ようこそ(勘違い)大和撫子の学校生活へ   作:エカテリーナ

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遅れに遅れました、何も言えません…。

次のは9割出来てるので手直しして投稿します。
また読んで下さる方がいらっしゃいましたら、何卒今作をよろしくお願いいたします。


⑥:相談会と審議会

Side.西園寺 撫子

 

Cクラスを訪れた日の放課後…割と遅めの時間に呼び出しを受けて寮を出る。残念だが夕飯は別々にと帆波にメッセージを送り、約束のお店に向かう。相手からは『時間は任せる』とあったものの、待たせすぎるのもマナー違反だ。

 

ショッピングモールには生徒の姿も多く散見され、知り合いや生徒会の方もいて所々挨拶しながら向かうと、やや遅れてしまう。急ぎ足で辿り着いたのは内装を有名デザイナーが手掛けたらしいお洒落な個室レストランだ。

※何故か呼び出されたり一緒に行くと個室な事が多いが、気にしない撫子だった。

 

カランカラン、と入口のベルが鳴りウェイターから予約を聞かれる。待ち合わせ相手の名前を告げると、丁寧に案内を受け、個室の扉を開く。

恐る恐る覗き込むと、そこには3人の生徒がいた。

 

 

「お待たせしました、龍園君…!」

 

「クク…悪いな、西園寺。急に呼び出しちまって」「撫子お姉様…!こんばんは!あぁ…!部活以外でもお会いできるなんて…!」

 

「いえいえ♪相談したいことがあればいつでも。ひよりも、こんばんは、です。…伊吹さんも、こんばんは」

 

「…あぁ」

 

 

相談してからたまに連絡を取る龍園翔、部活の仲間である椎名ひより、そしてひよりの友人である伊吹澪。この三人とは以前、一緒にカラオケで遊んだこともあり面識があった。※撫子はメイド服だった。

そして促されるままひよりの横、伊吹の正面にあたる席に座ると早速とばかりに今回の目的に触れる。

 

 

「それで…今回は…例の件、ですか?」

 

「そうだ。その相談をしたくてな。…だが、まずは飯にしよう。好きなものを頼め」

 

「いえ、そんなこ「おいおい、俺を礼儀知らずにさせる気か?良いから頼め」…はい、ありがとうございます」

 

「ありがとうございます、龍園君♪」「ゴチソウサマ」

 

「………(こいつらの分を断ったら西園寺が払うって言い出すか…)チッ、好きにしろ」

 

 

あまり断るのも悪いと感じ、素直に頷く。注文用のタブレットをひよりと一緒に操作していると、向こうでも同じように注文している。…クラスメイトとの仲が良い様でなによりだ。

 

その後、撫子は季節の野菜と旬の魚の天ぷら定食、龍園はステーキランチを。そしてひよりは和風御膳と食後のあんみつセット。伊吹はハーフビーフハンバーグ&オムライスとデザートセットを頼む。

遠慮のないクラスメイトの注文に龍園のこめかみがヒクリと動くが、タブレットの操作に集中していた撫子だけが気付かなかったのは幸いだった。

 

 

「…(龍園の奢りだからか)美味しいわね」

 

「えぇ、(撫子お姉様と一緒に食べると一層)美味しいです」

 

「………」イライラ

 

「…ふふ、二人とも美味しそうに食べますね。…たくさんの人たちと食べると、美味しく感じます♪」ニコニコ

 

 

その後、無事にデザートが来る組と食後のドリンクが届く組で分かれたが、今回メインで話すのはドリンクが来る二人だ。甘味を突いている二人を横目に、今回の目的の相談が進む。

 

 

「で、今回の件についてだが、西園寺」

 

「はい、なんでしょう」

 

「お前は今回Cクラスの味方だと聞いた。それは間違いないか?」

 

「…はい、その通りです。それに今回、私は証人としての()()()()で、状況の証言をするようにと堀北会長からも言い含められております。ご安心ください」

 

「そうか。…信じて、良いんだな?」

 

「?ええ、お任せを…。(…?)」

 

 

