ようこそ(勘違い)大和撫子の学校生活へ 作:エカテリーナ
今回はほとんど動きがありませんが、次回への布石と思って下さい。
また、数字を多用したのでミスっていたら申し訳座いません。優しい目で見て頂けると幸いです。
それでは、どうぞ。
占領予定のスポット前で龍園くんが提案してきたのは、私たちAクラスとの協力の申し出でした。
その提案に眉を顰める葛城君ですが、そこはリーダー。
感情任せにいきなり拒絶することなく、内容を話すように促します。
「ククッ、噂よりも話がわかるじゃねえか、葛城。…それとも、頼りになる
「ふん…。さっさとお前の提案とやらを話したらどうなんだ?こちらはクラスメイトを待たせている。1人を好むお前には、無縁の話だろうがな…」
バチバチと火花が散っているリーダーのお二人の会話に、割り込むのも無粋と空気を読んで静かにしている。…本当は「龍園君は友達思いなんですよ!」と言いたかった。
その後、彼が話す提案を素早くメモに取り、腕を組んで考える葛城君に手渡す。
内容は下記の通り。
1.CクラスはAクラスに200ポイント相当の物資を渡す。この物資はAクラスが選択する権利を持つ。
2.CクラスはB.Dクラスのリーダーの情報を調べ、判明した場合はAクラスの生徒に教える。
3.Aクラスは試験完了後、毎月1人20,000PPをCクラスへ受け渡す。
つまり、協力というのは虚偽ではなく文字通りの意味で同調して動くということだろう。
内容を確かめる葛城君と、それに答える龍園君の会話から彼らのCクラスが所持するポイントを残すつもりはないことが分かる。
この…0ポイント作戦とでも呼ぼうか。龍園君のこの作戦は試験の放棄などではなく、クラスの和を保ち今後の結束やクラスのモチベーションを底上げするつもりなのだろう。
事前に話していた重要事項の一つだ。葛城くんも決して馬鹿にしたりはせず、得られるメリットとリスクを推し量っているようにみえる。
そうして3分程だろうか。組んでいた腕を解くと龍園君を見据えてしっかりとした口調で返事を返す。
「良いだろう、龍園。その契約を結ぼう。ただし…」
「ああ、この契約にはクラスの全員の
「…そうさせてもらおう(龍園翔…この短時間で、大胆に…そしてクラスの意思統一を。コイツは予想以上にキレる奴だ。油断できん)」
「…なら俺も契約書と立会に担任を呼んできてやるよ。…アルベルトは此処から連れて行ってやる。スポットは好きにするんだな」
「あ、あの…龍園君!」
そういって立ち去ろうとする龍園君を慌てて呼び止める。不思議そうな顔をする葛城君に視線で侘びて、彼の前に立つ。
「…なんだ?西園寺。お前はこの契約に反対なのか?」
「いいえ、そういうわけではないのですが…契約についていくつか、ええと、変更…補足を追加したいのですが構いませんか?」
「…(チッ…)条件次第だな。ま、それも後で詰めようぜ?…お前は遊びたくなったら俺達のビーチで歓迎してやるよ」
「はい、よろしくお願い致します…!」
後ろ手に手を振る龍園君を見送る。その後、探索組も合流してから全員がスポット内に入る。…事前の通り、クラス全員が入っても余裕のあるスペースが確保されていて、ここを本拠地として活動することも決定となった。
そして、少し疲れた表情のAクラスの皆に葛城くんから契約についての説明が成される。
200SP分の物資が手に入るのは小さく歓声が上がったのですが、その後のPPの件では多少非難が上がりました。
しかし、葛城君の説得。「リーダー当てとスポットによるボーナス」「坂柳の言っていた停滞≒Aクラスの独走状態は勝利に等しい」と具体的な案。それに加え、自信を持って話すと彼の友達以外の方々もおずおずと、あるいは仕方ないかと言うように合意を得ることに成功しました。
最後に「皆の同意を得られ、感謝する。ありがとう」と頭を下げた時は拍手すら上がりました。偏に、彼の人徳と信頼が生んだ結果に違いないですね…。
それはそれとして、葛城君には言わなくてはならない事がいくつかある。満足気な彼には少し悪いが、この
「葛城君、…後は、戸塚君、橋本君。…真澄さんも。契約について見直…相談をしたいのですが、少しよろしいでしょうか?」
「ん?…ああ、構わない。良いな?弥彦」「はい!」
「俺もか?」「…?私?」
「はい、こればかりは私一人では決めかねてしまいますので相談させてください。…勿論、最後に決めるのは葛城君にお願いします」
「…わかった。聞こう。…皆!、俺たちは少し相談するから、Cクラスの連中が来たら教えてくれ!」
「はい!」「分かったわ」
スポットの奥に進み、少し開けた場所で契約内容を改めて読み上げる。「何が問題なんだ?」と戸塚君が聞いてくれたので、意識して、少し硬い表情で不安を告げる。
