ようこそ(勘違い)大和撫子の学校生活へ 作:エカテリーナ
今回はあんまり進んでいないやつですね。
復帰した撫子の活躍(?)をお楽しみいただければ幸いです。
では、どうぞ。
―――◇―――
Side.西園寺 撫子
目が覚める。海の水面から顔を出した時のようなハッとしたような覚醒。
これまでのような、朧げな…そう、ふわふわとした浮遊感。
幼い頃に一口だけ頂いたお酒による、酩酊。
風邪を引いた後の脱力感、
全力疾走をした後のような疲労感、
食べ合わせの悪いものを食べたような不快感。
大きな音を聞いた後の耳鳴り。
周囲の音を感じない事への不安。
周囲の方々からの心配を向けられる居心地の悪さ。
―――今まで感じていたそういったものが、全く感じなくなっていました。
「んっ…ぇ?…あれ?」
身を起こす。周囲を見渡して、いつもとは違う天井に記憶を読み込む。
ここは?…特別試験の為の寄宿舎。その一室。特別試験?…新学期での初の試験、クラス混合のグループで各種目の成績を競う。同学年を小グループ。各学年で3つ纏めた大グループで1位から6位を競う。種目は道徳、精神鍛錬、規律、主体性。
…大丈夫、思い出せる。それよりも、大切なことがあった。私は寝床から立ち上がると、物音を立てない様に部屋を出て、廊下に出ます。
外は未だ明るくなる前のよう。本来は肌を刺すような冷たい外気も、今は気にならない。水道のある手洗い場。窓ガラスには隈ひとつない自分の顔が写っていて、ゆっくりと深呼吸をする。そうして―――声を、出してみる。
「っ…ぁ、あ、あ~♪、…ん、んんっ。あぁあ…っ!」
窓ガラスには涙を流している私が居た。でもそれは、悲しい訳じゃなくて。
「…っ撫子…!?」
「………先生」
私を呼ぶ声に振り向くと、そこには佐枝先生が居ました。驚いたような、それでいて心配そうな顔をしていた先生に私は精一杯の気持ちを伝えました。
「佐枝先生、私…私っ…!」
「撫子…大丈夫、落ち着きなさい、…大丈夫だ」
不安だったこと、耳が良くなったこと。皆様に心配をかけたこと、治ってよかったこと。ぽつぽつと話す私に、ひとつずつ相槌を打ってくれた佐枝先生。いつものように頭を撫でてくれて、髪を梳いてくれて、涙を拭ってくれた。
「良かったな、撫子。…本当に」
「先生の、皆様のおかげです…!」
「撫子………」
「佐枝、先生」
興奮気味だった私を受け入れてくれた佐枝先生。ひとしきり吐き出して、ようやく落ち着く私。佐枝先生と視線が重なった…その時。
「んんっ、コホン…」
「ひゃんっ」
「っ…」
後ろからの咳払いにビクリと肩を揺らし、佐枝先生と一緒にそちらに視線を向ける。そこには杖を着いた、どこか顔の赤い有栖の姿が。
「さ、…坂柳か。こんな時間に何をしている」
「茶柱先生。…いいえ?お手洗いの帰りになにか話し声が聞こえたので、興味本位で。…ところで」
こちらの様子をみて、スッと視線を逸らす。普段らしからぬ彼女の様子に首を傾げていると、有栖は気まずい雰囲気のまま一言。
「…流石に、冬に…いえ、冬ではなくともその恰好は…風邪を引くと思いますけれど」
「「………あっ」」
その言葉に、自分の身なりを思い出しました。寝る時は衣擦れの音が不快でしたので、下着姿で床に就いたのでした。薄い水色と白のレースの下着。
「…っ、くちゅん」
意識すれば急に冷えて来て、…後は羞恥で、ぶるりと身悶えしてしまいます。慌てた様子の佐枝先生と有栖に手を引かれて部屋に戻りました。…とっても、恥ずかしかったです。あう。
こうして少々騒がしい夜が明けて、私達の特別試験の二日目が幕を開けるのでした。
・
二日目の昼。私は小ぐるーぷの皆様に体調が快復したことを伝えました。勿論、一緒にずーむ?の通話でお医者様との問診や注意事項を先生方と聞いて、無理をしない事を条件にです。
皆様、本当に喜んで下さってまた泣きそうになってしまいました。お昼の食事を食べる際に他のぐるーぷの方にまで快復を祝う言葉を頂いて、やる気とても満ち溢れてきます…!