真剣な様子で質問…?する龍園。しかし、内容は当たり前の事というか、シンプルに言うなら「お前、味方?裏切らないよな?」という内容だ。これならメッセージで事足りる。

返事の後に、思案気な表情を浮かべる龍園に手番を回すために飲み物を頂く。チラリと隣を見ると、いつも通りの笑顔であんみつを食べるひよりと、固かった表情も解れて、甘味を楽しむ伊吹がいた。

 

 

「………西園寺」

 

「…?はい、どうしましたか?」

 

「今回の件だが、ネタバレすると()()だ。今回の事件の発端はCクラスから起こっている」

 

「茶番…ですか?」

 

「…?」「…んん゛…!、ごほ、ごほっ…!」

 

 

首を傾げる撫子とひより。ただ、龍園の隣の伊吹は咽ている。「大丈夫ですか?」というひよりの声も手で制して、どういうつもりだと怒りを込めた表情で龍園を睨んでいる。

 

 

「…お前には先に話しておこう。…もちろん、審議の日に真実は話すつもりだ。奴らの口からな。こうして呼び出してまで伝えたのは…まあ、お前には筋を通しておこうと思ったから、だな」

 

「…筋…ですか?」

 

「あぁ、お前が真剣に俺たちCクラスの味方になるっていうなら、(はらわた)も見せねえといけねえ。…聞いてくれるか」

 

「…はい、お願いいたします」

 

 

そうして聞いた内容は、成る程と納得できるものだった。バスケ部でCクラスの生徒がDクラスの生徒―――須藤健に蔑ろにされた事。そしてその関係の改善を図ろうとして、失敗してしまった事。

―――即ち、現在の審議の大黒柱である『Dクラスの生徒に呼び出されてCクラスが怪我を負った』というのは、切欠が逆だったのだ。

 

 

「―――って訳だ。まさか俺としても予想外だったのは、護衛に石崎を連れて行かせて、3対1なのに須藤が手を出すとは思わなかった。俺の失態だ」

 

「………」

 

「西園寺。別に審議を降りてもお前に非はねえ。お前は奴らに手当てをしてくれた。…クラスの連中にも()()してくれたようだしな…。それで十分だ。今回のこれは、ささやかだが俺からの詫びだと思ってくれ」

 

「龍園君…」「龍園…」

 

「………龍園君は、()()でいいのですか?」

 

「クク…俺はCクラスの王だぞ?()()()()()()()()()のは、責務だからなぁ。馬鹿な奴らだが、俺の大切な手下(ぶか)だ。困ってりゃ手を貸してやらなきゃ…誰も着いてこねえのさ」

 

「…?」

 

 

自嘲的な笑いを浮かべる龍園の姿に、撫子はその洞察力から発言にあった()についても薄っすら気付いている。

 

―――『彼は噓をついている』…そしてそれはこちらには言えず、また()()()伊吹さんの驚きから彼女も把握していない事だ。

 

更に、実際に起きた特別棟での怪我。あれが自作自演でないのはDクラスからの反論が全面否認でなく、一部否認に留まっていることから間違いない。

 

では最初に殴りかかったのがCクラスだったのか?否。それならDクラスの須藤君にも怪我があるはず。…しかし、彼は無傷だったらしい。

なら…なら?なら彼の噓は何のことだ…?深い思考の海に潜る事、数秒。常人の熟考に匹敵する思案の果てに気付いたのは、彼の発言。

 

―――『王として責任を取る』『困っていれば手を貸してやらないと』

 

つまり、龍園君は()()()()()()()()のでは?そう当たりを付けると、ひとつ、またひとつとピースが埋まっていく。

 

Cクラスが被害者だと言ったのが噓?

→:嘘ではないが、彼らを庇う為にDクラスから手を出してきたと嘘をついた?ならCクラスも一部問題があった?呼んだこと?嘘をついた上、審議(おおごと)になってしまった件?

 

これは龍園君が考えたことなのか?

→:多少は考えた?助言はしたはず。石崎君はバスケ部ではなく龍園君の友達らしい。事故?それとも…?でも今回の結果は予定外だというのは本当みたい?

 

私を呼んだのは何故?

→:私が事実誤認をしたまま、証言させない為?気遣い?なにか不都合がある?

