ようこそ(勘違い)大和撫子の学校生活へ 作:エカテリーナ
アンケート結果からとりあえず彼目線で進めていきますが継続していますので、
みたいキャラクターを選んで頂ければ幸いです。
それでは、どうぞどうぞ…。
―――〇―――
Side.綾小路
『…もしもし』
「やっと出たか、堀北…その声色じゃ、もう絡まれた後か?」
『えぇ、そうね。ほんの少しだけ、櫛田さんや平田君に同情するわ』
「………だろうな」
1回目の通話から都合4回目、堀北が電話に出たがその声は疲れを感じさせるものだった。
それもその筈、池たちの話はクラスを問わずに大勢の生徒達が噂していた。結果、各クラスの生徒達は各々が
その後、電話に出れなかった理由を聞くと堀北たちがAクラスの西園寺に呼ばれていたらしい。詳しい話をしたいと言われ、同意を返すと場所を告げられ、電話を切る。
「…すまん、待たせた。これから少し堀北と話してくる」
「今から?堀北さんもタフだねえ~私はもう、ふわぁ…」
「………」コックリ、コックリ
「もういい時間だからな、俺も少し眠い」
打ち上げ会からの流れで、解散するタイミングを逃した面子はもう眠そうにしている。波瑠加は欠伸を、愛理は船を漕いでいて、明人も辛そうだ。俺は皆に明日、話そうと告げて向かおうとすると啓誠が同席を求めた。
元よりAクラスへの意欲が強い啓誠だ。堀北
ついた先に居たのは呼び出した堀北、一緒に西園寺の話を聞いたという櫛田、平田。そして平田についてきたのだろう彼女の軽井沢だ。啓誠の同席を求めると少しだけ逡巡したようだが堀北から「構わないわ」と言われ、少しだけ堀北の成長を感じた。
…平田、櫛田が安堵の息を吐いたのは気のせいだと思う事にしよう。うん。
「それで、夜も遅い。早速本題に入ろう。どんな内容の話し合いだったんだ?」
「…それは」「………」
「あれは話し合い、では無かったわね。よく言って脅迫、かしら」
「…脅迫?」
「………」
険のある言葉に眉を顰める面々と、「え?どゆこと?ポイントを貰える話し合いをしてたんじゃないの?平田君?」と無邪気に話し出す軽井沢。
しかし、内容を記したホワイトボードの写真を送られ確認するとその意味が分かる。
確かに、数十万のポイントが全てのクラスに配布されるだろう。しかしAクラスが得るポイントには及ばない。彼らは他クラス3つの得る金額よりも多くを得ようとしているのだ。
「馬鹿な…!こんな条件を呑めるはずがないだろう!」
「そうだよ!これ、めっちゃこっちが不利じゃん!半分もAクラスに上げるの!?」
「………」
それについても平田達からは最初はそう言った条件も無かったことや、当初の要求をBクラスと一緒に断った結果であることを伝える。すると啓誠は矛を収めて考え込むようになり、軽井沢は「最初から同意しておけばよかったじゃん…」と不満を表していた。
「ん、ごめんね軽井沢さん…」
「いや、平田は悪くない。俺がそこに居ても同じことを言った筈だ」
「幸村君?」
「え~…でもさぁ」
「それに、Bクラスも断ったんだろう?この提案は4クラスが同意が絶対条件だ。断るクラス1つでもある以上、結果は変わらなかった可能性が高い」
目を瞬かせる櫛田に平田。表情に出さないが堀北も少し驚いた様子で啓誠を見ていた。入学当初では信じられない言動だが、啓誠も学校生活や無人島試験を通して成長をしているのだろう。
「…堀北、聞きたいことがある」
「…ようやく口を開くのね。なにかしら?」
「BクラスとCクラスは、西園寺に何か聞いていなかったか?」
「え?」
「何でもいい。メモを渡したとか、後で話をしようとかそういう約束を交わした様子はなかったか?」
「あ…」
それに思い出したように堀北は龍園や一之瀬が話していたと答えた。内容までは聞き取れなかったらしいが、恐らく
「綾…清隆、何か気がついたのか?」
「恐らくだが、両クラスはAクラスに契約を持ちかけたんだと思う」
「契約?」
例えば、支払う金額の減額。例えば、支払いの納期の延長や分割払いなど。それを伝えると堀北は悔しそうな表情で掌を握りしめている。
「…迂闊だったわ。確認すべきだった」
「いや、堀北さんだけのせいじゃない。気付かなかったのは僕たちも一緒だ」
「…っうん、そうだよ」
「だがどうする?今から言って減額してくれるのか?」
「でもでも、半額は多いって!」
そう言って暗い面持ちになる堀北たちだが、恐らく平気だと伝えると再びこちらに皆の目が向く。
「綾小路君どういうことだい?」
「今回の一件、正直なところ西園寺らしくない」
「西園寺さん…」「らしくない?」
あまり彼女と面識がない啓誠と軽井沢は首を傾げるが、友人だったり人伝に聞きいている平田や櫛田は「確かに…」という様に考え込んでいる。
順を追って、その説明をしていく。
「まず一つ。今回のAクラスの作戦は何だ?」
「それは…結果①にして全クラスがポイントを得られるようにすることだろ?」
「他にも、クラスポイントを変動させない。Aクラスの地位を守る為でもあるわ」
「そうだ。次に、Aクラスが起こした行動は?」
