仕事人『ヘルメス』   作:八坂ノ宮

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一度完成したものを誤って削除して萎えてました。
申し訳ないです。


サンニン×ハ×ススム

 

 トリックタワー……第三試験で私達はこの塔を制限時間内に最下層に到達しなければならない。

 最初こそ纏まらない状態であったが少しずつお互いに慣れて、この場限りでも信頼をできる関係にはなれた。

 

 時間はまだ余裕があるがこの先に何が待っているか分からない。

 それでも私達は進むだけ。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 強者が待つ道を進むと広い部屋に出る。

 中央に闘技場と見られるスペースがある以外は底に落ちる大きな穴しかない部屋。

 その中央に一人の男がいた。

 

「待っていたぞ、我は審査委員会に雇われた試練官。ここでのルールは単純明快、お前達から代表を一人出して我と戦うだけだ」

 

 この男……かなり強い。

 間違いなく念能力者だな。

 

「もし負けたらその時点でおしまい?」

「否、残った二人から挑戦者を出してもらう。お前達が全滅した時のみ……終わりだ」

 

 なるほど、負けの条件がどうなっているか気になるがそれは後だ。

 ポックルもポンズもあいつには勝てる要素がない、私が勝たないと。

 

「敗北条件は何だよ!」

「ふむ、それは簡単。我と挑戦者のどちらかが負けを認める。それだけだ」

「かはは……どうせこちらを殺す気なんでしょ」

 

 私たちを見つけた瞬間に殺気を漏らしていたのを気づかないとでも思っているのか?

 殺し屋にしては漏らしすぎだから、元マフィアかな。

 

「では代表者は宣言せよ」

「今まで通り私が行くさね」

 

 宣言と同時に私たちを繋いでいた鎖が消える。

 もしかしてこの腕輪も念能力で作られているのか?

 ならば鎖は砕けないかもしれない。

 

 私は解放されたことをの確認を終えて、中央の闘技場に立つ。

 

「それでは開始する」

 

 開始と同時に距離を保つ。

 最初から念能力者相手に全開で挑むのは得策ではない。まずは相手の能力を測る。

 

 すると相手は刀を具現化し、私に振り落としてくる。なので私もハルパーを取り出し受け止めた。

 

「っ!!」

 

 やはり仕掛けがあった。

 直接戦闘を好むタイプが刀を具現化する能力で済ますはずがない。受け止めた瞬間、全身が重く感じたのだ。

 

「ふむ、お前はかなりの実力者だな。だがしかし受け止めるを選んだのは不正解だ」

「言えてるねぇ。でもね……それがどうした」

 

 だったら距離をとりつつ牽制を挟みながら仕掛ければいい。私はコートに仕込んだ小型ナイフを奴に投げる。

 それを奴が弾いたところを攻めてみる予定だったのだが。

 

「投げたものを弾いても重くなるのか」

「ほぅ見事である。あそこで我を攻めようとすれば間違いなく好機は我の方に来たであろう、よくぞ我が能力を見破ったな」

 

 

一太刀の重量(グラビテイション)

 

 

 奴の能力は具現化した刀による攻撃、又は防御の際に敵の武器に当てると敵に重力を与えると言ったところか。

 さてこれが私の肉を切り裂いた際は重くなるのかを試してみたいところだけど……そんな余裕は命取りになる。

 

 じゃあこっちはどうかな。

 

「(念弾……‼︎)」

 

 これも特に能力ではない。ただ念の弾丸をイメージして作り出し、放出の念で飛ばしているだけ。まぁ拳銃並みには威力はあるが。

 それを奴は紙一重のところで躱して弾丸は向こう側の壁を砕いた。つまり奴の能力は相手の念までは無理なのだろう。

 

「かはは。弱点を見つけたよ」

「だが貴様も既に我が太刀で三度の重石を受けた状態……我が先に斬ればいい‼︎」

 

 放出の念で一瞬で私との距離を詰めてきた!

