ようこそ(勘違い)大和撫子の学校生活へ 作:エカテリーナ
昨日の夜にもう一話アップしているので、 まだの方はそちらからお願いします。
橘先輩に呼ばれた生徒会室で、事件当日の証言をする。今回、中立の立場での発言を求められているものの、心情的には
そういった意図…私心を見抜いているのか、いつもよりも気持ち冷たく感じる堀北会長の声色に背筋を伸ばす。こういった場で求められるのは自信を持つ事。そして率直な思いの丈を告げる事。その2つを意識して、証言を終える。
「―――以上が、私がCクラスの生徒、3名を応急処置した際の状況説明となります」
「…よく分かった。では、Dクラスから何か質問は?」
「はい」
ガタリと席を立つDクラスの生徒…堀北鈴音さん。生徒会長の妹にして、恐らく
彼女は鋭い姿勢でこちらに視線を向けて状況の確認をしようと発言する。
「西園寺さんは特別棟で偶然、怪我をしているCクラスの生徒達を手当てしたと言っていました。…何故、特別棟に居たのですか?」
「生徒会の業務です。各教室の備品の確認をしておりました。…生徒会の活動報告書にも記載してあります」チラッ
「…事実だ」
「…分かりました。…では続けて―――」
証人としての証言の始まりから終わりまで、状況の確認をされるがしっかりと説明し、時に証拠となる記録や活動の報告を生徒会資料から提示する。
怪我の診断については、説明内容の補填のためにCクラスの方たちに診断書の提出を促すと、(室内が何故かざわついたが)無事受理された。
その後も3つ、4つと質問に返事をすると堀北さんも目を伏せて「以上です」と堀北会長に返事をして、着席する。
…これで、私のやる事は殆ど終わりだ。発言についても特に矛盾や咎められることは無かったので、Cクラスの生徒達の顔色も明るい。それに気付かれない様にホッと息を吐き堀北会長に視線を向けると、目が合う。
この後は挨拶をして、退室するだけだが…。出来れば伝えたいことがある。ジッと目を向けていると会長も同じように小さくため息を吐いて、此方に水を向けてくれる。…やはり、会長は優しい。
「西園寺。他になければ退室して貰って構わない」
「…では、最後に一つだけよろしいでしょうか?」
「…許可する」
「Dクラスの皆様。…それに、Cクラスの皆様も。どうか、聞いて下さい」
そういって順繰りに関係者各位と目線を合わせていく。今回、否。いままでも、これからも私が望んでいるのは健全で、公正で、公平な競い合いだ。いがみ合う事も、好きになれない人もいるだろう。それでも、認め合う事は出来るはずなのだ。
「―――今回の審議の結末がどんなものであれ、暴力は何も生みません。…この様な事件が、再び起こらない事を、私は願っています」
「…はい」
「いや、だがこいつ等が…「仮に…!貴方の言う通りCクラスが発端だったのだと…そうだったとしても!」…っ」
思わず声を荒げてしまう。…なんとか落ち着こうと、深呼吸をして息を整える。意識して、中立としての発言を心がける。
一方に寄り添う発言は生徒会役員としても、個人としてもして良いものではない。それにこれ以上の失態は、堀北会長から退室を命じられてしまう。それは困る。私はまだ、伝えきれていないのだから。
こちらを注目する全ての人に、少しでも、心に届く様に言葉を重ねる。
「失礼しました。…須藤君と、呼んでもよろしいでしょうか?」
「お、おぅ…」
「須藤君の言う通り、Cクラスの方々が発端で今事件が起こってしまった。須藤くんは本当は被害者だった、そうだったとしても、暴力は。…暴力だけでは、ダメなんです」
「…」
「…須藤君は、バスケで高い実力があるのですよね?」
「…それが何だよ」
Cクラスの生徒達が須藤君を呼んだのは知っている。そもそも、須藤君の実力が強かったから彼らは関係の回復を目論んで、そして、
どういう経緯なのか、誰の命令なのかはもはや重要ではない。
「今回の事件が起きてしまった理由は、バスケ部での諍いが原因と聞きました」
「あぁ…。あいつらが、部活で弱ぇから、嫉妬して絡んで来てんだ。…それで、俺は殴り掛かられて、それでも暴力はダメっていうのかよ」
「…Cクラスの人たちも、きっと須藤君の実力は認めているんです」
「…は?いや、ありえねえだろ」
「「「…(え?)」」」キョトン
不思議そうな表情で否定する須藤君と、図星を突かれたのか、リアクションが取れないでいるCクラス。心を暴くようで気が引けるが、このままお互いに溝を作るのはあまりに不幸だ。お節介な自覚はあるが須藤君に事件の切欠を説く。
「そうでなければ、他のクラスの人なんですよ?放っておけば良い筈です。…それに、彼らは言ってましたよ?
