ようこそ(勘違い)大和撫子の学校生活へ   作:エカテリーナ

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お待たせしました。
続きを投稿いたします。
この試験は早めに進めたい…ってこれいつも言っていますね、すいません。

では、どうぞ。


②:説得 ≒ 脅迫

―――〇―――

Side.堀北

 

無人島から出航し、三日目の昼過ぎ。アナウンスによって新たな試験が始まった。試験内容をAクラス担任の真嶋先生から聞くと、改めてどういう試験なのかを考える。

 

試験の期間は明日から四日間。完全休みの1日を含んで…実際の試験実施日は三日間。日に2回、それぞれ指定のグループで話し合いをして優待者を見つけ出す。大体こんな試験ね。

 

この試験の優待者は厳正に抽選で決められる。…こんな文言を用意するという事は、恐らくなにかの法則で優待者は決められているはず。これを解くことが出来れば、Aクラスへ大きく進むことが出来る。

 

…でも、一筋縄ではいかないと思ってしまう。記憶してスマホのメモに残した『辰グループ』のメンバー表を見て、思わず顔を顰めそうになる。

 

 

『辰(龍)グループ』

 

Aクラス・葛城康平・西園寺撫子・橋本正義

Bクラス・一之瀬帆波・神崎隆二・津辺仁美

Cクラス・小田拓海・鈴木英俊・園田正志・龍園翔

Dクラス・櫛田桔梗・平田洋介・堀北鈴音

 

 

錚々たるメンバーだ。各クラスのリーダー格が必ず入っている。果たして、この中から優待者を見つける…一筋縄ではいかなそうね。それとも、既にこのグループ分けから法則を解き明かすヒントが散りばめられているのかしら?

 

試験の結果は4種類。

一つ目は、四日目の試験終了後に、全ての参加者が優待者を指名して正解をする事。

報酬は全ての参加者に50万PPと優待者には追加で50万PPが得れるけれど、現実的じゃないわね。

 

二つ目は、優待者が指名をされずに試験が終了する。…実質、優待者の勝利といっても良い結果ね。

報酬は優待者のみ50万PPを得ることが出来る。

 

後の2つからが試験中の指名によって伴う結果。

 

三つ目は試験中に優待者を見破って報告メールを送り、見事正解する。4つの中で最も狙って他のクラスとの差を縮める有効な手段ね。

報酬は、正解した人が50万PPを獲得。加えて優待者のクラスから50CPを奪う事が出来る。

 

 

最後の四つ目は、言わば自滅ね。優待者を指名したは良いものの、誤った回答を送ってしまった場合。

報酬…いいえ、ペナルティは誤った回答を送ったクラスのCPを50、優待者のクラスに移動されてしまう。クラスの皆に、変に先走らない様に念押しして置かないと。

 

今度は体調も万全。…今度こそ、私も…!

 

 

 

・・

 

・・・

 

 

「―――私たちの作戦。全クラス結果①作戦に協力して下さい。それが叶わない場合、全てのクラスの優待者を明日の朝8時、お話し合いの前に指名させて頂き、試験を終了させて頂きます」

 

「………!」

 

 

―――でもそんな思いは、試験開始前に裏切られることになったのだ。

 

 

 

―――◇―――

Side.撫子

 

 

皆様をお呼びした場所は試験の説明があった階の1つ上、小さなホールの様で10人以上集まっていますが狭くは感じません。

 

この場に集まって頂こうと声をかけたのは辰グループの方々。そして、その方がお連れして頂いた各クラスを代表する皆様です。

理由はシンプル。今回の試験のAクラスの方針をお話しする為です。

椅子に座る皆様と一堂に会する。…明日の試験ではきっと、こういう形で話し合いをするのでしょうね…。

 

 

「ククッ…」

 

「………撫子…」

 

「………」

 

「…」「…」ザワザワ…

 

 

先ほどのAクラスの作戦、名付けて―――皆で仲良くプライベートポイントを獲得しよう!を聞いての皆様の反応はあまり芳しくありません。

しかし、それは織り込み済みの事。当初、Aクラスの皆様にお伝えした時も不安な声は多くありました。

…でも、こちらに寄り添ってくれた真澄さんや橋本君。そして夜分にも拘らずお電話してアドバイスをしてくれた有栖の為にも、私はこの作戦を無事やり遂げてみせます!

 

 

「…で?」

 

「…!(龍園君…)」

 

 

再び話が動き出したのは、龍園君からの一言。皆様の視線を集めながら、こちらを油断なく見据える眼差しに真意を探ろうとしている様です。

こちらも怖気つかない様にゆっくりと言葉を尽くしていく。

 

 

「…先ほどの通りです。Aクラスは結果①を目指します。なので皆様にも協力を願う次第です」

 

「協力ねえ…俺には脅迫に聞こえたがな。まあ、それはいい。だがやるとなったら()()()も大事だ。…なあ?具体的なプランを教えてくれよ」

 

 

席を立つとこちらに近づいてきて、ドン、と机に掌を当てて音を立てる。机に腕を立ててこちらと視線を合わせる龍園君に、葛城君が席を立とうとしますがジェスチャーで大丈夫と伝えると、龍園君と目を逸らさないままプランを皆様に聞こえるようにお伝えします。

