ようこそ(勘違い)大和撫子の学校生活へ 作:エカテリーナ
今回はBクラス視点、綾小路視点と兄北視点です。
ちょい長いですが、ストーリーに関わるので是非ご覧ください!
それではどうぞ!アンケートもあるのでお願いしますね!!
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Side.Bクラス視点
「―――となりますので、この問題の公式は…」カッカッカッ…!
「「「………」」」カリカリ…
クラスに、西園寺さん―――
金曜日の放課後。予定していた勉強会はBクラスの生徒全員が参加を希望した為、教室には40人のBクラス生徒と西園寺撫子の姿があった。
対する生徒たちは、流石Bクラスと言うべきかしっかりとノートに残したり(許可を取った上で)動画で取っているビデオカメラ(写真部の備品からレンタルした)の調子を確かめたりと真剣()な様子だ。
しかし、全員が同じ疑問を抱いていた。入ってきた瞬間、「え?」となっていただろう。
一之瀬さんも「な、撫子?」と惚け気味で首を傾げていたが西園寺さんは「私語は禁止、です…!授業を始めますよ!」と指示棒を伸ばしながら、メガネの位置を直しつつ、着席を促した。
ガタリ、ガタガタと席に着くクラスメイト達。教壇に立つ西園寺さんは「では、教科書の34Pを開いて下さい」と、普段よりも意識して固い言葉を使っているような印象を受けた。…というか、何故。
「「「(何故、
彼女は制服ではなく、タイトスカートに薄い黒フレームのメガネ、ハイソックスもガーターベルトとタイツに。普段ストレートの黒髪は後ろで一つに纏めている。
スーツのジャケットは、どうやら袖は余っているようだが胸部がキツかったのか羽織るような形で着こなし、それがまたアンバランスさを強調している。最後に指示棒を片手に黒板の公式の解説をするその姿は―――どう見ても、理想の女教師そのものだった。
…もちろんネクタイは外しており、首元近くのボタンを外している為チラリと除くうなじは男女問わず視線を集めている。
「…(ごくり)」
「…//」カァァ…
正直、半分くらいの生徒は集中できていない。皆の期待はこの空気を解決できる男へと注がれた。
「…(神崎)」コソコソ
「……(神崎君)」ボソリ
「ハァ…。…な、なぁ、西園寺…」
無言の圧力に負けたのか、挙手して疑問を呈そうとするがピシリと指揮棒を教壇に当て「西園寺先生、です!神崎君!」と返す西園寺さん。威厳を保つ為のポーズなのだろう。指揮棒の音もそこまで大きくないし、なによりもその姿が秀逸だった。
「…(可愛い…)」
「…(西園寺…先生…)//」
「…(アリよりのアリだな…)」
「西園寺、先生…」
「はい♪なんですか?神崎
意外とノリノリな様子の西園寺先生だったが、神崎君が「何故、スーツ姿なんですか?」と一応敬語で聞くので思わず笑いそうになるクラスメイト達。
それに不思議そうな顔で、「?女性の教員はこの格好が正装と伺っていたのですが…」と返される。まさに「え?なに言っているんですか?」くらいの温度感に思わず神崎君も「そ、そう…、ですか…」としか返せない。
というか大体の生徒、特に男子生徒は殆どが(誰だか知らないが良くやった!)と内心沸いていた。
※もしかして?:Bクラス担任
「あ、もうひとつ良いですか?西園寺先生!」
「はい、一之瀬さんどうぞ♪」
「えっとやっている問題なんですけど、ここって今回のテストの範囲外なんじゃ…?」
若干、気まずい表情で指摘をする委員長一之瀬。その声に、「そういえば…」となる生徒や「確かに」と納得する声も上がる。…この公式の出る問題は、今回の試験外だ。教えるところを間違えてしまったのでは?そんな雰囲気がBクラスを覆うも、西園寺先生は「ふふ…良い質問ですね、一之瀬さん…」と微笑みながらメガネを直すポーズをする。
…かわいい。でも西園寺さん、レンズ越しにゆがみがないから絶対に伊達メガネだと近くの生徒は気付いて更にエモーションを感じていた。
「一之瀬さんの質問への答えですが、今やっているこの問題、そしてこの時間の趣旨は、
「…?」
「え?え?どういう事?」
「…テスト対策…って、でも範囲じゃ…」
ざわつくクラスに、今度は西園寺さんは指示棒を鳴らさずクラスの様子を見守っている様だった。それに思案気な表情の一之瀬さんと、神崎君。
「………西園寺、先生…」
「はい、なんですか神崎君?」
「これは、つまり次の期末で出る問題範囲が―――」
