ようこそ(勘違い)大和撫子の学校生活へ   作:エカテリーナ

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お待たせいたしました。GWも後一日。

前回の続きから、また綾小路君視点で進めて参ります。
ちょっと説明会が長いですが、次からはもっと会話パートが増えるかと。

お楽しみ下さい、どうぞどうぞ。


⑤:茶番と本番。…○○番?

Side.綾小路

 

俺は、俺達は何を見せられているんだろうか…。

 

 

「撫子ちゃん~ねっ?ねっ?つんっつんっ!」

 

「あぅ…桔梗、あまり皆様の前で…ん、こらっ」

 

「えいっ♪、えいっ♪」

 

「…………」

 

「………っ」

 

 

猫撫で声の大天使櫛田エルが、Aクラスの大和撫子、西園寺と同じ椅子に座り、抱き着いて、…こう、なんだろう。キャットファイトで良いんだろうか。…濃厚に絡み合っている。

目の前の光景に、目を離せない。普段なら咎める様な堀北や啓誠、仲裁する平田もゴクリと音を立て、生唾を呑んでいるようだ。

 

 

「…あむっ」

 

「にゃ、ちょっと、…っ、皆様の前ですよ…桔梗っ」

 

「え~、でもでも、撫子ちゃんが良いよって言ってくれたら、止めてあげるっ♪」

 

「で、でもそれはっゃっ………うぅ…!」

 

「それは~?」

 

「…………」

 

「…………」ダラダラ…

 

 

二人の絡みはドンドン過激になり、西園寺の表情も熱が籠り、めちゃめちゃ色っぽい。

…静かだと思ったら啓誠、鼻血出てるぞ。止めろ。卓上のペーパータオルを掴み取って渡すと、「あ、あぁ…」と空返事をしてくる。本格的に機能不全(ダメ)みたいだ。

 

 

「あっもしかして撫子…続けて欲しいのかにゃ~?」

 

「なっ…そんなこと、ある訳…ひゃんっ」

 

「はむはむはむっ…♪」

 

「やっ…甘噛みっしないでぇ…。っ!?み、皆様…みな…やぁ…っ…!」

 

「………」

 

「………」

 

「………(どうしてこうなった)」

 

ニャーニャー! ニャァー♪

 

 

ボルテージを上げていく光景から現実逃避をして、俺は少し前に意識を向けるのだった。

…おい堀北、スマホを向けるのは止めろ。それはシャレにならない。西園寺が涙目だぞ。…後で俺にも送れ。

 

 

・◇・

 

 

櫛田が西園寺を連れてきたのは、出て行ってから10分ほどしてからだろうか。困り顔の西園寺の腕を引いて朝食まで選び、遠慮がちな西園寺を席に座らせた。

オロオロした西園寺と、その横に満面の笑みで座る櫛田の姿に、あの堀北すら無言を貫いていた。

選んだ軽食をフォークで口に運び(あーんして)、恥ずかしそうな西園寺に食べさせること数分。チラッと見た時間的にあまり余裕はないが、渦中の人物がここに居るなら遅刻による契約不履行にはならないだろう。

 

その後、本題とばかりに櫛田が「皆を説得する為にも減額が出来ないかな?」「今後、協力する事があれば皆に全力を尽くす様に促すよ」等等、割と感情論よりも実利を仄めかす説得をしていて感心するも、相手はAクラスきっての大和撫子(リーダー格)

 

誠心誠意という態度を崩さずにあくまでAクラスの、今試験のリーダーとして「自分の一存では…」と申し訳無さそうな顔で首を横にふる。

(そりゃそうだろうな…)、と俺と啓誠が思い、(もしかしたら…)と平田も内心でため息をつく。

…すると、唐突に櫛田が「にゃー!」と叫ぶと西園寺に襲い?かかった。

 

一時、堀北が暴力行為だと咎めるも「スキンシップだよ!」とカウンターを受け、沈黙。周囲の生徒や店の店員もなんだなんだと見ていたが、美少女二人のじゃれ合いと思ったのかそれまで大事にはなっていない。

…いや、ガン見してる奴らもいるか。そこそこ大事だな、これ。

 

 

「ほれほれ〜良いって言わないともっとくすぐっちゃうぞ〜」

 

「で、でも…桔梗…コレは試験で、私達は競い合う別のクラスなんですよ…?」

 

「むぅ…それなら、私達がAクラスと積極的に戦うのはBクラスに上がってからとかならどう?」

 

「え…?」「なっ…!」

 

