ようこそ(勘違い)大和撫子の学校生活へ 作:エカテリーナ
夏休み編その①です。
連投予定…でしたが、進捗芳しく無く、新刊販売してしまいました。
前回より間が空いてしまいもうしわけございません。
エタる予定はないですが、今回ので執筆意欲が出てきたので今しばしお待ち下さい。
それでは、どうぞどうぞ。
①:そのお◯ぱいでX6歳は嘘でしょ
―――◇―――
Side.撫子
皆様、ごきげんよう。船上試験も終えて、私たちは無事、学校へと戻って参りました。
特別試験を早期に終わらせた為か、皆様。豪華客船という非現実を大いに楽しみ、クラスの方同士で友諠を結んだり、その仲を発展させる方もいらっしゃった様子です。
かくいう私自身も、沢山のお誘いを頂きました。帆波や千尋さんに誘われてパジャマ女子会?…で、よろしいのですよね?を楽しんだり、お酒を嗜んでいた星之宮先生や茶柱先生、他の先生方のお席にお邪魔してお酌をしたり。(次の日に謝られました…。…なぜでしょう?)
他にも…そう、船内でお借り出来るパーティドレスのレンタルを出来ると聞いて、そのお店を覗きにいったのです。それが、まさかあんな事になるだなんて…。
・◇・
―――今考えても、恥ずかしくて顔が真っ赤になってしまいます。…私はその日、船でのお祭り騒ぎ…そんな雰囲気に当てられてしまったのか、もう年甲斐もなく浮かれておりました。…魔が差した、というのかもしれません。
また前日にも様々なクラスの方と一緒に居て、勘違いをしていたのだと思います。
…私は、皆様とは違う。
「~♪、…っ~♪……?」
私は、船内にあるとあるお店―――パーティ用ドレスのレンタルしている―――に入ると、店員様に勧められるまま着替えてしまいました。
最初は背中の大きく開けた深紅のイブニングドレスをおススメされました。…ただ、あれよこれよとアクセサリーもご用意頂いて…何故かメイクから髪型から色々と整えて頂く事になり驚いてしまいました。
流石に派手に過ぎると思い、シンプルな濃紺のカクテルドレスを選ぶことに。
そして店を出ると日は暮れて来ていて、割と時間が経っていた事に気が付きます。
私はドレス姿に着替えて、帆波やひよりに見せ驚かせようと船内を歩いていました。最初こそ、試験が終わった開放感から鼻歌も口ずさんでいました。
…しかし、周囲の方々の好奇の眼差しを浴びてその気持ちは急激に冷え込んで行きました。
「…ぁ…………」
「ねえ……アレ………」
「凄い……だね………」
「……っかい、………す…ぇ……」
「誰か………ート…………」
「…っ!…………」
皆様、遠巻きに私を見ている。小声で、ざわざわと、何かを口々に話しています。…誰も、近づいて来てはくれません。Aクラスの方々も…。…。
「……………ほう」
・◇・
向かった先は屋外テラス。時刻はちょうど、海岸線へと陽が沈むような頃。幸い、人が誰も居ないとき。疎外感や恐怖を感じる心を、ほんの少しだけ落ち着かせることが出来ました。
「…はぁっ………もう、…」
どうしてこう、考えなしに。そんな弱音は、口の中で音となる前に溶けて消してしまいます。
―――言葉は、口から出せば取り返しのつかないもの。
―――良いことも、良くないことも。だから、使う言葉は選ばなくてはいけない。
―――相手にも、自分にも、良い言葉を使いなさい。
…昔におじい様と約束した口上を諳んじていると、少しだけ気が紛れました。しかしそれでも、落ち込んでしまった気持ちは簡単には立ち直れません。
「………あのっ」
「…?はい、どうされましたか?」
「その、学校の方ですよね?先ほどからおひとりでしたので、大丈夫かな、と…」
船上の柵の所を掴み、沈んでいく太陽を見送っていると声をかけられます。男性…恐らく、船の搭乗員の方でしょうか。首から名札のような、会社名?が書いてあるネームプレートを下げています。
