ようこそ(勘違い)大和撫子の学校生活へ   作:エカテリーナ

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遅れてしまって申し訳ございません!
今回はリクエストの多かった二人!

また、次回も作成中です。
よろしくお願いします!


番外③:膝枕と、放課後ティータイム。

Side.櫛田桔梗

 

昼休みを過ぎた、保健室。何故か私は膝枕してくるこの女、西園寺撫子に連れられて授業をサボっていた。

いや、訳が分かんない。本当にだ。昼休みに、Bクラスの一之瀬さんと一緒に居るこの女と目を合わせたと思ったらズイッと近づかれ、なんやかんやとしてたら保健室で抱きしめられたり慰められたり、挙句の果てにはこうして膝枕だ。しかも、なんか周りに仮面を作っていることも気付いているような態度で心配された。

その時点で、もう私にはどうしようもないと諦めをつけて、ポスン、と柔らかい膝に頭を埋めるのだった。

 

 

…ねえ、なんで私にこんな事まで、してくれるの?

 

…。

 

…ふーん、まあ、いいよ。もうバレてるみたいだし、教えてあげる。どうせ、あんたがいるなら私は一番にはなれないんだろうし、もう疲れたかな。

 

…。

 

そういうのいいから、あんたもどうせ、聞いたら私の事なんか嫌いになるよ。それじゃ~、櫛田桔梗ちゃんの頑張り物語、始まり始まり~。

 

………。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

―――今日も、私は私を、演じる。皆の櫛田桔梗を。

 

「あ、桔梗ちゃん、こんにちは〜」

 

「櫛田さん、また今度ーーー」

 

「櫛田ちゃん」「櫛田さん」「櫛田」

「桔梗ちゃん」「きょーちゃん」

何人も、何人も何人も何人人人人人。

 

皆が憧れて、声をかけてくるのは本当の私じゃない。それでも、私は私を続けるのだ。誰からも愛されて、必要とされて、求められる偶像(アイドル)らしいの私を。

 

 

「うん!私で良ければ!」

 

 

そう。ニッコリと笑って今日もオールオッケー。皆の櫛田桔梗ちゃんが微笑む。…もう100人は優に超える1年生の連絡先へ片手間に返事を返しながら、

自分の築いてきた関係に満足感を覚える。

私はもう中学のような失敗はしない。あんな惨めで、なんの価値もない存在にはもう成らない。

 

私は一番が好きだ。でも、いうじゃない?子供の頃は神童でも、大人になるとただの人って。

私はそれに早く気がついただけ。だからって、勉強もスポーツも手を抜いた訳じゃない。最初は色々と挑戦した。…ある程度までは上手くやれたんだよ?順位をつけるなら中の上、あるいは上の下くらい?までは出来てもそれ以上には成れなかった。

 

私の挫折は、そこから始まった。それでも、私は諦めたくなかった。

 

だって一番(そこ)は、とっても居心地が良さそうでキラキラしていたから。

そうして次に考えたのは、()()()()になるんじゃなくて、()()()()に私がなることだった。

 

仲良くなって、仲良くなって仲良くなる。言葉にすればそれだけだけど、そうして築いた私の城はとっても居心地が良かった…!

誰も彼もが私の気を引くために、面白おかしい事をしたり、媚びたり贈り物をしてくれたり…!短い間だったけど、私は私を中心とした世界を作れた。

 

私の、私による私の為の私の世界が出来たんだ…!

 

―――――――――――――――――――――

 

 

…。

 

……。そう、短い間、()()()んだ。キッカケはつまんない愚痴だった。

それを、ネットの掲示板に書き込んだんだ。それがバレて、そこからはあっという間だった。皆の偶像(アイドル)から、もうなに?悪役令嬢の様な急転直下。

 

…。

 

あ、わかんない?まあ良くある王子様と恋に落ちるヒロインの、ライバルキャラクターみたいな奴の事よ。大抵、ろくな終わりを迎えない、無残な末路でしょ?そういうこと。

 

昨日まで嫌らしい目で、媚びた目でこちらを見ていた奴らの怒りや哀れみや、嘲笑うあの目!

