ようこそ(勘違い)大和撫子の学校生活へ 作:エカテリーナ
最新刊は、衝撃の展開でしたね。
続きですが、一先ず撫子視点はここまで。
結果も貼ってあるので、どうぞお楽しみに。
それではどうぞ!
――――――
森下の、撫子への呼び方を一部修正しました。
Side.撫子
借り物競争が始まりました。何故か急なルール変更が告げられましたが、私達の行うことは変わりません。
…しかし先に1年の男子、その一組目がお題を引くと周囲からはざわめく声が溢れます。
「………?」
「あ、愛の告白って…」「公開処刑じゃん…」
「下着って…ダメージヤバいだろ…」「あ、凄い勢いでクラスに戻ってる!」
皆様の様子を備に伺っていると、どうやらお題の難易度が高くなったようです。結局、もっとも早くゴールしたのは手でカチカチ数字を数える機械を持ってきたBクラスの方、次は交代をしたのか、顔を真っ赤にした先輩が10人ほどの集団を引き連れて、『自分の良い所』を聞いていました。
またその後には交換や準備で手間取ったのでしょう。小柄な男子生徒が真っ赤な顔で折りたたまれた衣類を持って行ったり、3年の先輩が引き連れて行った相手に告白を行ったり。
悲鳴や歓声が飛び交う様子は、先ほどまでの午前中の競技とは一線を画します。
その後も何組かがスタートしましたが、中には戻らない選手もいた為に次の競技者は10分後にスタートする運びに。
戻ってきたのは『同じ誕生日の人』、『同じ髪型の異性』や、『ハチマキ50本』などの分かりやすいお題の方のみでした。
こちらのクラスの町田君は『経験豊富そうな異性』というお題に3年生のテントへと走り、真澄さんは鬼頭君のジャージを借りて『異性の服を着てくる』というお題をクリア。交代なしにゴールしている為、他クラスよりも好成績を残せているはずです。
そして、いよいよ私の番。スタートの合図とともに、所定の場所まで走って並べられたお題を一枚引きます。そこには―――
『夜の運動会が強そうな人』
「…?……??」
「「「「…!!」」」」
ざわ…ざわ…
周囲のどよめく声が聞こえます。夜の運動会、というのはどういう競技なのでしょうか?素直に正面の審判員の方に確認すると、どこか引きつった顔で『そのままの意味だ。難しく考えなくていい』…と、なんとも要領を得ない答えが返ってきます。
他の選手は既に移動している為、私も首を傾げつつAクラスのテントに戻ると皆様から一斉に視線を逸らされました。…??
「撫子さん…えっと、…その」
「西川さん?今はすいません、競技中ですので後ほど…」
「あ、…うん」
いつもの元気なお顔を曇らせた西川さんでしたが、今は先を急いでいます。お詫びとした後に皆様に向き合うと、先ほどの監督員の方と同じような引き攣った表情でこちらを見ています
…どういうことでしょうか。このお題は、相当な難題なのでしょうか?…いえ、足踏みをしている場合ではありません。一刻も早く、私も皆様に続かなくては…!
「申し訳ございません、皆様の中で夜の運動会が強い方はいらっしゃいますか?」
「「「ぶっ…!」」」
「…ごほっ、ごほ、げほっ…!!」
「…!」
これは…やはり、最優秀なAクラスの皆様です。反応から察するに、何人かは夜の運動会がどういうものか理解している様子。しかし、私がそれを追求すると何故か口を噤んでしまいます。
葛城君や橋本君も煮え切らず、真澄さんにも目を逸らされます。…いったいどうしたのでしょうか?目を逸らさなかった山村さんに近づくと、彼女も赤い顔をして俯いてしまいます。
「山村さん、教えて下さい。夜の運動会とは…いったい?」
「あ、あの…それは…」
「それは?」
「………うぅ」
「………」
「…言えません、ごめんなさいっ」
「そう、ですか…。………?」
顔を真っ赤にする彼女に、これ以上聞くことは出来ません。どうしたものかと頭を抱えていると背中をちょん、と指でつつく森下さんがいました。
「森下さ「藍でいいですよ」―――藍、さん?」
「さん付けも結構です。…それで、西園寺撫子
「藍…ご存じなのですかっ!?」
「お、おい森下…!」「正気か…!?」
森下藍さん。…普段は独りでいることが多い彼女ですが、私も、そして有栖も葛城君とも別に仲が悪い訳ではない子です。少しこそばゆいですが、耳を貸す様に言われて、彼女の言葉を待ちます。
