ようこそ(勘違い)大和撫子の学校生活へ   作:エカテリーナ

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皆様、前回のアンケートのご回答、誠にありがとうございました。
皆様のおかげで、そのまま作品を続ける決心がつきました。

つきましては、いよいよ今回から無人島試験がスタートします。
テンポよく行く為に、他のクラス目線は少なめになると思いますが、何卒ご理解よろしくお願いいたします。
もしもどうしても他クラス目線などがあった方が!等ありましたが、別途用意を考えようと思います。
よろしくお願いいたします。



特別試験編~無人島試験~
①:試験の始まり。


―――△―――

 

青い空、そして、青い海。突き刺すような強い陽射しも海面にキラキラと輝きを届け、潮風と共に船上の乗客たちを盛大に歓迎する。上がる歓声に、上がるテンション。そして駆け回る生徒たち。

最高の夏休みを、彼らは迎えていた。

 

 

「うぉぉ~!!海だ~~!!」「やべぇ!船の上にプールがあるぞ!」「初めてみた…!」

 

「おい!飯に行くぞ!肉だ肉!!」「おう!」「おい、ズリぃぞ、俺も!」

 

「すごい…綺麗…!」「豪華すぎでしょ…!この学校に入れて良かったぁ~!!」

 

 

場所は豪華客船。船上にプールやお洒落なバー、船内にはスパやトレーニング施設にシアター等、様々な贅を尽くした施設が存在している。

無論、全て無料で使える為、この時ばかりはほとんどの生徒はクラスの壁を忘れ、年相応の少年少女へと戻っていた。

 

太平洋を進むこの客船は、東京湾より学校関係者を乗せて目的の無人島へと航行をしている。天気は晴れ。各々、到着までの時間を思い思いの過ごし方で楽しんでいる。

 

 

「撫子!愛理ちゃんも、早く早く!」

 

「きゃっ…帆波、あまり慌てると危ないですよ」

 

「あ…(察し)…私カメラを取ってくるので先に向かっていて下さい」

 

「(…!)分かった!また後でね!」

 

「あ、愛理さん、甲板に居ますので、また…!」

 

「…はい、ごゆっくり~」

 

 

それぞれ私服や水着に着替え、思い思いの友達と船内を満喫する。クラスの、または部活の友達と駆けだして食事をしたり、シアターや遊戯場などへ向かい大いにはしゃぎ、そして大いに楽しんでいた。

 

―――そのアナウンスが、流れるその時までは。

 

 

――ザザ、―ピンポンパンポーン…♪

 

『生徒の皆様にお知らせします。お時間がありましたら、ぜひデッキにお集まりください。間もなく島が見えて参ります。暫くの間、非常に意義のある景色をご覧頂けるでしょう』

 

 

勘のいい生徒は。あるいは、運のいい生徒は船のデッキで無人島を中心にぐるりと一周。少しだけゆるりとした速度で巡行する船の上から目にする。それぞれが、1週間滞在するその島の景色を。

強弱はあれど、()()()()()()()()()()を、各々がその目に焼き付けるのだった。

 

 

―――◇―――

 

 

楽しい時間は過ぎるのが早い。この学校に来て、改めて実感したことだ。動く船の上で、手を繋ぎながら目を輝かせる帆波を見て、真実を伝えようか迷ってしまう。

 

 

「………綺麗な島だね…。……?撫子?」

 

「………帆波、………」

 

 

こちらを心配しているような眼差しを向けてくれる親友(ほなみ)に、首を振ってなんでもないと意思表示をする。それにクスクスと微笑んでくれるが、喉に(つか)えたような痛みは消えてくれなかった。

 

 

「…?なあに?変な撫子。どうしたの?」

 

「…………いいえ、何でもありません。お互い、()()()()()()()

 

「…!それってどうい『これより、当学校が所有する孤島に上陸いたします。生徒達は30分後―――』っ、着いたのかな…?」

 

オーイ、サイオンジサーン  イチノセイインチョー

 

 

アナウンスにより周囲から声がかかり、船内が慌ただしくなる。彼女はBクラスの大黒柱だ。こんな所で時間を奪う訳にはいかない。少しだけ後ろめたさを感じて、そっと手を放す。

 

 

「………もう、行きましょうか…」

 

「………あ…」

 

 

そのまま背中を向けてAクラスの生徒について行こうとすると、背中に、「撫子…!」と帆波の声。思わず、と振り返ると同時に衝撃と柔らかい感触にたたらを踏む。

 

 

「…っ…?、ほな、」

 

「…また後でね、撫子…!」ギュゥゥ…!