…今だけは、知り合いでないと思い安堵するも、どうやら一人でいた私を心配して声をかけてくれたようです。
感謝を伝え、心配は要らない事と一人にして欲しい旨を伝えますが、気遣ってくれたのか男性の方は中々その場を離れません。
「何か悲しいことがあったんじゃないですか?」「僕で力になれる事があれば言ってください」等々、言葉を重ねてくれますが、今は普段通りでいられる気分ではなく、そっけなくしてしまいます。
それでもと言い募る様子に(失礼ですが)辟易していると、彼の後ろから特徴的な声がかかります。
「―――醜い。実に醜いねえ」
「…?」
「っな、なんだ、貴方は!」
そこに居たのは、六助君でした。船上でチラリと見た時には半裸で、プールを楽しんでいる様子でしたが今は学生服を着ています。
制服姿ですが、ワイシャツはノーネクタイ。金色の長髪や襟が夜風でははためく姿は、学生然とはかけ離れています。
…チラリと覗かせる胸元は少々刺激的でしたが、六助君
「六助君…?」
「なんだ…学生か。今、僕たちは大人の話をしているんだ。関係のない子供は、消えてくれないか?」
「ノン、ノン!私が用のあるのは、キミじゃあない。…しつこい男は、嫌われると思うがねえ?」
「なんだとっ!?」
怒りを露わにする男性に見向きもせず、こちらに歩みを進める六助君。
「それに、私は君の身を案じてやっている。君の怒りは筋違いと言うものだよ?」
「何を言って―――」
「――――彼女は教員ではなく
「なっ……!?」
「?」
迫る六助君を、振り払おうと腕を振りますが、ひょい、と掴み取ると耳元で何かを囁きました。
怒っているような表情から一転して、顔を青くして走り去る背中を、ポカン…と見送ります。
「さて、待たせたねぇ。撫子嬢」
「六助君…用と言うのは。…いえ、先にありがとうございました」
「ふふ、気にすることは無い。私は、醜いものを
「…っ、それは…」
「………」
真剣な、真っ直ぐな眼差しだった。それから目を逸らしても、彼の視線が逸れることはありません。観念して、羞心と寂寥を話そうとすると、彼は「ふむ…そういえば用事だったね、撫子嬢」と、芝居がかったように手を差し出します。
「…ええと、六助…君?」
「これからディナーでもどうだい?」
「…………え?」
ディナー?食事?…思わずポカン…としてしまう。そんな私に何を思ったのか、六助君はいつもの自信に満ちた笑みを浮かべて続けます。
「…」
「…もしや、先約があったかな?」
「…あ……いえ、そんなことは…」
「ふむ…?呆けるとは君らしくもない。―――先約が無ければ、構わないかね?」
「ええと…その、今はそんな気分では―――」
少し申し訳なく思いつつも断ろうとすると、六助君はスマホを取り出して「ふふ、撫子嬢、分かっているとも…!」と言って画面を見せてきます。
そこに映っていたのは―――純白の生クリームと、真っ赤なイチゴの乗ったショートケーキでした。
「………ケーキ?」
「そうとも!…心配せずとも、ディナーのデザートは
「―――」
思考が停止する。自由気ままな彼の言動に、先ほどまで胸を塞いでいた何かが、とても軽く感じてしまい、我慢できず失笑してしまう。
「…………ぷっ、…ふふ…っ…失礼、くっふふふ…!」
「おや?…なにか
「ふ、ふふっふ…!いえ、いいえっ!…ふふっ」
「………」
失礼過ぎるかと思って堪えようとする度、笑いが込み上げてきます。肩を震わせて顔を背中を向けて表情を隠しますが、顎に手を置いた六助君は続けます。
「ふむ…私の眼に適い、そして君にお勧めできるものと言えば…。―――2階のカフェのダブルカスタードのシュークリームしかないが…残念ながら今日は売り切れの筈だ」
「―――」
「ううむ…」と悩まし気な声。絶対にわざとしてくれている彼の言葉が、トドメとなりました。
「あはははははっ!、しゅ、しゅーくりーむって…ふふふっ、ろ、六助君、もしかしてご自分で並んで召し上がったんですかっ!?」
