
その洞察力が警鐘を鳴らす。
何故、同級生の間であんなに雰囲気が違う?エリート風を吹かせる奴らに、お友達集団、群れを嫌っているきらいのある自分クラスに、どこで見かけてもバカをやっている落ちこぼれ共。
なにか、ある。そう感じた龍園は動き出した。
何故、上級生の連中の表情はああも違う?なんで常にあいつは無料の定食を食ってる?何故?何故?何故!?
そうしてこの学校の
自分の渇きを癒やしてくれる、争いを、敵を、満足を与えてくれる箱庭。
疑問が確信に変わると、龍園は動き出した。まずは自分のクラス。その王になると。
難癖をつけ、呼び出し、待ち伏せして一人ずつ、あるいは何人か同時に暴力で屈服させていく。
当然、無敗などではない。
報復されることも何度もあった。散々痛めつけられ、胃の中のものを吐き出し切って胃液しか出ないことにもなった。
だが、彼はやめなかった。やられたならやり返し、嵌められたなら嵌め返した。
そうして、何人も何人ものクラスメイトを地に伏せていった。
蛇は、
そして4月も終わりが見えかける頃、彼は学年一の体躯を持つであろう山田アルベルトに喧嘩を売った。
見た目に似合わず、温和な彼を呼び出すのは手間だったが、それに見合う実力を彼は見せつけた。
海外の血が見せる、フィジカルによる圧倒的暴力。力はいくつあってもいい。何度も叩きのめされた。
3回、4回と幾度も挑み続ける内にサングラス越しにも彼の目に恐怖が宿るようになった。
もはや手加減もされない暴力に晒され、意識が失いかけても相手を蹴り返し、龍園は地に伏した。都合、7回目の敗北だった。
「
「クク…ごこは日本だぞ、日本語話せよ、…
ボロボロでも、
胸ぐらを掴み上げられても、
彼は
「
「
バキリ、と今日一番の打撃音が校舎裏に響き、冷たい校舎の壁が背中にぶつかる。荒い息で殴った男と、ボロボロでも笑みを崩さぬ殴られた男の視線が交わる。
―――先に、
彼が立ち去った後ズルズルと崩れ落ちる龍園。意思の力だけで保っていた膝は崩れ落ち、苦痛に耐えていた臓腑が悲鳴を上げ、荒い息でゲホゴホと酸素を求め喘ぐ。
(次だ…!次は勝てる。山田アルベルトを配下にすれば、Cクラスの暴力は俺が支配できる。俺が、王になる…!)
満身創痍のまま、未来に考えを巡らせ嗤う蛇。しかし体を動かすには一時の休息を必要とするのは彼とて同じだった。
夕焼け空で呼吸を整えていると、微かな足音と共に陽射しを背にこちらに覗き込む女子生徒の姿があった。逆光になり顔は見えない。しかし、自分の思考に
逡巡していた相手が、身を翻して消えるのをみて「ふぅ…」と息をつく。
「……?あ゛…?」
軽く気を失っていたのか、傷に痛みを感じて目を開くと目の前には(多分)先ほどの女が居た。
消毒液とガーゼで頬を拭いている様だった。視線をずらすと足元には救急箱のようなものもあった。
「あ、目が覚めたのですね?」
「…何の真似だ」
「…?何って…」
疑問と一緒に睨みつけると「治療、です」と絆創膏を貼りながら微笑んでくる。
…なんだコイツは、と眉間に皺が寄るのが分かる。その後も的確に頭部、腕、腹の裂傷や痣、鬱血などテキパキと治療行為をしていく。
「やめろ」「失せろ」と声を荒げて見せるも「はい、動いちゃだめですよ」と相手にされない。5,6回の言い続けても、暖簾に腕押し。もう好きにやらせることにした。
※流石にベルトに手をかけてきた時は本気で抵抗した。
「これで、いいですね。あとはご自分でお確かめして下さい。下半身には大切な血管も多いですし、関節を痛めると歩くのが大変になったりします。それから―――」
「ああああ分かった。分かった。もういい。…で?」
「?」キョトン
首を傾げ、不思議そうな顔をする女。よくよく見ると、否。普通にいい女だった。極上といっても良い。上級生か、他クラスか。今まで抱いてきた女の誰よりも容姿もスタイルも良い。クラスの支配なんて餌が無ければ、この女を手に入れる為にどんな手でも…そう思う程だった。
クラスでもなんでも、引く手数多だろう。この身なりでなんか性格に難でもあるのか。察しの悪い女が何かに気が付いたように笑顔で両手をパン、と叩くとしゃがみ込んだ。距離が縮まり、強調された胸に思わず目が向くが、女は自分に対して両膝を地につけて目線を合わせる。
「初めまして、私は西園寺撫子と申します。1年のAクラスに在籍しております」
「…そうじゃねぇよ」小声
「…?」キョトン
「龍園、翔だ…」
「はい、龍園君ですね。これからよろしくお願い致します」
呆気にとられるが、もうそれでいいかとため息を零して名前を名乗る。
諦めて「なんの用で治療したのか」「失せろと言ったろ」と聞くと、「はい、手に持っていた使えそうなものはハンカチしかなくて…」と返される。
…今気が付いたが、一番痛みを感じていた左腕に白いレースのハンカチが巻いてある。自分の血が滲み、もう使えないだろう汚れが付いている。
「ですので、お怪我を手当てできるものを保健室からお借りして来ました」
「…そうか。で?」
なんのつもりなのかと、都合3回目の疑問を聞く。それに眉を顰めて「実は…」と声を抑えて話す西園寺に、漸く本題かと耳を澄ませる。
「これが、
「そうじゃねえだろ…!」
「…??」
話が進まねえ…。そう感じるが、身振りでパタパタと「イジメは放置すると」云々、「自分は生徒会の一員だから生徒の味方である」云々…。どうにも会話が成立しない。
このまま放っておいたら自分がイジメの被害者として死ぬほど面倒な事が起きるのは火を見るより明らかだった。せっかく進んでるクラスの支配への遠回りなんてやってられるか。
