ようこそ(勘違い)大和撫子の学校生活へ 作:エカテリーナ
今回は数字回。
なんていうか、原作でもクラスポイントやらPPがめっちゃ出る回にわくわくしている作者です。
原作次の巻の発売日も発表されましたね!モチベ増です。
それでは、どうぞ!
―――
カッカッカッ…。キュキュッ…。
ホワイトボードに撫子が書く筆記音だけが部屋を支配している。
先ほどの撫子の説明で再び部屋に緊張が走ったが、言い出した本人だけは平常運転で速やかに着替えて来て、その間にAクラスの生徒が用意したホワイトボードに現時点の情報を書き出していく。
「よし、これでいいですね…皆様、大変お待たせしました」
そういって笑顔で部屋に居る全員に笑顔を向ける撫子だが、書いてある内容は全く可愛くない。
特に反対意見を出していたBクラスやDクラスの生徒の顔色は険しくなっている。
反面、足を組んで笑い声を零すのは龍園ただ一人だ。彼は、最初に気が付いた。
また他の面々も時間をかけて考えれば思いつくだろう。この提案が、明らかに撫子
――――――――――――――――――
【全クラス結果①作戦’】
パターン①
B、C、Dクラスは全てのクラスが結果①で完了した場合、得たPPの半分をAクラスに渡すものとする。
パターン②(あるいはパターン③)
パターン①が満たされない場合、Aクラスは全てのクラスの優待者を当て、率先して同意をしたクラスに自分のクラスの優待者を教えるものとする。ただし、得られるPPはAクラスに渡すものとする。
決定(仮)― CクラスにAクラスの優待者を教えるものとする。
■試験結果例
パターン①・・・全てのクラスが結果①を迎えた場合。
Aクラス・・・2100万PP+各クラスから1075万PP=5325万PP
B~Dクラス・・・2150万PP-Aクラスに支払い1075万PP=1075万PP
パターン②・・・Aクラスが全てのクラスの優待者を当てて、試験を終わらせた場合。
※Aクラス優待者はCクラスに教えるものとして計算
Aクラス・・・+300CPと回答9回で450万PP
Bクラス・・・△150CP
Cクラス・・・±0CPと回答3回で150万PP
Dクラス・・・△150CP
パターン③・・・Aクラスが全てのクラスの優待者を外し、試験を終わらせた場合。
※Aクラス優待者はCクラスに教えるものとして計算
Aクラス・・・△600CP
Bクラス・・・+150CPと誤回答3回で150万PP
Cクラス・・・+300CPと回答3回+誤回答3回で300万PP
Dクラス・・・+150CPと誤回答3回で150万PP
■プライベートポイント
(※クラス40名、残り月数を31ヵ月で計算)
―――パターン①―――
上記の通り。Aクラス+5325万PP、他クラス+1075万PP
―――パターン②―――
Aクラス・・・+300CP=3720万PPと450万PPとCクラスから150万PP=+4320万PP
Bクラス・・・△150CP=△1860万PP
Cクラス・・・±0
Dクラス・・・△150CP=△1860万PP
―――パターン③―――
Aクラス・・・△600CP=△7440万PP+Cクラスから得た300万PP=△7140万PP
Bクラス・・・+150CP=1860万PP+150万PP=+2010万PP
Cクラス・・・+300CP=3720万PP=+3420万PP
Dクラス・・・+150CP=1860万PP+150万PP=+2010万PP
■総括
パターン①を選んだ場合、以下で確定。
Aクラス・・・+5325万PP
B、C、Dクラス・・・+1075万PP
パターン②、③を選んだ場合の最大値と最小値
Aクラス・・・最大+4320万PP分:最小△7140万PP分
Bクラス・・・最大2010万PP分:最小△1860万PP分
Cクラス・・・最大3420万PP分:最小0PP分
Dクラス・・・最大2010万PP分:最小△1860万PP分
――――――――――――――――――
重い、とても重い沈黙とため息、唸るような声すら零れるホール。沈黙を破り、最初に声を上げたのはCクラスの王、龍園だった。ホワイトボードに書かれた結果予想を見て「なるほど、なるほど」とクツクツと笑いながら行儀悪く座っていた椅子を立ち上がると、撫子に近づき肩を組んだ。
「んっ、龍園君…?」
「…気に入ったぜ。俺達Cクラスは同意してやるよ。ただ、譲歩して欲しい内容も少しある。…この後
「えぇと…、はい。畏まりました」
「なっ…!」「本気なの…?」
最も天邪鬼な男が率先して同意したのに、驚きを隠せない一同。…当然、龍園にも目論見はある。決定打はどんな結果になろうとCクラスにマイナスが無い事だ。
