ようこそ(勘違い)大和撫子の学校生活へ 作:エカテリーナ
遅刻です。なんの言い訳もできませぬ。
次回から気をつけます!
では、よろしくお願い致します!
放課後、有栖に過去問を渡した撫子は職員室へ向かおうとする。
つい先ほどの騒ぎ―――目にした教師曰く『過去問事件』---の件での謝罪だ。
授業前の時間をかなり割いて貰い、挙句こちらの都合であったのに他の学年の授業などにも支障を与えた。
正直、あそこまで多数の教師が残って騒動の収拾まで付き合ってくれる理由は分からなかったが、自分のせいでは?という不安もあり、早々に謝罪に向かう事にしたのだ。
先に、生徒会室へ向かいその場に居た先輩に遅れることを伝えて職員室へ。すると、丁度角を曲がる際に1-Dの担任、茶柱佐枝と一緒になり、談話しながら一緒に向かう事に。
―――この二人、先の授業の一件から知り合い方や教師の当番、方や生徒会の手伝いとして水やりをするなど、担当しているDクラスの生徒よりも関係を築いて(親しくなって)いる。
「それにして、お前たちは凄いな…」
「…?茶柱先生?」
「あぁ、いや…」と、意図せぬ漏れた心の声だったのか誤魔化す様に口を閉じるも、つぶらな目で首を傾げる撫子に観念したのかぽつぽつと零す。
「…Aクラスのこと、そしてお前のことだ」
「私たちクラスと、…また私が…なにか?」
「…、なにも、心配も謙遜も必要ない。…お前たちはたった1ヶ月で歴代最高の成績を叩き出し、学校にその評価を示した。クラス分けの結果とはいえ、どうして比べてしまうと…な」
「…先生…」
「結局私は、……去…、A……ない…」
暗い表情で、撫子ではなく自分へだろう、自嘲気味に哂う茶柱。
撫子が注意深く茶柱の顔を見え上げると、メイクで隠してあるが薄っすらと隈が浮かんでいる。
今日という日が来ることに喜びを感じる生徒がいると同時に、悲しみや覚悟を抱いていた教師もいたのだ。
それについて「先生」と足を止めた撫子に、振り替える様にして向き合う茶柱。
「…どうした?、西園寺」
「私は、茶柱先生に会えて良かったです」
「…さいおん、」
ハッと息を飲む茶柱の胸元に抱き着く。身長差から胸元に顔を埋める様になり表情が見えない
微かに震える撫子を、以前より弱弱しい腕で抱きとめる。
「先生のおかげなんです」
「先生が水泳の授業で慰めてくれたおかげで、私はクラスメイトと仲良くなれました」
「先生がいなかったら、私はこの学校の不安で押しつぶされてしまったかもしれません」
「先生を、お慕いしています。…ですから、」
そういって泣きそうな顔で見上げて来る撫子に、今度は強く抱きしめる。教師なのに、生徒に弱音を吐くなんてそれこそ失格だと思うが、それを言ったら今度こそ
「すまない…西園寺。先生が間違っていた。…つい、弱音を吐いてしまったようだ。許してくれ…」
「いいんです、私で良ければなんでも言って下さい…!それで、それで先生の気が晴れるなら…なんでもしますから…!」
「ありがとう…もう、大丈夫だ。私は、
「はい…!」
ポンポンと頭を撫でて、教師然とした態度で落ち着かせようとする茶柱。大丈夫だと思い涙目で微笑む撫子。
※陰からそれを見て鼻から尊みが出るのを抑える親衛隊。
二人だけの世界(+α)を構成するが、ハッとした茶柱が何かを思い出したのか職員室へ向かおうと促すと、恥ずかしくなったのか赤い顔で俯き、「はい…」と答える撫子。
それに腕を---正確には袖を強調する様に差し出す茶柱に、キョトンとした後に思い出し、また赤い顔でしっかりとそれを掴む撫子。
それにクスリと微笑み、寄り添って職員室に向かう2人。偶然とはいえ幸いなことに、目的地までの道中で誰かに出会う事はなかった。
※
――――――――――――――――――――――
Side.綾小路
覚えのない放送に呼び出されて職員室に着くと、呼び出した当人がおらず何故か
ちょうど職員室から出た所で、仲睦まじい様子の担任教師と少し見覚えがある生徒が向かって来るのに気が付く。あちらも少し遅れて気が付いたようだが、生徒を追いかけて揶揄おうとする女教師は気付かずこちらの頬を突いている。
それをやんわりと止めようとしていると、担任が助け船なのかクリップボードを振り上げながら声をかけて来る。
「何をしているんだ、星之宮」
「うきゃ!サエちゃんなにするのよ~」
「お前が馬鹿な事をしているから止めただけだ。生徒との過度な―――」
知己なのか親し気?に頭に一撃を与えた我らが担任は急に言い淀み、袖を掴んでいる生徒へ振り返り、言葉を止める。「ゴホン」と咳ばらいをして「誤解を与えるような異性間の接触は控えろ」と言った。
「な~に?もしかして、佐枝ちゃん、嫉妬でも―――」
「星之宮先生、ごきげんよう、です?」
「―――」ヒュイ
「…?」