「行動?…僕たちを呼んで作戦に協力させようとしていた…かな?」
「あとはAクラスの皆が先生たちに色々な事を聞いていたよね?」
「説明を聞いていた平田達は知らないだろうが、船の中では噂が広められていた」
「そうそう!みんな数十万ポイント貰える作戦だって!」
時系列を追って行くと、Aクラスは教師達に色々と質問をして、法則を見抜いた。
次に各クラスのリーダーたちに作戦への協力を要請した。
そして、(恐らく)Aクラス発信でポイントが貰えるとの噂話が船内に広がっていたのだ。
「平田達はさっきまでクラスの連中からポイントが貰えるかどうかの質問攻めにあってたんだろ?」
「うん、そうだね」「あはは…まあ、ね」
「つまり、俺達は
「………っそういうことか」「あ………!」
ハッとする啓誠や軽井沢に俺は続ける。
「俺の主観で言うが、西園寺はあまり敵を作ったり好戦的な性格じゃないと思う」
「…そう、だと思う」「えぇ」
「元々の西園寺の作戦は全クラス結果①にする、これで十分な筈だった」
だが、違った。Bクラスと俺達が断ったから?いいや、それなら保険をかければいい。現に俺達はクラスメイトにせっつかれて半ば結果①で行く他ない状況。保険はかかっている。
その上でポイントの半分をAクラスに渡すなんて、西園寺の作戦とは思えない。なら、他の
櫛田曰く、俺達よりも西園寺を知る生徒が居るBクラスとCクラス。その2つのクラスが、即決出来た理由は?
なにか融通を利かせたのではないか?それが決め手になったのだと思う。そう伝えると、平田や櫛田が理解をしたように明るい顔になるが、堀北は未だ考え込んでいる様子だ。
「………成る程、凄く納得できる理由だよ!綾小路君」
「でも、あくまで貴方の予想に過ぎないわ。なにか確証はあるの?」
「簡単だ。何故、高円寺が素直に契約に同意したんだ?」
「…え?」
この試験、日に2回。完全休が1日あるとしても明日から3日間計6回は集まって話し合いとやらをしなければならない。そんな事、あの自由人が素直に頷く筈ない。正解不正解を問わずとっとと指名して試験を終わらせるだろう。
「た、たしかに…」「ありえるね…」
「………」
「…なにかAクラスから、高円寺に便宜を図ったということか?」
「逆に言うが、アイツが無条件にそんな面倒な事に同意すると思うか?クラスよりも自分が貰えるポイントを欲しがりそうなやつNo1だぞ」
「言えてる~」
単純に、指名をすれば50万PPだ。それは今回の作戦の25万PPの倍。クラスポイントが増えれば、その分支給額も増える。高円寺が試験を面倒に感じたなら、やらない理由がない。
「そういえば、平田君。高円寺君が言っていたわよね?義理と道理と」
「あ、…あぁ、
「恐らくその時にはもう、Aクラスは高円寺に接触していたのだろうな」
「…動き出しが早すぎる」
啓誠は眼鏡を直しながらも、その指は震えている。その点は俺も内心驚いている。恐らくAクラス…西園寺は結果①を得る為に他のクラスの説得と噂の流布、同時に障害となる高円寺の説得を並行して行っていたのだろう。恐らく、安くはないポイントを放出している筈だ。
少し重い雰囲気になったが、沈黙の中に「ふわぁ~」と軽井沢の欠伸の声に少しだけ気が抜けた。チラリと時計を見るともう深夜と言っても良い時間だ。
明日も朝一に改めて相談する約束をして、解散となった。
「じゃあ明日の7時にまた」
「うん、皆お休みなさいっ!」
「ええ、お疲れ様ね。…やっぱり、あなたに相談して良かった」
「俺はお前達と違って話し合いには出ていない。そういう奴の方が、客観的に意見を言えた。それだけだ」
「え~でも、綾小路君けっこうスゴイよ!こう、どんどん意見出してて!普段とキャラ違いすぎ~」
「確かにな…」
「…次から俺は不参加で頼む」
「「「あはははは」」」
重苦しい始まりだった集まりだったが、最後にオチがついた。各々の笑い声を節目に、俺達は明日の為に船内の自室に戻るのだった。
・◇・
次の日の朝、けたたましいアラームにたたき起こされ、顔を洗って眠気を払うと啓誠と一緒にモーニングをやっているカフェ、待ち合わせの場所に向かう。
既に昨日のメンバー(マイナス軽井沢)は揃っており、コーヒーや軽食を置いてある。俺達もコーヒーをカウンターで注文し席に合流する。
「おはようっ、綾小路君、幸村君」
「おはよう、二人とも」
「…あぁ、おはよう。待たせたか?」
「おはよう、早いな」
「…おはよう、まだ時間前よ。それにあまり眠れなくてね」
そういう堀北は少し眠そうだが、コーヒーを煽って「昨日の件だけど…」と切り出した。
「現時点ではクラスで1075万PPがAクラスに流れる。…これを減額する方向で、交渉しようと思うのだけれど、あなたたちの意見はどうかしら」
「…うん、僕も賛成だ」
「私も良いと思うよ」
「そうだな、分割や遅らせても、Dクラスの奴らだと使い込んで払いきれるとは思えない奴がいるしな」
「うっ…」
「………」
堀北の意見には俺も含め全員が同意する。後はそれをいくらにするか、だ。
「―――私としては、出来れば半額。500万ぐらいまで減らせれば最上だと思ってるわ」