ぴとり、と細い指が言葉を遮った。言葉を続けようとした神崎君の唇を、西園寺さんは指先で止めていたのだ。真剣そうな視線が交錯し、シン…とBクラスを沈黙が包む。
無言で見上げる神崎君、意味深な笑みを浮かべる西園寺さん。その様子にカメラを向けている白波さん。…なにやってるんだ。
ざわめきはもう収まっていて、クラスの皆が期待と信頼、そして確信を持って
「…はい、私語はここまで!黒板にある①から④の問題を解いて下さいね。5分後、当てていきますよ?」
ピシ、ピシと指示棒を鳴らす西園寺さんに、みんな揃って「はい!」と返事をする。一同の満足げな表情で、第一回の勉強会は大成功で終わりを告げたのだった。
この後の勉強会は捗った。ただし、成績が不安な生徒は
※一部の生徒はその後に鬼詰めされた模様。
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※その後の職員室
「失礼致します。1-A、西園寺です。入室致します。星之宮先生は―――」
「な、撫子ちゃん!?その恰好は…!?」←元凶
「西園寺!?なにを…」←Aクラス担任
「…?星之宮先生が言っていた正装で、たった今Bクラスでの勉強会が終わりましたので、その後報告に…」
「…え?誰?新人の先生…?」「いや、今、1-Aって…」ざわざわ…「ほらあの、過去問の…」ざわざわ…「前、閉じられないんじゃ…?」「あのおっ〇いで生徒は無理でしょ…」ざわざわ…
「…星之宮先生」
「…ハイ」←嘘を教えた教師
「このあと少し、お話があります。…茶柱先生、あなたも」
「…はい」←服を貸した教師
「………(うちのクラスもやってくれないかな…)」←Cクラス担任
その後星之宮は真嶋にプチ説教をされた。
茶柱も怒られたが、撫子と並ぶと姉妹、または後輩のようでご満悦だった。
※前のめりになり立ち上がれなくなる教師も居たとかいないとか。
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Side.綾小路
昨日の今日で、クラス内の堀北の評判は
西園寺撫子の事は、クラスが違う俺でもよく耳にする。品行方正で、早くも生徒会入り。茶道部も特別に兼部する許可を貰い、早くも次世代の会長候補筆頭と言われる程の才女だ。
また、直接話した所感では性格がキツイとか、人を見下す言動があるだとかそんなこともない。エリート気質のAクラスの中でも他のクラスへ広く露出している(決していやらしい意味ではなく)彼女は、学年性別問わずかなり好意的に受け入れられている。
そんな彼女の事を、堀北が手酷く
俺が入っているメッセージグループ内でもそれが広められる程だ。クラスの大きなグループ内でも噂は駆け巡っているだろう。
…朝、登校してきた堀北に櫛田は謝罪をした。昨日、
「撫子ちゃんに謝罪するまで、私は堀北さんと仲良く出来ない。勉強会は、須藤くんや池くん達の為に参加するけど許した訳じゃない」とはっきり口にした。
これには、クラスのざわめきも大きくなった。櫛田が、クラス全員と友達になりたいといった櫛田が
表面上、特に変化は無いものの内心は茶柱先生の話―――将棋の駒がまた減った事―――を思い出しているのかいつも以上に不機嫌そうな面持ちだった。
そして、第一回の勉強会。
メンツは須藤や池、山内、沖谷と俺。講師陣に堀北と櫛田の二人だ。
結果は…予想の通り、崩壊した。
教える側の堀北の我慢の限界を超えるような回答を連発し、あっさり堀北節、再び。
容赦なく、今までの須藤を全否定して、性格も態度も夢も完全に否定した。
捨て台詞とともに去る須藤と、それに続いてしまう池、山内。
それを見送る俺と、沖谷。櫛田はもうため息をついていた。
「「……」」
「はぁ…」
「…なにかしら?櫛田さん。言いたいことがあるならはっきり言ったらどうなの?」
堀北の問いかけには応えず、筆記用具などを片付けて席を立つ櫛田。最後に振り返り、「
「…僕も、今日は失礼します」
「あぁ、参加してくれてありがとうな」
「………」
「じゃ、じゃあ、堀北さんもありがとうございました…」
タタタ、と早足に居なくなり、席には俺と堀北だけが残される。
「…」
「…」
「…貴方は…貴方も、なにか言いたいことがあるのかしら?」
「いや…別に?今日はもう終わりでいいのか?」
「ええ…もういいわ。彼らは、もうダメね」
「…そうか」
「貴方も結構よ。…櫛田さんのところにでも行ってきたらどうなの?」
「…そうするよ」
筆記用具を片付けて席を立つ。最後に堀北の方を向くと、偶然か帰る所を見送るつもりだったのか目が合う。多分、前者だろう。
