ようこそ(勘違い)大和撫子の学校生活へ   作:エカテリーナ

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アンケート回答ありがとうございました。
一年生が多いようですので、初日はそれで進めます!

またよろしくお願い致します!
※最新刊の情報が一行だけ出ますが、ネタバレにはならないと思います!気にされる方はご注意ください!


登校初日編②:一人目との接触

夕焼けの光がカーテン越しに保健室を淡く照らす。外出中と誤魔化す為に薄暗くなった保健室には、身悶えする生徒と息を荒げながら胸元に手を伸ばす教師の二人。

―――どう見ても事案です。本当にありがとうございました。

 

 

最初こそたどたどしかったが一度コツを掴めば養護教諭。BGM(あ〇ぎごえ)を意識して聞こえない振りをしてテキパキと処置を終える。今度のは口を抑えてある為、声は押し殺しているがそれでも目の前でされると全然隠せていない喘ぎに理性を削られる。生徒と教師、女性同士という2つの障壁も既にボロボロで陥落寸前だった。

天国と地獄の時間の後、二度目のSANチェック(さ〇にゅう)のお願いをした後の保健室。スッキリした表情の撫子と、肩で息をする星乃宮。

まるで先ほどの撫子と同じような顔色に、心配そうにするも「だだだ大丈夫、大丈夫だから!本当に!撫子ちゃんもそろそろ服を着ないとホラ!下校時刻だから!ね!ね!?」

…と、教師の勧めもあり服装を整える。

―――ちなみにまだ完全下校までは1時間以上ある気がするが、今日入学した撫子は知る由もない。

 

 

「では失礼します星之宮先生、ありがとうございました」

 

「はぁ…はぁ…ぁ…うん、オツカレ…サマデシタ…」

 

 

保健室を後にする際もきちんとした礼をする撫子に、まだ荒い呼吸と熱が残る表情で見送る星之宮。

その手には治療に使った機器があるが、またこの場で処置に使うかもしれないと(なぜか熱心に)説得された為、()()の処分も含め保管をお願いしたのだ。

丁度()()()()()苦しかった体調を整えてくれた上に、生徒の事を熱心に心配してくれる教師に再び学校の(教職員への)評価が鰻登りな撫子。正直めちゃめちゃチョロい子である。

 

 

―――彼女が去った後の保健室では、処分する()()を凝視し生唾を飲む教師がいたとかいなかったとか…。

 

 

夕焼けの廊下を一人で進む撫子。

初日の放課後で、生徒はほとんどが遊びに行ったのかシン…としている校舎内。ハイスペックな聴力のせいで近くに誰も来ていない事が解ってしまい、気持ちしょんぼりしながら校内を巡り歩いている。

 

校内を回っている理由は、確認の為だった。朝の質問のやり取りや天井のカメラ、教師の方の態度や、クラス毎の雰囲気の違い。

(危機感がお菓子を貰った子供以下なこと以外)ハイスペックな撫子は、この学校は生徒へ何かをテストしているのでは無いかと疑問を持った。しかし、坂柳(せいと)真嶋(きょうし)のやり取りから察するに、抜き打ちテストのように内緒で進行している見当をつけていた。早すぎィ!

 

新しいクラスメイトと仲良くする方法はなにか。―――ズバリ、共通の話題を持つ事!突然、話したことのない人と話が出来るかどうかで、コミュニケーション能力の強弱が分かる。

もちろんこの撫子、面接や試験の結果Aクラスに配属される社会貢献度から、コミュニケーション能力は問題ない。ただそれは周りから見た場合に限る!!

 

なんと撫子は誰かと話す際、ハイスペックな脳内で一瞬の間に会話ロープレを行い、最低十から数十パターンの会話を重ねた上で返事を取捨選択している!才能の無駄遣い!