 

 

今回の試験、結果①が最も報酬であるポイントが多く、困難な事が予想されます。よって、いくつかの条件を全てのクラスの生徒に同意させる。結果①で終える為には、それが必要不可欠になります。

 

一つ目はスマホを試験終了後まで各担任に全て預けるものとする。

二つ目はスマホの操作の権限の譲渡。…抜け駆けをさせない為に各クラスの…そう、リーダー格の方に操作しても良いと許して貰うこと。

最後にペナルティの制定。故意や事故を問わず、送信する名前を誤って送信してしまった場合は結果を問わず、他の3クラス全てに弁済する。

 

 

以上3つをお伝えすると、皆様は思案気な表情になったり隣同士で相談して下さいます。しかし、目の前の龍園君だけはこちらからジッと目を逸らさずにいます。

 

 

「………」

 

「………(…?)」

 

 

交渉上手な龍園君。同意を得る為の切り札は用意がありますが、それはまだ早い。こちらも視線を合わせていると、「ゴホンッ!」と隣の葛城君から咳払いをされて、また部屋中の視線が注目している事に気が付きます。

…恥ずかしい。誤魔化す為に、私も咳ばらいをして空気を元に戻しませんと…//

 

 

「コホン…」

 

「(可愛い…)」「(口で言ってる…)」

 

「それで、その…。皆様、いかがでしょうか…?」

 

「―――私は反対よ」

 

 

そう口火を切ったのはDクラス、鈴音でした。…顔色は良いので、風邪はもう治ったのでしょうか?

鈴音の言った内容は、成る程、下位クラスとして上を目指せるチャンスをふいにするのは惜しい。…確かにその通りだと思います。

 

続けるようにBクラスの帆波や神崎君も同じ理由、Aクラスとの差を縮めてみせる。真剣勝負をしようと丁寧に断りを告げてきました。

…まさかの2連敗。結果的に最後となったCクラス、龍園君に視線を向けると彼はBとDの意見にも表情を変えず、同じように真剣そうにこちらを見据えている。

 

 

「…その、龍園君はどうお考えですか?」

 

「―――条件がある」

 

 

その答えに、再び騒めき立つ室内。返事は前向きな…つまり、C()()()()()A()()()()()()()()()()という事。先を促すとグッと私の身を引いて、耳元で囁くように条件を話します。…、ちょっと擽ったいですね。………。成る程、妥当だと思います。

 

 

「―――で、良ければAクラスの作戦に乗ってやるよ」

 

「…分かりました、よろしくお願いします」

 

「っ撫子…!?」「な…西園寺…!?」

 

「ククッ、話が早いじゃねえか。葛城とは大違いだなあ、オイ…!」

 

 

龍園君の言った条件はいわば()()です。もしもこの作戦が上手く行かなかった場合、Cクラスにしっかり報いて欲しいという内容の保険。心配そうな葛城君や橋本君に頷いて問題ないことを伝える。

 

 

「………」「………」ザワザワ…

 

「………ん、…西園寺さん少し聞いても構わないかな?」

 

「はい、平田君。遠慮せずにどうぞ」

 

「ありがとう。…確かに結果①で終えられれば、誰も傷つく事なく試験を終えられると思う。…僕個人としてはこの作戦、賛成しても良いと思ってる」

 

 

…そう言ったDクラスの平田君の表情に嘘はない様に感じます。でも、それを咎めるように見る鈴音と、心配そうに見ている桔梗。Dクラスは多頭政治というか、各々の個性を生かした戦略を立てているのかもしれません。

 

 

「でも、そう思わない人もきっと僕のクラスに居る。…残念だけど、僕たちDクラスはBクラスの一之瀬さんたちやCクラスの龍園君のように纏まっていないんだ」

 

「平田君…」

 

「…あはは」「フン…」

 

「だから、この提案についても相談して説得する時間が必要だと思うんだ。…結論を出すのは少し待って欲しい。それが僕の答えになるかな」

 

「…平田君、ありがとうございます。よく分かりました」

 

 

クラスの和を大切にしているのがよく分かる提案でした。…改めて状況を纏めると、現状はこんな感じでしょうか?

 

―――

 

Aクラスの作戦について…。

 

Bクラス・拒否

Cクラス・条件付き同意

Dクラス・保留

 

―――

 

 

当初の困惑ムードから前進したとはいえ、同意を得られたのはまだ半数のみ。…顎に手を置いて考えていると、頭上から龍園君の笑い声で意識がそっちに向けます。

 

 

「で、どうすんだ?西園寺。…別に良いじゃねえか?結果①に拘らなくても」

 

「龍園君…?」

 

「俺達とお前らのクラスで優待者を共有する。ポイントは折半すりゃあ十分大金だ。別に負けたい奴らに気を使ってやる必要はねえだろ?」

 

 

首を傾げる私に、龍園君は更に続けます。確かにお互いで折半したら+150CPと300万PPを得られる。ただそれではBとDの結束を招いてしまうかもしれません。

それにこちらに傾きかけているDクラスの方も態度を硬化させるかもしれません。止めようしますが、葛城君からの言葉がその後押しをしてしまいました。

 