不機嫌そうな表情からは、今日の勉強会の失敗や須藤たちを切り捨てることへの申し訳の無さ、そういった負の感情は浮かんでなかった。
堀北は、これが今までの当たり前なのだろう。
「堀北、昨日の(Aクラスの生徒に呼ばれた)件だが、偶然にも先月の櫛田と同じく理由だったぞ」
「…意味がわからないわね。私は
「…はぁ…」
折角、名前を出さないように気を使ったのに台無しにされたようだ。気付いていないのかもしれないが、先程の騒動から
「貴方も…なんなの?…言いたいことがあるなら、はっきり言ったらどうなのかしら?」
「…そうか。じゃあ言うが、西園寺は
「……………………………ぇ?」
ポカンと、呆然としたような、見たことのない表情で固まる掘北に、もう言ってしまえと思い、言葉を続ける。
「お前と仲良くなって欲しいなんて、誰が頼んだんだろうな。…もちろん、俺でも櫛田でもないぞ」
「……………………………」
「西園寺は学校に知り合いも多いから、生徒会とか教師、同級生や先輩、どれでもありそうだが、お前が知っている
「……………………………」
「まあ、もう言ってしまうが…俺は。俺と櫛田は、今のお前が西園寺と会ったら絶対にお前が拒否すると思ってた。…事実、その通りだったしな」
「……………………………」
「だから、もしまた西園寺と会うときは適当に謝るなり、表面上だけで良いから仲良い態度でいてくれよ。…
「…………………………っ」
「話は終わりだ。…じゃあな、堀北」
もう振り返らずに図書室を後にする。堀北がこの後どうしようが、俺にはもう、関係のないことだ。
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Side.堀北学
俺は、ある日の夜に妹の鈴音を呼び出すことにした。…あの屋上で西園寺に懇願しておいて何を今更と自分でも思うが、耳にした噂では西園寺にアイツが噛み付いたらしい。
直接確認をすると、「誤解があり」「他の生徒を巻き込み」「騒ぎになってしまい」「申し訳ない」との旨の謝罪がかなりのボリュームでされた。(絶対に妹のせいだとは思うが…)
更には
…正直かなり滅入ったが、最善を尽くしてくれた後輩に頼り切りでいるわけにも行かず、結局は直接会うことにした。
一年寮の管理人室で依頼し場所と時間を書いた手紙を届ける。後は、鈴音が来た後に話し始めればいい。
…何を話せばいいか。どうすれば、あいつはこの学校でやっていけるのか。俺がするべきなのは、鈴音を慰める事じゃない。鈴音を進ませる事をしなくてはならない。
兄として、この学校の生徒会長として。
薄暗い街灯の下、気がつけばあっと言う間に約束の時間が近づいていた。気の抜けていた自分を叱責しようと拳を握りしめていると自分のスマホの振動音が伝わる。
…誰だと思い液晶画面を見ると、この件に関わらせた後輩からだった。なにかあったのかと思い、時計を見るがまだ時間はある。周囲を見回し、誰もいないことを確認して電話に出る。
「もしもし、西園寺か」
『夜分に失礼いたします、堀北会長。申し訳ございません、今、お時間よろしいでしょうか?お忙しいのであれば、かけ直させて頂きますが…』
「手短であれば構わないとも。どうした?」
『はい、実は…』
要件は纏めると、自分が
その際に、部活や生徒会の内実をそれとなく探られている雰囲気を感じたらしく、どの程度まで開示してよいかとの確認だった。
…たしかにこれは生徒会の人間に指示を仰ぐべき案件だと納得する。手始めにそれが他のクラスか?学年かと聞くと1-Cの生徒達らしい。教職員間の噂では、今年の生徒たちは
そんな生徒たちに囲まれて大丈夫かと聞くと不思議そう『同じ部活の椎名さんも一緒にいるので大丈夫ですよ?』と返される。…何が大丈夫なんだ。その生徒も
西園寺の危機感の無さにため息をつくも、その無邪気さや純真さ、素直さで様々な関係を築く後輩には、ついつい甘くなってしまう自覚がある。
その才能の邪魔を、せっかく頼ってくれた
『…かしこまりました。お時間、ありがとうございました』
「いや、構わん。先輩として当然のことだ」
『とんでもございません、お礼はまた今度、しっかりとさせて下さいませ』
「構わんと言ったぞ?西園寺。俺はお前には
『……っ、ありがとうございます。堀北会長』
「ふっ…お前の健闘を祈っている」
『こちらこそ、感謝を。堀北会長も、
「―――」
