ようこそ(勘違い)大和撫子の学校生活へ 作:エカテリーナ
よう実最新刊を楽しみにしてる方も、もう読んで余韻に浸っている方も、
本作を楽しんでいただければ誰でも大歓迎です。
それでは、どうぞ!!
Side.櫛田 桔梗
初めての体育祭、種目の結果は2~3位くらいでいい成績かな?帰って来たみんなを褒めたり慰めたり、タオルを渡したり。そうして羨望や尊敬、好意の視線を向けられる度に私の中の心は満たされていく。
「みんな、お疲れ様っ!頑張ってたね!」
「櫛田ちゃん」「櫛田さん」「桔梗ちゃんっ」
今の種目は二人三脚。私は堀北と一緒に出場の予定だったけど、アイツがなんか転んで救護テント治療中らしくって参加できず留守番をしていた。
ため息をつきそうになるけど、こんな事で笑顔は曇らせない。私を見ているのはクラスメイトだけじゃない。他のクラスの
『ごめんね?私も皆の力に成りたかったけど…』
『いや、あれは櫛田さんのせいじゃないって!』
『そうそう!運が悪かっただけよ!』
『みんな…!』
…堀北が怪我をしたのはいい気味だと思ったけど、(もちろん、心配そうな顔はした)その後に綾小路君がお姫様抱っこをしてやテントまで運んで行った。
話題や注目は、アイツらに持ってかれて良い気はしない。こっちにまで「あの二人は付き合ってるのか?」なんて聞いてくるのも出て来る始末。…知るか、そんなこと。多分ないでしょ。
そして、次の種目の騎馬戦。ここでも堀北は戻って来れず、騎馬は1騎少ない状態で赤組と白組の勝負はスタートする。…平田君がわざわざ頭を下げて不参加を詫びて来たから、表立って非難する人はいなかったけど、絶対に内心で良く思ってない筈。私と同じように。
でもその後に聞いた原因…なんでも、堀北さんが転倒したのはCクラスの作戦かもって話だった。二人三脚はともかく、この騎馬戦でもCクラスとの接触には気を付けないとっ。
小野寺さん…体育祭における、女子で運動が強い彼女の提案で女子の騎馬はお互いを守り合うように固まって動く事にした。
彼女の騎馬が遊撃、それを中心に他の3騎が囲って近づいてきた騎馬に数の不利を取らせない様にする…とのこと。
『――――では騎馬戦 1年生女子 用意―――、スタート!!』
「じゃあ皆、行くよっ!」
「うんっ」「ええ!」「行こう!!」
開始の合図を聞いて、私達の騎馬は固まり出す。白組はBクラスが固まってて、Cクラスは個々に向かって来るみたい。…行く先は、Aクラスの方。Aクラスの方も、Cクラスの騎馬へと向かって行った。
騎馬戦は合同練習でも騎馬の組んだり、ちょっと走ったりと怪我のない範囲でしかやってない。でも実際、運動部が多いCクラスとかBクラスの方が強いのは間違いない。どうなるのか、固唾を呑んでを見ていると勝敗は一瞬だった。
「やぁっ…!」
「えっ…?」
「嘘っ!?」
Aクラスの先頭の騎馬、その騎手が手を伸ばしたと思ったら一瞬で2つの騎馬からハチマキを取っていた。…え?マジで?
