ようこそ(勘違い)大和撫子の学校生活へ   作:エカテリーナ

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更新しました。
今回はちょっとBクラスが登場。

入れたいシーンが多くて切れてますが、
お楽しみに。

それではどうぞ!


⑦:リゾートビーチでの過ごし方(副題:砂浜の囚姫)

―――◇―――

 

おはようございます。西園寺撫子です。

テントの中、そしてたくさんのご学友の方々と寝所を共にするのは初めてでした。

昨日は緊張で寝付けませんでしたが、皆様で薄着になってリラックスした身形となると自然と疲れからか会話も収まり直ぐに眠気が誘ってきました。

 

今は、朝のシャワーをお借りしています。潮風や寝汗でベタついた素肌を温かい湯で流せるのは最高の贅沢だと制限されてこそ実感しました。

 

その後、バスタオルを身に纏い次の方に入浴?を勧めると皆様に少しだけ叱られました。

 

曰く、「無防備すぎる」や「男子が見ていたら」との事。…とは言うものの、プライベートは守られる様に個室のように覆われている脱衣スペースもあるので近くには女性しかいません。

…いや、私が間違っているのかも。少々はしたない恰好をしていた事を詫びて着替えると、Aクラスの点呼へ向かいます。

 

本日は昨日に引き続き山田君。…と、ひよりが一緒に来てくれました。

ハーネスではなく手を繋いで行く事になりましたが片手が塞がっていたので、あまり多くはサインは送れませんでした…。むむむ。

 

その後は特に何事もなく点呼を終えてCクラスの拠点へ。朝食の支度を手伝う事にします。

戻る頃には徐々に皆様も目を覚ましている様子。朝からお肉は重い方もいると思い、BBQ用の野菜とお肉を細かくカットして焼きそばを作る事に。

幸い、主食用のパンなどもありましたのでベーコンなども焼いて軽めの朝食やサラダも作ることができました。

 

女性の皆様(山田君など一部の男子の方)もお手伝いしてくれましたので、皆様の目が覚める頃にはご用意が整って幸いです。

 

 

「…お前が作ってんのか。朝からご苦労だな、撫子」

 

「龍園君。…おはようございます…♪皆様のご協力のお陰です」

 

「…居候の分を分かっていてるじゃねえか…」

 

「いえ…。焼きそばと、パン、サラダ…どちらになさいますか?」

 

「…焼きそばを寄越せ(昨日の今日だが、こいつのこの余裕は何だ?)」

 

「はい、どうぞ♪」

 

「………」ズルズル

 

「………」ドキドキ

 

 

初めてこの様な鉄板で料理をしましたが、何も言わずに召し上がってくれたので(多分)大丈夫…ですよね?

不安に思っていると他の方々からは好意的な声も上がり、胸を撫でおろします。

 

その後はまた龍園君の号令で、皆様で無人島での水上バイクやビーチバレー?を満喫する事に。

私はと言うと、最初こそひよりや皆様に請われて水着に着替え、日焼け止めを塗って貰っていたのですが…。

 

 

『西園寺さん、ボスがお呼びです』

 

『龍園君が?分かりました、向かいましょう』

 

 

山田君に、龍園君が呼んでいると言われた為に水着姿で彼の前に向かいます。ビーチチェアで寛いでいる彼の元には、複数人の男子生徒の方々が各々飲み物やお菓子の袋を持って指示を聞いている様です。

 

私が龍園君に声をかけると皆様の視線が私に向く。…少しだけ気恥ずかしいですが、努めてポーカーフェイスでいると龍園君の笑い声に皆様の視線が再び彼へ向く。

 

 

「ハハハ!、クク、おいおい…お前ら、纏めて腹でも下したのか?」ククッ

 

「え…!?そんな、皆様、大丈夫ですか?直ぐ、先生方を…!」オロオロ

 

「い、いえ…!大丈夫ですんで!俺達もう行きますから!」ダッ

 