…しまった。電話に集中していて鈴音との待ち合わせを失念していた。『では、失礼します』と返事をする西園寺に悪いと思いながら通話を切り周囲を見渡すと………いた。こちらの様子を伺う妹の姿に、眼鏡を直しながら「呼び立てて悪かったな、鈴音」と声をかける。それに息をのみながら「いいえ、大丈夫です」と返してくる。
…少し痩せたか。顔色も疲れを滲ませておりここに来た事。そして
その様子にビクついている鈴音に、できるだけ落ち着いた態度で接する。「最近、しっかり食べているのか」「この学校には慣れたか」「クラスで仲のいい生徒は出来たのか」など、差し当りのないことを聞く。…が、あまり返事が芳しく無い。
一言「はい」か「いえ」、「大丈夫です」、「問題ないです」と端的な返事が返ってくる。
このままでは以前のままだと思い、近付いて目を合わせようとすると、じりじりと下がられて距離が縮まらない。―――恐れに揺れる表情に、これが今の兄と妹の距離かと諦めて質問に移る。
「鈴音。…なぜ、俺が会いに来たのか分かるか?」
「…それは…、…。………。」
「それは?」
もごもごと口籠る様子に、続きを促すが言葉が続くことは無かった。…その様子に、鈴音が自信や寄りかかる
―――やはり鈴音の成長には、
「…鈴音、俺の後を追うのはもう止めにしろ」
「…兄さん!私は、私は絶対にAクラスになって見せます…!私は、兄さんに
「…やはり、か…」
真剣な、あるいは迷子のような必死さを感じる鈴音は、予想していた通りの言葉を俺に突き付けてきた。…以前の俺だったら、間違いなく鈴音に痛い目に合わせて、もしかすると暴力を振るってでもこの学校から出る事を命令しただろう。だが今の俺には西園寺との約束がある。もう、この妹を置いて行かないのだと、彼女にそう誓ったのだ。
「…鈴音、何故お前がDクラスに配属されたのか、理由は分かるか?」
「…分かりません。担任の茶柱先生に聞いても、間違いは無かったとだけ…。も、もちろん!入試や面接は問題ないと言っていました!」
「そうか…。成績については、兄としても鼻が高いぞ」
「…っ!…兄さ「だが」…!」
これから俺は、鈴音に非情な事を言う。しかしそれは、彼女を厭わしく思っているからではない。彼女の成長を思ってその背中を叱咤し、激励するのだ。
「だが、お前はやはり未熟だ。堀北鈴音という一個人という意味の人として。この学校と言う小さな社会の1つの歯車として。そして、Dクラスという団体の一員として、その自覚と責任が欠如している」
「私が…未熟…」
「お前はこの一月と半ば、何をしていた?5月に入ってからは中間テストという初めての退学が絡む試験がある。クラスの一員として貢献できる何かをしたのか?」
「し、しました!Dクラスの赤点を取りそうな生徒に、勉強会を「無事最後まで終わったのか?」…っ!そ…れは…」
「答えろ、鈴音。それはお前が自発的にやったのか?誰かに頼まれたのか?それはお前ひとりが行動して人を集めたのか?それで教えたやつらは赤点を回避できそうなのか?それをお前に任せた奴、心配している奴にも説明をしたのだろうな?…どうなんだ?」
「………」
俯いて震える姿に、罪悪感を覚えない訳ではない。しかし、このままでは
「…お前は、お前には確かに実力があるのだろう。それを研ぎ澄まし、怠けることなく磨くことが出来るのを俺は知っている…3年前からな」
「…………兄…さん…」
「だが、この学校は、現実の社会で
「…いいえ、思いません………」
「…そうか。なら、お前がこれからやることも分かるな?」
「…っ…!…はい!」
ようやく顔を上げ、目と目が合う妹に頷きを返す。急に色々な事を言ったからか、まだすべては呑み込めてはいないだろう。…だが、それでもいい。ここから鈴音が成長をして行ってくれるなら、兄としてこうして空白だった時間を埋めた甲斐があったというものだ。
いつか西園寺が放課後に茶柱教諭にされていたように頭を撫でてやると、顔を赤くしながらも笑顔を見せてくれた。
「に…兄さん、その…恥ずかしいです…」
「…そうか、だが、ここからが大変だぞ」
「…明日、クラスメイトにちゃんと謝ります。酷いこと言ってしまった事。彼の目標を、夢を貶してしまったこと…」
「一度口に出してしまったことは取り返しが効かない。…あとは、行動で
「はい…!」
もう、鈴音は大丈夫だろう。会うまではあんなにも不安だった関係も、こうして腹を割って話せばいくらでも解き解す事が出来た。…こんなこと、西園寺と出会うまでは思ってもみなかった。思わず零れる笑みに、鈴音は不思議そうにこちらを見ている。「ああいや…」、そういって誤魔化そうとする。
しかしジッとこちらを見て不安げな表情を浮かべる鈴音に、先ほどまで思っていたことをつい教えてしまう。