「あ…」
ハッとする須藤君を諭す様に言葉を続ける。スポーツでも、暴力はルールでしてはいけない事。認められる実力のある選手が、暴力を振るっては試合に出れなくなってしまう事。
…貴方の活躍をこれから見るチームメイトや、クラスメイト。そして後輩が出来たら、素敵な先輩としての後ろ姿を見せてあげて欲しいと。
最終的には、須藤君からも「分かった!もう分かったって…!」と強めに反論され、堀北会長からも落ち着く様に指摘される。…若干、熱が入ってしまった自覚があった為、恥ずかしくなりながら「い、以上です。失礼致します…」と言い、生徒会室を退出する。
―――
廊下で籠った熱を冷ます様に、偶然持っていた扇子でパタパタと扇ぐ。少しするとDクラスの証人を呼ぶ為に出てきた橘先輩に「お疲れ様でした」と声をかけられる。
それに返事を返し、折角なのでと一緒に待合室に入る事に。
室内にはメガネを掛けた女子生徒がビクリと肩を揺らしてこちらを見つめている。
橘先輩が呼ぶと、Dクラス生徒―――佐倉愛理さんが速足で廊下に出るが、橘先輩にも、私にも目線が合わない。恥ずかしがりやなのだろうか…?
「それでは、佐倉…さん。証人として呼ばれていますので、生徒会室で証言をお願いします」
「は、はい…!」
「…!(緊張しているのかしら…?)…佐倉さん」
「え…な、なんです、か?」「撫子さん…?」
「…少しだけ、落ち着ける、おまじない、です…」ギュッ…
「ふぇぇ…!?」ジタバタ
身動ぎをする彼女を落ち着かせるために抱き着いて、頭を撫でる。…この学校で、もはや慣れた手付きで行える相手を落ち着ける秘儀だ。
…内心、不安だったが1,2分後には深呼吸を自発的にしている佐倉さんの姿がある。立場上、敵対関係とはいえこういった場面で放置して帰るほど冷たくはなれない。
部屋に入った時の様子…不安げな…、
「もう、大丈夫かしら?」
「はい…。あ、あの…私」
「佐倉さん、よね?私は西園寺撫子…。証言、頑張ってきて下さいね」
「え?え…?…で、でも…西園寺さんはAクラス…今回はCクラスの味方なんじゃ…」
「私は今回、Cクラスの味方…なのかもしれません。でも、それと佐倉さんを気遣わないのは別問題です」
「あっ…」
不安気におどおどとしている佐倉さんに、肩に手を置いて安心させるように微笑む。
しっかりと目を合わせると、今度は逸らされない。…もう大丈夫だろう。
「私は、佐倉さんを尊敬しますよ♪不安に感じていても、クラスの為に戦える佐倉さんのこと」
「……!西園寺、さん…」
「佐倉さんは、自信を持って良いんです」
「自信…」
「はい♪私の話を聴きなさい!…って、強気で「ん゛ん゛…!」…ぁ…と、とにかく、頑張って下さいね…!」
「は、はい…//」
最後に両手で彼女の手を包んであげると、緊張もほぐれた様だ。
咳払いして、移動を促す橘先輩に二人して謝罪をするも、その間の雰囲気は朗らかだった。
佐倉さんの、「失礼します…!」という声を背に、私はその場を後にする。
願わくば、誰も傷つかない結論を。もし、叶わないなら…。せめて、誰もが納得を出来る結論が出ることを祈って。
―――2日後、審議の結果を聞いて、撫子は胸を撫で下ろすのだった。
――――――
※後日の生徒会室
「へぇ…これが証拠で提出された写真ですか」
「この娘ってどこかで…」「あ、グラビアアイドルの雫…?」
審議が終わったとはいえ、生徒会の仕事が無くなるわけではない。後処理のために集まった役員たちは証拠や諸々の書類を捌いていく。
その中に、証言者である佐倉の撮影した自撮り写真を見てワイワイと盛り上がる。
上級生とはいえ、男子高校生。こういった話題は常に盛り上がる。
女子たちの冷ややかな視線や、生徒会長からの『証拠書類は丁寧に扱い、不要か保管期間を過ぎたものは破棄する様に』…との発言で念押しをされ、話は鎮火される。
「でも、やっぱり可愛かったですね…。
「…自撮り?、写真の事…ですか?」
「あ、西園寺さん興味あるの?自撮りっていうのは…」
佐倉愛里の
どうやらカメラに一家言があるらしい。
※元々、写真部がない為に設立を当時の生徒会役員とバチバチに争いそれを切欠に堀北にスカウトされた経歴を持つ。
そんな彼女の説明に相槌を返す撫子の姿に、生徒会の反応は二分化された。
橘書紀や女子役員達の『あらあら、西園寺さんが楽しそうでなにより』のほっこり派と、
副会長を筆頭(+会長)に『西園寺の…自撮り…!?なんとしても欲しい!』なむっつり男性目線派。
「西園寺さんも今度一緒に写真を撮ろうよ!きっと楽しいよ〜」
「是非、ご一緒させてください。楽しみにしていますね♪」
「
「「「!」」」ざわっ…
その時、生徒会室に電流走る…!