「…(耳に髪をかける仕草…凄い色っぽいですねぇ…)」
「…藍?」
「あ、すいませんえっと…夜の「あんっ…!」…?」
藍の声を耳にした途端、耳の中、もしかすると脳裏にまで電流が響くような…そう、ぞくりとした感覚に思わずで声が出てしまいました。
…テント中の方の注目をを浴びてしまい、たまらず赤面してしまいます。
い、いえ。ですが今は!やることがあります。最優先を思い出して、藍に事情を話します。
「っ、と。…どうしましたか?(今のって…喘ぎ声…?)」
「ぁ…ごめんさい、藍。私、耳が少し敏感なの。擽ったいだけだから、気にしないで話して?ね?」
「すっごいエッチでした(分かりました)」
「え…?」
「…なんでもありません。じゃあ…えっと」
「んっ…!」
なにかおかしな事が聞こえた気がしたけれど、藍が耳打ちを再開したのでそちらに集中します。
夜の運動会。…なんでも、成人した大人が参加するお酒や夜の会食などにおいてをさしていて、
転じてお酒が強い人、人付き合いが上手な人の事を『夜の運動会の強い人』というらしいです。
…しかし、それならそうと皆様も言って下さればいいのに。そんな私の考えを読んだのか、藍は続けます。
「西園寺撫子
「あ…!そうですね。…いえ、でもそういう事は成人してからでないとダメでしょう?」
「「「………!」」」ざわ…
何故か皆様の視線が集まっているように感じます。目を合わせると、顔を赤くして逸らされますが…まさか、皆様が隠れて飲酒を…!?
※部分点、3点
「ごほん、ごほん。…この学校では生徒の飲酒なんて出来ないですし、今は競技に集中しないと」
「あ…確かに、その通りですね」
「その通りですです(存外、天然なんですかねぇ?)」
「「「………」」」
そうして私は藍からの「教員テントに居る先生たちを頼ったらどうですか?」とのアドバイスに従い、教員用のテントへ。真っ先に真嶋先生に声をかけるとかなり咳き込まれ、手を引こうとすると何故か抵抗されました。
「待て!待て待て西園寺!…何故、俺なんだ…!?」
「え?ええと、藍…森下さんに相談して、夜の運動会が上手なのは成人した先生たちなら…と」
「そ、…そうか…」
「………」
「………」
「………っあの?」
「………わ…、…分かった、行こう」
「っ…!ありがとうございますっ!」
長い沈黙の後、項垂れるような表情で真嶋先生は手を取って下さいました。周りの先生からも、どこか先の私のような…こう、憐れむような色の視線を向けられているのが不思議でした。…そうか、もしかして。
「真嶋先生、申し訳ございません」
「西園寺?」
「夜の運動会が強いというのは、先生にとってあまり嬉しい評価ではなかったのではないですか?」
「ぶっ…!」「ごほっ!」
「い、いや…そのような事はないぞ?」
近くの茶柱先生や、他の先生たちの咽るような、咳き込むような声。顔を引きつらせる真嶋先生は否定しますが、確かに衆目に「お酒が好き、会食が好き」と触れて回るのは先生にとっても醜態に違いない。
…私は、そんなことにも気が付かなかったのに、真嶋先生は露ほどもそれを指摘しない。
何処までも、生徒の事をだけを偏に思っている。真嶋先生こそ、私の理想の先生です。
「先生が、普段のお仕事や私達へのご指導で身を粉にして働いているを、私はよく存じております」
「さ、西園寺…?」
「ですから私は、真嶋先生が夜の運動会が強そうと思われても恥じることは無いと思います!」
「………っ」「く…くふっ…」プルプル
「ま、待て!ちょっと待て、西園寺。一体…」
「生徒を導く教師というお仕事がどれだけ大変か、私には想像する事しか出来ません。…その憩いを、労いを夜の運動会に求めても誰も文句など言わない筈ですっ…!」
「…な、な、…」
顔を青くしたり、赤くしたりする真嶋先生。
―――大人と言うのは、何時だって自分の弱みを子供には見せない。その背中を見て、子供たちは大人に憧れを抱いていくのだから。
その後、真嶋先生の手を引いて無事1位でゴールしました。テントまで送った後、真嶋先生には感謝を伝えて、「たまには良いですが、お酒は毎晩呑んでは身体によくないですよ?」と告げる。
するとポカン…と呆けた表情していましたが、どうしたのでしょうか?茶柱先生にも理由を聞かれたので、森下さんに言われたことをそのまま伝えます。