「すいません!ちょっと俺トイレに…!」ダッ

 

「え?え?」

 

「クク…心配すんな。あいつらは俺の作戦の為に他のクラスに向かっただけだ」

 

 

心配するも大丈夫だと言われて、彼らは森の中へ歩を進めて行った。残ったのはリラックスした様子の龍園君と私と山田君、三人だけになります。その後、龍園君から上機嫌にお話しされます。

 

曰く、スパイの二人。金田君と伊吹さんの作戦成功を高める為に『Cクラスは試験を放棄して遊び惚けている』と認識させるつもりなのだとか。

その為に、贅沢をしているようにお菓子や飲み物を飲んで見せて、この拠点に呼び込み油断を誘うらしい。…でもそれなら、私をここに呼んだ理由は?

 

 

「あの、それでは私は何をしたら良いのですか?」

 

「…。お前はこの場に来る奴らへの………()()、だ…」

 

「牽制…ですか?」

 

「…お前は俺の横に突っ立ってりゃ良いんだよ。余計な事を話さなきゃ、首紐(コレ)も引かずに済む。…大人しくしてるこったな」クク…

 

「…ええと、かしこまりました…?」

 

「フン。…おいアルベルト。石崎を呼べ」

 

「Yes,Boss!」

 

 

龍園君の指示でその場を離れる山田君を見送りながら、私は龍園君の言う牽制の意味を考えていました。

 

―――実際、Cクラスの拠点にAクラスの私が居たらどう思うか?

AクラスとCクラスが協力している様に見える?いえ、Aクラスの私がCクラスを監視している…かな?私はCクラスの物資が全て送られるまでAクラスの拠点に戻れないし、戻るまで情報を伝えることも制限されてる。

(※今日の夜には拠点にある全ての物資を届ける旨を龍園君から聞きました)

 

 

他のクラスはそれを知らないのですから、恐らく私が遊んでいるCクラスを監視しているように見えるはず。なら、他のクラスへの牽制って…?…。……。………あ。

 

そうか、私はAクラスであるのと同時に()()()()()。そんな私が居るのに、同じクラスとはいえ暴力行為(実は同意済み)を見逃すハズがない。つまり龍園君が私を傍に置いた理由は、

 

"暴力行為の有無を西園寺撫子(生徒会役員)が見張っている"と理解させる事…!

※0点

 

恐らくBクラス(帆波)は怪我を負った男子生徒を見捨てないだろうし、Dクラス(桔梗)もきっと伊吹さんを助けてくれるはず。でも、それでもまだ弱い。これが本当に茶番じゃないのか、疑問視する生徒もいるかもしれない。

その為に、私を傍に置いた。"俺達(Cクラス)西園寺撫子(生徒会役員)に監視されている"と、他のクラスに知らせる為に。

 

…1年の生徒会役員は私だけだ。そんな私以上の証人は、暴力を振るわれた本人を除いて恐らくいない筈。そして実は協力関係を築いている私は龍園君の利敵行為をする訳にはいかない。

やられた…。これは、他のクラスの子に恨まれてしまうかもしれない。…。試験が終わったら精一杯謝りましょう。

 

内心、龍園君の作戦に戦慄していると石崎君が走ってこちらに近づいてくる。…何故か、徐々に前屈みになって。

 

 

「あの…大丈夫ですか?石崎君。もしかして、朝食があまり口に合いませんでしたか?」オロオロ

 

「いいいいえ、大丈夫です!はい!気にしないで下さい!」

 

「ククク、石崎。直ぐ済む話だ。…他の奴らにも伝えろ」

 

 

龍園君の指示は単純だ。他のクラスの方が来たら、龍園君の元に案内する様にとの事。それを聞いた石崎君は再び皆様のいる砂浜へと走り去る。あの様子から、体調面の不振ではないみたいですが…。

 

 