勿論、話している最中も相手の目の動き、声の強弱からこちらへの好感度や距離感なども図った上での理想的な会話を出来るように(パーフェクトコミュニケーション)している。

 

元々、厳しい躾や教育の一環で会話術や友好関係を持つ為の手管も後付けで学んだ撫子。ぶっちゃけ彼女から何も考えずに声をかければ最高の容姿&コミュ力で友達100人など3日で達成できるだけのノウハウと能力は問題なくある。

 

ただ、それはそれとして才能に胡坐をかかず、努力を欠かさない撫子は模範生の鑑。

なので今もこうしてクラスメイトが遊んでいる放課後も、皆の為になる活動を進んで行っていく。

 

監視カメラの位置、各教室の場所、無人でも鍵がかかっているのか、廊下の距離、移動時間、トイレの個室の数、机の消耗具合、備品のロッカーの中身、etc、etc…。完全記憶出来る為、メモなどを取らず手当たり次第に探索を進める彼女。

 

―――後日、生徒の採点チェックをする職員は生徒の素行チェックの為、カメラチェックすると絶対に気付いている様に微笑み+お辞儀をする撫子を見ることになり「ふぁ!?」と驚愕の声を上げることになる。

 

そこそこの収穫があった為、ルンルン気分で帰ろうと進む撫子だったが、前方の階段から降りてくる足音を聞き留め足を止める。丁度こちらに曲がってきた男子生徒は、人がいるとは思っておらず、ぶつかりそうになる所を慌てて身を引く。

 

残念…!ラッキース〇ベチャンス…、失敗…!

 

 

「お…っと…!す、すまない…失礼した…!」

 

「いいえ、こちらこそ失礼しまし…あら?隆二君ですか?お久しぶりです」

 

「…初対面、だと、思うが。その通りだ。俺を知っているのか?」

 

 

他クラスの生徒にも(ある意味で)有名な撫子から名前で呼ばれた男子生徒、神崎隆二は首を傾げる。…お辞儀される際にこちらに強調される()()に目がいくものの、顔を上げた時にはしっかりアイキャッチをしてる。流石は今月にも作成されるイケメンランキング上位の貫禄である。

 

これには撫子の好感度も上方修正。その後、親の都合で出席したパーティ。神崎エンジニアの社長にも父と一緒に挨拶をした時の事を伝え、自分が旧華族の人間であることと、名字も告げると神崎も驚きと共に納得を返す。

 

 

「ありがとう。…それにしてもよく覚えていてくれたな…10年近く前に、それも1度、パーティの間だけの短い時間だったのに」

 

「昔から、記憶力はいい方なんです。隆二君の事はずっと覚えていましたよ♪」

※完全記憶持ちです。

 

「そ…そうか、すまない…俺は君の事を…」

 

 

ウィンクをしながら、少し自慢げな笑みを浮かべる撫子に対して、罪悪感を感じてしまう神崎。申し訳なさそうな声色にフォローを入れ、「名前で呼ぶのは馴れ馴れしかったでしょうか…?」と寂しげに聞けば、慌てて返事を返す。

 

 

「いや!そんなことは無い。…好きに、呼んでもらって構わない」

 

「ありがとうございます。では、私の事も撫子と呼んで下さい!」

 

「…いや、それは…い、いや!何でもない。…撫子」

 

 

断られそうになりしゅん…とした顔の直後、ぱあぁ…と擬音が付きそうな、花の咲くような笑顔で手を取って「はい!」と返事をする危機感/Zeroな撫子。

初めての友人が出来て、しかもそれが旧知の仲でもあり喜びも2倍だ。

 

神崎も、淡い思い出として件のパーティの日の事は覚えていた。小さかった頃の自分の手を握って、ついてきてくれた女の子が居たことを。ただその彼女と会うことは今日までなく、胸に仕舞われていた大切なものだった。…初恋、だったのかもしれない。背が伸びたこと、昔はやんちゃだった、等々そんな昔話に花を咲かせていると、高校生になったからか名前呼びに気恥ずかしさを感じてしまう。(ただし、撫子はまったく気にしていない)

その後、数分間の交渉の末、憧れの彼女に周囲に人がいるときは苗字で呼び合うことを約束させる神崎。彼の日常はなんとか保たれた。…多分、しばらくは。

 

 

「それで、撫子は何故校舎に残っていたんだ?」

 

「私は保健室に用事があって…さっきまで校舎を見て回っていたの。隆二君は?」

 

「俺は…いや、それより保健室…?大丈夫なのか?」

 

「はい、星之宮先生に良くしてもらって、もう大丈夫です」

 

「そうか。それは良かった。…俺たちのクラスの担任なんだが、正直初見では少し頼りになりそうには見えなくてな。…しっかり養護教諭として仕事は出来たんだな…」

 