「…それで、試験の内容はこんな感じっ」
「なるほど…帆波、この駅伝の走る距離については…」
「あ、それは一人1.2キロずつで…」
お昼の時間。午前中に皆様が聞いた試験説明について、内容共有を受けます。禅についてはある程度の経験があるので問題はないですが、すぴーち。…いったいどういう内容が求められるのでしょう。皆様もまだ不安な様子です。
そんな中、後ろから気配を感じ振り返る。そこにはクラスメイトの山村さんの姿がありました。
「っ…あ」
「ごきげんよう、山村さん♪なにか、御用でしたか?」
「はい、その…これを、一之瀬さんと西園寺さんに渡すようにと…その、坂柳さんから」
「有栖から?」
渡されたのは折りたたまれたメモのようで、それぞれ私と帆波の名前がありました。山村さんにお礼を言って視線で有栖を捜すと、グループの他の方と歓談をしている様子。何故メモで?首を傾げながらも帆波にも事情を話して、メモを手渡します。
私も内容を読むとそこには「この試験については遠慮なくBクラスと協力するように」と、そんな内容が書いてありました。
「…撫子ちゃん、手紙にはなんて書いてあったの?」
「?ええと、試験をグループの皆様と協力して受ける様にと。ほら」
ペラリとメモを帆波に見えるようにすると、じっとそのメモを見た後に帆波はニコリと笑うと私の手を取って…?
「………そっかそっか!いやぁ~心配かけちゃったかな?」
「わ、わっ…!帆波?」
「こっちにもおんなじこと書いてあったよ!」
ぶんぶんと手を上下に振られつつも、上機嫌な様子の帆波。どこか、誤魔化すような色を感じましたが帆波もクラスのリーダー。なにか、私には伝えられない作戦上の都合があったのでしょうか?
「撫子お姉様、頑張りましょうねっ!」
「…私も、いっぱい協力するから無理はしないでね?」
「ひより…愛理も」
「撫子先生っ私達も頼ってね!」「私も私も!」
皆様の暖かい言葉に、もう今日だけで何度目か分からないほどの感動が溢れ、涙が零れるのをじっと耐えました。…もう余計な心配をかけまいと振舞わねばと、そう思えば思うほど、涙もろくなった目尻からほろほろと雫が伝うのが分かってしまう。
「わっ、ゴメンね…”?撫子ちゃんっ平気?
「大丈夫…?あ、擦っちゃダメっ…!」
「西園寺さん、どうしたのかしら…」
「…あれ、副会長の。…大丈夫かな?」
「心配ね…」
他のクラスの方も、学年が違う方にも心配をかけてしまう。こんな私に、私なんかに、皆様が心を砕いて下さる。
口を掌で覆って、嗚咽を零さないように気を付ける。そんな
「―――はい♪…皆様、ありがとうっ」
後ろめたさを覚えていても、それを甘受してしまう。
そんな背徳感が、私の心にずっと残っているのでした。
―――〇―――
混合合宿試験の朝は早い。
2日目の説明で各生徒は次の日の朝食の準備*1を始める為に早起きをしたり、早朝の掃除と座禅を行っている。
この日も当番となった女子生徒らが欠伸をしながら、暗い内から屋外の調理場所に向かう。するとそこには既に、テキパキと動く生徒の姿があった。
「おはようございます、先輩方♪」
「え?あ…おは、よう?」
「…なにこれ?」
辿り着いた2年生の生徒が驚いたのは、自分たちのグループの朝食。その下ごしらえの大半が完了していたからだ。
まだ寝ぼけているのかと頬を引っ張ったり目をこすったりするが、目の前の切られた野菜や準備されたカセットコンロ、炊くのを待つだけのお米。あとやる事と言えば精々、調理中の火の番や食器の準備くらいだろうか。
おそらくそれをやったであろう後輩―――西園寺撫子はエプロンを着用しており、機嫌よく使ったまな板や包丁を洗っている。
「~♪」
「ごめん、遅れたーって、え?どうしたん、これ」
「あ、いやあの子が…やってくれたみたい?」
「マジ?…ってか副会長じゃない、あの子」
「え?…あ、本当だ西園寺撫子
