仕事人『ヘルメス』   作:八坂ノ宮

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今回は最近判明した旅団過去編についての情報があります。
ネタバレにもなりますので避けたい方はブラウザバック推奨です。
ネタバレ部分は少し隙間を空けてます。


トウ×ヲ×オリロ

 

 色々起きた飛行船の時間はあっという間に過ぎていく。翌朝を迎えるとアナウンスが船内に鳴り響いた。

 どうやら目的地に着いたようだ。

 窓から覗いてみるとそこにあるのは筒状の建物、かなりの高さである。

 

「うっへぇ……すごい高さだな」

「レオリオビビってる?」

「ビビってねぇよ‼︎」

 

 とレオリオは強がっているが少しだけ震えているのは黙っておこう。ゴンとキルアは2人でワイワイしているしクラピカは冷静に次の試験について考えているようだ。

 その横で私は朝食のコーンフレークを食べる。ミルクが染みる前のコーンはどうして美味しいのか、サクサクの食感が最高だ。

 

 それから少しして飛行船がタワーの頂上に着陸、私達は案内によって外に出る。

 ネテロと共にやってきた協会職員のビーンズにより説明があった。この塔は第3試験会場、トリックタワー。試験内容は制限時間72時間で生きて下まで降りてくる事。

 3日とは随分と長い、それだけ多くの仕組みがあるはず……【天を駆ける草履(カエルム・タラリア)】を使えば楽に降りれるが使うのは面白くない。

 

 そうしてどう降りるかを模索していると1人のいい声をしたロッククライマーが塔の壁面を登攀し始める。

 確かにクライミングできる人間ならば降りるのは容易だろう。しかしそんな事を協会側が分かっていないはずがない。

 ゴンが何かに気がついたようで指を指している、目を凝らして見てみると怪鳥がこちらの方に向かってきているではないか。

 先程のロッククライマーはなすすべなく怪鳥に連れ去られてしまった。ハンターではなく漫画家にでもなればまた別の道があっただろうに。

 

 それから時間が少し経過、ちらほらと受験生がいなくなっていることに気がついた。どうやら下に降りる手段を見つけたらしい。

 そして私も気がついた、と言うより落ちた。どうやら床の一部が回転するようにできていたようで私はそれに逆らわずに落下する。

 

 中はどうやら部屋になっているようで既に先客が1人いた。彼はポックルと名乗る。

 背負っている道具から弓の狙撃手なのは見て分かったがどんな人物か知るために交流をするとしよう。

 

「試験の調子はどう?」

「どうって言われてもな……順調にここまで来たからには合格してみせるさ」

「それは何より。まだ試験は続くというのに限界を迎えている人が仲間だったらどうしようって思っていたよ」

 

 そんな会話をしながら部屋を見渡すと一箇所に目が止まる。そこには「3人集まるまで待て」の指示が書かれていた。

 どうやら人数制限のある道のようだ、後1人が来るまでは進むことができないらしい。

 

 待っていると上に誰かの気配を感じ取り、じっと見つめた。少しするとそこから女の子が降りて来る。

 

「いった〜……」

「立てる?」

「大丈夫、ここは……」

「あなたを合わせて3人揃った、ようやく試験を開始できるね」

 

『よろしい、それでは説明をしよう』

 

 スピーカーから声が……!

 なるほど揃ったら試験官からの説明があるわけか。

 

『君たち3人の道は、“一蓮托生の道”。まずはそのタイマーを各自腕に付けたまえ』

 

 それに従い私達は腕にタイマーを取り付けた。しかしそのタイマーは腕時計型ではなく凶悪な囚人を拘束する際に付ける頑丈な腕輪、少し重たい。

 そして3人が付け終わると腕輪から鎖が現れ、それぞれの腕輪が鎖で繋がってしまった。

 

「っ!!」

「えっ!?」

「なるほどね」

 

『これから君たちが進む道は常に二種類の道がある。君たちは鎖で繋がっている以上、バラバラに動くことは出来ないため慎重に進みたまえ』

 

 うん、マズイ道を選んだかもしれない。

 私一人なら余裕であってもこの二人は私よりも身体能力が低いだろうし鎖で縛られている為に負担が来る。

 そして何より一番恐ろしいのは……

 