 

 

思い切り抱き着いた帆波。それを2,3歩と下がりながらもしっかり受け止めて、抱きすくめる。痛いくらい抱きしめて来る帆波の背に、恐る恐る手を回してしっかりと抱きしめる。

そのまま少しだけ帆波の体温を感じていると、耳まで赤くなっている様子に思わずクスクスと笑ってしまう。「む~」と不満げな表情の帆波を撫でて、お礼も込めて返事をする。

 

 

 

「……ええ、またね、です。帆波」ナデナデ…

 

「…ありがと、………うん、これで頑張れる!」

 

 

今度こそ、お互いに止まらない。「お待たせしました…!」とクラスメイトに駆け寄ると、あちらからも「ごめん、今行くね~!」と帆波の声が聞こえてくる。

私たちの、最初の特別試験が始まる…!

 

―――――ちなみに、当然ながら無人島を見る為にデッキにはクラス問わず多くの生徒が居た為、一部始終を見られていたのだが、二人の世界を構築していた()()()ノーダメージだった。

 

 

「ハッハッハッ…//」「ホナ×ナデ…!」

 

「ナデ×ホナ…ドコ…?無人島(ソコ)…?」

 

「オネエサマ…」「…………」パシャリ…!

 

 

※この後めちゃめちゃ流れ弾の被害者が出た。集合時間に支障が出たが、些細な事である。

 

 

・◆・

 

 

無人島への上陸の為に、自分たちの客室で荷物の準備をしていると来客を知らせるチャイムが鳴る。

同室の真澄や山村さんが手を止めているので、自分が出ることを伝え支度を続けて貰う。

 

 

「あ、西園寺さん、今少しだけお話しいいかな?」

 

「星之宮先生…?分かりました、少々お待ちください」

 

 

来たのは星之宮先生だったので、それを同室の二人に伝えて星之宮先生に着いていく。

「すぐ終わるからごめんね~」と言われ、船内を進んでいく。教職員のフロアだろうか。他には誰もいない船室に連れられる。

 

部屋の様子をキョロキョロと見ていると、背中から抱きしめられた。思わず嬌声(こえ)が漏れるが、他には誰もいない。声を抑える事よりも事情を聴くことを優先する。

 

 

「んぅ…!、星之っ…先セ…。なにを…?あぁ!!」

 

「何って…治療行為(ナニ)だよ!撫子ちゃんたら…あんな衆人環視の中で帆波ちゃんと抱き合っちゃって…!もう、()()()()()()()()()()()()んじゃないの…!?」

 

「そ、それ、んんっ!、はぁ…!あん!」

 

「ほら!声、声聞かせて…!我慢していると…体に悪いんだから…!ほら!」

 

「きゃ…!そんな…、こと…!ありませ、あぁ…!」

 

あっという間にジャージの前と、インナーの白いシャツを捲り上げられ、下着越しに胸を弄られる。

入学直後よりも頻度は()()()()()があって減ったものの、未だに星之宮先生にはお世話になっている身の上だ。

 

まだ大丈夫だと思っていても、心配してくれた先生を無下にも出来ない。

時間も余りある訳ではない。同室の二人を待たせる訳にもいかない為、身動ぎ(ていこう)を止めて相手にされるがままにする。

 

 

「あ…はぁ…!やっと素直になったね、撫子ちゃん…!」ギュウ…!

 

「あの…出来るだけ早く…、済ませて下さい…先生」

 

 

フロントホックの下着を外すと、汗ばんだ肌が外気に触れて身悶えと共に声が漏れる。それに「はぁはぁ」と声を漏らしながら、星之宮先生が両手で胸に手を置く。

 

 

「ん…!」

 

「ふふ…!じゃあ、じゃあ…!溜まっている母〇(モノ)をスッキリしてあげるからね…!」

 

「は…はい……」

 

 

その後、腰かけていたベッドで押し倒され、()を押し殺す撫子の声と何かを飲む(じゅるじゅる)音が部屋と僅かに外へ響くのだった。

 

 

※この後、めちゃめちゃ搾り取られた。顔を赤くした撫子が部屋に戻ってきて、山村は顔を赤くした。

 

 

―――〇―――

 

 