 

 

そこまで思い浮かんで、思わず笑みが零れる。目の前で『自分はクラスのリーダーである』と張りぼての虚勢(強がり)を見せた彼に思わずいじらしさというか、4月末に会った時からの成長を感じてか、撫子は感慨深いもの感じたのだった。

 

何のことはない。―――龍園翔(かれ)は、自分のクラスメイトを守る為に行動していただけだったのだ。

※不正解

 

 

「…龍園君、心配なさらないで下さい」

 

「………」

 

「お姉様?」「………」

 

「私は、今回Cクラスの味方です。どんな事情があったにしろ、龍園君がクラスメイトの為に頑張っているのは分かります。…証人、辞めませんよ。任せて下さい♪」

 

「(…!)そうか…済まねえな、西園寺。()()()

 

 

撫子の伸ばした手を握る龍園。何か言いたげな表情のひよりと伊吹だったが、空気を読んで黙っている。

その後、穏やかなまま密会を終えた4人は店をバラバラに出る。万が一にも、密会や談合に見られない様にとの配慮だ。ありがたく言う通りにする。

※別々に帰ることを悲しんだひよりには頭を撫でること(なでなで)で納得してもらった。

 

ひとりぼっちの帰り道。ふと気が付くと月明かりに目を奪われ、思わず立ち止まって星を見上げる。雲一つない星空だが、人工的な明かりが強く広がる敷地からは随分弱弱しく見える。白鳥や鷲の一等星すら、直ぐには見当たらない。

 

 

「…何事もなく…審議を終えられるといいですね。出来れば、誰も傷つかずに終わってくれるなら…。もし、駄目だったとしても…!」

 

 

間近に迫った審議会。その先行きに不安を覚えた撫子は無意識に呟くが、声は、その憂いは、誰に届くこともなく、夏の夜に溶けるのだった。

 

―――――――――――――

 

Side.綾小路

 

いよいよ須藤の暴力事件の審議の日となった。

先日の特別棟を見に行った次の日。佐倉の事を櫛田にリークして、カメラが壊れたり家電屋に行ったり店員が不気味だったりと紆余曲折あったものの、証人として証言をして貰えることになった。

 

審議には事件の本人である須藤と弁護?する為に証人を除く2名まで同席を許可された。(これは、Cクラスの参加人数3名に合わせたものらしい)

…俺としては堀北単独。なんなら櫛田に出張って貰えればいい()()になると踏んでいたんだが、須藤の希望として堀北へ「頼む!」と言われてはそれは出来なかった。

(櫛田の()()には向かない役柄でもあるので、これはこれで良しとしよう)

 

担任の茶柱の誘導に従い、須藤、堀北、最後尾に佐倉と共に生徒会室の前に着く。…ここで、一度佐倉とは別れる。隣室の控室に証人は待機する事になっているのだ。事前に準備されていたのだろう、用紙で隣室には『1-D証人用控室。呼ぶまで待機』と張り付けてある。

 

一言二言交わして、ノックと共に生徒会室に入る。返事をされてから中に入ると、担任の茶柱と生徒会の役員が3人。そしてこちらを見ている()()()()()()を身に着けているのが相手のCクラス生徒、そしてその担任なのだろうか。

 

堀北が須藤に最終確認をしているのを尻目に、各々の態度から様子を盗み見る。

茶柱…やる気は無さそう(いつも通り)だ。相手の担任…余裕を持っているように見える。生徒会のメンバー、中央にメガネを掛けて肘をついている男子生徒、それに付き従う女子の先輩と、書記?パソコンに高速で文字を打っている先輩。

相手の(C)クラス。生徒達はかなり顔色が悪く、怪我の様子から軽傷ではあるのだろうが…。

キョロキョロとはせずに、視線だけで部屋の中の様子を伺っていると一番奥の席の先輩が立ち上がり、注目を集めた。

 

 

「時間だ。…橘、始めてくれ」

 

「はい、会長。…それでは、時間になりましたのでこれより1-C、及び1-Dクラスの審議を行います。それぞれ指定されている席について下さい」

 

 

ガタガタと移動が始まり、両担任はそれぞれの生徒側の壁の近くに。俺は『1-D 弁護』の席について先ほどの先輩をみる。…若干、隣の席の堀北の顔が強張っている様子だ。まだ審議は始まってもいないが、何故?