こっちがどれだけのストレスとスケジュールと戦ってるのかお前らは誰も知らないだろう!どんなに下らない話でも聞いてやっただろう!あいつが嫌い、あの人が好き!ああ下らない下らない!どうでもいい話を嫌な顔一つせずに私は、私は!私が!!

 

 

そう思ったら、自然と口は開いてた。

 

 

「でも、☓☓さん、〇〇ちゃんの事、嫌いって言ってたよね?」

 

 

沈黙、否定、泣き声に罵声に怒号に暴力に混乱に、色々。

 

気付いたら、私のクラスは崩壊してた。

 

…いや、実際あんなにあっさりとは思っていなかったんだよる最後のは破れかぶれで「もういいや!私、知らない!」くらいの気持ちで言ったら、ああも炎上するなんて…。

 

その後は、男子生徒に殴られたら堪らないと、ソイツの悪口をしていた連中を生贄に捧げて、こちらを罵倒してくるやつを嫌っている連中の事。教えてやる。それだけで、私を大好きな世界はあっと言う間に崩壊しましたとさ、おしまい、おしまい。

 

…。

 

…これで、私の話は全部だよ。あースッキリした。全部話したら、もうかなりスッキリした。

てか、なんでこんな話になったんだっけ?…あー。そう、あんたが「辛くありませんか?」なんて言うからだよ。正直、血の気が引いたよ。こんな人が沢山いるところで何言ってるんだって。あの場は誤魔化して保健室に一緒に来たけど、これ絶対に明日…あー、放課後かな。色んなやつに聞かれるやつじゃん。面倒くさ…。

 

…。

 

大丈夫よ。あんたのおかげで、少し楽になったから。また放課後から皆の櫛田桔梗をやってやれるからさ。てか今更…、ホント今更だけど、なんで他のクラスで、そんなに接点なかったでしょ?なんで気づいたの?…握手したとき?…何あんた、エスパーかなんかなの?…冗談よ、真面目に受け取るんじゃないわよ。調子狂うわね。

 

 

ま、感謝してるわ。多分、このままだとまた狂うんじゃ無いかってくらいストレス感じてたし、この年でハゲる心配してるのなんて、私くらいなもんよね。…あ、そっちのクラスの葛城君のは持病だから別もんなのよね?まあどうでもいいけど。…うん。ありがとう。

 

…。

 

そういえば、今って授業中じゃない?サボってよかったの?こっちはポイントなんて0だから失うものなんてないらしいけど。…へぇ。ポイントでサボりの権利なんて買えるんだ。知らなかった。やっぱAクラスって使い方がリッチね。…え?あぁ、そう。こっちなんて酷いもんよ?昨日なんて、ポイントがないからって恐喝気味にポイントを集めるクズがいたし、私もみんなの桔梗ちゃんでしょ?仕方ないからって貸したけど、あれ絶対に帰ってこないよね。はぁ…、今月から節約しないとダメだよね。

 

…。

 

え?いや、そんなのいいわよ。…やめてよ、そんなつもりで言った訳じゃないんだから。あんたには感謝してるんだから。…恥ずかしいこと言わないでよ。私はいいのよ!それよりも、私があんたからポイントを貰ったらあいつらと同類になるって言ってるの。…そんなの、フェアじゃないでしょ?

 

…。

 

…うん。ありがとう。でも、もう少しだけ、こうしてて欲しいな。うん。大丈夫?足、痺れてたりしない?…へぇ、少しだけ?…えい!って、凄い声出すね。あはは!ごめんごめん、もうやらないから!あ、ほんとごめんって!