『あぁ!先生!、少し…優しく…!あん!』

 

『じゅる、…早く済ませて欲しいんでしょ…!じゃあ、もっと激しくしないと、終わんないよ…?』ジュルジュル

 

『そ、それはぁ…ふ、あぁ…!』

 

「………………なに、してんのよ…撫子…!」ギュ…

※廊下、ドアの前

 

 

―――◇―――

 

星之宮先生と別れ、身支度と息を整えてデッキに向かう。他の生徒達は既に点呼を始めている様子だったので、急ぎながら列へと合流する。

 

その後手荷物検査やスマホを預けて無人島へと上陸すると、強い日差しに思わず掌で遮るようにして目を細めてしまう。

周囲からの心配には大丈夫だと返すと、身長の高い鬼頭君が何も言わず遮蔽する様に立ってくれた。思わず、という風に感謝をするとコクリとだけ返され、周囲のクラスメイト達も笑みを浮かべていた。(※苦笑い。どう見ても誘拐犯か、ボディーガードにしか見えない。)

寡黙な彼の優しい一面を見て、クラスの雰囲気が良くなるのを感じる。

 

その後、他のクラスの生徒も上陸して(帆波や神崎君、龍園君とひよりも目が合った)、Dクラスの生徒達も揃うと、拡声器をもった担任の真嶋先生が試験の開始を告げるのだった。

 

 

「―――ではこれより、今年度最初の特別試験を開始する…!」

 

「特別…」「試験…?」

 

「クク…」「…!」

 

「(いよいよか…)」

 

 

それぞれが十人十色な反応を返す中、自分の意見を発する生徒も居た。あれはDクラスの生徒だろうか…。真嶋先生や茶柱先生に宥められたが、Dクラスの生徒は情動が鋭い生徒が多い気がする。それを傍目に、改めて試験について考察を深める。この試験、なんとしても(※私の為にも)葛城君には活躍して貰わなくてはならないのだから…!

 

 

無人島試験ルール

 

『基本ルール』

・各クラス1週間、無人島で集団生活を行う。

・テントと衛生用品などの最低限の物資は配布がある。

・ただし飲料水、食料トイレや追加のテントなどは全て試験用の特別ポイント(以降、SP)を使い購入する必要がある。

・全てのクラス300SPずつ配布される。

・試験終了後、残ったSPとこの後説明されるボーナスポイントはクラスポイントへ変換される。

 

 

真嶋先生の最後の一言で、生徒たちの間にざわめきが走りました。特に、Dクラスの喜びようは顕著で再び茶柱先生のご指摘を頂いていました。

Aクラスは残念ながら、有栖さんが不参加の為にポイントが減少スタートでしたが不満を言う生徒は居ません。

 

そうして真嶋先生の話が終わると、クラス毎に距離を取り担任の先生からマニュアルのようなものを受け取ります。離れる際に、視線を感じ振り返ると会釈をするひよりや流し目をして自信たっぷりな龍園君。覚悟を決めたような表情の、少し強張った表情の帆波と神崎君。不安げな表情を向ける櫛田さん、よく分からない(ごめんなさい…)綾小路君。

 

そんな皆さんに見える様に、しっかりとお辞儀をしてからAクラスの皆さんと共に森に入る。

ここからは、公平に競い合うライバルだ。私も、全力で行かせて貰います…!

 

 

―◆―

 

「では、お前達、頼んだぞ。決してはぐれない様に注意する事。何か見つけた際は、メモに残し無理に持ち帰ろうとはしなくていい。時間合わせ。…よし、今から2時間を目途にここに再集合してくれ」

 

「分かった」「了解だ」

 

「残った女子は、机もなく悪いが地図の写しと、真嶋先生へ貰える衛生用品について、数を相談しておいてくれ。…西川、これから作戦を詰める。軽くで良いから議事録係…書記を頼めるか?」

 

「ええ」「分かったよ、葛城君」

 

テキパキと指示を飛ばすAクラスの(今試験)リーダー、葛城君。それに応えて、多くの生徒達が行動を開始する。

 

森の中、少し開けた所で止まり、早速葛城君は男子生徒を3人組に分けて5つの班を作るとスポット探しを指示。残る葛城君と戸塚君。橋本君に鬼頭君、もう一人はえっと、町田君。

残る女子の半分には、早速購入した筆記用具とメモを駆使して地図の写しを作らせていた。後の9人、その内5人には真嶋先生から貰える衛生用品の確認や女子生徒の()()()()をケア出来るように管理を指示。