 なるほどな、相手を遅くしながら自分は加速して斬るとはいいね。

 だったら私も敬意を払って使おう。

 

 

千変万化(せんぺんばんか)

(ポイズン)

 

 

 致死量は体重1キロあたり0.3ミリグラムの危険な猛毒を纏い私は接近戦に移る。

 

「(何だあの禍々しいオーラは⁉︎ アレを受けてはいけないと我が本能が言っている‼︎)」

「さぁ踊りましょう?」

 

 そこからは耐久勝負となった。

 私は傷口を付けたいところを奴は必死に耐える。そして重くなっていく私を奴は仕留めようとお互いに守りながら攻める状態。

 それが十回ほど繰り返された。

 

「(おのれ、想像以上だ。あれだけ重くしておきながらまだ素早く動けるとは……だが隙も大きくなってきた。次こそ仕留める)」

 

 奴は今日最速の動きで私に刀を振り落としてくる。動きの鈍った私を始末するのを確実にする為に二度の加速を加えているようだ。

 

「(我の勝ちだ‼︎‼︎)」

「かはは、もう既に終わっているよ」

「何を言ってる…………ゲホッ⁉︎」

 

 私のオーラが危険であることを見破って警戒していたのは流石。だけど私の作り出した毒は空気さえも毒に変えていたことに気が付かなかったのがあんたのミスさ。

 この毒は私も慣らすのに時間をかけた。

 おしまいだよ。

 

「馬鹿な……‼︎」

「負けを宣告しなさいな。そしたら解毒剤をあげるよ」

「っ、我の負けだ……」

 

 敗北の宣告の直後、奥の道が現れる。

 私は解毒薬を作り彼の口に流し込む。

 

「毒が引いた、か」

「そんじゃ私らは先に進ませてもらうよ」

「そうはさせん!!!」

 

 敵意を無くしていないのは見て分かっていた。だがここまで愚かとはね。

 【裂拳】の構えで奴の接近を待っていると。

 

『そこまでだ、グラッティ』

「ぐっ⁉︎」

 

 グラッティと呼ばれた男の腕に付いていた腕輪がくっつき大きな手錠と化した。

 それだけでなく具現化していた刀が手錠に拘束された瞬間に消滅、どうやらこれは相手の念能力を縛ることさえも出来るようだ。

 念能力者を拘束するための能力……ここの所長か看守長辺りかな。

 

『君達はそのまま奥の道へ進みたまえ、健闘を祈る』

「おーい、二人とも行くよ」

 

 私達はその先を進む。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

「なぁ。お前らは何をしあってたんだ?」

「そうよ。敵は刀を何もないところから出しているし、あなたはいつ毒を使ったのか分からなかったわ」

 

 それは確かにそうか。

 彼らは念をまだ知らない、側からみれば何をしているのか分からないのも当然だ。

 

「これは高等ってほどではないけど技術……能力と言ったほうがいいのかな。見てて」

 

 私は先程やろうとした【裂拳】の構えを取り、念を込めずに壁を裂く。これだけでも人の肉を切り裂くのだが壁になると凸凹している。

 

「これが普通の技、威力はそこまでだよ」

「いや……俺の持ってるナイフより切れると思うんだけど。壁なんて歯が立たないぞ」

 

 次に念を込めた拳を壁に当てずに振るう。

 念の刃は私の長年の修行のお陰で切れ味は抜群で壁を豆腐を切るように簡単に切り裂いた。

 

「嘘⁉︎」

「当ててないだろ⁉︎」

「かはははは、二人も修行すれば使えるようになるかもね」

 

 まぁ私の場合は師範がスパルタだったおかげでもあるのだが。無理矢理、精孔を開かせて纏の修行……気絶すれば水をかけてでも起こして修行の日々。

 数ヶ月で四大行と応用技術を身につけてはそれを師範と常に組手という名のリンチを受ける。それを約十年繰り返した。

 その分飯は三食しっかりしたものを食べさせてもらい、睡眠もキッチリのおかげで成長も早かったけど。

 

「ま、プロハンターになってから覚えればいい技術だから知ってて損はしないかな」

 

 

◇◆◇◆◇

 

 それからも私達の試練は続く。

 あるフロアでは大きな岩が転がる坂を下ったり、火炎放射が一定のタイミングで放たれる道であったり、昔見たテレビのバラエティのような仕掛けもあった。 

 

 試験開始してから十時間が経過した頃、私達は最大の難所と呼ぶべき場所に着く。

 いつもは分かれ道であった所が二つの扉が待っていたのだ。

 

 その内容は一つは非常に困難です三人で進む道、もう一つは直ぐにゴール地点まで到着できる一人用の道。

 なるほど仲間割れを誘っているわけだ。

 さて、二人はどう動く?