 

…。

 

あはは…。なんか、久しぶりに素で笑ったかも。…ねえ、またちょっと辛くなったらこうして膝枕してくれない?…え?いつでもって…。…もう…。ありがとうね。

 

…。

 

……。

 

…。

 

………。

 

…。

 

…………。

 

…~♪

 

…………。ねえ。

 

…?

 

私、もう少しだけこの学校にいても、いいのかな?あんな酷いこと、あんたに言った。ごめん。本当に謝る。

 

…。

 

…あんた、優しいね。ねえ、撫子って呼んでもいい?

 

…。

 

ありがと。でも、周りに人がいるときはちゃん付けするから安心して。そうしないと、一之瀬さん怖そうだし…。

 

…?

 

気にしなくていいよ。あんたは、そのままでいれば。

 

…。

 

ちょっと眠くなってきた…。もう、少しだけ、おやすみ…。

 

…。

 

―――――――――――

 

 

「すぅ…すぅ…」スヤスヤ

 

「おやすみなさい、桔梗さん」ナデナデ

 

 

膝枕された少女を撫でながら、撫子は子守唄を唄う。ほんの少しでも、彼女が休める様に、と。

 

※この後めちゃめちゃ仲良くなった。

なんなら試験が終わったら遊びに行く約束までした。

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――

Side.綾小路

 

一体どういうことだ…?

 

今は、放課後のカフェ。以前、クラスメイトの大天使櫛田に、邪智暴虐の化身、堀北を討伐…じゃない、

友達になりたいから協力して欲しいと言われて来た場所に俺は再び来ていた。

 

今回も発端は櫛田。

『忙しいときにごめん!綾小路君に会いたいって人がいて、少しだけ時間貰えないかな!?

都合が良ければ、今日の放課後、ダメそうなら綾小路君の都合に合わせてくれるらしいから、連絡待ってます!』

そうメッセージが届き、思わず半目で隣の席の堀北を盗み見る。昨日、なんの嬉しくもない異性に壁際に追いやられて(中間期末テストの手伝いに)付き合って(貰うこれは、強制だ)と言われたが、この温度差だ。

 

「なに?」「…なんでもありません」と振り返ってツッコミを入れてくる感の良さはともかく、これがコミュ力かと感動する。

 

ジーンと感動しながら、OKの返事を返して放課後に掘北を振り切って約束の場所へ向かう。

店内にはやはり女性客が多く、男性客はカップルのみ…、いや、今日に限っては女性客しかいない。若干、刺すような視線はきっと気の所為ではないが入店に気付いたクラスメイトが「綾小路くーん!」と手を振ってくるので退路がなくなる。だが可愛いから許す。

 

適当にホットコーヒーを頼んで席に向かうと、パタパタと席を立ち「どうぞどうぞ♪」と座るように促してくるので若干慌てながら座る。

 

 

「急に本当にごめんね?なんか予定とか大丈夫だった?」

 

「いや、大丈夫だ。今日は(堀北に拉致される前に来たから)予定はなかった」

 

心配そうな表情の櫛田に手を振って問題ないこと伝えると、良かったと安心した表情を浮かべる。…可愛い。この櫛田の半分…。いや、10分の1も優しさや柔らかさが堀北にあれば…。ないな。それはもう堀北ではない。

 

脳内からコンパス使いのアサシンを追い出して、目の前の天使の用件を聞く。すると、その用事はまるで先月の焼き増しのようなものだった。驚いて確認するも、櫛田も「私も本当、ビックリしたよ」と身振り手振りで驚きを伝えて来る。

 

 

「…まさか、また堀北と仲良くなりたいなんて人が居るなんてな…」

 

「あはは…、あ、綾小路君。普段、いつも話しているんだから…」

 

 

しみじみと言うと、フォローのようなそうではないような事を言う櫛田。もう彼女の塩対応はクラスでも周知の事実だ。その後、先月の成果から難しいだろうと言うと、櫛田もしゅん…。とした表情で「そうだよね…」と俯いてします。