「すご…アレって、生徒会の西園寺さん?」
「う、うん。…撫子ちゃん、凄いね」
歓声や悲鳴、驚愕や応援が響く中、劣勢のCクラスを庇うようにBクラスも前に出て、Aクラスも同じように前に進んでいく。
私達も小野寺さんの指揮で白組を挟み撃ちにするように大きく旋回する。途中で気が付いたBクラスの騎馬と接触して膠着していると、奥の方ではもっと大きな歓声と一緒に撫子ちゃんたちが活躍している様子が見て取れた。
「これって…こっちが有利なんじゃない?」
「…ね、あんまり無理しない方が…ねえ?桔梗ちゃん」
「そうだよ…、ハチマキを取られない様に気を付けよう。…ね?」
騎馬の子たちがそう言っているけど、直ぐに返事は出来なかった。
対面するBクラスの騎馬の向こう、撫子ちゃんは騎馬の子たちに下半身を支えて貰って激しく動いている。手を伸ばして、上半身を逸らして、声を上げながら私達と同じ1騎少ないAクラスで奮闘している。
「――、―――!」
「…ダメだよ」
「き、桔梗ちゃん?」
「みんなゴメン。…私は、撫子ちゃんの事、助けてあげたい。―――力を貸して欲しいの。お願い
っ!」
らしくない事は分かっている。ちょっと引かれたかもしれない。…それでも、ジッとみているだけだなんて耐えられなかった。
「桔梗ちゃん…分かったよ!」
「よ~し、しっかり捕まってね!」
「行くよっ!」
「みんな―――ありがとう…!」
引き留める声も聞こえたけれど、私達の騎馬はBクラスたちとぶつかり合った。
…まあ結論として、私達は間に合わなかった。…いや、駄目だった訳じゃなくて時間切れで競技が終わっちゃったんだけど。
競技としては、殆ど引き分けだったみたい。撫子ちゃんの騎馬は鉢巻を4つも取っていて、赤組に大量の得点を取っていた。…ホント凄い。
無茶をしたことを皆に謝った。(当然と言えば当然だけど)許してくれたみんなにお礼を言って、撫子ちゃんの元へ向かう。
「撫子ちゃんっ!えっと…わっ」
「桔梗。先ほどは助かりました。ありがとう、ね?」
言いかけた言葉のまま、撫子ちゃんに頭を撫でられる。―――嬉しい。とっても。皆に感謝される時よりも、尊敬や好意の眼差しを貰う時よりも。
本当の自分を知っている相手からの感謝は、真心は。思わず甘えるように撫子に抱き着いてしまう。周囲からの驚く声も、微笑ましい視線も気にならない。
この後、アナウンスで注意されて恥ずかしい目に合うまで私は撫子ちゃんに抱き着いたままだった。
・◇・
騎馬戦が終わった後、昼休憩。みんなと一緒にお昼を食べていると平田君と…綾小路君に声をかけられる。内容は、怪我をした堀北さんについて。
ヒクリと頬が引き攣りそうになるのを抑えて、心配そうな顔で先を促す。
「実は、Cクラスから苦情…というか、ともかく見て欲しい」
「えっと…なになに?」
スマホの画面には、堀北さんからのメッセージアプリ、そのスクリーンショットの画像が転送されているみたい。内容は、さっきの障害物競走でCクラス側がDクラスの妨害があって怪我人が出た事に訴えを起こすというもの。
…今度こそ、顔が引き攣る。不安そうな表情に見えたのか、周囲や平田君(綾小路君は相変わらず無表情)も心配してくれる。でもこれ、どうしたらいいんだろ。
「内容は分かったけど…。えっと、念の為聞くけど、本当にわざとじゃないんだよね?」
「あぁ、確認した。…むしろ堀北の方が相手の木下に名前を呼ばれ、追い抜く時に顔を向けたら接触したということだ」
「それって…」
「………うん、
堀北の事はいけ好かないけど、
そう考えを巡らせていると、なんとこの後に保健室で龍園君が呼んでいるらしい。担任の茶柱先生と救護のテントに居る堀北も拾って、
厄介な。なんで気に食わない奴の為に厄介ごとに関わらないといけないのか。もちろん私の返事は―――
「―――うん、わかったよ!私にできる事なら、なんでもするよっ」
「よかった…!よろしく頼めるかな」
「任せてっ」
―――快諾に、決まっている…!!
みて、みてみてみて…!周囲の、「流石…桔梗ちゃん…!」とか、「櫛田さん、頑張って!」とかの声、声、声…!!
そうそうそう、これ、コレだよっ。私が欲しかったのは、こういうの…!!撫子ちゃんに頭を撫でられるのも凄い嬉しいけど、こういうのも良いんだよねっ!
そうして私は、皆に見送られながら保健室に向かうのだった!