「半額…!」
「という事は、妥協するのも止む無し。…そういう事か」
「ええ。800万から900万…そうなっても認める他ないと思う」
「そうだね…うん、良いと思うよ」
仮に、1075万を500万に減額できれば残るのは1650万、クラス一人当たり40万あまり。これはかなりの譲歩になる。
もし800万や900万だったとしても得られる金額は大金だ。残せれば残せるほど。そう、多いに越したことはない。
昨日、堀北に送ったメールを随分と
…
「あとは、これをいつ伝えるか…なんだけど」
「…あまり時間は残されていないな」
「あ!それじゃあ私から撫…西園寺さんに連絡入れようか?」
「お願いできるかな?櫛田さん」
「任せてっ!」
そういってスマホを取り出す櫛田を皮切りに、コーヒーの御代わりを取ってくる平田、不安げに貧乏ゆすりをしている啓誠。腕を組んで目を瞑っている堀北。
すると連絡が付いたのか、櫛田が「時間を作ってくれるって!」と告げるとみんなの雰囲気が明るくなる。
「本当かい!櫛田さん」
「うん、西園寺さんも起きてたみたいで。私これから会って来るね!」
「え?今からかい?それなら僕らも―――」
「ううん、大丈夫!連絡するから待っててね!」
「あ、あぁ…」
「頼んだ」
そういうと、パタパタとコーヒーを片付けてその場を去る櫛田。それを皆でポカーンとしながら見送る。咳払いをした堀北が空気を引き締めるも、俺達は空返事を返すしかない。
「みんな~お待たせ~!」
「おかえり、櫛田…さ…ん」
―――そうして待っていると、櫛田が戻ってきた。
「き、桔梗?私もお邪魔して本当によろしかったのですか?」
「うん!平気だよ~あ、撫子ちゃん何飲む?」
「え?ええと…」
何故か、西園寺本人を連れて。…どうしてそうなった?
――――――――――――
※撫子の自室にて
「―――――」
「あ、撫子。ごめんごめん朝から…って、またそんな恰好で…もう、…え?私だから?…仕方ないなあ、撫子は…」
「――、―――」
「昨日の件なんだけど、お願いいい?」
「――?、―――、―――――」
「ちょっとで良いから支払う金額を減額して欲しくって…そのお願いに来たんだけど…」
「―――」
「ダメ…かな…?」
「――――、―――」
「ホント!?良いの!?…やったぁ!ありがとう!!」
「――♪、―――!」
「それじゃあ一緒に朝ごはん食べに行こっ♪」
「―?―――」
「大丈夫大丈夫、私に任せてっ!…あ、でも驚かせたいから、お願いがあるんだけど…」
「――――――?」
―――私が"お願い"って言うまで、この件はナイショにして欲しいんだっ♪
読了ありがとうございました!
次回は契約締結…まで行けるといいなあと思います。
番外編もちょこちょこ書いてるのと、GWはマジで忙しいので更新は明けてからになるかもしれません。
またこういうのをって言うのがあればお待ちしております。
それではまた次回、お楽しみに。
正直、船上試験では誰視点で進めて欲しいですか?候補上げるのでオナシャス!(初と書いてあるのは視点が初めてのキャラなので、主人公との絡みイベントが発生する可能性あり!)
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綾小路清隆
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堀北鈴音
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櫛田桔梗
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初・軽井沢恵
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龍園翔
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椎名ひより
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初・真鍋志保
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一之瀬帆波
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神崎隆二
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初・姫野ユキ
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坂柳有栖
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葛城康平
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橋本正義
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初・戸塚弥彦