 

…周囲からの視線の温度が体感で5度は下がった気がする。慌ててフォローを入れながら、誰がそんなことを?と聞くと、もうこの店に向かっているらしい。用事を済ませてから来る為、この店で待ち合わせをしていたそうなのだ。

丁度、入口の自動ドアが開く音。笑顔で手を振る櫛田に、俺も振り返る。

 

 

「あ、撫子ちゃん、こっちこっち~!」

 

「すいません、桔梗さん…!こちらの都合でお呼び立てして…綾小路君も、お待たせしてしまいまして、申し訳ございません」

 

「ああ、いや…」

 

 

丁寧なお辞儀をしてくる彼女に、何とか返事を返す。急いできたのだろう、少しだけ汗ばんだ様子で、胸に手を当て息を整える様子に店内の時が止まる。女性店員も、「いらっしゃ…」と言ってフリーズしている。女性の来店客も口に手を当てていたり、飲み物を手で持ったまま飲むのでもなく、固まっていたりする。

 

ーーー彼女を初めてみたのは、この学校に向かうバスの中だった。その容姿は老若男女問わず視線を集め、悩まし気な、憂いを帯びたため息一つで生唾を飲ませた。その時の感情が何だったのか、()()()()では終ぞ教わることはなかった。

次に、耳に入ったのはクラスで仲良くなった池や山内、クラスメイト達の噂話だった。

 

 

「すごい巨乳」「美人!嫁にしたい!〇ッチしたい!」ざわざわ「〇〇ランキングでは絶対…」ざわざわ

 

周りの視線が絶対零度となり、珍しく担任からもお怒りの言葉を貰うほど大きな声で容姿の事を話しており、それが彼女の事だとはすぐ気付く事ができた。

 

次にあったのは、部活説明会の時。

壁際で堀北と話し込んでいると偶然こちらを見ていた彼女がクスクスと笑っていた。その後、恥ずかしそうに顔を赤らめて目を閉じる様子に堀北と一緒に思わず閉口した。

その後、噂では彼女は生徒会と茶道部に入ったらしい。当然、入部の声が殺到したらしいが部長の一存で入部が却下されたケースも多いらしい。

(※いかに自分の茶の入れ方が、経験がと言っていた山内は当然却下されたらしい)

 

直接、言葉を交わしたのは本当に最近の話だ。5/1の放課後の職員室前。そこで担任の茶柱と仲睦まじくしている生徒が彼女で、非常に驚いたのを覚えている。

 

そこで簡単な自己紹介をしたが、その声や態度、物腰に癒やされたような、感動したような余韻もそこそこに堀北事件(俺、命名)が起き、俺の自由時間は激減した。近く勉強会とやらもやるらしい。

 

そこまでフッと回想していると、彼女が堀北と仲良くなりたい相手なのだと察するもその理由が分からない。

…まあ、彼女と話せるのは偶然とはいえ()()だろう。決してクラスメイトにはバレないようにしなくては。そう思い、息を整え終わったのか櫛田の頭を撫でている西園寺に思わず見惚れてしまう。(拗ねているようだが、櫛田自身まんざらではない様子だ)

………多分、店の全員が同じ気持ちだったようだ。

 

 

 

その後、飲み物を頼みに行くと慌てた様子で作る従業員や、同じものを頼もうとして列を作る客たちでバタバタと活気が戻ってきた店内。改めて3人で俺:櫛田&西園寺の三人で向き合う形になる。幸い、背中を入り口側に向けている為に他の客の視線は視界に入らない。…逆だったら、絶対に明日の朝日は拝めなかっただろう圧を感じる。

 

 

「それで、この前も簡単に挨拶だけしたが綾小路清隆だ。よろしく頼む」

 

「はい、私は西園寺撫子と申します、この度は、私の急なお願いで貴重なお時間を頂き、誠にありがとうございます」

 