「勿論だとも!…実は無人島では急に体調が悪くなってねえ、私の身体を癒す為、船内の甘味やジム、プールやマッサージなどのリクリエーションは一通り試させて貰っていたのだよ」
「ふふふっ…相変わらずですね…なにかそれ以外にありませんでしたか?」
「ふっ…なに、食事後に作った者を呼ぶように伝えたらあのパティシエ。口をポカンと開けて間抜けな顔をしていたが…私を満足させるシュークリームを作る腕に罪はない…しかるべき報酬をくれてやったとも」
「…………」
「彼の被っているコック帽に
「あははははははっ…!」
「ふっふっふ…!!なんと言っても。値段など付けられない私直筆のサインだ。保管して家宝になること、間違いないだろうねえ」
二人だけの船の上、二人だけの笑い声が響くもそれを咎める声も、視線も、何もありません。
普段はしないような、はしたない声を上げて、涙が浮かぶ程の感情の昂りに身を任せます。
…先ほどまでの憂いも、羞恥も、とても小さな事のように思えてきます。肩で息を整えると、じっと優しい目で見守っていて。―――心配してくれた六助君に感謝を伝えます。
「…はぁ、はぁ、…ふふ、六助君。
「おや、今日は失礼したり、感謝したりと忙しいじゃないか。…さて、返答はどうかな?」
「―――ええ、
そういって差し出された手を取って、私達は船内に戻りました。…周りの目はありましたが、六助君が話を振ってくれたり、盛り上げてくれた為にお食事はとても有意義なものでした。
(途中、クラスの皆様ともすれ違いましたが、目礼を交わすに留めさせて頂きました)
その後、六助君からは、「君は真面目に受け取りすぎる。モラトリアムくらい、少しは気楽に楽しみたまえ」とアドバイスを頂きました。…直ぐには出来なくても、少しずつ、気を付けて行こうと思います。
…次の日、帆波やひよりに「「高円寺君とはどういう関係なの
「内緒、です♪」
「にゃー!!」「なー!!」
―――この後、着替えたドレス姿の私の写真が皆様に拡散していて、赤面してしまうのはまた別の話。…いったい、どなたが撮ったのでしょうか?
…え?愛理?…凄い、プロの方みたいなカメラね。…あ、この前の件のポイント(※ストーカー事件)で…そう、凄いのね。…え?(※二回目)
――――――――――――
・◇・
―――夏休み、特別棟近くにて。
夏休みにバカンスと称して行った特別試験も終わり、生徒の皆様がお休みを満喫している今日。
私は茶道部の部活動の為に、講師の先生のアテンドを行っておりました。
着物姿でお出迎えすると、丁寧な態度で教えて頂く内容の相談をされてしまいました。
本日部活で用意したお茶やお菓子などのお話しや飾る季節の花の話をしているとあっという間に部活に到着し、部長に到着を伝え私も席につきます。
「では―――家元、本日はお願いします」
「ええ、皆さん、よろしく―――あら、先生さんもそちらに?え?生徒?…え?一年生?」
…どうやら先生は私を同じく招かれた講師か部活の顧問と勘違いしていたらしく、ひどく驚かれました。…解せません。
ひよりや、他の部活めいとの方々と講師の先生にお礼を言って無事に部活動を終えると部長に先生の見送りを頼まれました。
他の方々も片付けや色々と所要があるそうなので、快諾すると先生をお見送りして、私も部室―――ではなく、ショッピングモールにあるらしい新しいお菓子のお店に向かいます。
今日は幸いカラッとした快晴で、和傘に
ショッピングモールに行く用事は、部長からの
部活で買うお菓子を受け取りに行くだけでしたが曰く、
『その店、他の和菓子も美味しいんだけど、羊羹が凄い人気なの。…それなのに不定期にしか売っていなくて、ネット購入無し。―――もし残っていたら、それも別に買って来てくれないかしら?』
…との事。なんでも、羊羹は一種類しかないそうで直ぐに分かるらしい。ちなみに、1つがそう大きくはなく、2~3切分。購入制限があり、部活の方も知っていて競争が激しいんだとか。
