ようこそ(勘違い)大和撫子の学校生活へ   作:エカテリーナ

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船上試験、最終回です。
次回からは船の上イベント~夏休みイベントで進行します。

アンケートは継続。
感想お待ちしております!!…お待ちしております!!


⑦:回答のない答え合わせ。

―――〇―――

Side.星之宮

 

 

この場に居るのは4クラスの担任教師。撫子ちゃんから上がった申請について、相談をする為に集まったんだけど、多分これはどのクラスも同意しちゃうんじゃないかな…。

 

 

「―――という訳で、Aクラスの西園寺からの申請。…十分許容できる内容ではあるので検討したいと思います」

 

 

そういって皆の端末に来ているメッセージに目をやると、そこに書いてあるのは“特別試験についてポイントを支払うことで開催の期間を短縮して欲しい”と―――まあそんな話だ。

実際、全クラスであの契約がされているからこれ以上の番狂わせは起きない。…それだったら、まあいいんじゃない?っていうのが個人的な意見だけど。…むむむ、周りも「良いかも…」って雰囲気になってるね!流石撫子ちゃん!

 

 

「具体的に、どのくらい短くするんです?」

 

「西園寺本人の希望としては、本日の9時30分に終えたいとの事です」

 

「本来、あと3日かかる試験を初日に終える訳ですか。…生徒達が同意しますかね?」

 

「そこは、午後の以降…2回目の話し合いの時に同意するかどうかを確認して対応しようかと」

 

「メールで…あぁ、そうか。生徒達は今、スマホを預けているのでしたね。」

 

「なら私は、回答できるように集計用紙の用意を―――」「私は―――」

 

 

そういって皆が撫子ちゃんの提案に沿う形で動き出す。かくいう私も、早速とばかりに明日からの()()を組むことにする。

準備が整うと、次の話し合いの部屋へと用意したそれを設置するのでした。

 

…ちょっと、佐枝ちゃん。何もしなかったのは悪かったけど、私が置いてくる分多くない?…あ、神崎君!一之瀬さ~ん、丁度い…ん゛ん、ちょっと手伝って欲しいことがあるんだけどっ!

 

―――ふふ、試験のアレコレも早く終わるし、今日もお酒飲めるわよ~♪

 

 

―――〇―――

Side.橋本

 

 

《船内の生徒の皆様にお知らせします。次回の話し合いにおいて、ある提案がされました。生徒の皆様は、話し合い終了までに賛成か反対の何れかの投票をお願いします。またこの結果については匿名性を―――》

 

 

繰り返し船内に流れるアナウンスを咀嚼して、目の前の彼女に目を向けると少し気恥ずかしそうに微笑まれた。

 

 

「この放送…撫子ちゃんが?」

 

「ええ。()()()()()()()()()…その提案です。最終日までまだ時間がありますし、折角なら…少しでも早く、皆様が夏休みを満喫できるようにと」

 

「そう…」

 

「へえ…優しいな」

 

 

そういってアイスコーヒーのストローでカラン、と氷を弄ぶ撫子ちゃん。だが、表情から陰というか、後ろめたさの様な気配を感じる。神室も同じなのか、いつもよりも撫子ちゃんの顔をじっと見ているように感じた。

 

「それで…本当は?」と声を潜めて聞くとスッ、と顔を逸らされる。やっぱり何かある。そう感じて、「内緒で教えてくれよ」と続けて、反応を待つ。

 

 

「………っその…」

 

「………」

 

「………」

 

「………?」

 

「………撫子?」

 

「………実は―――「おい!西園寺!!」」

 

 

何か続けようとしたその間際、カフェに相応しくない奴が怒鳴り込んできた。…チッ、本当、邪魔な奴だな。

 

 

「戸塚君?」

 

「はぁ…葛城はなにしてんのかね?」

 

「同感…」

 

 

顔を真っ赤にして俺達の居る席に来た戸塚に、思わずため息が出る。この点については、神室も同意見みたいだ。その様子に更にヒートアップしている戸塚に、周りも迷惑そうにしてる。

 

 

「っ!お前らに用は無いんだよ!―――おい西園寺、なんだよ!他のクラスから貰えるポイントは1000万じゃなかったのか!?」

 

「それは…葛城君には説明しましたが、契約を締結する為に必要な譲歩でした。それを越えての締め付けは、他の方々の反感を受ける可能性があります…ですので、」

 

「だからって!なんでDクラスが500万なんだよ!!あんな、不良品クラスの、不良品共なんかに…!!」

 

「っ―――」

 

 

そこまで言った時点で、周囲のAクラス以外の連中はざわついている。…ダメだなコイツ。早く、何とかしないと。

てか神室。デジカメで動画で撮るのは賛成なんだが、もうゴミを見るような目で戸塚(アレ)を見てんな。…てかそのデジカメ、島で使ってた奴か?