「ふふ…撫子ちゃん、固いなぁ。綾小路君は優しいから、もっと敬語も崩して大丈夫だよ」

 

 

「ね…?綾小路君」と言われ、なんとか「おう…」と返す。それに困ったような顔で返され、「ではその…徐々に、という事でご容赦下さい」と言われる。暗に『お前と仲良くなるつもりはない…!』と言われたのかと思ったが、その後に「頼みがある手前、今回はしっかりとした態度を取らせて欲しい」と言われては否は無い。

 

…むしろ、気遣いも丁寧すぎて泣きそうだ。普段の塩&塩にまみれた対応で、俺の心は枯れてしまっている様だった。彼女の気遣いが本当に沁みる。

 

 

「それで…西園寺さ「西園寺、で結構ですよ…?」…西園寺、はDクラスの堀北と仲良くなりたい、という事でよかったのか?それでその繋ぎというか、仲介を俺に頼みたい、と」

 

「はい、誠に勝手ながらその通りです」

 

「「…」」

 

 

思わず櫛田をチラリと見る(「…マジか?」)と、同じように困ったような顔(「…マジみたい」)をしている。…正直、絶望的に無理だろう。あの孤高の狼のような堀北が、見ず知らずの、しかも他クラスの生徒と仲良くなれるとは思えない。

西園寺の容姿だったら、男子ならほぼ100%、女子でも9割以上は誘いを断らないだろうが、堀北はどういう反応をするか分からない。キッパリと断るならいいが、もしも拗れて致命的な亀裂が入るとクラス間対抗だけでなく、学校全体で1-Dクラスの排斥運動が始まりそうである。

…この短い時間での店内での影響を見ると、マジでありえそうな未来だ。

 

しかもまだCやBならともかく、現在進行形のAクラスコンプレックスの堀北では冷静にはなれないだろうと個人的にも思う。どうやって断ろうかと思考を傾けるも、まずは理由や経緯を聞こうと話を進める。

 

 

「肝心な事なんだが、西園寺はなんで堀北と?何か理由があるのか?」

 

「…申し訳ございません、詳しくお話しすることは出来ません。ただ…」

 

「ただ…?」

 

「彼女が今のままで居てはいけないと、そう考えている方もこの学校に居て、そして私は、その方の力になりたいと思い、堀北さんとお会いしたいと…そう、考えています」

 

「………」

 

 

少しだけ思案するも、真剣な表情でこちらしっかり見て自分の意思を伝えてくる西園寺。内容は不明確な点が多いが、堀北の孤立主義はDクラス内に収まるレベルではなかったらしい。若干引き攣りながら、「そうか…」と返し、ふと気づいた事を思って櫛田を見る。

 

 

「…(仲介の頼み(コレ)、櫛田でも出来たんじゃ…?)」ジー…

 

「…」プイッ

 

「…?」キョトン

 

 

目を逸らされた。ちょっとだけ申し訳なさそうなのがあざといが、それはそれとしてどうするべきかと腕組みをして考える。

 

1.堀北を呼ぶ。

 

=試験対策とすれば来てくれるだろう。ただし、この前の櫛田の一件もある為に警戒される可能性あり。2回目は更に態度を硬化させるだろう。Aクラス生徒と会ってくれなんて、裏切り扱いされるかもしれない。当然、破局による被害も受けるリスク付きだ。

 

2.堀北を呼ばない。

 

=西園寺は残念がるだろうが、実際はこれがベターかもしれない。出来ない事を伝えれば、今までの彼女の態度的には特に怒ったり敵対的な反応が返ってくる事はなさそうだ。しかし、問題は偶然などの要因で西園寺と堀北がエンカウントしてしまうと、危惧していたDクラス最後の日を迎える可能性もある。

 

3.西園寺を説得する。

 