個人的に食べたいから皆には内緒で買ってきて欲しいとのこと。口止めに半分頂けるそうで、私も楽しみです。
「…たしか、この辺りに…?…あ」
そういって路地の曲がり角、奥に赤や黄色の目立つ看板がある為か、曲がってすぐある和菓子屋さんは見落としてしまいそうになる。
覗き込む店内には人の姿はなく、隠れた名店という噂は間違いではないのでしょう。丁度、私が購入を伝えると残りは2つだけという事でした。何とか購入が能い、その旨を部長に伝える。
感謝と一緒に『ありがとう。買い物のポイントは2つ分送るので、1つは口止めも兼ねて西園寺さんが召し上がって下さい。…暖かいお茶と合うので、お抹茶と頂くと◎です』とアドバイスを頂きました。
「なにっ…!売り切れだと…!?」
「?」
連絡を終えてスマホを仕舞うと、後方から女性の声が店の中から聞こえる。どうやら、目的は同じようでしたが、残念ながら売り切れていた為に残念そうな声を漏らしています。思わず店内を見ていると、その女生と目が合います。キョトンとしていると、彼女は店から出て私の元まで歩み寄ってきます。
「………ふむ、君はこの老舗…暮好の幻の羊羹を買えたか?」
「幻…?ええと、羊羹でしたら確かに…」
「なるほど、素晴らしい―――ところで一つこの私から提案があるのだが、良いだろうか?」
「は、はい…?」
そう言って肩に手を置いて抱き寄せて来る彼女に目を瞬かせます。モデルのようにピンと伸びた背筋や長身。手入れの行き届いた銀色の長髪をたなびかせ、ヴァイオレットの瞳からはドロリとした熱や自信を溢れさせていて、キリリとした吊り目はどこか…高円寺君と同じような雰囲気を感じる
「どうだ?この後、私に一杯ご馳走させて貰えないかな?」
「…その、一杯?をご馳走頂く理由が私にないのですが…」
「ふふ、まあ私の気まぐれという所さ。…この時世、君のような和服の似合う方に会ったのは私としても幸運だ。気障に言うのなら、この出会いに感謝を込めて、といったところだ」
「あ、ありがとうございます…?」
その後も「素直な事は美徳だ」や「エスコートしよう。こっちに和風の―――」と案内され、あれよこれよと着いていくと和テイストのお店?に入ります。
勝手知ったる様に先輩?は出迎えたお店の方に「熱い茶を二つ頼む。ああ、お茶請けはあるので今回は結構だ皿だけ用意を―――」と告げてズンズン進んで奥の個室に入ります。
部屋の中は、個室と言いながら庭の様子をガラス戸越しに覗かせています。床の間には掛け軸やお花が生けてあり、外部とは襖で遮られ、畳や敷居がある割としっかりした和室の様です。
「―――さて、ここの茶は私もお気に入りでね。たまに飲みたくなるのだが…、今日の切欠は君を見たからだ」
「私…ですか?」
「あぁ」
そういって頷くと、「失礼します」と声が聞こえ、襖をあけて先ほどの店員さんが入ってきました。何時もの事なのか、お盆に持った小さなお皿と和菓子切、湯呑と透明のガラス―――耐熱でしょうか?に入った青磁色の水差しのような急須を置いて、「ごゆっくりどうぞ」と静かに部屋を後にしました。
…自然な流れで、お礼を言う時を逸してしまいました。帰る時に、必ずお伝えしなければ。
「―――私がお
「頼むよ。…ふふ、その
「…ご冗談を。私なんて、所詮は素人ですので…」
苦笑交じりにお茶を注ぐと、先輩はそれを手に掲げこちらに「乾杯」、といって召し上がります。苦笑交じりに、私もそれに倣い頂くと、香りも味も繊細で、ほとんど苦みや渋みを感じない程でした。先輩が自信を持って勧めるのも良く分かります。
その後、「どうだ?」と自慢げな先輩にこちらの感想を伝えると、「そうだろう、そうだろう」と何度も頷き会話にも花が咲きます。
先輩は話し上手かと思ったら聞き上手でもあり、私が和服である理由やあの店にいた理由などもよくよく聞いてくれて、(後輩であることを伝えると少し驚かれましたが…)私も気付けば楽しい時間を感じる事が出来ました。