 

そういってニヤニヤしていると、ガタリと撫子ちゃんが席を立った。…思わぬ行動に、息を呑んでいると…なんと撫子ちゃんが、毅然とした態度で反論を始めたのだ。

 

 

「Dクラスの皆様は不良品ではありませんっ…!」

 

「…!」「………な、撫子?」

 

「…最初の期末試験、その後のクラスポイントの推移も。先の無人島試験の結果も、そして、今回の試験で譲歩も。…全て、Dクラスの方々が力を尽くした成果です…!」

 

「な…っな、な…!」

 

「………」「………」

 

 

反論を予想もしていなかったのか、面食らったような戸塚はそのまま口をパクパクとさせるだけで何も声が出ていない。俺も、そして神室も、周囲の奴らもシン…としてしまっている。

―――今まで、西園寺撫子という生徒がここまで感情的になったのは初めてみた。それは俺だけじゃない、多分神室も、…もしかしたら姫様もそうだと思う。

 

 

「私達は確かにAクラス…最もクラスポイントを持つクラスであるのは事実です。…しかし、順位(それ)を笠に着て下位のクラスを馬鹿にして良い理由は何処にもありませんっ…!」

 

「う、うるさいっ!!…そうだ!どうせ、今回も他のクラスと一緒になって、Aクラスを裏切ってるんだろ!?この裏切り者が!!」

 

「………っ」

 

 

感情的って言ったが、傍から見たら冷静な態度だったから、ただ切れるようなものより、更に強い怒りを感じた。

正論で図星を突かれたのか、感情的な反論しか出来ない戸塚(バカ)はギャーギャー騒いでいたが、その罵声を止めたのは俺でも、西園寺でも、何ならAクラスの生徒でもなかった。

 

 

「よう、撫子。…ついさっきぶりだなあ。この放送は、お前が関係してんのか?」

 

「龍園君…?」

 

「な、なんだ…お前は「Cut it out!(黙れ)」――ひっ…!」

 

 

カフェに入ってきたのはCクラス。龍園翔とその側近、山田アルベルトだ。戸塚なんて目にも入れてないような態度の龍園に、噛みつくが、相手が悪すぎる。

身長差で見下ろされてビビった戸塚は、山田に一喝されて凍り付いている。…モロに外国人然とした凄みに、奴だけじゃなく周囲もビクリとしていた。…もちろん俺もだ。

 

 

「アルベルト、俺の分の飲み物を取ってこい」

 

「Yes,Boss !!」

 

「……ちゃっかり座ってるし

「……いや、静かになったから良いだろ

 

「さて、…で、目的は何なんだ?」

 

「え?え?あの、龍園君…?」

 

 

おろおろする撫子ちゃんに、「なあ良いだろう?俺とお前の仲じゃねえか」と情報を聞き出す龍園。…一連の流れは、明らかに撫子ちゃんを庇っての行動だとは思う。ついさっき、1回目の話し合いでもしきりに話しかけていたし今も一対一(サシ)での話を続けているしな。

 

途中、戸塚がぼそぼそと口を開くと「まだ居たのか?無人島試験の()()()()さんよぉ…?」と龍園に地雷を踏まれ、顔を真っ赤にして爆発しそうなタイミングで騒ぎを聞きつけた葛城派の連中に連れてかれた。…そいつらの目も戸塚を厄介者として見る目で、アイツももう長くないなと思っていると、ようやく店内に静けさが戻った。

 

 

その後、撫子ちゃんが各テーブルの生徒達に謝って逆に心配されて戸塚のヘイトが爆上がりしたり、

龍園がアナウンスの内容を聞いて、同意の条件として撫子ちゃんとディナーの約束を取り付けたり、

神室が目の前で龍園と食事なんてして平気か?と聞いて血の気が引いたり。ちょっと、…いやかなり疲れた昼の一幕だったな。

 

 

―――〇―――

※試験終了時刻 船上のカフェテラスにて

 

 

『以上を持って試験の全てを終了します。結果は下記の通り―――』

 

子,丑,寅,卯,辰,巳,午,未,申,酉,戌,亥、のグループにおいて、

試験終了後グループ全員の正解により結果1とする。

 

Aクラス・・・変動なし プラス2100万Pr

Bクラス・・・変動なし プラス2150万Pr

Cクラス・・・変動なし プラス2150万Pr

Dクラス・・・変動なし プラス2150万Pr

 