「………(悪くないな)」

 

 

意外と悪くない提案だ。素晴らしいのは()()()という予防線をしっかりと張っている点だ。今回のような乱戦ならAとは直接やらない、だが直接対決ならいくらでも言い訳は立つ。

 

思わず腰を上げかけた啓誠に目で咎め、趨勢を見守ることにする。

 

空手形で実利を得られるなら、あとは櫛田の持つ他クラスへの関係値(コミュニケーション能力)次第だ。

案の定、西園寺も先程と違い吟味しているように見え「あんっ…!」る。…櫛田、今はやめてくれ。というか胸を揉むのは健全な男子がいる前では止めてくれ。

 

 

「ね?撫子ちゃん、()()()っ!…ダメ、かな?」

 

「……!…わ、分かりました。分かりましたから…!もう………桔梗……悪乗りが過ぎるのでは…?

 

「ほんとっ!?ありがとう~撫子ちゃん、だ~い好き~♪」

 

にゃっ…!もぅ……

 

「…マジか」

 

 

まさかの櫛田の粘り勝ちだった。満面の笑みで西園寺に抱き着き、西園寺もそんな櫛田の頭を苦笑交じりに撫でている。なんていうか、睦まじさというか、親愛を感じる…そんな一幕だ。

―――ゴホン、堀北の表情がヤバいから話を本筋に戻すか。

 

 

その後、撫子は金額についてはこの後の集まりで話を進めた後、時間を取ることを約束。…堀北の差し出したスマホのボイスレコーダーにも嫌な顔一つせずに応えてくれた。

…順調だ。………なにか、予定調和のように感じるのは俺の気にしすぎなのだろうか。…いや、そうだったとしても()()()()()。少なくとも、櫛田がDクラスで居る限りは、その恩恵は俺達Dクラスも受ける。…そう、問題はない。

 

 

―――〇―――

Side.神崎

 

 

今、この一室に集まっているのは全クラスの中心メンバーたちだ。

Aクラスから西園寺と葛城、橋本、神室。

俺達、Bクラスからは俺と一之瀬、白波、柴田が。

Cクラスは龍園と石崎、山田アルベルト。

Dクラスは堀北、平田、櫛田、綾小路。…高円寺と、後は…確か、平田の彼女だったか。Dクラスが最も参加者が多いな。

 

20人が優に入れる一室だが、各々が牽制し合うように距離を取っている為あまり広くは感じない。時間は8時を少し回った程。ついさっき一斉にメール届き、各々のクラスに優待者の有無が通達された。

西園寺から「各クラスの全ての生徒にメールを送らない様にして欲しい」と頼まれた俺達は、各々が先ほどまでメールや電話を駆使して先走らない様にと連絡を繰り返していた。

 

最初にCクラスが。次に俺達Bクラスが連絡を終え、Dクラスが途中から高円寺がノックなしに入室すると行儀悪く席に着き、櫛田と綾小路がスマホを置いてようやく話を進められそうだ。

 

 

「ククク…やっとか。流石Dクラス、協調性のカケラもねえな」

 

「フッフッフ、そうとも、ドラゴンボーイ。私に協調性など必要ない。必要なのはこの私ただ一人で十分なのさ」

 

「……あ゛?そのふざけた呼び方は俺に言ってんのか?落ちこぼれクラスの裸の王様がよぉ…!」

 

「王様とは分かっているじゃないか、ドラゴンボーイ。ただ目は良くないらしい」

 

「―――」

 

 

急に殺伐とした雰囲気に、いつでも動けるように身構えると柴田も続いてくれる。一触即発となった空気を止めたのは、今回の話し合いの()()()だった。

 

 

「あの、龍園君、六輔君も、ご歓談中に申し訳ございません。…お時間もあります。他の方もお待ちなので、お話し進めてもよろしいでしょうか?」

 

 

…西園寺、凄いな。皆ポカンとしているぞ。…いや、高円寺はニヤニヤしてるな。

 

 

「勿論だとも、撫子嬢。また私に()()()な話を聞かせてくれたまえよ」

 

「………チッ、命拾いしたな。…西園寺、始めろ」

 

「はい。…それでは皆様、クラスの方々にご連絡ありがとうございました。どなたか、連絡がつかなかったり問題はございませんでしたか?」

 

「あぁ」「大丈夫」

 

「当然だな」「………」

 

「問題ないよ」「大丈夫!」「…あぁ、こっちも平気だ」

 

 