「…お前と向き合う切欠をくれた、彼女に感謝せねばと思って、な…」
「兄さんと向き合う、切欠…ですか?」
「あぁ…
「西…園寺、…さん?」
西園寺と衝突したことは知っているが、努めて知らない振りをして(若干ぼかしながら)屋上で妹の事で相談に乗ってくれた事を話す。「そうなんですね…」「兄さんの…」と段々口数が少なくなっていく鈴音に、西園寺から恩を受けたことをしっかりと伝えていく。…自分に似て、融通の利かないところがある鈴音でも、きっと西園寺なら仲良くなれるという皮算用が無い訳ではない。
これを切欠に、彼女たちが友人になってくれればこれほど心強いこともない。1年後も、安心して自分は卒業することが出来るだろう。
「…彼女は非常に優秀な生徒だ。いずれ、お前も会ったら話してみると良い」
「……………………はい、兄さん。……………」
随分と話し込んでいた様で、気付けばいい時間になっていた。1年生の寮へ鈴音を送り届けると、入口で振り返り微笑んでいる鈴音と向き合う形になる。「今日は会ってくれてありがとう、ございました」と頭を下げてくる妹に「お前の活躍を期待しているぞ」と言葉をかけて、3年生の寮へ帰宅する。
帰宅後にスマホで西園寺に礼のメッセージを送る。おかげで、鈴音の事が一歩前進したこと。お前の話が出来たこと。これから成長していく妹のことを、どうかよろしく頼むと。あまり間を置かずピロン、と通知音が鳴りメッセージボックスを開くと、頼りになる後輩からの返信のメッセージが届いていた。
『私ではなく、妹さんと向き合った堀北会長の意志と行動が、最善の結果を導いたのだと思います。私で良ければ、またいつでもお頼り下さいませ。本日もお疲れ様でした』
「ふっ…本当に、謙虚で出来た後輩だな。西園寺。…ところで、」
―――どうしてメイド服を着ているんだ?
※添付された写真を見た堀北学は、背景に宇宙を背負った猫のような表情を浮かべるのであった。
Bクラス「女教師って…いいよね」「いい…」「てか星之宮先生より――」ボソッ
茶柱「…西園寺、先生…か…。ふっ…」
―――
櫛田「私、あなたの事嫌いです!(本心)」
堀北「( ゚д゚)…。…(゚д゚)…」
綾小路「( ˘ω˘)スヤァ...」
―――
〇〇「この場所ではこの服を着るのが正装らしいぜ。制服が汚れない様に、な…」ククッ…
撫子「そうなんですね!(素直)」
△△「(こいつ、マジで信じてるの…?)
ひより「お姉様お姉様お姉様…」パシャパシャ
兄北「西園寺と仲良くなれると良いな…鈴音」
鈴音「西園寺…撫子…!」ギリィ…
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おまけ。
西園寺撫子
誕生日: 7月23日
【ステータス】
学力A+:99
身体能力C:60
機転思考力B:79
社会貢献性A:97
【総合力】A-:84
生徒会、及び茶道部に所属
『ええと…様々な(ごにょごにょ)…と友達になる?のが私の学校生活の第一義です。何卒宜しくお願い致します』
Aクラスでリーダーを二分する坂柳、葛城に一目置かれる第三勢力のリーダーと目される生徒。旧華族の一族の出で、世間ズレしている所が多々ある。Aクラス以外にも広い関係を持っているらしいが…。
黒髪ロングで学年どころか敷地内でも屈指のスタイルを持ち、落ち着いた様子の大和撫子なのだが、実際は天然で話す相手に敬遠されることを内心気にしている。
持病があるらしく、保健室に通っている姿をよくみかける。
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割と進めましたかね?最後のメイド服事件については、また幕間でおなしゃす!
次回もお楽しみに!
しょ、正直キャラの絡みが多い気が自分でもしてきました。 なんとか、1巻は今の雰囲気で勧めていきますが 2巻はガンガンストーリー中心で方がいいかな?と思ってます。みなさんはどうですかね?(汗) 20話使ってまだ原作1巻の半ばって…。
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今くらいのペースでも良い。
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もう少しストーリーをサクサク進めて欲しい
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ドンドン書けばよくね?(思考放棄)