膝から崩れ落ちる真嶋先生、肩を震わせる茶柱先生、顔を逸らす坂上先生。吹き出したり、机に突っ伏す先生方。…皆様の普段とは違う表情に、私は首を傾げつつA組のテントに戻るのでした。
A組のテントに着くと、チラチラと視線を貰います。…が、私は一直線に今回の最大の功労者の元に向かいます。
「戻りました。藍、ありがとうございますね?」
「西園寺撫子
「いいえ、こちらこそ。…どうぞ、撫子と呼んで?とても助かったわ」
「あ、まだ自分には敷居が高いので…じゃあ、西園寺さんでお願いします。…名前呼びは、追々って事で」
「………?何か、あったかしら?」
「…まあ、それも追々ってことで」
「…?はい、お待ちしていますね」
敷居が高い。…なにか不義理をされた覚えが無かったので確認するも、上手く誤魔化されてしまう。
疑問は残りますが、待ちましょう。藍の心の整理がつくまで、私はずっと待っていますよ。
・◇・
その後、何度か借り物競争に駆り出されたり、皆様と一緒に選手を応援したり。…それにしても、最後のリレーでは綾小路君の走る姿に、皆様釘付けでしたね。何人も追い抜いて、最後の種目だけあって応援も歓声も盛大なものになりました。
そうして夕焼けが差し込む中、結果発表は速やかに為されます。
まず、全体の赤組と白組の勝敗は、赤組の勝利。
そして学年としての順位は、以下の通り。
1位 1-Bクラス
2位 1-Aクラス
3位 1-Cクラス 1-Dクラス
…なんとCクラスとDクラスが同点で同率3位でした。これには周囲からも騒めきが起こりましたが、クラスポイントの推移については説明された通り、まずAクラスとDクラスが赤組勝利で減少無し、B、Cクラスにマイナス100ポイント。
そして1位から3位の順位点を付け加えると…。
A:1149 - 0 - 0 = 1149ポイント
B:977 -100 + 50 = 927ポイント
C:492 - 100 - 50 = 342ポイント
D:281 - 0 - 50 = 231ポイント
ん…ほとんどのクラスが減少していますね。Bクラスとの点差も再び100ポイント以上となり、油断はできませんが結果としては及第点でしょうか。
―――こうして、私たちにとっての最初の体育祭は幕を閉じたのでした。
※この後、めちゃめちゃ
再びメイドの服を着て
…しかし、有栖や真澄が来なかったのが残念です。お二人とはまた別の機会に、労いの場を設けようと思います♪
――――――〇――――――
・
・・
・・・
「…さて、動画はご覧いただきましたか?」
「―――、―!!、―――!!」
「ふふ…そんな言い訳が通じると本気でお思いなのですか?」
「っ―!?―――!、―!!」
「あんな淫らな行為、幼気さに付け込んだ性的搾取でしょう?」
「―――!?―――、―――――、――!!」
「このような動画が学校側にしろ生徒側にしろ漏れたら、大変な事です。―――先生は、―――さんの人生を穢しておいて、なんと厚顔無恥なのでしょう」
「――――!!―――、―――!!」
「―――漸く、本音が出ましたね。…仕方ありません。―――さんの為にも、黙っておいても構いません。…ですが、何をすれば良いか…保身に長けた先生には、お判りですね?」
「―――」
「…その通りです。そうすれば、―――さんとの関係も私たちの胸の内に秘めておきましょう。…ね?真澄さん」
「…私はとっとと突き出した方が良いと思うけど」
「―――!!――、―――!!」
「ふふっ…それもありですが、何よりこの淫行教師を信じている
「…はぁ。任せるわ」
「――、―――」
「では、問題が無いかは真澄さんがこれからも常にチェックしてあげて下さい。もしも、看過できないコトが起きたら…―――先生。…分かっていますね?」
読了、ありがとうございました。
次回からは綾小路君など視点で、体育祭Dクラス目線を何個か差し込んで行きます。
進捗は10%なので、もう少しお待ちください。
主人公とのカップリングで許せるのは?本編、番外編問わず
-
綾小路清隆
-
堀北鈴音
-
櫛田桔梗
-
佐倉愛理
-
軽井沢恵
-
龍園翔
-
伊吹澪
-
椎名ひより
-
一之瀬帆波
-
神崎隆二
-
白波千尋
-
坂柳有栖
-
葛城康平
-
神室真澄
-
橋本正義
-
山村美紀
-
茶柱佐枝
-
坂上数馬
-
星乃宮知恵
-
真嶋智也