「さて進むけど、改めて自己紹介をしておこうよ。一蓮托生だからある程度お互いのことを知っておいた方がいいよ」

「それもそうだな、俺はポックル。幻獣ハンターを目指しているんだ」

「私はポンズ、私も幻獣ハンター志望よ」

 

 ポックルとポンズ、覚えたわ。

 この二人は性別も違うから身体能力のバランスが更に悪いわね……

 

「で、アンタは?」

「私はルメーネ、闇業界の仕事人よ。だから契約ハンター志望ってところさね、安心しなさいな。私は無意味な殺しはしない主義だから」

「それなら頼もしいけど……」

「本当に殺さないって誓えるか?」

「信用ないなぁ、殺さないよ。なんならずっと先頭を請け負うから信頼しなさいな」

 

 この試験で一番恐ろしいのは疑心暗鬼だ。一蓮托生と聞こえはいいが常に繋がれて行動に制限が入るのはストレスでしかない。

 そして繋がれるのが嫌だから仲間を殺して一人で行こうとするんじゃないかと疑い合うのが最悪なシナリオだ。

 

 2つの道を用意しているのもまた嫌らしい、全員の意見を一致させないと行けないからだ。

 そこで揉めて殺し合いなんてこともあり得るだろう。実に面倒だ。

 私がいるからそんなことはさせないが。

 

「とにかく進みましょう、ほら最初の道は一本道のようだから」

「そうね、行きましょう」

「……よし、慎重に行こう」

 

 私への警戒はあまり解けないまま私達は進む。少し歩くと二手に分かれる道が見えてきた、それぞれの看板には道の説明が書かれているようだ。

 

「一つは何も妨害はないが幅50cmの崖に囲まれた一本道、もう一つはただの道だが罠が仕掛けられている道……か」

「どうする?」

「50cmもあれば普段なら楽に渡れるが……俺はまだアンタを信じきれない」

 

 まぁそうだろうと思ったよ、信頼がない状況で何を言っても信頼はされないだろう。だからこそここで信頼をとらないと。

 

「だったらさっきの通り、私を盾に進みましょう。流石に武器は使わせてもらうけどね」

「本当に何もしないか?」

「信じなさいな」

 

 ポンズはある程度納得してくれたようだが、ポックルはまだ疑っている様子。

 信頼を取る為だ、私達は罠の道を進んだ。

 

 少し進むと見えてきたのはワイヤー型のトラップ、糸を切るとボウガンが放たれる仕組みになっており私は試しに糸を切ってみる。

 そうすると射出されたのはわずか一本だけ、拍子抜けである。こんなものシャフトを掴めばあっさり止まるじゃないか。

 

「せめて一つの仕組みで三方向から撃って欲しいんだけどなぁ、残念」

「……嘘だろ」

「ボウガンの矢って掴めるものなの?」

「かはははは、余裕」

 

 そこからは私が苦難を全て背負いながらゆっくりと進んでいく。苦難と言っても私に取ってはまるで意味がないのだが。

 私たちがスタートして五時間経過した頃には疑っていたポックルも私を信頼してくれた。

 これでようやくチームとして動くことができる。

 

「さてと、一回休みましょうか。時間はあるのだからゆっくり行きましょう」

 

 二人は私の提案に頷いてくれた為、軽く休むことにする。この建物内では食事もない為、体力の消耗は抑えたいところだ。

 とはいえここにいるのはハンターを目指してここまできた者ばかり、こっそりと携帯食糧くらいは持ち込んでいるかもしれない。私もあるし。

 

「チョコでも食うかい?」

「え、そんなの持ってきてたのかよ」

「あなた持ってきてないの。チョコなんて持ち運び楽じゃない、私だって持ってきてるのよ」

「いやまぁ干し肉とかなら少しはあるんだが」

 

 ほらやっぱり、みんな何かしらは持ち込んでいるようだね。

 そうしてポンズは自分の分を、ポックルは私が持ってきた分を少し食べ、私は残りを平らげた。糖分補給は大事よね、カロリーもあるし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇルメーネはどうして仕事人なんてやっているの?」