「ま、後は寛いで待つとしようぜ?…クク、お前用のビーチチェアも持ってこさせるか?」

 

「…お戯れを。それに、私も(監視員として)立っている方がよろしいのではないですか?」

 

「フン。察しのいい女は嫌いじゃねえが…お前はどっちなのかよくわからねえな…

 

「?あの、なんと仰いましたか?」

 

「何でもねえ。…どうせ今日いっぱいは暇だ。BとDのどっちが先に来るか賭けるか?」

 

「え?いえ、そんな…」

 

 

※この後二人きりで他クラスを待つ事になった!何故か、男子の方々は誰も近寄って来なかった!

 

 

・◆・

 

 

「来たか…?」

 

「…あれは、Dクラスの…(堀北さんと綾小路君ですね)…少し失礼しますね?」

 

「あ?おい―――」

 

 

龍園君に一声かけて、こちらに近寄ってきた方々を出迎える。船では挨拶も出来なかった。こちらを見て驚いた様子の二人に微笑みながら挨拶をする。

 

 

「さ、西園寺さん…!?」

 

「…西園寺?Aクラスのお前が何故…そんな事に?(首輪に…紐?)」

 

「ごきげんよう、綾小路君。…こんな姿(水着)で、失礼しますね?堀北さんも、ごきげんよう」

 

「…っ…!!」

 

「…(堀北さん…やはりまだ、私の事は…)あの…んっ!」グイッ

 

 

返事はない。まだ私の事を認めてはくれていないみたい。こちらを凝視して目を鋭くする堀北さんに落ち込んでいると、首に引っ張られる力を感じて言葉が途切れる。

 

 

「…!」

 

「…龍、ぇんっ、…!」ケホッ

 

「おい…なに勝手に離れてんだ?俺の横に突っ立ってろって言っただろうが…」グイッ!

 

 

 

少し苛立ったような態度でこちらを見据える龍園君に、視線でお詫びをする。ついつい近寄ってしまったが、私の役割は龍園君の監視員だ。彼から目を離すのは出来るだけ避けることにしよう。彼の怒気が少し和らいだのを確かめると、コクリと頷いて後ろに侍る。龍園君はそれに満足げに頷くと、石崎君に飲み物を頼んでDクラスの二人に向き合った。

 

 

「…」

 

「…あなたが龍園君ね?」

 

「ああ。龍園翔。Cクラスの王だ。てめえは?」

 

「…堀北鈴音よ」

 

「綾小「伊吹さんから聞いた通り、随分乱暴な人みたいね」…」

 

「フン、アイツはお前のトコに居たのか。適当に追い出していいぜ?土下座で謝るってんなら俺も許してやるさ。…俺は寛大な王だからな。ククク…」

 

「…」チラッ

 

「…!」コクリ

 

 

自己紹介をするお二人ですが、遮られた綾小路君の視線がこちらに向きます。今なら仕切り直せると思って頷くと、彼は再び口を開こうとします。

 

 

「俺は綾小路き「龍園さん!持ってきました!!」…」シュン

 

「…チ、少し温いぞ石崎。俺はキンキンに冷えたやつって言ったよなぁ…!?」ブンッ

 

「す、すいません…!直ぐ持ってきます!」ダッ

 

「………」ズーン

 

「…(綾小路君、ファイトです…)」チラッ

 

 

再び遮られた綾小路君。フォローしたいですが、再び真剣な二人の間に入るのは難しそうなので視線で訴える事に留めます。

その後、話は試験の戦略や考えの事に発展し、白熱していきました。

 

 

「―――てめえらは100だの200だの、カスみてえなポイントを追って貧乏生活をおくりゃいい。俺たちはゴメンだってだけの話さ」

 

「…呆れて物も言えないわね。結果、困るのはあなたたちのクラスよ。トップが無能だと、クラスメイトたちが憐れでならないわね」

 