…尤も、この話を出したAクラスにとっては目下最大の敵はBクラスである為、B・Dを相手取るCクラスの蠢動は望むところ…なのだが、その事を
逆に機を逸した2クラスは、出来る限り食い下がりにかかっていた。
「ねえ撫子先生、さっきは無かったポイントを半分渡すってあるんだけど、これって…」
「帆波…。ええと、これはその…りすくへっじというものです」
「だがこれでは、先ほどよりも同意し難い。西園寺先生としてそこはどう考えているんだ?」
「りゅ…神崎君。…はい、ご説明いたします」
そう言って撫子はホワイトボードをくるりと回転させ、反対側のボード面に今度は解説しながら解説をする。
…いつの間にか伊達眼鏡を装備していて、事情(※勉強会)を知っているBクラス以外も自然と首筋が伸びていた。
「改めて説明致しますと、当初の予定通りにした場合、結果①で纏まろうとすればAクラスが得られるポイントは2100万ポイントでした。…しかし、皆様に同意は得られませんでしたので、次のパターン①からパターン③の3通りの提案が、元より次善策として用意してあったのです」
「クク、要は引き際を弁えなかったBと、協調性のねえDの自滅じゃねえか。…
「くっ…!」「………っ!」
悔しそうに表情を歪める堀北や神崎に少しだけ眉を
水性ペンの走る音と、龍園の周囲を
「龍園君、関係ない私語は慎むようにしてくださいっ!」
「ククク、そりゃ悪かったなあ
「続けます―――」
龍園に一言注意を飛ばすと、撫子は書かれた結果に注目するように伝える。
――――――――――――――――――
試験後クラスポイント予想
※無人島試験獲得ポイント含む
・・・結果①の場合
クラスポイント変更なし
・・・結果②の場合
A:1149+300(1449CP)→A
B:977-150 (827CP) →B
C:492±0 (492CP) →C
D:281-150 (131CP) →D
・・・結果③の場合
A:1149-600(549CP) →C
B:977+150 (1127CP)→A
C:492+300 (792CP) →B
D:281+150 (431CP) →D
――――――――――――――――――
得られる実質のCP順位を見て、再び騒めく各クラスのリーダーたち。
ポイントだけ見れば、確かに結果①を選べばリスクはない。
ただ②で敗れた場合の点差はとんでもないことになる。島での活躍も大きかったにしろ、再び引き離されてしまう。それもAクラス↔Dクラス間は10倍を超える大差だ。
結果③になれば逆にAクラスはCクラスに落ちるというのに、それを隠そうとしない事からAクラスの自信が透けてみえる。
「「「………!」」」ザワザワ…
「………」チラッ
「………っ」
先ほど提案に否定的だったBクラスの一之瀬や神崎は半ば折れていた。不安そうに見て来るクラスメイトと頷いたり小声で話すと、観念したように撫子の提案を呑むことに同意した。
帆波は撫子に近づいて誰にも聞き取れない様に耳打ちをする。
「―――うん、じゃあ撫子先生、Bクラスは…」ゴニョゴニョ…
「…っ、分かりました。帆波、ありがとうございます♪」
「…うん、よろしくねっ!」
そういって席に戻る一之瀬に、龍園が何の話をしていたのか聞くが「龍園君と同じかな~?」と誤魔化す。…両者の間に見えない火花が飛ぶ姿が幻視された。
そうして、残されるのはDクラスだ。気付けばAクラス、Bクラス、Cクラスの全員からの視線で追い詰められている。
厳しい状況に何とか説得の為に時間を延ばそうと再交渉を求める平田だったが、途中に鳴り出したスマホに撫子が「失礼します」と詫びてから出ると、状況が変わる。
『―――』
「もしもし、西園寺です」
『―、――!』
「…はい、はい、その通りです。ええ、ありがとうございます。―――じゃあ代わりますので、お伝えをお願いできますか?…平田君、お待たせしました」
「…え?と、僕かい?」
スピーカーにしますね、と机に置かれたスマホに応えると、向こう側から上機嫌な笑い声と共に
「…もしもし?」
『やあ!スクールメイト諸君、庶民の君たちにはゴージャスな船上ライフをエンジョイしているかい?』
「高円寺君…?君が一体どうして…」
応えたのはクラス一の問題児にして自由人、高円寺六助だった。この場に居ないにも関わらず、クラスの意思統一に最も問題となる彼が何故Aクラスの撫子と電話をしているのか。疑問を挟む間もなく、平田は上機嫌に、そして一方的に用件を伝えられた。
『勿論、用事あっての事さ。―――私はAクラスの作戦に同意する。それを伝えたくてね』
「なっ…!」「えぇ…?」
思わず声を漏らしたのは堀北と櫛田の二人だ。確かに彼女らからしても、