西園寺撫子の…撮影会…!
シレッと開催が確定しそうな運びだ。無自覚な二人の話に、固唾を呑む生徒会一同。
「衣装…が必要なんですか?はい、よろしくお願い致しますね」
「そうそう、ほら、私の写真フォルダ見せてあげるよ〜」ポチポチ
「わ、凄いですね…とっても綺麗に撮れてます…!」キラキラ
「えへへ…ありがとうね、西園寺さんも綺麗に撮ってあげるね〜」
キャピキャピと撮影を楽しみにしてる二人を尻目に、生徒会では水面下の諍いが勃発しようとしていた。具体的には2,3年生徒会メンバーグループチャットにてメッセージが飛び交っていた。
『機材の用意、運搬に男手は必要だろう?』、『男目線の意見も有ればプラスになる』と参加を望む男性陣。
『露骨すぎて引きます』、『撫子さんの写真がほしいだけでしょ?』『西園寺さんの柔肌を下卑た男子共に晒されるわけにはいかない』と徹底抗戦の女性陣。
『(なんとか俺だけでも参加できないだろうか…出来れば鈴音と、件の佐倉を巻き込めば…友人に…!)』と思惑を深める生徒会長。
※おいシスコン。
そんな殺伐とした様子に気が付かない二人だが、撫子の「あ、私も自撮り写真を撮ったものがあります…!」と無邪気に端末を操作する声に諍いを中断する。
「西園寺の自撮り?見せて見せて〜」
「あ、私も見たい!」「俺も…」
「興味あるな、どこで撮ったんだ?」
「はい、その時は自撮り写真…というものは知らなかったのですが…ええと、少々お待ちを…」ポチポチ
スマホを操作する撫子の元に、俺も私もと集まる役員たち。…目立たないように生徒会長もしっかり視線を向けている。
「あ、ありました!こちらです!」
「みせてみな、って…コレ」「お。どれど…れ……」
覗き込んだ南雲副会長や、女子役員の言葉は尻窄みに消えていく。
理由は、本人が無自覚に見せてきた写真にあった。
それは、確かに自撮り写真だった。撮影場所は…自室だろうか、見覚えのある間取りの部屋に壁掛けされた制服もかかっており間違いない。
写っている対象も、撫子本人に間違いない。少し照れた様子で片手でピースを作って微笑んでおり、撮影に慣れていない不安さが見え隠れする。フレーム外に右腕が見切れていて、右手で撮影をしたのだろう。
カメラに詳しい女性役員は気付いたが、恐らくメインカメラでの撮影。…撫子はインカメラの存在を知らない為、被写体に対し斜めに映っている。
ここまでは全く問題ない。彼女の自撮りに…間違いは、ないのだが…問題はその
以前、一之瀬の理性を消し飛ばした部屋着。―――
薄い生地で素肌が透けており、その下の豊満な身体を隠しきれていない。
身を覆う花柄のフリルや、撮影の角度によりなんとか
実用性も
ズバリ、セウト。ギリのギリギリ、ケンゼンな自撮り写真だった。
童〇どころか、不能の男性でなければ前屈みになるのが必至の格好だ。
これには生徒会室も騒然となる。
「きゃ//」「…お、男どもは見るな!!」ビシッ!
「うぉ、痛っ!」
「エッッッッッッッッ…!//」ブッ
「いつまで見てるんですか!副会長!!」バキッ
「ぐぉっ…!」ガッシャーン
「ちょ、西園寺さん!」「消して消して!」
「(あとで送って貰えないだろうか…)…何があった?」「か、会長」
「え?…あの?」オロオロ
※この後めちゃめちゃ撫子を叱った。また、事情を聴いた生徒会役員たちの星之宮先生の評価が爆下がり(or爆上がり)した。
―――
撫子「…(カイチョーカイチョー!)」チラッチラッ
兄北「…(なんだ…?まだこれ以上あるのか…!?鈴音…頑張れ鈴音…!)」ジッ…
妹北「…!(兄さんとお姉様…目と目で…通じ合ってる…!?)」
須藤「え?」
Cクラス「え?(素)」
綾小路「…(どうするか…)」
※室内で1番シリアス中。
佐倉「西園寺さん…」トゥンク…
――――
橘「撫子さん!誰に…誰に送ったんですか!?」
撫子「え?あの…星之宮先生に買ってもらったので…着たところをと…」オロオロ
南雲「マジかよ星之宮先生…(グッジョブ!)」
兄北「…(鈴音にはまだ早い…いや…しかし西園寺が…うぅむ…)」モンモン
――――
星之宮「っ!なにか寒気が…」ブルブル
茶柱「…(日頃の行いだろう)」
次はまだ1割くらい…。なる早で上げます。
また感想、評価お願いいたします。
よろしくお願いいたします。