ようこそ(勘違い)大和撫子の学校生活へ 作:エカテリーナ
どうぞどうぞ。
―――〇―――
Side.神崎 隆二
「…どういうことなの?」
「いや、俺もまったく分からない」
「というか、帆波ちゃんが知らないなら誰も分からないんじゃないかな?」
「そうか?…そうかもな」
事の始まりは、先日始まった次の試験。
先生のいう、ペーパーシャッフル試験。俺達は『打倒Aクラス』を目標にクラス一丸となっていた。
テスト勉強や問題作成を作る打ち合わせも無事に済んで、今日は何組かに分かれて勉強会をしてた。
場所はモールにある喫茶店で、クラスの連中曰くウェイトレスの制服が可愛いとチラホラ噂が流れてたな。
男だけで行くのはハードルが高いが、今日のメンツの半分は女子だ。その点は問題ない。問題ない、のだが…。
「いらっしゃいませ、お客様。こちらのお席にどうぞ♪」
「えっ…!?は、はい…え…え?」「ど…どう、いたしまし…て?」
「………」
「………」
今また、入店する客を案内するウェイトレスを一同無言で見つめてしまう。
通路を挟んで席についている上級生だろうか?彼女達も顔を赤くしてみつめてしまっている。
純白のワンピースタイプの給仕服のような制服に、真っ赤なスカートはためかせている。
ウエストをキュッと絞めるようなサロンエプロンとレース柄のホワイトプリムを付けていて、なるほど確かに可愛らしい。
…別におかしな所はない。服装に問題はない。…問題は、それを着ているウェイトレスだ。
―――
…撫子、なにやってるんだ。ついこのあいだ、生徒会副会長になってなかったかお前?
目の前では同級生の撫子がウェイトレスの制服を身に纏って、接客や給仕をしている。胸元のハートの名札には達筆な字で『撫子(新人)』の名前が。
制服の構造上…胸、が強調されてることもあり非常に危険度が高い。名札を目にしようとすれば、どうしても彼女の胸元に目が向いてしまい女子からの視線が冷えていく。
ゴホン。そんな事よりも何故、Aクラスのリーダー格の彼女がバイトをしてるんだ?事情を知っているかもしれない一之瀬にメッセージを送ったら『すぐ行く』とコメントが来てから進展はない。
これでは勉強どころではない。理由を聞こうにも撫子は非常に忙しそうだ。
男女問わず必要以上にメニューやおススメなどを聞いて、みな接点を得ようと必死でとても人気のようだ。
…おい、そこのサラリーマン。彼女は未成年だぞ。止めとけ犯罪だ。
「っ、はぁっ!はぁ、はぁ、な、撫子…そ、その恰好…!」
「あら、いらっしゃいませ…お嬢様。おひとり様ですか?」
「~~~~っ!」※声にならない声
その後、ちょくちょく絡まれている撫子に助け舟を出したりしている内に一之瀬が到着した。走って来たのか息が切れていたのに、一転して黄色い声を上げる。満面の笑みでのお出迎えに飛び跳ねて喜び、撫子の事を誉めちぎっていたが、耳元でなにかを呟かれて落ち着きを取り戻した。
待ち合わせを伝え、こちらの席に合流する。…大丈夫か一之瀬、鼻血出てないか?…そうか。
さて、改めて情報共有をするが、特に進展はない。依然として、なんで彼女がウェイトレスをしているのかは不明なままだ。
いっそ聞いてみようかと思うが、仕事中だとすれば迷惑になってしまわないだろうか。そう思っていると、一之瀬が臆せず卓上の呼び出しボタンを押した。
電子音が店内に響き、「ただいまお伺いします」とよく通る声が届いた。程なくして銀のトレイを抱え持った撫子がやってくる。
「お待たせいたしました、ご注文をどうぞ」
「それじゃあ…お姉さんをひとつ、お願いしますっ」
「っ、ごほっ…!」
「…!!」
「~~~!」
不意を打たれた。吹き出してしまった柴田には悪いが、何とか堪えて顔を背けるにとどめる。自然に手を取られた撫子は瞠目していたが、口元を隠して上品に笑っている。
「ふふっ…。残念ですが、私は売り物ではないので…申し訳ございません」
「そっかー残念だなぁ…どうしてもダメ?」
「一之瀬。…すまないな、撫子…、さん」