 

 おっとポンズがいきなり凄いことを聞いてきたな、参ったね。

 なんで答えるべきか。

 

「おい、そういうことってあまり聞くべきじゃないんじゃないか」

「かはははは、別にいいよ。でもごめんね……もう覚えていないんだ。この業界では常に仕事と死は隣り合わせ、昔のことを振り返る余裕すらない」

 

 これは嘘である。

 今尚、覚えているとも。

 

 私は旅団には入らなかった、入ろうか悩んだ事は勿論あったとも。

 だけど罪もない人を殺すとクロロが言ったその瞬間に私は理解できなかった。私達の故郷(流星街)を守る為と言えど。

 許してはいけないのはあの子を殺した奴らだ、それに関わる黒い連中だけだ。

 

 だから私はそんな奴らが沢山いるであろう闇の業界に目をつけた。

 私が許せない人間がウロウロしているあの世界ならばきっと見つけることができる。

 それに手を出そうとする輩を前もって消すことができる、私なりにあの街を守ることができるんだ。

 

 でも…………サラサも、シーラも許してはくれないだろうなぁ。

 私の手も、そんなクズの血が洗っても落ちないくらいこべりついちゃったもの。

 私もアレらと同じ街に災厄をもたらす者でしかない。

 

「あの、その……ごめんなさい。悪いことを聞いちゃって」

「ぇ?」

 

 どうやら顔に出ていたらしい。

 いけないなぁ、久しぶりにあの頃を思い出してしまったせいだろうか。

 

 これ以上ボロを出すわけにはいかない。

 私はヘルメス、闇業界トップの仕事人……演技はいつものことだろう。

 さぁやれ。

 

「あぁごめんごめん。深く考えちゃった。別に過去のことなんてもう気にしてないからさ、謝らないでよ。そろそろ行きましょ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私は切り替えて再出発を促す。

 二人も私の様子を見て切り込んだことを気にしてくれたのか素直に動き出してくれた。

 とても有難い。

 

 それから私達は今まで同様に私を先頭とした流れで次々と道を進んでいく。

 しばらくすると変わった選択肢が私達の前に現れる。

 

「一つは一人だけだが非常に強い囚人が待つ道……一つは十人いるが罪の軽い囚人が待つ道?」

「囚人って事はここってまさか刑務所なのか⁉︎」

「それにこんなところだと罪が軽いはここ基準の可能性があるよね」

 

 確かにその通りだ。

 ここが刑務所だとすればトラップが多く仕掛けられているのも納得する。

 そして、そんな刑務所なら罪人の質は極悪そのものだろう。

 

 なら、楽な道を選ぶとしよう。

 

「一人の方に行きましょ、私がやる」

「だ、大丈夫なのか?」

「そうよ……本当にヤバいのだったら!」

「大丈夫さね。私より強い奴なんて刑務所に捕まることなんてないんだからさ」

 

 私の実力は全ては見せていない。

 それでも彼らも理解をしてくれたようで一人の道を進むことを決定した。

 

 さてさて、どれだけの強者が待っているのか楽しみだねぇ。




 旅団の過去編が入った影響で設定を見直していたため時間がかかってしまいました。

 今回は以上になります。
 よろしければ評価やコメントをお願いします。
 作者のモチベーション向上に繋がります。

 ちなみに冒頭で亡くなったクライマー、旧アニメでは作者である冨樫先生自らアテレコしてあるのでそのネタが入ってます。

 ルメーネ=マーキュリーについての情報を少しだけ公開。
 コメントで質問などがあったら答えれる範囲で答えます。
・彼女は悪人を嫌悪している。
→そして悪人の依頼を受けて悪行をする彼女自身も嫌っている。
・旅団とは考え方が少し違い同じ道を歩まなかった。
→補足 でもメンバーの事は嫌いではないので普通に仲はいい。
・積極的に殺しなどは行わない。依頼をされたから殺しをするタイプ。
→だが自身に敵意を持って襲いかかる者は普通に殺す。
・実は最近、悪いことをする行為に興奮することがある。
→なので最近は自己嫌悪が非常に多い。
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