パキリ、と固まった星之宮女史。目の前の生徒と何かあるのか?そう思い顔を合わせるとやはり見覚えがある。自分のクラスの生徒ではないはずだが…?相手が分からない、妙な心苦しさを感じていると察してくれたのか自己紹介をされる。
「初めまして、1-Aの西園寺撫子と申します。よろしくお願い致しますね」
「あぁ…こちらこそ…。ご丁寧に、どうも…綾小路清隆だ、です」
思わず返事がぎこちないものになってしまった。変に思われていないだろうか。内心不安だったが、相手からは「綾小路君ですね、よろしくお願い致しますね」と丁寧に返された為、問題なかったのだろう。そう自分を納得させていると担任が「西園寺」と声をかけ、胸元に―――違う、(つい目が行ったが)首元に手を伸ばして少しだけ潰されたように崩れているネクタイを直している。
「あ、茶柱先生…ありがとうございます。…お手数をおかけして、」
「構わんとも。悪いことをしていないお前が謝ることではない」
「…」
「これでいいな、私は行くがまた放課後に会うこともあるだろうその時は…」
「はい、此方こそです。楽しみにしていますね♪」
「………」
「ああ、生徒会も頑張りなさい」
「はい!」
「……………」
「待たせたな、綾小路。生徒指導室に来て貰おうか」
「えぇ…はい…」
「…なんだ」
歯切れが悪いことを咎めるような口調で詰められるが、無理いわないでくれ。アンタのキャラが全然違うのが原因だぞ…。
去る際に軽く挨拶をすると丁寧なお辞儀を返され、それに後ろ髪を引かれる思いで茶柱の背を追う。
…めちゃくちゃいい匂いがした。後ろ姿は若干堀北に似ていると感じたが、全然違う。あれがAクラスの生徒なのかと感慨深くなる。
何やら背後から「撫子ちゃんここここれれは違うのよ~」と星之宮女史の悲鳴が聞こえた気がするが、此方から茶柱が視線を外さないからには振り返る訳にはいかない。
階を移ってもこちらを気にしている様子に観念して、先ほどの態度の事を指摘する。
「なんというか、
「…」
何が、とは言わない。相手も何のことだ?とは言ってこなかったから、意味は通じたのだろう。数秒の見つめ合いの後、つい、と目線を前に戻す茶柱。
「そうか?
「…そういうものですか」
「
キッパリと、言い切られる。少し速足になり生徒指導室に進む茶柱。表情からは分からないが、耳が少し赤かったのは気のせいだったのか…それは分からない。
その後、給湯室に追いやられて「飲み物でも入れて待つ様に」と言われた俺は、この後に訪れる面倒ごとなど全く知らず、やかんに水を注ぐのであった。
――――――――――――――――――――――――
その後、星之宮先生から何やら慌てた様子で捲し立てられたが、
※撫子はこれが年上に有効な落ち着かせ方だと学んだ。
咳払いの後に、どうしたかと聞いてくるので改めて職員室で各学年の先生方に謝りたい事を伝える。
その時、現場に居なかった星之宮に改めて話すと頬を引きつらせながら「そ、そうだったんだーへぇー」と曖昧な笑いを返される。
「そういえば先ほど、星之宮先生が―――」
話していた生徒と用事があったのでは?と聞こうとすると、食い気味に星之宮が声を被せてくる。
「あ、あー!じゃあ私が横についていてあげるね!ね!?先生たちの名前とかも分かんないから、横で紹介するね!任せて!」
「あ、はい…、よろしくお願いします…?」
ガララ、と扉を元気よく開き、「行こう、撫子ちゃんー!」と手を引かれながら職員室に入ることに。なんとか「失礼いたします~…!」という事が出来たのは幸いだった。
※この後、めちゃめちゃ丁寧に謝った。職員室のほぼ全ての教師の評価が爆上がりした。
―――――
本日、3度目の生徒会室。雅副会長に昼休み、遅れる連絡で放課後、そして今。自分以外が揃っている為、遅れたことを詫びるが堀北会長からは「遅刻の件は聞いている。理由もな」と返され、着席を促されて席に着く。
「撫子ちゃんの分も、お茶入れますね~」
「あ、先輩、今度こそ教えて下さい!」
「いいよ~じゃあこっちの…」
2年の女性役員に教えられて各々のコーヒーカップや湯呑、茶葉の入った缶やティーバックなどを聞く撫子。先輩も素直に頷く撫子に気を良くしたのか自慢げに教えている。
本日は急ぎの会議などではなくスケジュール調整などで集まって役割を振り分ける為の予備日だ。その為、役員全体もある程度ゆるい雰囲気を保っていた。この瞬間までは。
「…そういえば、
「あ、
「へぇ…!もう過去問に気が付いたのか…。本当、今年の1-Aは優秀だな…」
「恐縮です」
「「「………」」」
いつの間にか、手の早いと噂の副会長の呼び方が下の名前になっている。生徒会長ですら苗字呼びなのに。部屋の役員たちの「お前
自分だけが得ている優越感に浸っていると、堀北会長から「それで?」と話の続きを促す声がかかる。