急須のお茶も御代わりを頼み、お茶請けに提供した羊羹も食べ終わる頃には部屋には夕日が差し込んでいます。先輩―――鬼龍院 楓花さんにお礼を言うと、元々はあの店の羊羹を土産にこの店に来る予定だったそうで、私が最後の分を持っていたのは幸運とも言ってくれました。
そんな鬼龍院さんは今、私の膝枕に頭を預け、お昼寝をするような姿勢で私の髪を弄んでいます。…いったい何故?と思いますが、本当に、先輩の話す会話の流れで自然とそういう事をする流れになっていました。
「…ふふ、撫子」
「はい、どうしましたか?鬼龍院先ぱ「楓花だ、撫子。…先輩も、どこか他人行儀に感じてしまうな」…はい、楓花、さん」
「全く、撫子は奥床しいな」
そう言って、ももを撫でては私を
…お茶のお代わりを運んできてくれた方が鼻を抑えていましたが、楓花さんが「気にするな。持病だ大事無い」と言っていたのでそういうものなのかもしれません。
まるで猫のように気まぐれな楓花さんと戯れていると、思い出したように身を起こして、こちらを―――こちらの胸を、ジッと見据えています。
「あの、楓花…さん?」
「………撫子。先ほども聞いたが、もう一度聞かせてくれ―――本当に、1年生なのか?」
「??はい、今年に入学しましたが…」
「………むぅ」
眉間に皺を寄せながら、生まれ年や干支を聞かれたりしますが、表情は明るくなりません。
どうしたものかと思っていると―――楓花は両手で私の胸をむにゅっ、と鷲掴みにしました。
「んっ…!ふ、楓…か、さっ…あんっ!!」
「…私も自分の身体に絶対の自信があるが、この大きさには敵わない。…ふふ、これが敗北感というのかな?初めての感情だな」
「そ、そんにゃ、あっ、ダメッです…!っ…!」
「ふふっ、こう、変な気持ちになるな。随分、艶やかな声を出すじゃないか撫子」
エスカレートするボディタッチから逃れようとしますが、正面から抱き着く様にももに足をかけられて立ち上がれず、片手で身体を支え、もう片手は声を漏らさぬ様に口を押えると、抵抗は微々たるものに。
その後、為すがままにされていると部屋の外から店員さんの声がかかります。楓花さんの動きが止まった所を抜け出して、私はようやく解放されました。
肩で息を整えると、満足したのか「ありがとう、良い揉み心地だった」と言われますが、こんなものは重いし動きにくいのであまり嬉しくはありません。そうぼやくと、「それも君の個性だ。それを愛してくれる相手もきっと現れるとも」と自信満々に言ってくれました。
そんな声に毒気を抜かれて、再び楓花さんは
「ふふ、拗ねないでくれ。撫子の身体が魅力的で、可愛らしい性格だから、私は構いたくて、触れたくて仕方ないんだ。…もうあんな事はしないから、許してくれ」
「もう…調子が良いのですから…少しだけですよ?寝たらダメですからね?」
「♪」
そうして耳をこしょこしょすると、「ふっ…んっ…あぁ…」と楓花さんからの唇から零れる、その…喘ぎ声というか、耳かきを止めた際に(もっと…)という様に薄目を開けるのは、とても艶めかしく感じてしまいます。
先ほどの仕返しという訳ではないですが…いち段落して息を吹きかけると、「あんっ…!」と可愛らしい声が聞こえて、ジト目で頬を膨らませています。
「…前言に付け加えよう。撫子は少し、意地悪だな」
「っ…ふふ、反対側は良いですか?」
「………やっぱり意地悪だ」
クスクスと笑っていると、無言でずい、と頭を転がしてくる。本当に、猫のようなお方です。耳を掃除しながら、ときおり頭を撫でると今度は無言でされるままに。
そうして耳掃除を終えて肩を叩くと、楓花さんは欠伸交じりに身体を起こして「ありがとう、また頼むとしよう」と言って、連絡先の交換を申し出て来ました。
私も頷いて連絡先を送ると、楓花さんはジッと目を合わせて来ました。…?