「大丈夫ですよ。…似たような冗談をいう方も結構いらっしゃるので、ね」
居たのか。そいつら冗談で追ってないぞ絶対。…いや、道理で動じない訳だ。その後カフェオレを頼んだ一之瀬に、丁寧なお辞儀をして裏に消えていく。その後ろ姿を見守っていると、柴田と目が合う。まあ、分かる。…どこか女子たちの冷たい目が痛いが、いや仕方ないことだ。あの制服でお辞儀をされたら仕方ないじゃないか。
「ゴホン。…それで、本題に戻ろう」
「え?あ…そうだね!」
「………(忘れてたな)」
「………(忘れてたね)」
ようやく本題に入る。即ち、『何故、西園寺はこの店で働いているのか?』ということ。
一之瀬に生徒会でバイトを許可しているのかを聞くと、そういった申請は過去にあったみたいだが学校側が原則認めておらず、無償での奉仕活動などが精々らしい。
内緒話を重ねているうちに、スマホの振動音に気が付き時間を見ると18時。予定していた勉強会の終わりを報せた訳だが、それ所ではない。ああでもない、こうでもないという内に、網倉が店内をキョロキョロ見渡していた。
「どうした?」
「あ、えっと撫子先生…じゃなかった。撫子ちゃん見当たらなくて」
「ほんとだ…上がりの時間なのかな?」
「…みたいだな」
網倉と一之瀬が「え?」と揃ってこちらをみるので指を示してやる。ちょうど着替え終わったのか、制服姿の撫子が厨房側にお辞儀している。一通り挨拶が終わったのか、こちらのテーブルまで歩み寄ってきた。
「…あら皆様、ごきげんよう、です」
「撫子!…?」
「撫子…」
何時ものように丁寧に礼をしたものの、どこか素っ気なさを感じる。一之瀬もそれを覚えたのか、飛びつこう腰を浮かせたままの姿勢で硬直した。その後、網倉らに一言、二言世間話未満を話して帰っていった。
もちろん、ウェイトレスをしている理由については以前として不明なまま。
「いったい…何が起こっているんだ?」
「………」
そうして俺達Bクラスの、特別試験が進む。
ざわりと、一滴の疑念を孕みながら。
―――〇―――
Side.伊吹 澪
私はその日、勉強の息抜きに趣味の映画鑑賞へとケヤキモールに向かっていた。
最近は少し肌寒い。普段より厚手の濃緑のパーカーに袖を通して、足早に目的地を目指すとそこには見覚えのある先客がいた。
「~♪」
「あいつ…」
西園寺撫子。Aクラスの主要陣の一人。成績も良くて、かなり美人でスタイルも良い。…いや凄い凄い。
でもどこか常識知らずというか、箱入りみたいな育ちの良さみたいな隙も多い。
それでも体育祭の本番や前の特別棟の裏でのやり取りから、ただの良い子ってタイプじゃない。あれは間違いなく、武道経験のある奴の動きだった。
そんな奴が、映画館に入っていくのを目で追ってしまう。前回は普通の身なりだったのに、今回は違う。
薄い黒フレームのメガネと、深くかぶった茶色のハンチング帽。それよりやや明るい色のジャケットに、ジャージ以外では見た事のない紺のジーンズ姿。
いつもの長髪も帽子に隠したのか、襟元のファーも手伝ってパッと見て普段の西園寺らしさはない。ないけど…
「………っ」
思わず自分の胸元をみてしまい、首をブンブンと振る。…私は平均的。そう、アイツが可笑しいだけ。ゴホン。
ともかく、地味目のコーデでも私が西園寺の変装を看破しただけ。他の奴らならいざ知らず、私の眼を誤魔化せなかった。ただそれだけ。
気を取り直した私は予定していた映画のチケットを買って、ポップコーンとドリンクを手に自分の指定席についた。
今回見る映画は、別に有名でもなんでもない。かといって無名でもない海外ドラマのパロディ。港町で生まれた漁師の息子が、ハネムーンから逃げ出した金持ちの娘と出会って逃避行を、なんてありふれたヤツ。
…別に期待をしてた訳じゃない。半ば、見た事のない映画を義務感で観てやろうくらいの気持ちで視聴した。…ん、だけど…。
「…っ、……っ…」
「―――」