 

「私はルメーネに任せる。だって勝てないんだもの、抵抗する意味がないわ」

「悔しいが俺も同意見だ。俺じゃあ……あんたには勝てない」

 

 まぁ私もこの二人を見捨てる気はないけどね。だけどここから更に困難になられても困るので……。

 

「じゃ、三人の道へ行きましょ」

「ほっ」

「ふぅ」

 

 私達は三人の道を進む、そして奥へと進まずに止まる。二人がどうしたのかと心配している横で私はオーラを込めた【伝衝】で二つの道の間にあった壁を砕いた。

 放出型のオーラを混ぜたこの一撃はコンクリートくらいならサラサラの砂状に変えることも出来るので周りにも破片は散らないから楽ね。

 

「何してるの」

「面倒だから壁を壊して楽に行こうと思ってね、さぁ行きましょ」

「いいのかよ、これ」

 

 別に壁を砕いてはいけないなんてルールとして言われていない。何より先程の囚人戦の念弾や念の説明で壁を切った際に警告が飛ばないのだから問題になるはずがないのだ。

 だから私は堂々と楽な道へと進む。後ろにいた二人もそれについてくる。

 

 待っていたのは一人用の滑り台。なるほど一人用の道なのだからこれは当然だ。

 だけどそれなら私達は入り方を少し変えればいい。

 

「三人の鎖がちゃんと繋がっていけるようにいきましょう。安心しなさいな、私がクッションになってあげるからさ」

「まぁどうせ俺達は一蓮托生なんだ、あんたを信じるぜ」

「ここまで助けてもらって信じない訳がないわ!」

 

 ありがたいね。感謝する。

 

 私達は滑り台に入り、そして滑った。

 想像以上の加速であったがそこは私が調整してゆっくりと進む。

 約十分滑った頃、光が見えて私達は放り出された。

 

『402番ルメーネ、三次試験通過第三号‼︎ 所要時間11時間4分』

『246番ポンズ、三次試験通過第四号‼︎ 所要時間11時間4分』

『53番ポックル、三次試験通過第五号‼︎ 所要時間11時間5分』

 

 通過の合図と共に私達を繋いでいた腕輪は外れて解放された。何とか無事に突破できたわね。

 

「お疲れ様、みんな」

「あなたのお陰よ」

「任せっきりにしてしまってすまない」

 

 そうは言ってるけどポックルだって弓矢で罠を解除したり、ポンズは頭の帽子に潜ませている蜂を探索に使ってくれたりしていたのを私は忘れない。

 この三人でよかった。

 

「とりあえず私達はゆっくり休みましょ」

 

 それからは残り時間をいつもの鍛錬に費やしながらポンズ達と交流して過ごす。

 試験終了の一分前までゴン達が来ないのは焦ったがギリギリで到着し安堵した。




 お疲れ様でした。今回は以上になります。
 よろしければ評価やコメントをお願いします。
 作者のモチベーション向上に繋がります。

 今回出てきた囚人について
名前 グラッティ(由来 重力(gravity)から)
念能力 
一太刀の重量(グラビテイション)

→具現化した刀で相手の武器に攻撃した場合、その武器の持ち主に約5kgほど重くする。尚、攻撃するたびに増していく。

 ようやく3巻に入り始めたのでここからも頑張って書いていきたいと思います。
 ただ現在、別サイトに投稿しようと思っているオリジナル作品を書いたりもしているのでもしかしたらまたペースが悪くなるかもしれません。
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