 

「…龍園に同意する訳ではないが、俺も同意見だ」

 

「………っ」「………!」

 

「葛城君…!」

 

 

まさかの葛城君からもご指摘を貰ってしまいました。元々、難色を示してはいたのです。()()()()()()()()()()()()()と。そう伝えると、彼や彼のお友達は一気呵成にポイント差を突き放す方向に舵を切ろうとしていました。

…1つのクラスが突出すると他のクラスが共同路線で組んでしまうかもしれない。そのリスクに気が付かない葛城君ではないと思うのですが…仕方ありません。

 

 

「龍園君。…そして葛城君、私は全てのクラスで結果①を狙います。それを変える予定はございません」

 

「ま、条件を呑むなら俺はどちらでも構わねえぜ?」

 

「……だが事実として同意を得られないクラスが居る以上、その戦略は崩れている。どうするつもりなんだ?」

 

 

そう言った葛城君や、こちらを不安そうに見やる帆波や撫子、鈴音に安心する様に笑顔を向けると私は有栖から聞いたアドバイスを実行するのでした。

 

 

「では、先ほどの龍園君の言葉に倣って、強い言葉でご説明させて頂きます。」

 

 

―――皆様を…えっと、脅迫、させて頂きます。

 

 

―――〇―――

Side.綾小路

 

 

新しい試験が始まって初日の夜。俺は夕飯に誘われて昨日のメンバーでレストランで食事を取っていた。

豪華客船だけあって、メニューも実際に払ったらいくらするのか不安になる位の見た目と味だった。試験開始の明日に向けて、英気を養う為。

…という名目で集まりたいテンションだった長谷…波瑠加と愛理に誘われて俺達男子も集められた。

特に啓誠―――幸村にそう呼ぶように言われた―――は同じグループだった為、協力できるように関係を築くのは必要だと思ったのも事実だった。

 

各々好きなメニューを頼んで腹を膨らませ、デザートに舌鼓を打っていると何やら他の席の奴らのざわめきが強くなっていた。

 

 

「…なんだ?」「さあな」

 

「全く、奴らは静かに飯も食えないのか…」

 

「え~いいじゃん、別に監視カメラがある学校じゃないんだし。ね、愛理」

 

「あ、うん。…でも何があったんだろうね?」

 

 

そうして5人で周囲を見渡してみると、どうやらスマホを見た生徒がクラスメイトに何かを伝えてそれに驚いた奴がまた別の奴に、という風に騒ぎが大きくなっているらしい。

デザートも片付けて店の外に出た俺達だったが、同じクラスの須藤が池たちに大きな声でなにか話しかけられていたので声をかけてみる。

 

 

「―――須藤、なんかあったのか?」

 

「お、綾小路か。いや、俺も今聞いたんだがよお―――」

 

「そう!聞いてくれよ!なんか()()()()()()()()()()()()みたいなんだよ!!」「Aクラス様様だよな!」

 

 

そういって興奮気味に話すのは、池と山内の2人だ。…愛理が苦手そうにしていたのを見て波瑠加が一歩前に出るが、それに気付かない程2人は興奮気味に話しだす。

 

―――曰く、発端はAクラスの生徒同士の会話を()()が聞いたらしい。

内容は、Aクラスは今回、他のクラスのリーダーと協力して全クラスで結果①を得るつもりらしいとのことだ。それに眉を顰めた啓誠は、咎めるような声で2人に誰から聞いたのかを聞くも二人とも又聞きだったらしく詳しくは知らなかった。

 

問題なのは、このうわさ話が船内に()()()()()()事実だ。

 

 

「清隆、これは…」

 

「間違いなくAクラスの作戦だろうな。…どういう目的なのかは分からないが、早く堀北たちに伝えた方がいいかもな」

 

 

そう、既に試験は始まっているのだ。これがAクラスの作戦なのだとしたら、受け身で居るのは良くはないだろう。そう思ってスマホを取り出し、堀北にコールする。

 

1コール、2コール、3コール。…。

 

 

「…出ないか?」

 

「あぁ」

 

 

そうこうしている間にも、CクラスやBクラスの生徒までその噂を話しながら船内を回っている。…もしもこれがAクラスの作戦の内なのだとしたら、間違いなく俺達は後手に回っている。

焦った表情の啓誠や、不安げな愛理の表情を見ながら、俺は出ない堀北に電話をかけ続けるのだった。

 

 




読了ありがとうございました。

またいつも通りお待ちいただければと思います。
高評価、感想をお待ちしております。

アンケートもありますので、お願いします。
それではまた。

祝、50話記念。書いて欲しい番外話はありますか?※アンケート後に書き始めるので次やその次でUPは多分できません。よろしくお願いします。

  • IF撫子が他のクラスだったら?
  • IF撫子が教師だったら?
  • IF撫子が上級生だったら?
  • IF撫子が男の娘だったら?
  • "手紙"の詳細回
  • 本編優先で書いた方が嬉しい
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