「ふふっ…それは星之宮先生に失礼ですよ…」

 

 

薄暗くなりつつある通学路を進む二人。学生寮が近くなり他の生徒の姿もちらほら見えてくる。名残惜しく感じながらも、またいつでも会えると思うと楽しみに感じる撫子。

 

自販機近くの街灯が明かりを照らすと、撫子は足を止める。どうしたのかと振り返る神崎に、畏まって向き合い真剣な表情を向ける。

 

 

「どうした?撫―――」

 

「隆二君。その…今日、突然会ったばかりでこんな事を言われて困ると思うのですが…お願い、が、ありまして…」

 

「…お願い?」

 

 

俯きながら顔を赤らめ、もじもじし始める。胸の前で掌を重ねてすりすりしてる。あざとい。

神崎も先ほどと違う様子に、真剣な表情を浮かべる。イケメンである。

 

 

「その…私と…」

 

「………」

 

「ぅぅ…わ、私と……」

 

「大丈夫だ。落ち着てゆっくりでいい」

 

 

落ち着いてというものの、当の神崎自身もかなり落ち着ていない。内心で素数を数えようとして既に5,6回失敗している。

淡い思い出の彼女が等身大で目の前にいる。落ち着いていられる訳がない。何なら再会した瞬間から内なる神崎隆二はキャラ崩壊するほど叫んでいる。

 

夕焼け、二人きり、真剣な表情。

―――どうみても、告白現場です。本当にありがとうございました。

 

 

やがて顔を上げ、覚悟を決めた目で合わせる撫子。それに向き合う真剣な神崎。

 

 

「すぅ…、私と…!私と、---お友達になって下さいませんか…!」

 

「…友達?」

 

 

キョトンとする神崎。思ったよりもお願いというほどの内容でなくオウム返しになってしまう。

「はい…!」と返す撫子。言ってしまった以上は、返事を待つのみ。

 

 

「…」ドキドキ…

 

「……」

 

「……」ソワソワ…

 

「………」

 

「………っ…!」ウル…

 

「あ、あぁ、そうか!友達だな!?…分かった、これからよろしく頼む」

 

 

思わずフリーズするが、断られると思ったのか涙目で俯いた撫子に慌てて返事を返す。握手の為の右手を差し出すと、満面の笑顔で手を取り、腕ごと引き寄せての胸元に寄せて抱きしめる。

 

本当ですか!?や、ありがとうございます、これからもよろしく云々と言われていたが、神崎は全ての返事に「ああ…」と空返事をするしかなかった。

 

 

何故なら、彼は握られた掌の柔らかさと、腕が埋まるほどの二つの山(おっ〇い)に意識の全てを持っていかれていてそれどころではなかったからだ。

 

 

その後、手を繋いでエレベーターへと上がる二人。もちろん、学生寮は男女で別フロアに分けられ、降りる階に制限を設けている。

その為、降りる階こそ違うものの、手を繋いで帰る男女がどういった風にみえるのかといえば、どう見てもカップルにしか見えない。

当然、撫子は無自覚である。(本日X回目)

 

神崎の受難の日々は始まったばかりだ…!

 




撫子「男性のお友達が出来ました!嬉しいです!」
(ニッコニコ)
神崎「柔らかかったな…(連絡先を交換するのを忘れた)…」
(本音と建て前が逆)
〇〇〇「あれって?神崎君?隣に居るのって…」
(委員長(予定)は見た…!?)

――――――――――――――――――――


第三話、お読みいただきありがとうございました。

補足ですが、撫子は演技というか相手に気に入られる、好意を持たれる見え方の教育を施されています。
つまり無自覚であざとい行動を取っていますが悪意や騙しているつもりはありません。
その上で、相手との距離を測ってどの位の反応を返すのが良いかを決定しています。
恥ずかしいとも思ってますし、緊張もしていますがポーカーフェイスで分からないようにして居たりと、
性能は最高ですが本人の精神年齢や危機感が低い為、悪用できるほど賢くないです。


次に会う個人イベントは、3年→教師→2年で進めて行こうと思います。
気長にお待ちください…。

撫子の苗字は?(実際の華族から抽出)

  • 柳生
  • 蒔田
  • 東郷
  • 相馬
  • 九条
  • 千秋
  • 西園寺
  • 上杉
  • 仙石(※この字で合ってます)
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