 

理由はその後に明かされた生徒会長の名前から判明する。『堀北学』…。まさかの堀北の兄らしい。に、しては冷静な様子で、茶々を入れられても粛々と自己紹介を進めていく。書記や議事録担当、担任や今回の審議を申請した生徒の名前や、俺たち弁護人や須藤も。

全員の確認が済むと、今回の経緯を改めて説明が為されていく。

 

 

「…では、今回の事件の経緯については、以上です。須藤君は、この中で相違…えー、間違っている所。事実と異なる所はありますか?」

 

 

そして橘先輩は事実確認の為、Cクラスの訴えの内容について須藤に確認をする。ため口にならないかとひやひやしたが、そこは俺の放課後が犠牲になっただけある。敬語を取り繕う、…真似事を習った子供くらいの敬語は出来ていた。

 

 

 

「おぉ、あ、イヤ…。…はい、相手の言っている事は、嘘です。俺の方がCクラスに呼び出されて、な…言いがかりをつけられて、喧嘩を仕掛けられて、自分の身を護る為に…あー、せい…正当防衛をしたんです」

 

 

「はい、結構です。着席して下さい。…では今度はCクラス、須藤君の説明で相違がある内容はありますか?…?」

 

「「「………」」」

 

「………?」

 

「…?どうしました、石崎君。早く言いなさい」

 

 

須藤が最終手段(カンペ)を使わずになんとか自分の言葉で言えたことを安堵していると、Cクラスの様子が可笑しい。三人ともが俯いて演技なのか真剣なのか沈痛な面持ちだ。

相手の担任も、なんなら茶柱や生徒会の面々の表情も訝しげだ。その後、痺れを切らした生徒会長が三人の名前を呼び、鋭い視線を向けるとCクラスの面々は気の毒なほど怯えていた。

 

 

「おい、いい加減にしろ。今回はお前たちの申し出あっての審議とはいえ、この場に集まった教師の方々や生徒会、そして相手のクラスの時間は有限だ。それを無為に消化する行為は認められない。異論がないなら話を―――「「「すいませんでした!!」」」…なに?」

 

「え?」「は?」「…?」

 

 

突然、Cクラスの面々が立ち上がったかと思うと腰を九十度曲げてお辞儀をしてきた。…明らかに、謝罪と思われる発言と共に、だ。

ポカン…と生徒会室に沈黙が広がる。各々の口から漏れ出たのも、仕方ない程のインパクトがあった。事実、担任の坂上先生などは「どうしたというのですか…!?石崎君、落ち着きなさい…!」と貴方が落ち着いた方が良いのでは?くらいの狼狽を見せていた。

 

その後、担任や書記の橘?先輩が促すとなんとか頭を上げて席につくCクラス三人。生徒会長が改めで事情を聴くと消え入るような声で石崎が話し始めた。

 

 

「実は、今回の審議の件で俺たちは嘘をついていました…」

 

「………噓だと。どういうことだ」

 

「…!」「どうなってんだ…!?」

 

「……(まさか…)」

 

 

その場にいる全員が固唾を呑んで見守っていると、石崎は再び一人立ち上がり、生徒会長に向かって頭を下げて声を上げた。

 

 

「本当は…俺たちが須藤君を特別棟に呼び出したんです…!!」

 

「つまり、虚偽の報告をしたことを認めると…」

 

「…ふむ」「………!?」ざわざわ…

 

「な、なにを言っているんです…!まさか、誰かに脅されているのですか…!?」

 

「は―――はは!な!ほら見ろよ!堀北!綾小路!俺の言った通りだったろ!やっぱりこいつらが俺を呼び出して、俺をハメたんだぜ!!」

 

 

彼らの担任の慌てる声と、隣で須藤が立ち上がり相手を指さして呵呵大笑する。橘先輩の「静粛に!」という声も届かないほどその場は一瞬カオスとなっていた。

 

 

「石崎、審議の場でそれを伝えた理由を聞きたい。非を認めるのであればもっと早いタイミングでも良かったはずだが…」

 

「…それは、…順番に説明して良いですか?」

 