 

かなり理想的な動き出しだ。(女子のケアの方は私が助言したとはいえ)葛城君の仕切る態度は自信に溢れていて、無人島生活なんて初の私たちにも不安を感じさせない。皆の表情も試験への緊張はあっても、不安の色はそこまでなさそうだ。

そして残る女子生徒…私、真澄さん、山村さん、西川さんが残り、この8人で試験についての相談をすることに。

 

 

「では、今回の試験について相談をしたいと思う。皆、忌憚なく意見を聞かせてくれ」

 

 

そう告げる葛城君だが、周りの反応は少し芳しくない。少し挑戦的?に笑う橋本君や私の日除けをしてくれる鬼頭君はどちらかというと有栖さんと仲が良く、

女子も真澄さんは有栖友達。山村さんは寡黙な方で、西川さんは書記だ。少し気が進まないが、挙手をして視線を集める。

 

 

「では、葛城君。確認も兼ねて私からよろしいでしょうか?」

 

「西園寺。…構わない、どんなことでも、動くにあたって必要な方針になりうるからな」

 

「ありがとうございます。…皆さんも、ご存じとは思いますが確認の為に少しお付き合い下さい」

 

 

ほぼ全員が頷きを返すのを確認して、私はこの試験の()()()()()を諳んじてみる。この場所で固まった際、真嶋先生からマニュアルと同時に告げられたクラス対抗戦(追加のルール)について。

 

 

『追加ルール』

・島にはスポットと呼ばれる陣地のような場所があり、占拠したクラスのみが使用可能となる。

※占拠したクラスが許可した場合、他のクラスの人間が使用することも可能である。

・スポットは占拠するごとに1ボーナスポイント(以降、BP)が入る。

・スポットは占拠してから8時間で効力が切れる。再度占拠する必要があり、その際にもBPは入る。

・スポットの占拠にはリーダーの持つカードキーが必要となる。

・正当な理由なく、リーダーを変更する事は出来ない。

・最終日に、他クラスのリーダーを当てる権利が与えられる。当てれば、1人につき50SPが得られ、外せば50SPが失われる。

・リーダーを当てられてしまったクラスは50SPが減り、占拠時に得られるBPが0となる。

 

 

「…つまり、この試験で重要な点は3つ。1つは自分たちの拠点…スポットを早急に確保する事。これは、葛城君が既に動き出してくれています」

 

「流石です!葛城さん!」

 

「まあ、なにせ1週間もこんなとこに居るんだ。…少しでも寝起きしやすい所を探したいもんだな」

 

「2つ目は、リーダーか?」

 

 

背中側、頭上から鬼頭君の声がかかりコクリと頷きを返す。リーダーの存在無くしてはスポットの確保は叶わず、さりとてポイントを目的に乱用すればリーダーを当てられてBPは0となる。リーダーは決してバレてはならず、またその責任を全うできる人に任せるべきだ。そう皆さんに話すと、葛城君も頷きを返してくれる。

 

 

「………納得できる所だ。それで、西園寺。その二つまでは俺も考え付いた。もう一つは何だ?」

 

「はい、これはもしかしたら私の懸念が過ぎるのかもしれませんが…」

 

「構わない。なんでも言ってくれ」

 

「…そうですね、葛城君。この試験で、先の二つは試験に挑む…つまり攻めの視点で大切なものです。逆に、守勢。…守る側の視点で、最もやってはいけない事はなんだか分かりますか?」

 

「最も、してはいけない事?」「………」

 

「リーダーを当てられるとかか?」「あぁ、それもあるかも」

 

 

各々の意見が出る。…いい傾向だ。それぞれが思う事があっても、それを発言できない組織はトップダウン方式になる。…もちろんメリットはあるのだが、葛城君の目指すリーダー像としてはボトムアップ型。下からの意見をくみ取ってのリーダーを望んでいるように感じる。

周囲の意見を聞いて考え付いたのか、スッ…と閉じていた目を開けてこちらを見据える。どうやら、答えに行きついたようだ。

 

 

「………自滅か」

 

「はい」

 

 

行きついた答えを肯定すると、他のクラスメイトが少しざわつく。特に戸塚君は「どういうことですか!葛城さん!?」と食って掛かっている。

 