「はい、葛城くんも把握していると思いますが、この契約には
「…罰則?」
「………(あっ…)」
「あー…なるほどな…。」「なんの罰則?」
橋本君は気付いてくれました。首を傾げる真澄さんに、この契約の落とし穴を告げる。
「…つまり、もし仮にCクラスが…そうですね、リーダーを誤って伝えて来た場合、私達はどうなりますか?」
「…もらえるはずだったポイントが貰えなくなる?でも、それだとCクラスだってーーー」
「いや、Cクラスは実質ノーダメージだ。連中、ポイントを残すつもり無いんだろ?なら、いくらマイナスになったところでだろ」
「あぁ!?そうか!俺たちはSPが減るけどあいつらは0!なんのリスクもない!」
「……(汗)」
気が付いた戸塚君や、納得した様子の真澄さん。もちろん、把握していた葛城君は動じた様子もない。
「それじゃ、契約はどうするんだ!?」
「ええと、草案で良ければ考えてあるのですが…」
「…お!流石だな」「…」
「…(ホッ…)」
そういって、先ほどの契約書の写しに書き足す形でいくつか提案する。
皆さんに見せると基本的に好意的な返事をしてくれたのでこちらも安心してそれを葛城君に渡す。
「それでは、葛城君。龍園君が来たら…」
「あぁ、任せてくれ。西園寺の案は有効に生かしてみせるとも」
「…はい…(一応、交渉の際のアドバイスとかしておいた方がいいかな…?)かつ「葛城さん!よろしくお願いしますね!!」…」
丁度、戸塚君が激励を送った為に間を外してしまったが、まあ葛城君なら大丈夫。
そう思って、橋本君や真澄さんを見ると肩をすくめるような、溜息をつくようなポーズを返される。…なにか、問題あったのでしょうか?
間もなく、Cクラスの龍園君と山田君、石崎君も居る。後は担任の坂上先生。後ろには、私たちの担任の真嶋先生がついて来てくれていた。
「クク…話は纏まったか?葛城」
「あぁ。勿論だ、龍園。だが契約について、いくつか詳細を詰める必要がある。契約を締結するのはそれをしてからだ」
「フン。…聞いてやるよ、言ってみな」
そうやって腕を組む龍園君。その両サイドの二人の表情は硬く、アウェイに居る緊張だろうか。声をかけにくい雰囲気なので、此方もペコリと礼をするに留めることにする。
…目が合ってサッと逸らされた。ちょっと悲しい。
「率直に言う。今回の契約ではお前達と物資とポイントの交換をする訳だが、ここには坂柳が居ない。お前の持ってきた契約書の文言では、彼女を含めた人数がポイントを支払うことになる。一人分の枠を削って貰おう」
「……仕方ねえか。認める」
「……西園寺」チラッ
「はい♪」カキカキ
葛城君と龍園君の合意した内容を、2枚の契約書(清書)に記載していく。それを横目に、話は次の項目に進む。
「二つ目は、リーダー当てについてだ。…龍園、お前に策はあるのか?無作為に当てに行き、失敗をすればよりダメージを負うことになるのはAクラスだ」
「クク…なんだ、初めてAクラスを仕切ってビビってんのか?案外…いや、見た目通り臆病なんだな、葛城よぉ…」
「何だと!?」「やめろ、戸塚!」
尊敬する相手を貶され、思わず飛び出そうとする戸塚君。それを止めるクラスメイト達。龍園君はそれを鼻で嗤うと、「少し離れた場所で最低限の人数で話を詰めようぜ」と提案。
両クラスの担任と、葛城君と龍園君。そして私と山田君の6名で話を詰めることになった。
上手い手だ。集団心理というのは馬鹿に出来ない。感情的な嫌悪感は、この契約を反故にする可能性があるし、さっきの挑発も計算してのものだろう。
「(…油断せずにかからないと…次の試験、私が…リーダーをすることに…!)」ドキドキ
「………この辺りでいいだろう。龍園、先の条件についてだが、こう補足したい。“CクラスはB.Dクラスのリーダーを当てる際に記入する名前をAクラスの代表契約者に教え、またCクラスは教えた後に別の名前を書かないものとする”」
「…ふん、まあいいぜ。こっちに不利になる訳じゃねえ。認め「もう一つ。もしもリーダーの情報に誤りがあった場合、そちらのクラスへのPPの支払いは無しだ」…ふざけてんのか、テメェ…!」
ザッ、と一歩前に踏み出して声を荒げる龍園君。彼視点では確かに認めにくい提案だ。何故なら…。
「この試験の結果は最終的なSPの発表のみ!そうだったよなぁ坂上…!…なら、てめぇ等がトチってリーダーを見抜かれたら、俺達の苦労も水の泡って訳だ…!そうなったら200SPはチャラにしろってのは、虫がいいにも程があるんじゃねぇのか!?」
「………お前の懸念は分かるが、お前達Cクラスは指名に失敗してもダメージは実質ない。対して、こちらは甚大な被害を被る。試験外でも有効となるポイントの提供。これを呑む以上、リスクヘッジは必要不可欠だ。」