一瞬、自分の支配を邪魔する為に善人面をして問題へ介入しようとしてるのかと危惧するも、目の前の女からはそんな裏を感じない。重ねて口外するなと言うと、なにやら意思を秘めた表情で「分かりました。何かあれば、いつでも相談して下さい」と返される。…本当に分かってんのかコイツ。てかコイツ生徒会役員なのか。
「…で、生徒会役員様はイジメを受けてたと思って俺に治療をしたと、そういうことか?」
「はい、龍園君の怪我を診断すると最中に意識があったのも分かりましたし、目の動きや受け答えから頭を打ったという事も無さそうなので応急処置をしました。あとから気分が悪くなったり、症状の悪化があると良くないので必ず病院にかかってくださいね?」
「お前、保健委員とかじゃねえよな?」
「…?…生徒会の役員、ですよ?」
その後もくどくどと言われるが「あぁ、分かった」とから返事を返す。…もう少し休めば動けるようになる。これまでも経験からそれを察すると、ニコニコしながらこちらを見ている西園寺にため息を吐いて今度こそ質問をする。
「それで、お前は俺に何をしてほしいんだ?」
「?別に龍園君に、お願いしたいことは…」
「それじゃ俺の気が済まねえんだよ。貸しを作るのは好きだが、借りはすぐ返したい性質なんだ。…なんかあんだろ」
「なにか…」と上を向く西園寺。少しだけ考えた後に、真剣な表情で「これは、私の知り合いの話なんですが」と前置きをされ、「あぁ…」と返す。
―――これ絶対にコイツの話だろ。
西園寺の話を纏めると、こうだ。
曰く、東園(コイツの事だろ)の事を慕ってくれる友人、
東園の事を助けてくれた調宮という奴、東園と調宮のやり取り?を見た猫波が調宮に怒りを向け、東園が調宮に何も悪感情を持っていない事、助けてくれた事を伝えても猫波は調宮への怒りを持っているそうだ。
このままでは仲の良かった調宮と猫波が険悪になってしまい、これをどうにかするにはどうしたらいいかと相談された。
「…で、お前はどうしたいんだ?」
「はい、わた―――えと、東園、さんは以前は仲が良かった調宮さんと猫波さんが元の関係になってほしいんです。二人は仲が良くっ―――良いと聞いています。そんな二人が仲違いしたままのは悲しいと思っています」
「………」
誤魔化せると思っていたのか、一部ボロが出ていたが要するに友人関係の修復だ。まあコイツの容姿ならコイツを争って、というのは納得できる。
悲し気に眉を顰める姿も儚げで庇護欲を煽られ、世の男なら手に入れたくなるのも当然だろう。
「…その調宮と、猫波って野郎は…」
「あ、二人は女性ですよ?」
「…」
「………?」
「……そうか」
一瞬
その後も、相づちを打ったり、毒にも薬にもならないような助言や、「一緒に
体が起こせるようになると、西園寺が肩を貸してきて立ち上がる介助をされる。押し付けられる胸に離れるのが少し惜しくなるがこんな
「龍園君、相談に乗ってくれてありがとうございました。今度、私から二人を誘ってみますね」
「…(やっぱお前の話じゃねえか…)治療の件は世話になった。その礼だ。気にするな」
後ろ手で手を振り、西園寺に返事を返す。もう薄暗くなった校舎で女に見送られて帰るのはまあ、悪くない。
暴力による支配、今の目標をクリアして、クラス間での争いが起きて、それに勝利する。その目標を達成したのなら、次は―――。
次は、あの女を手に入れる。その位の
再びクラスの支配へ思いを強く抱いた蛇は、ニヤリとした表情で帰路への曲がり路を曲がる。
すると、グイッと引っ張られる感覚。闇討ちかと、身構えようとする龍園。普段なら、逆にカウンターを打ち込むほどの力量だが、ケガを負って膝に力が入らない自分では抵抗もなく物陰に引き込まれる。
間違いなく不利な状況だが、龍園は嗤っていた。何度負けても、負けても、最後に勝つのは自分だと絶対の自信があったからだ。そうしてそんな襲撃者みて嘲笑う表情を向けると、相手はやはりクラスメイトだった。しかし、龍園は相手とは話したことは勿論、襲撃をかけたこともなかった。呆気にとられる龍園に、相手は能面のような表情でブツブツと呪いのような言葉を重ねてくる。
「お前は…」
「龍園君…?撫子お姉様と何を、何を何を何をしていたのですか?物陰で校舎で隠れてあ、これは撫子お姉さまのハンカチ…いい匂いがするのに龍園君の血で台無しになって…」ブツブツ
若干、口を引きつらせる龍園。彼のクラス支配計画は、始まったばかりだ…!
龍園「宇宙猫顔」
?「撫子お姉さまお姉さまお姉さま…」
東園?「猫波さん!今度の週末遊びに行きませんか?」
猫波?「(ねこみ?)うん、いいよ!じゃあ朝の―――」
プルルルル...
東園『調宮先生、今度の週末---』
調宮?『え?(つき?之宮?それよりこれは―――お誘い!)…うん!うん、うん行く!!行くよ!誘ってくれてありがとうね!』
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読了ありがとうございます。また次にお会いしましょう!なるだけ早く仕上げますね。
5月以降、関係が増えてほしいクラスは?
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Aクラス
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Bクラス
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Cクラス
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Dクラス
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その他、2年、3年、教師陣