「構わない。…おい、Dクラス、それに先生方も、お静かに願います。…須藤、お前もそろそろ黙って話を聞く様に。これ以上、進行の妨害をするなら別に罰則も用意せざるを得ないぞ」

 

「…!分かりました。…須藤君、ひとまず座って」「お、おぅ…分かったぜ」

 

「…(生徒会長の言う通りだ。もし目的が審議の中止なら事前に言えば良いだけ。…この場に関係者が集まるのが目的だった…?何故…?)」

 

 

その後、代表してなのか石崎というCクラス生徒からは今回の件のあらましが語られる。

・バスケ部の二人から、Dクラスの須藤という生徒に馬鹿にされていることを相談された事。

・最初は自分たちだけで行こうとしていたが、不安になって喧嘩に自信がある自分がついて行こうと提案したこと。

・そして、特別棟に呼び出して須藤と口論になった事。

 

 

シン…とした生徒会室に石崎が告解のような沈んだ声で続けると、そこまで聞いた時点で生徒会長は須藤に向かって口を開く。

 

 

「石崎、一度待て。…Dクラス、須藤。()()()()()()()で相違はあるか?」

 

「いや、ねぇ…ゴホッ!…ない、です」

 

「分かった。…石崎続けろ」

 

 

何故、話を区切ったのかと一部の生徒(+教師)は首を傾げたがその後の石崎の話でその意味が分かることになった。…そして、恐れていた可能性が飛躍的に高まったことも、俺は理解する。

 

 

「その後、俺たちの事を気に入らなかかったのか()()()()()()()()()()()()()()()()()、俺たちは怪我をしたんです…」

 

「…なっ…!」「…!」「(やはりか…)」

 

「…つまり、お前たちの先ほどの謝罪は事件の全面否定ではなく、()()の否認。経緯に虚偽の報告があったことを認める為のものだったと。…そういうことだな?」

 

「…はい、そうです。…こっちから声をかけて、でも逆にやり返されるなんて恥ずかしくて見栄を張ってました。申し訳ないです。すいませんでした…!」

 

「「すいませんでした!」」

 

「ふむ…」

 

 

そういって思案気に口を閉じる生徒会長だが、逆に口を開く存在が居た。今回のもう一人の主役…須藤健だ。堀北に指導して貰った態度を忘れるほどに激昂して、顔を真っ赤にして立ち上がりCクラスの面々に吠え掛かる。

 

 

「テメェらなにを言ってやがる!最初に手を出してきたのはテメェらじゃねえか!!」

 

「須藤君!」「…」

 

「違います。…僕たちは話をしようとしてたのに須藤君から殴りか「嘘をつくんじゃねえ!!」っ…!」

 

 

机に握り拳を叩きつけ、音を立てて怒りを向ける須藤。ここにきて、理解が及んだ堀北の顔色は悪く、相手の担任は笑みすら浮かんでいる。

人は、最初から駄目だった時よりも期待した後に裏切られる方が非常に深いダメージを負う。今回は、『もしかして相手が非を認めるんじゃ?』『俺は間違っていなかった?』そういった期待が裏切られ、短気な須藤は怒りを爆発させてしまっている。

 

これがCクラスの元々の作戦だったのなら、非常に有効な一手だ。より現実感(リアルさ)を出すために、担任教師にすら謀っていたのだろう。

暫く怒りを発散させた須藤だが、生徒会長から咎める声が刺さり、周囲の視線に負けてか舌打ちをして席に着く。そうしてようやく、堀北からの声にようやく耳を傾けてくれた。

 

 

「落ち着いて…!…別にやることが変わる訳じゃない、あなたの無実は、これから証明するのよ…!」

 

「でもよ!…、分かった、黙って聞いてる。…頼んだぜ…

 

えぇ…すいません、続けて下さい。こちらの反論は、最後に纏めて行います」

 

「…いいだろう、Cクラス。続けろ」

 

「はい…。その後、須藤くんに殴られた二人を庇おうとしましたが須藤くんの方が圧倒的に強くて一方的にやられてしまいました。その後、彼が立ち去った後に西園寺さんが来て手当てをしてくれました。…俺が()()()()()()()()()()()()()()も来てくれて、後は、先生たちに運ばれて保健室に」