「………チッ………」
動じずに居る葛城君に、舌打ちをしながら思案げに俯く龍園君。…葛城君がチラリとこちらを見てくるので、少しだけ頷きを返す。「ここまでは、問題はないですよ」と。
「………葛城、こちらのリーダーの情報を渡す。50SP分のプラスだ。これでテメェ等が稼ぐチンケなスポット分のBPは補填できんだろ。それでどうだ」
「むっ…成る程な。」チラッ
「(…!)」
目配せを察して、素早く指を動かす。譲歩を引き出せた。一歩前進だけど…これは。
―――仮に、今の条件で全て上手く行った場合の概算は…。
◎元々の300SP
◎スポット確保でのポイント:仮に、洞窟の1か所を日に3回で15回確保=15BS
◎リーダーの指名:全て成功=150SP
◎リーダーの情報を隠し通す:減少0SP
▲SP消費:有栖さんの不参加=30SP
▲筆記用具、雑品=5SP
仮に試験でこれを達成し、ポイントをこれ以上使わないとすると本試験で獲得するSP+BPポイントは合計430ポイント。
※Cクラスに毎月780,000PP振込。▲実質195CP分。
総計:◎235CP増。
獲得できるスポット数にもよるが、仮にこの洞窟でこれ以上スポットを増やさなくても実質235CPを得ることができる。
その上、実質でのCPの上昇幅は430CPだ。…これは大きい。
ここまでの数字を書いて葛城君に渡すと、彼の目にも喜色が浮かぶ。
ただ、額面通りに受け取っては交渉とは言えない。返事を返そうとした葛城君の袖を引き、目で待つように訴える。
…周囲の目が私に集まるのを感じて、顔に熱が集まるが手を動かすことに集中する。
―――仮に、今の条件で全て失敗した場合の概算は…。
◎元々の300SP
◎スポット確保でのポイント:仮に、洞窟の1か所を日に3回で15回確保=15BS
▲リーダーの指名:Cクラスのみ成功、B,Dを誤答する=50SP
▲リーダーの情報を3クラスに見抜かれる:減少150SP、スポットBSが0に。
▲SP消費:有栖さんの不参加=30SP
▲筆記用具、雑品=5SP
仮に試験でこれを達成し、ポイントをこれ以上使わないとすると本試験で獲得するSPは合計65ポイント。
※Cクラスに毎月780,000PP振込。※▲実質195CP分。
総計:▲130CP減。
逆のすべての結果が失敗したときの数字も書いて渡すと、少し顔が赤くなっていた顔が真剣味を帯びる。
…やはり、彼もこの無人島という非現実に少し疲れを感じているのかもしれない。
私達がフォローしてあげないと…!
「龍園、やはりこちらのリスクを考えると博打的な面が大きい。先ほどのリーダー指名の件。
"判明にはカードキーの写真等、物的な証拠を求め、判明したクラス毎に報酬を比率調整する。"
…そちらの能力を信じる為には、この譲歩が限界だな。」
「チキン野郎め…。素直に言ったらどうだ?要求下げるか報酬を上げろってな。…陰険な奴だな、続けろ」
「なんと言われようと結構だ。…CクラスからAクラスのリーダー指名をしない。そして、リーダーのカードキーを見せる旨の文言を追加してもらおう。もう一つ。ポイントの受け渡し月は、試験のSPがCPに反映されてからだ。今月の受け渡しはしない。」
「チッ!」
今度こそ大きく舌打ちをする龍園君。1つ目、2つ目は葛城君がしっかり確認して内容を詰めたのでしょう。流石です。…最後の提案は私から確認した内容。当初の契約書の文言だと、今月から即請求される可能性があったし、それを避けられなかったハズ。
龍園君には悪いけど、これは特別試験。Aクラスの一員として、出来る限りの貢献はしないと。
そうして、少し考えた後に龍園君は条件を呑む旨を返しました。契約は無事、締結の運びをみせることになったのです。
・◆・
…
……
………
…なったのですが。
「おい、撫子。ここから離れんな。お前はここで寛いでりゃいいんだよ」クク…
「撫子お姉様…!日焼け止めはお済ですか?も、もしまだでしたら私が…//」
「エ゛ん…」「(お、おい…バカ!鼻血ヤバいぞ…止めてこい…!)」ザワザワ
「………(虚無)…」ガン見
「お、おかまい…なく…」
どうして、私はCクラスの皆様と砂浜に居るのでしょう…。
葛城君…皆様、どうか頑張って下さいませ…!!
――――――
撫子「葛城君、頑張りましょうね!」
葛城「…うむ。頼りにしているぞ(めっっっちゃ助かる…!)」
戸塚「流石葛城さんです!」
橋本「あ~らら…」
真澄「………」
龍園「……(チッ、絶対コイツが入れ知恵してやがる)」
――――――
何故、撫子がビーチに居るのかは、次回!
果たして彼女は次回の試験でリーダー指名を回避できるのか!
お楽しみに!(フラグ)