各々が頷きを返すと、西園寺は再び丁寧にお礼を言って契約書?を各クラスに配って回った。俺達は一之瀬に渡された契約書にそれぞれ目を向ける。

 

 

―――

 

Aクラス-Bクラス間 契約書①

 

1.本試験の終了アナウンスまで、優待者指名メールの送信を禁止とする。

2.試験終了後の午後9時30分以降にのみメールを送る事とし、自分自身以外によるスマホの操作・閲覧に同意するものとする。

3.スマホはロックを外した上で代表生徒に渡し、指定の部屋に保管するものとする。

4.本契約に同意する場合、以上の全ての項目に同意するものとする。

5.【1】【2】【3】【4】全てが満たされた場合、契約書②の条件を満たすものとする。

 

 

Aクラス代表生徒名:

Bクラス代表生徒名:

 

同意者記入欄・・・

 

―――

 

…割とガチガチに決められているんだな。スマホを取り上げれば、確かにメールを故意であれわざとであれ送信は出来ない。Aクラスの用心深さが伺えるな。一之瀬が俺達に読み終わったかと視線で聞いてくるので、頷くと契約書の2枚目をめくる。

 

―――

 

Aクラス-Bクラス間 契約書②

 

1.契約書①が満たされた場合、下記の何れかを結果に従い得るものとする。

 

Ⅰ-全てのグループが結果①となった場合。

■BクラスはAクラスへ、試験終了後に受け取ったPPの合計の内、      を、翌日までに代表生徒に振り込むものとする。

※Ⅰの振込金額が試験終了日午後9時30分までに決定しない場合、獲得の50%のPPを振り込むものとする。

 

Ⅱ-いずれかのグループが結果①でなかった場合。

■結果③を出したグループがA、またはBクラスの場合、相手クラスに結果①で得られたはずのPPの不足分を振り込むものとする。

■結果④を出したグループがA、またはBクラスの場合、相手クラスに結果①で得られたはずのPPの不足分を振り込むものとする。

 

2.本契約の合意は両クラスの担任の立ち合いの下に結ばれ、PPの不足分の支払い履行については生徒会役員、西園寺撫子監督の下に厳正に執り行うものとする。

 

―――

 

 

()()()()、支払うポイントについてはこれから応相談出来るようだ。この辺りは一之瀬と西園寺の日頃の縁によるところが大きいな。

 

俺達は契約書について問題ないことを小声で確認し合うと、西園寺に視線を向ける。他のクラスも回し読みが終わった様子を見て、西園寺は「この内容で問題ございませんか?」と声をかける。

 

俺達が頷き、Cクラス・Dクラス共に同意をすると西園寺が少し緊張したような、神妙な面持ちで姿勢を正し全員に告げる。

 

 

「では皆様、また()()()()()()()()()はこちらからご連絡致します。クラスの方々のサインと()()()()()()をお願い致します。…葛城君も、お願いします」

 

「…ああ、勿論だ。連絡しよう」

 

「…フン、いいだろう。…石崎」「はい、龍園さん!」

 

「うん、了解だにゃ、撫子♪」「………(やはり他のクラスも…)」

 

「じゃあ僕は―――」「うん、私は池君たちと―――」

 

 

そう言って室内は一気に騒がしくなる。だが、()()はここからだ。一刻も早く契約を終えて、支払いの金額交渉を始めなくては。撫子の発言から、他のクラスも金額の交渉をしているのは間違いない。

俺は一之瀬と目で頷き合い、早足でクラスメイト達の元へ向かうのだった。

 

 

―――〇―――

※数時間後、スマホの保管室にて

 

 

………ピッ…

 

 

 

……………ピッ、ピッ

 

 

 

 

…………………ピピッ

 

 

 

 

「………………………………………………成る程。そう言う事でしたか」

 




読了ありがとうございました。
最後のは、どういう事か分かった方、居ると嬉しいです。…露骨かな?
次回もお楽しみに!

正直、船上試験では誰視点で進めて欲しいですか?候補上げるのでオナシャス!(初と書いてあるのは視点が初めてのキャラなので、主人公との絡みイベントが発生する可能性あり!)

  • 綾小路清隆
  • 堀北鈴音
  • 櫛田桔梗
  • 初・軽井沢恵
  • 龍園翔
  • 椎名ひより
  • 初・真鍋志保
  • 一之瀬帆波
  • 神崎隆二
  • 初・姫野ユキ
  • 坂柳有栖
  • 葛城康平
  • 橋本正義
  • 初・戸塚弥彦
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