「はっ!そりゃどっちだろうなあ、()()。夏を満喫したいなら肉でも飲み物でも、遊ぶのも自由さ。好きにして良いんだぜ?」

 

「結構よ。…それに、あなたに名前で呼ばれるのは不愉快よ、龍園君。…ところで」

 

「あ?」

 

「?」「…」

 

「どうして、Cクラスじゃない生徒がここに居るのかしら?それも、水着に首輪(そんな)姿で…」ジッ…

 

 

―――とっても居心地が悪いです。綾小路君はいつものポーカーフェイスですが、堀北さんの可哀そうな相手に向けるような…心配するような視線がとても刺さります。思わず龍園君に助けを求めて目線を向けると、とても上機嫌に答えてくれました。

 

 

「ククク…。こいつはそうだな…()さ。自分の意志で此処に来て、俺達は歓迎した。今や俺達と仲良く夏を満喫中って訳だ」

 

「あなたにとっての歓迎が、首紐(それ)なら頭の方の病院に掛かった方が良いわね。…Aクラスが黙ってないわよ?」

 

「心配してくれるのか?…意外と優しいんだな、鈴音。クク…!」

 

「…不愉快だと言ったのだけれど。後、さっき紐を引っ張っていたけど、立派な暴力行為よ。…彼女が訴えたら、あなたのクラスは失格ね。…残念だけれど、楽しそうに遊び惚けているクラスメイトを連れてさっさとリタイアする事ね」

 

「…っ」「…」

 

 

こ、これはどちらかというと帆波が言って来ると予想していたパターンですが…。いえ、それでも行う事は変わらない。不敵な笑みをこちらに向けて来る龍園君に頷いて一歩前に。

 

 

「…申し訳ございません、堀北さん。その…水着(コレ)は私の意志でして…。ですので、ええと…//」

 

「西園寺さん…?なにを言っているのかしら。もしかして、脅―――」

 

「クク、そういう訳さ鈴音…!本人が認めてねえんじゃ、問題ねえよなぁ?」グイッ

 

「ぁっ…んっ…!…?」ヨロ…

 

「…大丈夫か?」

 

「―――おい、勝手にそいつに触れるんじゃねえよ…!」

 

 

強めに引かれ、体勢を崩した所を綾小路君が手を差し出してくれました。しかし、その手を取る前に今度は腕を引かれて龍園君の胸元に半ば飛び込む形に。寄りかかってしまったことに小声ですいませんと言うも、龍園君から返事はない。

 

堀北さんと綾小路君に雰囲気が悪くなってしまった事を視線で詫びると、方や息を呑んで。方や無表情で頷いてくれた。

 

 

「…堀北、もう行こう。あまり邪魔しても悪い」

 

「綾小路君…!でも…」

 

「おい、そこの雑魚。こいつは今は、俺が侍らせてんだ。勝手に触ろうとしてんじゃねえよ」

 

「…それは悪かったな。西園寺も、またな」

 

「…(綾小路君、堀北さん。また…)」ペコリ

 

 

そう言って二人は去っていきました。二人の姿が完全に見えなくなると、ドカリと勢いよく龍園君がビーチチェアに腰かけ、「座れ」と言ってきましたので素直に座る事にします。

 

 

「…(なんで正座してんだ?コイツ)おい」

 

「申し訳ございませんでした」ペコリ

 

「………(フン…)」

 

 

綺麗にお辞儀をしてお詫びをするも、沈黙で返されます。…かなり怒らせてしまったのかもしれません。

 

 

………悪くねえな

 

「はい?」

 

「何でもねえよ。…もういい、勝手に動くなよ?」

 

「あ…はい、重ねて申し訳ございませんでした」ペコリ

 

「次はねえ」

 

 

その後、少しだけ私を叱った後は上機嫌に堀北さんの事を聞いてきたり、Bクラスは誰が来るかを予想したりと穏やかな時間が過ぎて行きました。

またBクラスからの偵察には、神崎君と他の男子生徒の…柴田君?が見に来ましたが二言、三言話したら直ぐにお帰りになってしまいました。

 

皆様、やはり無人島生活でお腹の調子が良くないのでしょうか?庇うような姿勢だったので心配すると、龍園君がチェリーの事は放って置けと…。チェリー?さくらんぼの事でしょうか…?…??