堀北との出会いの仲介(爆弾処理)を延期させる。「今月は色々あって、まだ時ではない」と先延ばしに出来れば堀北の態度や周りの環境によっては上手く出来るかもしれない。

これ、3が良いんじゃないか…?そう思って口を開こうとすると、櫛田が首をぶんぶん振ってくる。櫛田のコミュ力がずば抜けているからか、今のは「言ったけどそれでも会いたいって…」と正確に俺に伝わった気がする。

 

4.堀北を説得する。

 

=…。一番、難易度が高い気がするがこれが一番リスクが少ないかもしれない。1,2は受け身、3は実行不可ならこれしかない。堀北に西園寺を傷つけるとDクラスが終わることを懇切丁寧に教えて、ほどほどに受け答えして貰う。それも断られたなら、俺はもう知らん。…仮にもAクラスを目指す以上、敵を増やして2正面、3正面で戦う事の困難さは理解して貰えると信じるが…不安だ。

 

 

「西園寺、時間をくれないか?俺から堀北に相談をしてみる」

 

「…!よろしいのですか?お願いしている手前、こちらから向かうのが礼儀と言うもの。私の事でしたら…」

 

「いや、そうじゃない。堀北側で少し問題があってな…」

 

「?」

 

 

不思議そうな顔をする西園寺に、オブラートにオブラートを重ねた建て前を話す。即ち、試験対策で頭がいっぱいである事。今すぐに他のクラスの生徒が接触するのは彼女の負担になってしまうので、折を見てこちらからまたアプローチしたいという事。時間が少しかかるかもしれないが、俺たちも堀北が一人でいることは心配をしていることを。それを伝えるとコクコクと頷きながら、賛成してくれる。

一緒に居る櫛田も目をキラキラさせて「流石、堀北さんといつも一緒にいるだけあるね!綾小路君に頼って良かったよ…!」

とお礼をされる。悪い気はしないが、誤解に満ちている返事は正直して欲しくなかった。西園寺の目が信頼に溢れていて痛い。

 

 

その後、タイミングを知らせる為にも連絡先を交換して(周囲からの視線に殺意が混じった様に感じる)席を立つ。空の容器を片付けて、店の外に出ると夕焼け空だった。こちらに向き合って、丁寧にお礼を言われる。それにまた曖昧に返事をする。

 

 

「それじゃ、またね!撫子ちゃん♪」

 

「はい、桔梗さん。…綾小路君も、ありがとうございました」

 

「いや、俺は…」

 

 

大したことはしていない、そう言おうとすると驚いた表情の櫛田に思わず振り返ってしまう。夕日が逆光になり、しっかり表情は見えないが愉快そうではないのが分かる。黒髪を靡かせ、腕組をしながらこちらを見るクラスメイトに、口の中の言葉は溶けて消えた。

 

 

「…まさか、Aクラスを目指すための試験対策をサボってまで女の子と会っているだなんて。しかも他のクラスの生徒…随分と余裕があるのね?綾小路君」

 

「…堀北」

 

 

今、最も会いたくない相手が、そこに立っていた。

 

 




読了ありがとうございました!

ストレスフリーな櫛田と人間味マシマシ綾小路でした。
次回は初期北さんの登場予定です!
アンケートも実施予定。よろしくお願い致します。

この後のイベントは、原作イベント踏むの以外ではBクラスで勉強会を予定してます。他、やってほしいのありますか?※原作2巻以降の登場になるかも。

  • 特に無し。進めるの優先で!
  • 百合回。椎名、Cクラス
  • 百合回。神室、Aクラス
  • 百合回、その他。(適当に選びます)
  • 異性回、葛城、Aクラス
  • 異性回、龍園、Cクラス
  • 異性回、高円寺、Dクラス
  • 曇らせ回、教師、茶柱
  • 曇らせ回、教師、真嶋
  • 曇らせ回、教師、坂上
  • その他リクエスト(感想に書いてください)
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