隣の奴が、泣いてる。ポロポロと。思わずギョッとしてしまうが、仕方ないでしょ。劇中では、主人公を庇った友人がどこから出て来たんだっていうギャングどもに撃たれて最後の会話をしている。吐血している友人の手を取って息を引き取った。…感動的だけど、
なんていうか、横で泣いているヤツが居ると冷静になるっていうか…全然映画が頭に入ってこない。てか西園寺だコイツ。気が付かなかった。
ハンカチを当てて嗚咽を抑えてる西園寺はスクリーンなんかよりもよっぽど目を逸らせない衝撃を私に与えたし、海外映画あるあるのペラペラのラブシーンでは顔を赤くしていて可愛かったし、謎のアクションシーンでは手を組んで小さく歓声を上げてた。
映画の最後は爆発シーンの後の車が去って終わりの定番パターン。そんなテンプレにもエンドロールが流れた時には感動した顔で小さく拍手をしていて、館内が明るくなるまで席を離れることはなかった。
「…そんなに良かったの?」
「え?…あ、伊吹さん。その…騒々しくしてしまいましたよね。申し訳ございません」
「………別に、そんな事ない。…で、どうだったの?」
「?」
キョトンとした西園寺に、少しだけ気恥ずかしさを感じて映画の感想を聞く。そうすると普段の様子で主人公の行動がどう、友人がこう、と割としっかり内容のある感想を語られた。それに相づちを打っていると、店員が来て清掃するのでと退場を促してきた。…なんか流れで、場所を併設してあるカフェに行く事に。
「それで、まさか逃がしたひろいんの方が車を手にして戻ってくるだなんて、私とても驚いてしまって…!」
「あぁ…まあ、あのまま逃がして終わる訳はないと思ってたけどね」
「そうなのですか…!?…ですが、彼は彼女が自分の好きに生きていてくれればいいと」
「いや、それでも…」
映画の尺的にまだ終わらないだろうし、そもそも主人公を見捨てて消えるヒロインって最低でしょ。そんな事を言うのを躊躇うくらい、西園寺は興奮気味に映画の感想を口にしていた。言い淀んだ事を不思議そうにしていたので、「あのヒロインが、自分を助けてくれた恩人を見捨てると思う?」と適当に誤魔化す。…なんかめちゃめちゃ上機嫌になった。…コイツ、こんな風に笑うんだ。
「えぇ、そうっ!そうですね!…ふふっ、伊吹さんは映画についてお詳しいのですね」
「………、まあ、それなりに」
………ヤバい。めっちゃ恥ずかしい。なんでこんなに尊敬しました、みたいに見るのよ。誤魔化す様に飲み物を引っ掴んで行儀悪く音を立てて飲む。
そんな様子にも構わず、キラキラした目を向けてくる西園寺。…顔に熱が籠るのを感じる。自分よりも可愛くて、すごい奴に、こんな目で見られると…こう、グッと来る。なんとかそんな雰囲気を変える為に、出会い頭の疑問をぶつけてみる。
「そういえば、なんでそんな恰好してるの?」
「恰好…ですか?」
「いや、なんていうか…普段と全然違うじゃない?」
「…あ」
ハッとした顔で固まる西園寺。どうしたのかと訝し気にみていると、急に不安そうな顔で周囲を見渡してホッと息をついてた。落ち着いたのか、こちらに向き直る西園寺。ただ雰囲気は普段のものになり、帽子を目深にかぶり直して、声色は潜めるようなものに変わる。
「こほん…。ええと…その…」
「口で言うのかよ…」
「っ…」
聞こえていたのか、顔が赤くなる。上目遣いでこっちを見る姿に、またぞろ変な雰囲気になっても仕方ない。軽く詫びて、先を促すことにする。
「あ、悪かった、悪かったわよ。…続けて?」
「は、はい。…まず、この格好については、店員の方に『目立たない出で立ち』をてーまに選んで頂いたのです」
「(そのおっ〇いで目立たない訳ないだろ)…ふぅん。たまには一人で過ごしたかったわけ?」
「いえ。実は、有栖から暫く目立つ行動を控えるようにお願いをされているのです」
「有栖って…坂柳?Aクラスの?」
思わぬビックネームに姿勢を正すと、コクリと頷く西園寺。
西園寺撫子、葛城洋平、坂柳有栖。Aクラスの三大巨頭。それぞれが独自の派閥を持っていて、Aクラスは各々のトップの指揮の元、独自の方針で動いているらしい。