「そんな…一体、どうして…?」
『ハハッなに、私は醜いものは大嫌いだが、義理と道理、そして
「あ、待っ―――」
平田の制止も虚しく、ブツリ、通話の切れる音と共にツー、ツーと連続音を流すスマホに言葉を失う一同にパン、と再び掌を合わせて注目を合わせる撫子。
「…一体、どうやって…」
「
「………(動きが…早すぎる…!)」
先ほどよりも驚愕や畏怖の籠った視線を集めた彼女は平田らDクラスの前に立つと、再び当初の
「―――私の作戦に、ご協力して頂けますね?」
「………分かった」
容赦なく視線を向けるAクラスや、今や咎める様にこちらを見据えるBクラス。逆に拒否してくれとばかりに嘲笑うCクラスを前に、平田には、そしてDクラスには是以外に返す言葉はなく項垂れる様に協力に同意するのだった。
こうして、船上試験の行く末を決めるその会議は、Aクラスの目論見通りの決着を迎えた。
――――――――――――
―――〇―――
Side.撫子
「ふぁ…、ん、失礼しました…!」
「いいや、気にするな。………」
先ほどまで話していたホールには、私、葛城君の2人だけが残って明日使う各クラス用の予定の契約書類を用意していました。夜も更けて、小一時間もすれば日を跨いでしまう程。
思わず噛み殺した欠伸にも、近くの机で作業をしている葛城君に気付かれ赤面してしまいました。
今回の作戦、当初の作戦を相談した際には有栖からは絶賛を。葛城君からはやや反対の意見を頂きました。…葛城君には内緒で
…彼から刺された
―――クラス対抗戦、その戦いは未だ1年の半ばで、これから更に2年以上も他クラスと協力やお付き合いは必要なのです。圧勝して他のクラスに復帰の目が無ければともかく、三クラス同盟対Aクラスでは厳しい。ここは、序盤のアドバンテージを維持したまま拾えるものを拾っておきましょう♪
「…なあ、西園寺、聞いても良いだろうか?」
「?どうされましたか?葛城君」
「今回の作戦、改めて聞くが…こちらのクラスが結果③でポイントを得る。その選択を選ぶことは出来ないのか?」
「………それは(葛城君…)」
「…いや、分かってはいるんだ。…いるんだがな…」
俯いて腕を組んだ葛城君は、重い、重いため息を吐いてポツリ、ポツリとその意図を話して下さる。…やはり彼は苦労人の様で、慕ってくれる方々からも不満や不安の声が届いているようです。彼の大きな体躯が、今は少しだけ小さく見える。私も書類に向き合っていた身を彼に向けて、出来るだけ彼に寄り添うように言葉を重ねる。
「葛城君の事を、皆様信じているからですよ♪」
「…しかし俺では―――」
「葛城君には皆様が慕ってついて来てくれていますよ♪」
「…そうだろうか―――」
「そうですよ、一緒に頑張りましょう♪」
「…ありがとう―――」
暫くそうしていると、顔を上げてこちらを見据える葛城君の瞳には、先ほどまでの陰は見えません。…これで明日もきっと、彼は、彼らは。そして私達Aクラスは大丈夫でしょう。
お互いに笑顔を浮かべて頷くと、私たちは明日使う書類を完成させるべく手を動かすのでした。
※この後めちゃめちゃ夜なべして書類を完成させました。
―――――――――
※書類作成中
「所で西園寺、契約書のこの部分なのだが…」
「え?あっ…そこは…その…」
「何故空欄なのだ?」
「…えっと、その………」
「………?金額は決まっているのではなかったか?」
「………その、少しだけ…」
「………少しだけ?」
「…あの…安くならないかなって…」
「………安く」
「………はい」
「………(Cクラス…龍園か)」ギリッ…
「………(帆波が…耳元で…)」シュン…
「………そうか。坂柳は知っている事なのか?」
「………はい、事後承認になってしまい、申し訳ございません…」
「………(俺のせいか…すまん、西園寺)」ガーン…
「………(か、葛城君…怒って…ます、よね…?)」ガーン…
―――――――――
※部屋の外
「………なによ」
「………いーや、何でも?」
「………ふん」
「………」
読了ありがとうございました。
今回も次回への引きになる回でしたが、皆様予想を立ててお待ちください。
感想、高評価ありがとうございます。
アンケートの回答も感謝です。
もっともっと続きを書きたいですが、時間に追われている昨今です。
もう少し気長にお待ちください。
それでは、次回もお楽しみに!
正直、船上試験では誰視点で進めて欲しいですか?候補上げるのでオナシャス!(初と書いてあるのは視点が初めてのキャラなので、主人公との絡みイベントが発生する可能性あり!)
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