この試験を聞いたときに思ったことは、真嶋先生の言う試験のテーマである、『自由』について。

自由とは、定められたルールの中で行える、振舞える許容範囲の名前だ。現に私たちは300SPという好きに使える財産の使い方をああでもない、こうでもないと吟味して頭を悩ませている。

 

そもそもテントは2つ、トイレも段ボール(ありとあらゆるものが足りない中)で始まった大きな集団での共同生活だ。ストレスを感じない方が稀有だろう。それに我慢に我慢を重ねさせれば行きつくのは、集団の崩壊。…本来は仲間である私たちの決定的な自滅。

これこそが、自由とは正反対の結末だ。その懸念を葛城君の口から聞き、私はコクリと頷きを返す。

 

 

「で、でも!俺たちはAクラスなんですよ…!?1週間くらい、全然耐えられるって!…!なぁ!?」

 

「いやいや、俺たちが平気でもダウンする奴が出たらダメだろってのを言ってんだぜ?聞いてたか?」「…」

 

「なんだと!?」「止めろ!戸塚。橋本の言う事も一理ある!」

 

「……なるほどね」「………」

 

 

皆さんの議論が活発になる。意図してのこととはいえ、少しだけ気が重い。どうしたものかと見ていると葛城君が両の手をパン、と音を立てる事でその騒ぎは収束する。不安げに見ていた女子たちもホッと息を着いていてなによりだ。

 

 

「皆、落ち着け。弥彦。お前もだ。橋本も、煽るような言い方は止めろ。…少なくとも、内輪揉めで敗北などAクラスとしてあってはならない事だ。…皆も肝に銘じてくれ。この試験中、俺たちは仲間なのだと」

 

「はいはい…」「!す、すいません、葛城さん!」

 

「西園寺の懸念だが、俺も十分気をつける点だと思う。…ペナルティの件もあるからな」

 

「ええ。正直な所、テント一つ。トイレ一つで解決できる生活環境よりリタイアが出る方が被害が大きいですからね…」

 

 

『禁止事項・ペナルティ』

・体調不良や大怪我、ドクターストップなどにより参加できない生徒が出る場合、リタイアとなる。一人につきマイナス30SPが失われる。

・環境汚染はマイナス20SP。

・毎日、午前午後の8時に点呼を取り、不在の場合1人につきマイナス5SP。

・他クラスへの暴力行為、略奪行為、器物破損などを行った場合、そのクラスを失格にし対象者のプライベートポイントを全て没収とする。

 

 

その後、マニュアルを見ながら葛城君は方針について大まかにまとめて見せた。

・Aクラスはポイントの保全とスポット確保を優先して活動。

・その為に決して無理をしない様に体調管理を万全に保つ。それを改善する為にはある程度のポイントの利用も止む無しとする。

・リーダーについては明言せず、複数候補を立てて他クラスのリーダー当てをかく乱する。

 

 

その辺りの意見が纏まった頃に、探索に出ていた1つの班が戻ってきました。少し興奮気味な彼から報告を聞くと、クラス全員が入れそうな洞窟を発見。案の定スポットだったらしく、1名を置いて私たち本隊を迎えに来たらしいです。

「葛城さんの言う通りでした!」という彼に、同調して喜びを示す戸塚君。どうやら、上陸前から見当を付けていたらしくそこに直行する様に指示を出していたのだとか。

 

その後、戻ってくる探索班の為に何名か生徒をその場に残してAクラス20人弱でそのスポットへ向かう。先導する生徒が残した目印を頼りに続くと、確かに大きな洞穴というか、入口が見える。

 

思わず、「わあ!」と歓声が上がりましたが、そこに近づくにつれて歓声は鳴りを潜めることになりました。入口で腕を組んで待っている生徒が、Aクラスの生徒だけではなかったからです。

 

 

「葛城さん!」「さっきまで誰もいなかったのに…!」

 

「…杉尾はどうした?」「アイツは…中で、スポットの前に居るはずです…」

 

「…」「だれだ?あいつ」

 

「…山田アルベルト。Cクラスだ」

 

「なんだと?」「先を越されたってことか?」

 

 

鬼頭君が小声で呟くと、葛城君や橋本君が険しい顔で彼を見据えます。ハーフ特有の、日本人離れした体格に肌の色。サングラスが特徴で、以前龍園君に紹介されたことも。まだ日本語は勉強中らしく、英語での会話が主でした。(龍園君と喧嘩をしていたとは思えない程、紳士的でした)