遅れて来た生徒たちが撫子をさん付けする理由は大きく分けて二つある。一つは、自分の学年を実効支配している現生徒会長、南雲雅が眼にかけている後輩だという事。
そしてもうひとつ。それは尊敬や神聖視のような、あるいは生物としての
「………あのナリで16歳とか噓でしょ…」
「それね…」
「…?あら、真澄っ」
「おはよ。…朝から元気そうだけど、無理はしないでよ?」
「はい♪…なにかお手伝いしましょうか?」
たゆん、たゆんっ。
エプロン姿で隠してある分、普段より自己主張している部分に注目が3割増しで集まっていることに本人は気が付いていない。
そして彼女達は、自分のモノにも目を向ける。大部分の生徒はそこで敗北感ではなくもう尊敬の念すら抱いてしまう。
「結婚したい…」
「…分かる」
「…毎朝、西園寺さんの味噌汁が飲みたい」
「「分かる」」
「帰ってきた時に出迎えて欲しい。…あわよくば一緒に寝て起きておはようも言って欲しい」
「「「分かる…」」」
かなり新妻み溢れるシチュエーションだが、そんな彼女が手ずから作った朝食だ。2年生の生徒は周囲の恨めしい視線から逃れる様に、慌てて指示を仰ぎにいく。それに嬉しそうに答える撫子には他のクラス、学年からも助言を求められる声が上がる。
「撫子さん、少しよろしいですか?」
「あ、部長。お久しぶりです♪…なんでしょうか?」
「うちのグループ、奇跡的に誰も料理できなくて…ちょっとご助力を貰えればと」
「~~~っ、ええっ!、かまいませんよっ♪…あ、他の方も一緒でも…!?」
「勿論いいよ」
「ありがとうございます、では…」
今までの感謝を返す事に飢えていた撫子も、これには味を占める。翌日も上機嫌に、朝食の準備を(自主的に)手伝う撫子の姿があるのだった。
・
これまでも学年を跨いで話題に上がったり、なんなら生徒以外とも知り合う機会の多かった撫子だが、ここにきて女子の中でトップクラスの話題や信頼を稼ぎ出す。
「先輩、こちらをどうぞ♪」
「え?…あ、ありがとう」
時には駅伝で汗をかいた先輩にタオルを渡し、
「西園寺さん、これ切ったわよっ!」
「こっちも洗った!」
「ありがとうございます。…では、野菜はその小さいほうのお鍋にお願いします♪」
時*2には食事の準備を広範囲で補助して回り、
「~♪」
「………撫子ちゃんっ」
「ひゃんっ!…もう、桔梗?驚かせないで下さい」
「えへへ、ごめんね?でも撫子ちゃんが、あんな隙だらけの背中を見せてるから、つい」
「全く…いけない子ですね」
時には友人との尊い光景を周囲に供給し続けた。
てえてえ。
だが本来、ここまで抜きんでた同性には嫉妬など悪感情を抱くケースも不自然ではない。自分より綺麗で、優秀な撫子に当初はツンとした生徒が居ない訳ではなかった。しかし、
「先輩…っ」
「もう、なんなのよ」
これが
「先輩っ…!」
「はぁ…今度はなに?」
こうなって
「先輩先輩っ♪」
「全く…ほんと、手がかかるわ。仕方ないわねっ」
こうなる。
だいたいの周囲の人間は微笑ましく見ているが、一部の生徒の目は久しぶりに死んだ。そうして撫子は試験を通して、自分の所属する大グループのほぼ全員と友諠を結ぶ。
―――この撫子の活動は、試験に挑む誰かにとっては最善で、誰かにとっての最悪だった。
もし、全ての結果を知る人間がこの試験を振り返るなら、間違いなく撫子に責任はなかった。
誰かが手を回していた陰謀があった。普段とは違う集団生活という非日常があった。それぞれの宿舎に200人以上という、人の壁があった。
だから撫子が自分の行動の良し悪しを知る事になるのは、試験が終わる八日目の結果発表のその時となるのだった。
―――〇―――
Side.堀北 鈴音
今回の特別試験は、普段とは慣れない生活を強いるものだった。そんな中でも私たちにとって、数少ない憩いとなる時間のひとつが、入浴だ。