・・・

 

 

番狂わせはなく、船内の至る所で歓声が上がる。声が最も大きかったのはDクラス。最初の4月を除き、十万の位までPrが増えるのは初の事だ。中には涙を浮かべている生徒もおり、夏休みの予定を思い思いに相談していた。

しかし、Aクラスを除きその全てを受け取れる訳ではない。Dクラスの場合は、クラスを牽引する平田と櫛田の一声で各々が得たPrを集約させている。…一部、支払いを渋る山内(もの)も居たが、須藤(ゆうじん)の肉体言語であえなく撃沈していた。

 

 

「綾小路君」

 

「…堀北か」

 

 

綾小路は得られた50万Prの内、10万Prを櫛田に送りながら訪れた堀北の方にチラリと顔を向ける。憮然とした面持ちは、試験をAクラスの思うままに進められた不満や、自分自身の実力不足を悔やむ感情を秘めたものだった。

 

 

「今回の試験、私は…Dクラスはどうすべきだったのかしら…」

 

「それは、質問か?それとも独り言か?」

 

「………前者よ」

 

「…(少しは丸くなったな)…俺の考えは、傍観者としての面が強い。お前達、当事者として見聞きしても、直ぐに思いついた保証は何処にもないぞ」

 

「それでもよ」

 

「………」

 

 

夜風が強くなり、人影が少なくなったテラス席で、二人の視線が交錯する。

静寂を破ったのは、綾小路でも堀北でもなかった。

 

 

「―――その話、僕も聞いていいかな?」「…二人とも!お疲れ様だね!」

 

「平田君。…櫛田さん」

 

「あ!私も私もっ!」

 

「軽井沢か…」

 

 

訪れたのはDクラスのリーダー格(+1名)。集まった主要陣の視線を受けて綾小路は、ため息を吐いた後に試験について口を開くのだった。

 

 

「そうだな…俺だったら、まずスマホは―――」

 

 

 

・◇・

 

 

『―――スマホは教師に預けさせ、そして操作については持ち主が見ている前でのみ操作可能と契約書に含めさせます』

 

「?…それで撫子の作戦を止めることが出来るの?」

 

『えぇ。…勿論、こんなものはただの凡手。撫子さんの作戦が()()()()()()…と、仮定した場合の対策にすぎません』

 

 

船内のサロンの一室。その場にいるのは坂柳陣営、その側近―――不満なものもいるが―――の橋本、神室、鬼頭の三人。スピーカーモードのスマホから流れるのは、派閥の長である坂柳有栖の声だ。

 

その話題は、奇しくも最下位(D)クラスと同じ内容だ。報告も兼ねた通話で、クラス派閥における蝙蝠―――橋本から坂柳に聞いた、『姫さんならどうやって対抗する?』という思考実験(ゲーム)だった。

 

 

『先ず…そうですね、撫子さんが起こした行動を、影響を、一つずつ挙げてみて下さい』

 

「ん?そうだな…まず、クラスの連中を使って教師を質問攻めにしてたな」

 

「次は、他クラスの連中に交渉を迫ったわね」

 

「………その時には、西園寺は法則を解いていた。連中に要求を拒むことは出来ない」

 

『…ふふっ……!皆さん…』

 

「…?姫さん?」

 

 

三人が思い出しながら起こった事を上げると、電話の向こうからはまるで目に浮かぶような、情緒を含んだ笑い声が聞こえてくる。

そうして訝し気に返事を返す橋本に坂柳は、まるで宝物を見せびらかす様に、ひけらかす様に。その()()を告げた。

 

 

『皆さんは一体いつから―――撫子さんが、法則を解いたと思っていたんですか?』

 

「「「………は?」」」

 

 

・◇・

 

 

「…どういう事なの?綾小路君。()()()()()()()()()()()()()()()()()だなんて…」

 

「事実だ。なあ、平田」

 

「え?…なんだい?」

 

「なんで、“西園寺が法則を解いた”と思ったんだ?」

 

「え…それはAクラスが…」

 

 

それは、Aクラスがああも活発に動いていたから。

それは、Aクラスが自信を持って試験を終わらせると脅迫してきたから。

それは、あまりにも働きかけが早すぎたから―――

 

高円寺六助がAクラスに同意したから、Cクラスが良い条件で契約したから、Bクラスが交渉をしていたから、クラスメイトから要望があったから、他にも、他にも…。

ありとあらゆる点で、Dクラスは、契約をするように誘導されていた。

 

()()()()()()()()なんて、何処にもないのに、だ。

 

 