一歩前に出て、彼に近寄ると周りからはざわりと驚く気配を感じますが、何故ここにいるかを確認する方を優先させて貰います。

 

 

『…西園寺さん』※英語

 

『ごきげんよう、山田君。ここに居るのは、龍園君の指示ですか?』※英語

 

『ボスは中だ。西園寺さんと、Aクラスの頭だけ入れろと指示を受けています』

 

『そうでしたか…暑い中、ご苦労様です』

 

『お気になさらず。役目ですので』

 

 

やはり、彼は丁寧だ。以前、スラングだろうか、訳せない事を申し訳なく伝えると綺麗な言葉を選んで使ってくれている様に感じる。それに微笑んでいると、後ろから葛城君に声をかけられ、振り返る。何故か皆さんの顔が強張っているように見えますが、気にせず山田君に断って葛城君の元へ向かう。

 

 

「…西園寺、彼はなんと?」

 

「ええと、Cクラスの龍園君の指示であそこに立っているそうです」

 

「龍園…。君の知り合いだったか」

 

「はい。中で龍園君が待っていて、私と葛城君を呼んでいるそうです」

 

「…俺を?」

 

 

コクリと頷くと、少し考えた後に「よし、行こう。皆は少しだけ待っていてくれ」と返す葛城君。彼と親しい戸塚君は少し騒いだものの、ついて行こうとすると山田君がポキポキと手の骨を鳴らした姿に慌てて身を引いた。

※以前、喧嘩を避ける為にどうしたらいいかと相談していて、龍園君に教わったらしいポーズだ。

 

中に入ると、少し薄暗いが涼しさを感じる。少し進んだところにスポットの占拠用と思われる操作盤があり、近くには二人の生徒の姿がある。

探索班の最後の1人、杉尾君と―――。

 

 

「…お前が、龍園か」

 

「そういうお前が、葛城か?ハジメマシテ、だな」

 

「ごきげんよう、龍園君」

 

「…久しぶりだな、西園寺。…おい、お前はもう消えて良いぞ。コイツ等がいりゃあ、勝手にスポットを取った取らないだにならねえのは分かんだろ?」

 

「っ…葛城さん、後は…」「ああ。杉尾、任せてくれ」

 

 

そういうとタッと洞窟の外に出ていく杉尾君。後のこの場に残るのは、葛城君と私、そして龍園君の3人だけだった。

 

 

「改めて、龍園 翔だ。Cクラスの王だ」

 

「…葛城 康平。この試験ではAクラスのリーダーを務めている」

 

「西園寺撫子と申します。今試験では、Aクラスの一員として全霊を持って挑む次第です。よろしくお願いいたします」

 

「…(なんでお前も挨拶してんだ?)」「…(知り合いじゃなかったのか?)」

 

 

何故か洞窟内に潮風が舞い込んで、ひゅぅ、と奥までよく響く音がした気がする。二人がジッとこちらを見ているので、話を進めろという事なのだろうか?とりあえず龍園君にここにいる理由を聞くことにする。

 

 

「それで、龍園君。山田君に聞きましたが、私たちだけをここに呼んだ理由はなんでしょうか?」

 

「…あぁ、簡単な話だ。葛城。それに西園寺も、か」

 

「………なんだ」「はい」

 

 

ニヤリといつもの笑顔を浮かべ、1歩、2歩とこちらに近づいてくる。それに固い声で返す葛城君を尻目に、私は龍園君から以前のお礼にと招いて貰った夕食のあの場を思い出していた。

そう、彼が隠し事をして、親し気に声をかけてくるのは、すなわち―――。

 

 

「この試験、Cクラス(俺たち)と手を組め」

 

 

―――すなわち、誰かを庇っている時だ。

※不正解

 

――――――

 

星之宮「撫子ちゃん撫子ちゃん…!」

 

撫子「先生…!激しい…」

 

?「●REC」※監視

 

――――――

 

帆波「(撫子に会いたい…)」

 

ひより「(撫子お姉様に会いたい…)」

 

櫛田「(撫子…)」

 

綾小路「(お、目が合った…)」

 

――――――

 

鬼頭「…」※ボディガード

 

橋本「~♪」※監視

 

葛城「俺たちの戦いはこれからだ!」※フラグ

 

 




皆様、読了ありがとうございました。
また随時更新して参りますのでよろしくお願いいたします。

次回をお楽しみに!
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