 

 

―――〇―――

 

Side.椎名

 

 

「はぁ…」

 

 

砂浜より幾分離れた沖、海面をぷかぷかと浮かぶ浮き輪に身を委ね、私はため息と共に海面に揺られています。

元々、偵察に他クラスが来た後には撫子お姉様と遊ぶ約束をしていたのにその約束は順番待ちとなってしまいました。

 

理由は、Bクラスから二度目の偵察として今度はリーダーの一之瀬さん?や他の生徒達含めて20人余りの団体で私たちの拠点に足を運んだからです。

 

丁度、昼食の為に集まっていた私達の元へ綺麗な顔を険しくさせながら進むBクラスの方たち。龍園君と撫子お姉様のいるパラソルの元へ一直線で向かい、咎める声にも耳を貸さずそのままB・C両クラスは一触即発の様相をみせました。

 

 

「…ククク、おいおいどうしたんだ一之瀬?匂いにつられて腹が減ったのか?それとも一緒に夏を満喫しに来たか?…俺たちが羨ましくなっちまったなら水着くらい貸してやろうか?」

 

「そのどちらでもないよ、龍園君。…撫子、もう大丈夫だからね。私たちと一緒に行こう?」

 

「…!(帆波…)」

 

 

遠巻きに見ている分には、どう見ても撫子お姉様を攫った私達Cクラス対、助けに来た正義のBクラスで非常に居心地が悪かったです。

しかし、手を差し伸べた一之瀬さんの手をお姉様が取ることはありませんでした。申し訳なさそうに眉を(ひそ)め、両手を祈るように組んだお姉様は力なく首を左右に振ります。

 

 

「…っ(うぅ…。Cクラスと一緒に満喫してごめんなさい、帆波。後で必ず謝りますので、ここは…!)」フルフル

 

「どうして…!なんでCクラスの…龍園君の所にいるの…!?葛城君たちは何を…!」

 

「クハハ、聞きてえか?なんで()()がここにいるのか…な」

 

「…っ、撫子の事を名前で呼ぶなんて…本人が嫌がっているなら、最低だよ、龍園君…!」ギリッ

 

「良い表情じゃねえか、その方が潰しがいがあるぜ?一之瀬…!」ククク…

 

 

その後、龍園君の口から聞いたのは私達も知らない契約についての詳細でした。Aクラスへ物資を送る代わりにポイントを得る契約をした事。

そして、Aクラスの()()()()()()で契約の穴をつき、撫子お姉様をこちらの手に入れた事。…情報漏洩を防ぐ契約で、物資が残っている限りお姉様はCクラスの監視下に置かれている事を朗々と語りました。

―――もうこの時点でBクラスの皆様(一部私達Cクラスも)の表情は険しかったのですが、極めつけは今この場にAクラスの方が誰も来ていないことへ回答でした。その真実が、Bクラスの不満の爆発を招いたのです。

 

 

Aクラス(あいつら)が居ない理由は簡単さ、一之瀬。…あいつらは契約を妄信して、試験のポイントを極限まで節約する戦法を採用した。つまり、俺達の届ける食料品(メシ)がなけりゃ大赤字って訳だ…!」

 

「…最低だな。西園寺(なかま)を見捨ててまで、そんなに勝利が欲しいのか…」ギリッ

 

「………じゃあ、葛城君は。…Aクラスの皆は、()()()()()()()撫子を売り渡したっていうの?」プルプル

 

「……っ!(あの、あの…私は別に。Cクラスの皆様にも良くしてもらっているので…!)」フルフル、フルフル…

 