顔色を悪くした面々に、それでもと口を開くのは平田の彼女である軽井沢だ。彼女はこの面々の中では成績は高くはない。

だがそれでも、()()()()()()には秀でたものを持っていた。

 

 

「いやいや!ちょっと待ってよ!西園寺さん、あんなに()()だったよ!?…それに、現に今、ポイントは振り込まれたじゃんっ!?てことは、優待者のことを、西園寺さんは知ってたって事でしょ?」

 

「…軽井沢が西園寺に会ったのは、契約が決まって、金額の交渉の時だったよな?()()()()()もう、西園寺には優待者が分かっていたんだ」

 

「はぁ?…いや、全然わかんないんだけど…結局、分かってたの?違うの?」

 

「順番が逆だったのさ。…()()()、西園寺は契約を決める時には優待者は分かっていなかったとしたら…。それが何故か、次の日には判明していた。…この間に、一体何があった?」

 

「…なにが…って、えっと契約を結んで…」「私達とクラスの皆のサインを契約書に書いたよね?」

 

「……………………………………………………あ」

 

「そうそう、それでその後―――」「………」

 

 

・◇・

 

 

「…………ぜ、全員の()()()()()()()…そういうことか…!」

 

『ふふふ…』

 

「………どういうこと?」「………」

 

 

腰を浮かせて驚く橋本と、ピンと来ていない神室。それをクスクスと笑いを溢れさせながら、坂柳はその推理をする。…(さなが)ら、物語の名探偵のように。

 

 

『大雑把にまとめると撫子さんの作戦は、こうです。…クラスメイトを使って視覚的・状況的に後手を踏ませたと他クラスの不安を煽る。クラスのポイントを盾に脅迫して。余裕を奪う。そして契約手順の一つのような気軽さで、()()のスマホをあっさりと手にしました』

 

「…スマホを集めたのは、抜け駆けを出さない為でしょ?」

 

「そう、だけどそれ以外にも、スマホがあればもっと大事な事が分かるんだよ」

 

「……!…優待者の情報、か」

 

『正解です…♪』

 

「あ…!」

 

 

思わず手を口に当てて、驚きを見せる神室。鬼頭も普段より、表情には驚きの色を見せている。…他より一歩先に真実に気が付いた橋本は、引き攣った笑みのまま興奮か、恐れからかその身を震わせていた。

 

 

・◇・

 

 

『もちろん、撫子さんが法則を普通に見抜いていた可能性もゼロではありません。』

 

 

「だが外した場合のリスクを考えれば、不確定な予想に全てを委ねるなんて出来ない。…1()()()()に知ることの出来る情報は、そう多くはない」

 

 

『そこで、撫子さんは考えついたのでしょう。…保険はいくつあっても良い…。そして、もっと確実な作戦を』

 

 

「法則なんて後で良い。優待者の書いてあるメールが届く、()()()()()()()を確保する。…これが、西園寺の作戦だ」

 

 

『その為の、試験開始()()の速攻。契約における、各クラスへの譲歩。そして動きを封じる契約書(タテマエ)。』

 

 

「あれこれと条件を付けて迷わせたのも、3日も前倒しで試験を終わらせたのも、この事実に気付かせない為だ。…いや、気が付いても、何もさせない…()()()()ように、か」

 

 

『Aクラスで最も影響力のある彼女が、満座の注目を集め堂々と嘘をつく。…ふふ、本当に、撫子さんは素敵な好敵手(かた)です♪』

 

 

「もし、そんな西園寺の策を破るとしたらそれは―――」

 

『もしも、撫子さんの作戦を破るのであれば…』

 

 

・◇・

 

 

「―――クラス間の、同盟…?」

 

「あぁ、()()は一緒。…そうだろ?」

 

 

そう言って笑う男―――龍園と、眉を顰める一之瀬。BクラスとCクラス。相争う関係を孕んだ両クラスのトップは、配下(クラスメイト)を、あるいは仲間(クラスメイト)を背に引きつれて、船内の廊下で対面していた。

偶然であったこの邂逅を有意にした龍園は一歩進み、その手を差し出した。瞠目する一之瀬に、龍園は言葉を続ける。

 

 

「Aクラスは()()だ。それ以外のクラスが単独でぶつかっても、勝ち目は薄いだろ」

 

「………」

 

「島の試験。…そして今回の試験で、過去の遺恨は流したもんだと、俺達は思っているんだが?」

 

「…私たちは、君たちをまだ許したつもりはないよ」

 

「許しは要らねえさ。()()()()()じゃあ無えんだ。お互いに利益を求めて、手を組む。…それだけさ」

 