「はい、最初に聞いた金額は高かったのですが、その後に先生方が安くなるように苦心して下さって…。かなりお時間を頂いてしまい、授業に間に合わなくなった方もいたので、それを謝りに行ったんです」
「そいつは良かったな。普段から、撫子の頑張りを先生方はちゃんと見ているって事だな…」
「そうであれば、良いのですが…生徒会の一員として、まだまだ足りないと思う事ばかりですので…」
「謙虚だな、撫子は…」
「「「………」」」
「西園寺、俺にもコーヒーの替えを貰えるか」
「あ、はい、ただいま…!」
会長が飲み干したカップを撫子に渡すと、彼女はテキパキと新たなコーヒーを入れるべく動く。その間に回りからの視線や小声が副会長を貫くが、彼はどこ吹く風だ。
その後、「どうぞ…」と音も立てずに会長の元へコーヒーを
不安げな表情でトレイを胸元で抱える撫子も、「良かった…」と呟き礼を返す。咳払いをしつつも「…それで、過去問の目途は立ったのか?」と誤魔化す様に撫子に聞く。
「はい、無事に買うことが出来ました」
「…
「ええ。ただ、過去問そのものは他のクラスの生徒に手渡してはいけないと言われました」
「…まあ、それくらいの制限が無いと、試験の意味がないからな…」
疑問に思う会長。「雅副会長のおかげです」と感謝する撫子。「…?そうか何よりだ」と頷き距離を縮めているアピールを欠かさない副会長。既に肩が触れ合いそうな程だったが、それ以上は詰めない様にする副会長。
流石、女性の扱い方は、生徒会で一番の男である。
※賛否両論。
しかし、生徒会長の疑問は撫子の
「撫子ちゃん、過去問は…、いくらしたの…?」
「はい、34万ポイントでした」
「さっ―――」
絶句である。聞いた3年生役員は口を押えて固まっている。頭を抱える3年生たちと、ギョッとして撫子を凝視する2年生たち。撫子は「
ようやく2年生も金額が可笑しいことに気が付く。しかし、試験の本番前にその試験を受ける生徒がいる以上、相談など出来るわけがない。やむを得ず、話題をもう一つの疑問へと向ける。
「そ、それにしても西園寺、34万ポイントなんて持っていたのか…クラスメイトから借りたのか?それに、南雲副会長のおかげって…?」
「(…ん?)」
「?いえ、雅副会長にこの前の件でとポイントを頂きまして―――」
「「「南雲ォ!!(副会長!!)」」」
役員の質問に不穏な気配を感じる副会長だが、天然に疑問に答える撫子のせいで導火線へと火が付く。修羅場、再び。
※ぶっちゃけ口止めしてない南雲が悪い。
今日も、生徒会室は賑やかだった。
副会長:この後めちゃめちゃ誤解を解いた。なんとか解けた。
会長:金額によっては自分の名前も出たので詰めには参加せず震えていた。
撫子:よく分かっていないが、隣の部屋で橘に「大丈夫?なにもされてない?」とカウンセリングを受けた。コクコク頷いた。
二年生役員「副会長への信頼度が5下がった!」
三年生役員「副会長への信頼度が15下がった!!」
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読了ありがとうございました。
またアンケートも感謝です。
今回はちらっとしか出てない主人公ですが、次回は初期北さん視点で登場予定です。
また少しお待ちくださいませ。
ぶっちゃけ、読者様的にはどれが一番当てはまります?ちなみに作者は1です。
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このまま百合しながら偶に男を…
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半々くらい?
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もっと男性キャラと絡んでほしい
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それよかはよ進めろ1巻のイベント見たい
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同上、2巻のイベントが〜
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同上、無人島編が〜
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同上、船上試験編が〜
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同上、夏休みイベントが〜
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全部やれ。というかペース上げろ。