特に今日は駅伝の下見として、午後のほぼ全部の時間を使って18キロを歩いたのもあり皆がクタクタだった。日ごと、ひと学年が走ると食事前に入浴が許された。風邪を引かない様にとの配慮だそうだけど、とても助かった。
普段は特定のグループごとに入浴していたけど、今日は同じくらいにゴールした一之瀬さんや佐倉さん、撫子お姉様のグループと一緒にお湯を頂く事になった。…のだけれど。
「やぁ、帆波、だめ、あんっ…!」
「やっぱりすっごいね…な~でこ♪…また大きくなった?」
「あんっ、そんな、こと…!」
「ほらっほらっ、教えてくれなきゃ~えいっ」
「西園寺さん、…凄い」「………うわ、エッロ…」
浴場に入って来た時にも、みんな驚いて固まってしまっていた。でも、一之瀬さんが身を清めている撫子お姉様に抱き着いて、後ろからむ、胸を揉みしだくと嬌声を上げて、その…。…淫らな、お姉様と、あんなことを…。
でもそんな艶やかな空気はBクラスの白波さんが止めてくれた。スマートに二人の間に入ると湯冷めしない内にと入浴を勧めてくれて、同意した佐倉さんとも一緒に今は寛いで気持ち良さそうにしていた。
「はぁ…」
「にゃ~」
「ふぅ…」
「「「…」」」
湯船につからない様にまとめられた黒髪。それによって覗かせるうなじがとても魅力的でゴクリと喉が鳴ってしまう。
…それにしても、その…凄い。湯舟に果物*3が6つも浮いてるように見える。三人ともかなり胸が豊満だけど、中でも真ん中に居るお姉様は両側の二人より二回りよりは大きく見える。
「ん、ひゃっ…帆波?」
「ん~?えへへ…」
「もうっ…仕方ありませんね」
「あっ…撫子っ」
「「「…っ!」」」
驚いた声を上げたお姉様を見る。どうやら一之瀬さんが湯船の中、伸ばした足でお姉様の足にちょっかいをかけているようだ。それにお姉様も苦笑して、肩をかき抱くと一之瀬さんが肩に頭を預けている。
「んん゛…!」「うわ、あんた凄い鼻血よ…!?」
まるで恋人のような距離感に、湯あたり以外の理由でも浴場を出る生徒が続出した。
私も少し頭を冷やしたくて、温いシャワーを浴びていると後ろから歓声が上がった。また何かあったのかと振り返ると、そこにはお姉様の胸に手を当てる椎名さんの姿があった。
「はっ、え、…えぇ…!?」
「ぁんっ…ひより、もう少し…優しくっん。ふ、あっ…!」
「凄い…!温かくて、大きくて、肌が吸い付くようで、あぁ…素敵ですっ」
「し、椎名さん…次、私も…」「あ、あたしも良いかな?」
椎名さんに続く様に、他の人たちも撫子お姉様に群がっていく。そして、それに応えるお姉様。一之瀬さんは何をしているのかと目を向ければ、その表情は普段の彼女らしからない…なんというか、
「ん?ねえねえ、堀北さんも、どう?」
「っ!結構よ…!」
「え~?勿体ないよ?こんな機会、もうないかもよ?」
クラスメイトの冗談をとっさに断ってしまう。…でも、視線は自ずとお姉様の方に向いてしまう。その後も皆に囲まれて、入れ代わり立ち代わり胸を触らせたお姉様はこう、
なめかましく膝を崩し、胸を隠そうと腕で庇っていても、半分も隠せていない。正直、…同性でも危ない雰囲気を放っている。知識だけで知っている、
「はぁ、っん…は、ぁ…」
「っ…!」
誰ともなく、ゴクリと生唾を呑んだ。
次になにかきっかけがあれば、飛びかかるんじゃないかってくらい張り詰めた浴室。誰が最初に?、それなら私が、なんて考えが脳裏に過ったその瞬間。
「み、みんな…なにしているのっ…!?」
「っ、あ…」
誰も気付いていなかった中、新たに浴室に入って来たのは櫛田さんだった。彼女は直ぐに撫子お姉様の元に近づくと、「大丈夫?撫子ちゃん」と声をかけていた。その返事にも息が絶え絶えの様子だった。すると今まで静観していた一之瀬さんが、一転。普段通りの表情で櫛田さんの元にと駆け寄る。