「あの…?」
「いやなに、先輩に付き合ってくれた後輩に何か礼をしてやろうと思ったのだが…ふむ」
「いえ、私もこのお店を教えて頂きましたので、十分です」
「それでは私の気が済まないんだっ」
腕組みをして思案気な楓花さん。腕によって強調される胸に、思わず視線を向けるとニヤリとした表情で「私の胸も揉んでおくか?」と言われる。…慌てて否定するが、内心ドキドキします。
「いえ!そんな…」
「ふむ…確かに君と比べると小さいかもしれないが、
「…(ほっ)」
結局、また次回に遊びに誘うと約束頂き、その場は決着して楓花さんは嵐のように去っていきました。…実は、予定があったのでしょうか?
次の日、部長に羊羹を届けると「本当にありがとう!!これっこれよ、撫子さん、ありがとうー!」と手を取って感謝されたり―――
生徒会室で桐山先輩に「クラスメイトがすまない…大丈夫だったか?…本当にすまない」と何故か謝られたり―――
何と言うか、上級生の方々の新たな一面を見た、貴重な夏休みの一幕でした。
―――〇―――
※後日、2-Bの教室
「………おい、鬼龍院」
「なんだ、桐山生徒会役員殿。相変わらず、不景気そうな顔をしているな」
普段は誰も遠巻きにしか関わらない生徒に、クラスのリーダー格の桐山が声をかける。誰からともなく、その様子に注目が集まる。
「俺の事は良い。―――西園寺と接触したと聞いた」
「ん?…あぁ、
「っ…余計な事はするな。彼女は、生徒会の貴重な生徒だ。お前のような、不良生徒と関わると、悪影響を与えかねん」
「それは、お前個人の意志か?」
「………」
「その様子では、違う様だな。…尻尾を振るのはご苦労な事だが、私を巻き込むな」
「っ…鬼龍院っ!」
「下衆の勘繰りは止めろと、そう
何時もの雰囲気で席を立つ彼女に、声を荒げる桐山。その様子にクラスが騒めくも、自由人である彼女は気にも留めない。
すれ違い様に
「―――
「なん…だと…!?」
※この後めちゃめちゃ噂が広まった!!
と、いう訳で番外編その①
自由人な二人との接触でした。新刊では鬼龍院先輩の一幕がありましたね。
今回はサブキャラが多くて、ニヤニヤしてしまいました。
またリクエスト等は募集かけると思うので、よろしくお願いいたします♪
更新おまたせしてしまい申し訳ございません、夏休み編で一部には重い話も開示する予定ですが、体育祭編ではどの方向で持っていこうか検討中です。執筆意欲の為にも、皆様のご希望をお願いします!
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楽しい話(クラスメイトと和気藹々)
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重い話(関係者に実家の話)
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恋愛的な話(神崎、龍園、綾小路あたり)
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えっ◯な話(一之瀬、他)
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百合な話(ひより、愛理、他にも)
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試験的な話(他クラスのリーダー格)
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曇らせる話(被害者未定)
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新しい話(これまで以外のキャラと絡む)