………てか、堀北さん、なんで私が肩を貸さないといけないかな?綾小路君にまたお姫様だっ、え?…ふ~ん。でも、堀北さん私の事あんまり…。
へぇ…。そうだなぁ~、お願いします、櫛田さん。って言ったら良いよ?…ふ、ふふふ…もう、仕方ないなあ~♪ふふっ。
――――――◇――――――
Side.撫子
「ん、ふ、ぁぅ…」
「~♪、~んふふ、ちゅ、ほ~ら、逃げちゃダメだってば」
「せ、先生、その…本当に今でなくては…あっ…!」
人気のない校舎内。いつもの保健室ではなく、職員用の会議室の一つで私は星之宮先生に
なんでも、今は利用者が居るので声を押し殺せるならそこでもと言われました。…ですが、間違いなくはしたない声を出してしまう。それを答えると頷かれて、この部屋に連れられました。
普段の道具が無いので、先生に手ずから胸を刺激して頂くしかない、のですが…。
………そもそも何故?こんな急に先生が私を連れ出すなんて珍しい、です。最近は、胸が張る回数も減って来た。今日も終日は大丈夫だと思っていたのに、
言われるがまま、体操服をたくし上げて下着をずらす。薄青色のすぽーつぶらをジッと見た星之宮先生は何を思ったのか顔を埋めて「撫子ちゃんの匂い…」だなんて揶揄ってきました。
その後は頭を撫でられたり、髪先を指で弄んだり。頬に手を当てられたり、抱きしめてもきた。…少しだけ触れるようなキスもしてきた。
…ここには処置をする為に呼ばれたのに、まるで恋人にするような態度で接してきます。…??
心配ですが、昼休みも残り僅か。背中に回された手をやんわりと解いて、運動場へ戻ることを伝えます。
「?…撫子ちゃん?」
「星之宮先生、もう行かなくてはなりません」
「え…?」
「もう昼休みも終わってしまいます。…先生も、お役目がありますでしょう?」
「あ………う………」
窓の外、カーテン越しとはいえグラウンドの方を見てそう言いますが、先生は一転して態度を硬化させます。まだ処置が終わっていない事、私の身体の事を一番に思っている事、なにか気に入らない事をしてしまったのか、等々。
その全てに感謝を告げて、誤解を解く。冷静に応えていくものの、先生は譲りません。
「先生、私は大丈夫ですから、今は―――」
「ダメ!今なの!」
「しかし…私はこの後の競技が…」
「っ…!……あむっ!」
「ひぃっ!あぁっ、やあ!ああぅ………!!」
口を使っての処置に、喘ぎ声が零れてしまう。廊下に届かない様にと手で口を塞いでいると、いつものように為すがままにされてしまう。
そうして気が付けば立っていられなくなっていて、
気が付けば床に寝かされていて、気が付けば先生は私に覆い被さっている。
見上げれば、先生は顔を真っ赤にして、目を爛々と輝かせている。
「はぁ…!はぁ…!!」
「………ほしのみや、先生…」
「っ!…も、もうちょっとだけ…もうちょっとだけだから…!ね?…ね!?」
「………………。…………………………んっ」
…ごめんなさい、皆様。もう少しだけ、遅れます。ごめんなさい。
・◇・
その後、処置の痕を隠す為に新たな体操着と下着に付け替えてグラウンドに戻りました。幸い、私の参加する推薦競技にはなんとか間に合いました。
心配してくれた皆様への説明は星之宮先生に任せてペアの方と待機所へ向かいます。
結果は三位。残念ながら、結果としてはイマイチな成績です。男女混合の二人三脚では、震える足に鞭を打って走りましたが、肩を支えてくれる方に身体を預けるような姿勢になってしまいました。
ペアのお相手の方もこれまでの疲労が祟ったのか前屈み気味に。これでは、結果が出る訳もありません。
「皆様、申し訳ございませんでした…」
「お疲れさま。…話は聞いたから、仕方ない」
「そうですっ。それに、原因はお姉様よりも…!」
「?」
チラリと視線を向けると、ペアとなった彼が男子の皆様に連れて行かれてます。
ええと、皆様?いったい何を―――え?真澄さん?あ、次の競技ですか?…はい、畏まりました。行ってきますね。
…今度こそ、結果を残さなければ…!