Aクラスと契約する機会が多かった
西園寺と揃って点数は全教科満点。杖を着いていて、身体に障害があること。銀髪の美少女で、理事長と同じ苗字であること。
…実際に指揮を執った事は聞かないけど、今回の試験でいよいよ動き出したのかも?そんな疑問を肚に、出来るだけ世間話のように情報を得ようと働きかけてみる。
「確かにアンタ、他のクラスにも知り合いが多そうだしね。…うちのひよりとも」
「ええ。…そういえば、先日は本当に失礼してしまいました。…ひよりとは、その後?」
「友達。…ちゃんと謝ったし、アンタに心配して貰うことないって」
「…なら、良かったです」
「ん。…って、そんなことよりもっ」
「?」
危ない危ない。上手く誤魔化されるところだった。
その後、私は今回の試験で坂柳が指揮を取っている情報や、西園寺は何も知らされてなくて他のクラスとの勉強会や接触を出来るだけ控えるように指示されている事を聞き出した。
最後はちょっと露骨だったケド、『誰が試験問題を作ってると思う?』という質問には素直に答えてくれた。
「多分ですが、有栖本人か真田君…ええと、真田康生君か…後は英語なら」
「ちょ、ちょっと…!そんな言って良いの…!?」
思わず、こっちが不安になるほどにドンドン情報を吐き出す西園寺。キョトンとした表情からは、「え?聞かれたから答えたのに…」みたいななんかこっちが可笑しなことを言ったような気になってしまう程だ。
こうして、私の週末の一時は過ぎていく。
…ちなみに、西園寺とはこの日よりしばしば共に映画鑑賞に行くカンケイになるのだった。
―――〇―――
Side.坂柳 有栖
私は最後の週末を行きつけの喫茶店で、午後のお茶を楽しんでいました。
試験は来週。細工は流々仕上げを御覧じろ、といった所ですが…さて。
「いらっしゃいませ、おひとり様ですが?」
「あぁ、そうだ…いや、知り合いが居たから同席していいかな?」
「かしこまりました。お水をお持ちしますね」
カラン、と来客を報せるドアベルが鳴り視線を向けると見知った顔が入店したようです。クラスメイトの橋本君。
さも偶然という雰囲気で声をかけて来て、私も奇遇ですねと返事をする。他愛もない世間話に応えて、彼の希望通りに同席を促します。
「いや姫さん、良かったのか?珍しく真澄ちゃんもいなかったみたいだし、…誰かと待ち合わせか?」
―――誰と会うつもりだったんだ?
「ふふっ、いえ。そんなことはありませんよ?私にも、真澄さんにも一人で居たい時くらいあります」
―――あなたが釣れたようですね?
透けて見える程、露骨な探りとその牽制。苦笑交じりに彼もコーヒーを注文し、なんてことはないオハナシを続けます。
葛城君が勉強会を企画していた事、その最中で戸塚君が相変わらず和を乱す発言をしていた事、他にも他にも、よくもまあと思うほど彼は自分を売り込んで来ます。
程なく飲み物が届くと、喉の渇きを潤して姿勢を正した彼が切り出します。
「―――で、姫さん。折角だし聞いて良いかな?…今回の、試験のことをさ」
「―――あら、橋本君は何を聞きたいのですか?」
作ったような真剣な表情ににっこりと笑みを返すと、肩を竦める橋本君。そうして降参するようにペラペラと事情を話してくる。…なんでも、葛城君の
「―――てな訳でな、別に俺は姫さんを信じてるけど、さ」
「ふふっ。…では有象無象の声なんて放置したら良いのでは?」
「いやまあそうなんだが、損はないんじゃないのか?…もしも今回の試験で勝利すれば…
「…なるほど」
俺達、というのは私達とイコールではないのでしょうね。
内心で蝙蝠のような彼を嘲笑う。まあ表面ではおくびにも出さず、さも『坂柳有栖は派閥の増強に注力している』風を装う。
少し焦らす様に、彼が2度ほどコーヒーを飲むような時間分を待たせて、口を開く。
「私が今回、用いた戦術は3つあります」
「…3つの戦術?」
「ええ。1つは、他クラスの問題の入手」
「な…マジかよ」