 

「…西園寺にあってからの出来事や、誰が立ち会ったかは把握している。割愛して結構だ。…以上だな?」

 

「はい」「「はい…」」

 

 

そこまで確認した後、書記や議事録係の役員に目配せをして今度はDクラスへと鋭い視線を向ける。

…俺はこの後の流れを予感し、内心、佐倉に謝罪を送るのだった。

 

 

「Dクラスからは最初の橘の話を除いて、…つまり今の3人の話を聞いて修正する、誤りがあった部分はあるか?」

 

「それは…須藤君、相手から殴りかかってきた。間違いないわね?」

 

「お…おう。で、俺はそれを止めたり、避けたりして…」

 

「反撃した、と…」

 

「いや、普通殴りかかられたら反撃するだろ!?しかも、相手は3人なんだぜ?手を抜いたらこっちがやられる!何べんも言ったが正当防衛だぜ!?」

 

 

須藤としても顔色が悪い。本人も納得はしてなくとも旗色が悪いことには気がついているのだろう。殴ってしまったのは()()()だと。そして、自分が無傷であるのが、更に不味い事態を招いていると。

 

 

まとめると、Cクラスが元々の予定だったのかどうかはさておき、Dクラスへ奇襲攻撃をしてきた形だ。

正面から、10:0での被害者面ではなく過ちを認めての心象を良くして、その上で被害者であると主張をしてきた。

…俺たちには有効な手だ。正直、こちらの突破口は状況の不審な点を突き、佐倉の発言で矛盾を暴くつもりだった。

それがこの一手で、おおよそ難しくなった。Cクラスが非を認め、一歩引く事でこちらはたたらを踏む構図。何とか時間を稼ぐ手段を考えていると生徒会長が口を開く。

 

 

「Dクラスからは以上か?…では、次に証人を呼んでの質疑応答を行う。先にCクラスの証人から呼ぼうと思うが、問題ないか?」

 

「ありません」

 

「…っ、此方の証人を先に呼ばない理由を伺ってもよろしいですか?」

 

「…理由は、()()の証言は俺たち生徒会や教師の認めるところであり、この審議がどう言った結果になろうと発言の内容が変わることは無いと考えられるからだ」

 

「…分かりました」

 

 

力無く頷く堀北。だが、仕方ないとはいえここで先にCクラスの証人を呼ばれるのは痛い。こちらの佐倉はDクラス。相手は間違いなくAクラスの()()が出てくる。

彼女の発言如何で押し切られてしまう可能性がある。隙間時間になんとか対策を考えようとするが、無情にも橘先輩につれられて生徒会に証人が訪れてしまう。

 

いつかの様に丁寧に、伸びた背筋、歩に合わせて黒髪が靡くその姿に生徒会室の全員の視線が集中する。

教師、上級生、そして同級生。恐らく今年の入学した生徒の中で最も注目を集める存在。

 

 

「―――失礼致します。1-A、西園寺撫子です。皆様、本日はよろしくお願い致します」

 

 

俺達の。…いや、この場の一年生全員にとっての最強の敵。Aクラス、西園寺撫子が、いつもとは違う…凛とした表情で俺達にその顔を向けていた。

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

龍園「クラスメイトは…俺が守る!」

※撫子視点

 

撫子「龍園君…!」キラキラ…

 

―――

 

ひより「…(あんみつ、美味しい…お姉様にあーんしたら…キャッ//)」モグモグ

 

龍園「……(どうだ…!…信じたか…!?)」

※内心ビクビク

 

伊吹「…(何この茶番)」モグモグ

 

―――――――――――――――――――――――

 

石崎「うっそでーす!(笑)」

 

須藤「野郎ぶっ殺してやる!」

 

堀北「(お姉様…お姉様どこ…?…ここ?)」

 

撫子「…」キリッ

※視線を集めすぎて内心ドキドキ。いつもの(ポーカーフェイス)

 

綾小路「\(^o^)/」

 

佐倉:待機中

 

 

兄北「(…頑張れ…鈴音…!)」

 

 




次は明日の午前中には投稿できると思います、よろしくお願いいたします。
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