「…桔梗ちゃん、ごめん、私が長話しちゃって…湯あたりしたのかも」
「帆波ちゃん。…そう、なの?」
「うん、
「分かった!…撫子ちゃん、掴まれる?」
そういって脱力した様子のお姉様に、二人が肩を貸して運ぼうとする。私はその様子に手伝うでもなく、なにか言うのでもなくただ見ているだけだった。まとまりがほどけて、素肌に張り付く濡羽色の髪。二人の間にあってなお自己主張をする胸、細い腰つき、くびれ、臀部、鼠径部、太もも、ふくらはぎ。
食い入るように見ていると、最後にこちらを振り返る一之瀬さんと目が合う。
「………」
「………っ!」
やはり勘違いではなかった。その目には、この場の全員を挑発する意図が宿っていたのだった。すなわち、
―――
きっとそんな、どす黒い意志が、一之瀬さんからハッキリと感じられた。
…でもその意味が判明したのは、試験の終わる最終日の事。思い返しても、あの頃に動けていたら…と思ってしまう。本当、後悔先に立たずといったところね。
―――〇―――
Side.橘 茜
私はひとり、朝の清掃を行っていた。グループの他の方もそこには居るけど、誰も手伝おうとはしてくれない。それどころか、これ見よがしにうんざりしているような態度…悪態をついてきている。
「ほんと、使えないんだけどー」
「私たちの足引っ張らないでよねっ」
「…っ」
どの口でいうのか、そんな言葉を噛み殺して耐える。
何回も注意を言っても、何をしていても彼女達の態度は変わらない。
彼女達に陥れられたとようやく気が付いたのは、試験ももう半ばで取り返しがつかないところまで来てからでした。
堀北君の指示で私を含めて、クラスの女子の皆さんは責任者にはならなかった。でもグループ分けの段階から周到に手を回されていたのか、私はAクラスで唯一のメンバーとして、このグループで孤立奮闘して…堀北君みたいに出来ていれば、よかったのに。…それか、彼女みたいな。
「それに引き換え、西園寺さんだっけ…凄いって噂だよね」
「そうそうっ!朝の手伝いもしてるみたいだしっ。…あ~あ、橘さんが早く終わらせてくれれば、私も会いに行けたのに」
「………っ!!」
西園寺さん。西園寺 撫子さん。つい最近までご病気だったらしいですが、今は快復した様子なのはチラッと見ました。普段なら直接そのお祝いとか、激励、他にも先輩として気にかけたかった。…でも、今は他の皆さんに見張られて自由に行動できる時間なんて全然ありません。
先ほどからチラリと先生が横切る時だけ、彼女達はさも掃除していますという風な態度を取る。…昨日なんかは、私の持つ箒を奪って私が清掃を怠っている場面を周囲に広めるようなことまで。
「でも西園寺さんって、素敵で…ほら、堀北君とお似合いよね~」
「そうそう、眉目秀麗な堀北君と、三歩うしろを歩くような西園寺さん…!すっごく絵になるわっ」
「…誰かと違ってね」
「っ…!」
きゅっと唇を噛んで、涙をこらえる。こんな人たちに、負けたくない。
クラスの皆にも迷惑を掛けたくない。…西園寺さんにも、心配を掛けたくない。
そうやって私は意気込みを新たに、黙々と掃除を続ける。
そうすれば、そうすればきっと…、あの頃の生徒会室での日々を、もう一度。
―――待っててください、堀北君、撫子さんっ…!
読了、ありがとうございました。
今回で体調が治った理由は気が付いているかもしれませんが、彼の退場(予定)が直結しています。
次回で道中、試験本番、結果発表とテンポよく行きたいですね。
引き続き、高評価、感想、お待ちしております。
是非是非、よろしくお願いいたします!
本作もついにアニメで言う3期に突入しました。また募集なのですが、番外編や幕間、別作品扱いでも書きたいネタはたくさんあるのですが、どれが需要高いか教えてください!
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