 

お互いに口を開かない。数分の間、痛いほどの沈黙が廊下を支配する。

―――そうして、俯いていた表情を上げた一之瀬の表情をみて、龍園は獰猛な笑みを浮かべる。

 

 

「………慣れ合いはしないよ?」

 

「…ククク、()()()じゃねえか、一之瀬。そりゃこっちのセリフだ」

 

「そうかもね。…うん、そうだねっ」

 

 

言葉とは裏腹に、握手をして意思表示をする二人。その意図は、誰が見ても分かる同盟の締結だ。

騒めく配下に目配せをして、その場の散会を伝えるリーダー達。残るは自分たちだけになると、すれ違う際にお互いだけに聞こえる音量で伝え合う。

 

 

「別に契約書はいらないよね?」

 

「あぁ、()()()()って奴さ。Aクラスを潰して、追い堕とすまでは、な」

 

「分かったよ。じゃあまたね、龍園君。…私はこれから撫子と約束があるからさ♪」

 

「そうか、じゃあ仕方ねえな。…俺も撫子とディナーの約束があるんでな。先に失礼するぜ」

 

「………」

 

「………」

 

 

今度はお互いに笑顔だ。…ただ、笑顔というのは本来、威嚇行為である。

自分の敵を、邪魔者を見る目で、視線で、二人は火花を散らす。

 

 

「(撫子(あの子)は………渡さないっ!)」

 

「(撫子(アイツ)は、俺の獲物(モン)だ…)」

 

 

お互いに同じものを得る為の協力。

―――今ではないが、遠くない未来に必ずお互いが喰い合う。その時までの()紳士同盟が結ばれた。

 

 

―――◇―――

 

ヴー、ヴー

 

 

「!…ふふ、皆さん、すいませんがこの試験の()()()()()から連絡が来たので、一度切りますね?」

 

『あ、あぁ…分かったぜ』

 

「では。―――もしもし、…ええ、本当にお疲れ様でした、撫子さん」

 

『―――、――――』

 

「いいえ、そんなことはないです。そういえば、()()()に聞きましたが…また、絡まれたようですね?」

 

『―――!、――、――!』

 

「ふふ…お優しいのですね。葛城君のお友達は邪魔はしていても力になったとは思えませんが…」

 

『―――』

 

「…まあそれは良いでしょう。それで、何か御用だったのでしょう?」

 

『――――。―――――』

 

「…それは。…もしかして、その為に?…ふ、ふふ…!」

 

『―――?』

 

「いえいえ、驚いていただけです。ええ、大丈夫ですよ?私と私のお友達は、全面的に支持します」

 

『!』

 

「葛城君のお友達は煩いでしょうが、大丈夫です。私に任せて下さい♪」

 

『―――?―、―――』

 

「えぇ、撫子さんは撫子さんの思うままに動いて下さい」

 

『―――、―――♪―!―――』

 

「…え?いえ、そんな」

 

『―!―――、―――』

 

「あの、…ええ、分かりました。謹んでお受け取り致します」

 

『―――♪』

 

「…ふふ、意外と強引なのですね、撫子さんは。…ではこちらからもお願いがあるのですが」

 

『―――?』

 

「お食事の約束をしていましたが、折角ならどこかに遊びに行きませんか?」

 

『―――ええ、喜んで』

 

「ふふ…。デート、楽しみにしていますね。では、おやすみなさい」

 

ピッ…。

 

「―――ふふ、きっと龍園君も驚きますね。…出来ればその場に居たい程ですが。…真澄さんに、お願いしておきましょうか」

 

 




読了ありがとうございました。
また会話で説明シーンがあれば発信したいのですが、
撫子は優待者の法則は解いていましたが、深読みしすぎていくつも候補があった為に絞り込みを図った感じです。
つまり、今回はA&Dの考察は100点満点ですね。

そして自然とA&D(の3/4)同盟とB&C同盟が成立。今後の活動にどう影響していくのか、お楽しみにしていて下さい!

それではまた次回!!

夏休みイベントで書いて欲しいキャラ・イベントは?

  • 堀北鈴音
  • 坂柳有栖
  • 一之瀬帆波
  • 櫛田桔梗
  • 軽井沢恵
  • 佐倉愛理
  • 椎名ひより
  • 星之宮知恵
  • 茶柱佐枝
  • 鬼龍院楓花
  • 朝比奈なずな
  • 綾小路清隆
  • 神崎隆二
  • 龍園翔
  • 平田洋介
  • 高円寺六助
  • 橋本正義
  • 南雲雅
  • 堀北学
  • 真嶋智也
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