思いがけない急所に、腰を浮かせる橋本君。今回の試験、必勝法というものがあるとすれば、それは問題の入手。答えの分かっている問題ほど、簡単なものはないのだから。
「…ただこれは、現在も交渉中です。入手出来たら共有しますね」
「そ、そうだよな。…まあそう簡単には行かねえか。後の2つは?」
「2つ目はオーソドックスに、勉強会の実施による学力強化。…これは、どのクラスもやっていますね?」
「…そうだな、図書館とかファミレスで勉強してる奴らをよく見るぜ」
上げて落とす。これはより期待した相手によく効く。表情には出さない様にしているようだが、落胆は隠せ切れていない。
彼は、完全にこちらにいるよりも…そう、うろちょろとしている方が有用だ。
…これでは蝙蝠ではなく、まるでネズミですね。
失笑を隠す為に紅茶で口を濡らすと、最後の戦術についても彼に教えてあげることにします。
「最後の戦術は、
「あぶり出し…?って、どういうことだ?」
「分かりませんか?」
「………」
意図を含ませるように、ニッコリと笑みを深める。彼も伊達にAクラスではなく、そして彼の空気を読む才能は知人友人の広さからもよく分かる。疑問は疑念に、そして後ろめたさは自己保身へとつながる。
「………ウチのクラスから、(裏切り者が)出ないかを…って事か?」
―――俺を疑っているのか?
「
空調は整っている店内にもかかわらず、冷や汗をかく彼が絞り出した言葉は、
声を潜ませ周囲に視線を配る様はなるほど、まるで私たち側の陣営として味方のように振舞っている。言葉に出しさえしなければ、こんなものは茶番だ。益々に信頼を取り戻せば十分に失点は取り返せるでしょう。…期待していますよ?橋本君。
その後、急用が出来たと席を立った彼を見送ると私もスマホを取り出す。そこには期待通りに日々を過ごしている撫子さんからのメッセージと、彼女を目にしたクラスメイトの方からの連絡が届いている。
前者は『Cクラスの伊吹さんと接触できたこと』と、『探りを入れられたこと』の2つ。
後者は『西園寺さんが他クラスの生徒と人目を隠れるように接触していたこと』を。
「…ふふっ。これで、チェックですね」
橋本君には3つと言いましたが、正確ではありません。
問題の入手、学力の強化、裏切り者のあぶり出し。全て間違いではありませんが、更にもうひとつ。…いや、
他のクラスを
すると、どう見えるでしょうか?
そして更に、
そんな事があったのなら、流石の私でもこの試験は勝てないかもしれないでしょうね。
…あら?また撫子さんから報告でしょうか。…、……はっ!?
「っげほっ、ごほっ…!」
「お客様、大丈夫ですか?」
「ん、ふっ、すいま、…大丈夫です」
思わず
送られてきたメッセージは『どちらが似合いますか?』というもの。
添付された写真には、両手にハンガーを持ち片手には淡い桃色のワンピースタイプの秋服。もう一方はグレーのキルティングジャケットに、赤のプリーツスカート。
どちらも彼女に合うと思いますが、持っている彼女は脱衣して黒いレースの下着姿です。当然、両手は塞がっているので撮影者は第三者でしょうし、着替える為の更衣室のカーテンは全開になっています。
彼女の背面のガラスに映っている服装から、撮影者も恐らく従業員ではない模様です。…いったい誰が?
表情も自然そのもので、羞恥を感じている様子はありません。…あられもない姿をこうも晒す方とは思いませんでしたが、これからはより注意しないといけませんね。
私は『どちらも素敵ですが、白や蒼も良いと思います』と返信を送り、週末のひと時を過ごすのでした。
――――――
帆波「みんな大丈夫、撫子には私が(今夜、身体に)聞くからっ!」
ひより「伊吹さん、ちょっと話が…」
撫子「白や…蒼、ですか…ふふっ」
読了ありがとうございました。
よろしければペーパーシャッフル、皆様はどのクラスが勝つと思うか予想を立ててみて下さいね。
次回もお楽しみに。
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