――――――〇――――――
Side.堀北 学
最後の体育祭、俺達3-Aは…否、赤組は優位を保ったまま、午後の推薦競技まで勝負を進めていく。
例年で言うのならば、もう番狂わせは起きない。2年は南雲のAクラスが学年を統率しているし、俺達3年も負けるつもりはない。
唯一1年は
午前中の鈴音の接触事故…いや、接触
思いを軽く馳せていると、スピーカーから説明用のアナウンス音が聞こえる。…なんだ?既に選手はグラウンドに集まっているように見える。呼び出しか?次の種目は借り物競争だが、どこかのクラスがまだ来ていないのか?_
【―――お知らせします、借り物競争について一部ルールの変更がありますので生徒の皆様はスクリーンに注目して下さい。繰り返しお知らせします、借り物競争について―――】
「…変更だと?」
「え?え?…会長も、ご存じではなかったのですか?」
「ああ、把握していない」
隣にいる橘も驚いている様子だ。しかし…借り物競争なら、有利不利の関係はそうないだろう。
だが、この学校ならではの理不尽の可能性もある。ざわつく下級生のテントを視界に入れつつ、俺は表示されたルールについて視線を走らせる。
【借り物競争 変更後ルール】
・得られる団体の得点については変更なし。個人での競技ポイントを最下位まで支給する為に必ずゴールすること。
・不正防止の為、選手が引いた『借りるもの、人、その他(以降、お題と表記)』は変更不可とする。
・選手は自分に『お題』の回答提出が不可と判断した場合、自分のクラスの生徒に選手交代をする事ができる。
※この際の必要なポイントは1万PPとし、2回目以降は倍増し続ける。
・『お題』獲得のため、選手も他の生徒も競技中に限り競技場外に出ることは原則自由とする。
・ただし、自分の出場時間を過ぎた場合はそのクラスからランダムに1名を選出して代行で出場とする。来なかった選手はペナルティとして1万PPを失う。
・交代した選手が『お題』を回答した場合、競技で得られる個人でのポイントは交代した選手に入る。
「これって…難易度が上がったということでしょうか?会長」
「あぁ。理由は分からないが、そうなるだろうな(…どこかのクラスが本来のお題に細工でもしたか?これは学校側からの対策か?)」
考察していると、更に画面が切り替わり、俺、いや…俺や周辺のクラスメイト達の顔が引き攣る。
・同じクラスの生徒に交代を断られた場合、その生徒は同じ組の別クラス、あるいは上級生に交代を頼むことができる。ただし、同じ組の3年生は1年生からの交代を断れないものとする。
・他の学年に交代を頼む場合、交代のポイントは依頼した側が支払うものとする。
・競技に参加するかお題の協力をした生徒は、以降の交代を拒否することができる。
「…マジかよー」
「え?まさか3年生は…!」
「強制参加なの?」
「皆、落ち着け…」
「会長…!」
「堀北くん…」
Aクラスとして、なによりこの学校の生徒会長として、他の連中のように動揺を表に出すような事はしない。
それに、どんな試験であろうと、皆の協力でここまで乗り越えてきた。俺たちには自負があり、そしてそれを証明する実力もある。
決して大きくはない俺の声に、皆も落ち着きを取り戻す。…よし。混乱さえ押さえれば、俺たちAクラスに敗北はない。
騒めきが収まると、皆でスクリーンを注視する。ホイッスルの音とともに、試験はスタート。1年生の最初の組が、お題の入った封筒を開封する。
中に入っていたのはーーー
『異性を連れてきて愛の告白する』
『カウンターストップした手持ち数取器』
『自分の事が好きな人を10人(※確認の為、被りなしで良い所を1人5個答える)』
『クラスメイトの下着(上下)』
・・・
・・
・
ーーー前言撤回だ。
俺は橘の手を取り、脇目も振らず駆け出した。
「全員、この場を離れろ…!!」
「堀北くん!?」
「会長…!?」
「やべえぞ早く!」
「おい、こっちに来るな!来るなあああ!!」
皆、伊達にここまで試験を乗り越えてきていない。危機管理能力はすこぶる高く俺の指示を待たずに、逃げ出している。
「無理無理無理ぃ!」
「先輩助けてください!お願いします!!交代!!」
【ーーー選手の変更を確認しました。3-Bクラスーーー】
「ぎゃー!!見逃して、見逃し、あぁぁあぁあ〜!!」
…どうしてこうなった。
背後からは悲鳴や怒号を感じながら、俺は固く決意をする。
この原因は必ず追求してやる…!!
※この後、めちゃめちゃ逃走した。
最終的に、生徒会室で籠城するハメになった。
読了、ありがとうございました。
これは予約投稿なので、この時点で私は最新刊を読めているのと幸いですね。
体育祭編はあまり長くならないと思いますが、もう少しお付き合いください。
ストックはひとまずここまで。
感想、高評価お待ちしております。あなたのコメントが、やる気スイッチを押すのでよろしくお願い致します。
………あ、番外編のリクエストがある方、どうぞXまでリクエスト下さい。
それではまた、近い日に。
この後、ダイジェストではなくしっかり見たい場面は?※選ばれなかったものも完全に省くわけでは無いのでご安心下さい。
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