「撫子さん!」ギュッ 「西園寺さん…!」ギュゥ…

 

 

怒りが極まると、人は無表情になる。どこかの小説で読みましたがその時の一之瀬さんは正にそれでした。

首を振ってAクラスの皆様を庇おうとしているお姉様の元に、クラス問わずに慰める様に抱き着く生徒が続出しました。

 

…私もその集団に交ざれたら良かったのですが、人波を嫌って遠巻きに居たのがあだとなりました。

あっという間に人波に飲まれるお姉様。それを見守りながらも怒りに震える一之瀬さんに、龍園君は神妙な顔で囁きます。

 

 

―――諸悪の根源にも関わらず嘯く姿は、さながら詐欺師の様でした。

 

 

「…なあ、一之瀬。お前、このままAクラスに撫子を返して良いと思うか?」

 

「それは…」

 

「俺は心配だぜ?だが、俺達はもう少ししたらこの試験からリタイアする。…どこかに()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()…。そう思わねえか?一之瀬」

 

「………………要求は…、なんなの?」

 

「クククク…!それは此処から詰めるとしようぜ?…おらお前ら!飲み物を持ってこい!他の奴らも遊びに戻れ!後半日もしたらビーチとお別れだ!好きに遊べや!」

 

「「おぉ!!」」「「はい!!」」

 

 

…好きにはなれません。なれませんが、やはり龍園君はリーダーとしての能力しかり、この交渉力も目を見張るものがあります。私の敬愛する撫子お姉様を利用して険悪だったBクラスとも協力関係を結ぶ手腕は圧巻の一言でした。

 

 

「っ…」ダッ

 

…?(ひより?)」キョトン

 

 

ですが…、結果的にお姉様を裏切るような事を見過ごした罪悪感はどうしても拭えませんでした。

私は撫子お姉様や龍園君、一之瀬さん達Bクラスの輪からそっと離れて、海に揺られる事にしたのでした。

 

 

 

―――だから、これはきっとバチが当たったのだと思います。

 

 

 

「…?わふ、っ…」

 

ドプン、とひっくり返った浮き輪に驚き、海面に沈みそうになりました。慌てて浮き輪を掴もうとしますが、手足をバタつかせるも波に流され浮き輪が手を離れます。

 

 

「っ、…痛、っ!?(足が…!)ごほ、…!」

 

 

不幸は重なって、足が攣ったのが分かります。水を飲んでしまった私の喉は声を発する事も出来ず、海面から藻掻いて頭と手を出すしか出来ません。

 

周囲には誰も居ません。少しだけ深く沖に流されていたのでしょう。鼻の奥にツンとした苦しさを感じますが、頭の奥の奥では冷静に分析している自分が居ます。これは、ダメだと。

 

 

「っ、助、…ごぼっ、ひ、…っ(ごめんなさい、お姉様…)」

 

「―――よりっ!」

 

 

心残りは、直接お姉様に謝れなかった事。そして、一緒に遊ぶお約束を破ってしまった事。

愛する人の幻聴を聞いた気がしたまま、私の意識は、ゆっくりと水底へと運ばれていくのでした。

 

 

…。

 

……。

 

………。

 

パチリ。

 

 

「………あ…、え?」キョトン

 

「あ、起きた?椎名さん。大丈夫?意識ある?吐き気とか平気?」

 

 

目が覚めたら、そこには知らない天井がありました。(あと、介護教諭の先生も居ました)

 

 

※この後めちゃめちゃ助かった経緯を聴いて赤面しました!意識を失ったわが身を呪いました!!

撫子お姉様への好感度が上がりました!お姉様への好感度は、もう上がりません!

 

 

 




読了ありがとうございました。

一体なんでひよりちゃんは赤面したのでしょうか…?次回をお楽しみに!

高評価、感想があると呼吸が出来るのでお待ちしております。
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