『タイムアップ』を告げるアナウンスは塔の最下層に響き渡る。三次合格者は到着した直後に死んでしまった者を含めて26人。
死者の安らぎを祈っていると、塔の壁が一箇所開く。どうやら出口のようで外へと出てみるとそこにはアナウンスと同じ声の男が待っていた。
「諸君。脱出おめでとう残る試験は二つだ」
試験官から思いがけない話が飛んできた。残る試験は二つ……それでようやくハンターになる事ができる。長いようで短かったな。
「次の試験だが、あちらにあるゼビル島にて行われる。それでは行く前にこちらの方を引いてもらおう。クジ引きだ」
「クジ引き?」
「それで何を決めるんだ」
受験生からは疑問が飛び交う。
そりゃそうだ、クジ引きで何を決めるのか以前に試験内容さえも知らない私達は情報を集めないといけないのだから。
「このクジで決められるのは……“狩る者”と“狩られる者”」
そう言いながら試験官は説明を始める。
クジの入った箱の中には私たちのナンバーが書かれたカードが入っているようだ。
恐らくであるが狩る者がそのナンバープレートの相手なのだろう。そして狩られる者は私たち全員のこと、狩られたくなければ狩れか。
「ではタワーの脱出順にクジを引いていってもらおうか」
一番手にクジを引くのはヒソカ、カードを引き終えると二人目は301番の通称ギタラクルが前に出てクジを取る。
「それじゃ私の番だ」
「ルメーネのやつそんな早くにゴールについていたのかよ」
「レオリオたちがギリギリ過ぎたの。さて私はこれだ…………んぇ?」
引いた番号は
私が私をターゲット? どうなるんだ。
「試験官」
「どうしたのかね、もう引いたのなら」
「本人の番号が出た場合はどういう扱いになるのか教えてもらえないかな」
「ふむ、その説明はクジ引きの後にさせてもらう。いいかね?」
説明を聞けるなら歯向かう理由は存在しない。私はその言葉に従い一度下がる。
最後に来たゴンたちが引き終えると試験官は説明を再開した。
「さて諸君らの中には察している者がいるようだが引いた番号が今回のターゲット。奪うものは番号の入ったプレートとなっている」
説明を要約すると、この試験はポイント制で「ターゲットのプレートは3点」、「自分のプレートも3点」、「他のプレートは1点」となっておりこの試験を突破するには滞在期間中に6点のポイントを集める必要がある。
「そして402番のターゲットは自分である……その場合は既に君は6点を持っている扱いになる。時間まで守りたまえ」
「了解でーす」
その説明を聞きながら、あるいは聞き終わったと同時に周りの受験者は自分のプレートを急いで隠している。
今更遅い行動だね。私みたいなやつならここまで残っている人間にはある程度目星をつけて番号や特徴、使用する攻撃や思想などを頭に入ってるものさ。
「説明は以上になる。さて、下に船を待たせているので諸君らはそれに乗りゼビル島に向かいたまえ。健闘を祈る」
試験官の説明が終わってからは各自が会話することもなく船へと向かう。
マイペースに進むのは私やゴンたちくらいなものでポンズやポックルは行ってしまった。
仕方ないので、どんな試験を受けたのかを共有しながら私たちは船へと進む。
船着き場に着くとそこには試験前に乗った船よりかは小さいが船が一隻だけ止まっている。
乗り込むと辺りの空気が一段と重い。それはそのはず、周りにいるのは全員敵と同じで警戒をし続けないといけないからだ。
そんな思い空気の中、ナビゲーターがハキハキと説明を開始した。
「第三次試験お疲れ様でした! ここまで残られた25名の皆さんには来年の試験会場の無条件招待権が与えられます。今年がダメでも来年も受験してくださいね!」
明るい説明の中でも彼らは話を半分に聞き警戒を解くことはない。さすがのナビゲーターもこの空気はダメのようで「あと二時間はかかるのでご自由に」も言い、逃げるように去る。
少し気の毒だ。
さて、まだ時間はあるがどうしようか。
そう思い辺りを見渡すとポンズが一人で座り込んでいるのを見つけた。
声をかけると警戒の目を向けられたがターゲットがいない私だと気づき普段のポンズとして接してくれる。
「ポンズは何番がターゲット? 誰に言わないよ」
「……言わないって約束してね。私はあそこにいる103番のバーボンって男」
「相手の方を見ない方がいいよ、ターゲットに気づかれたらなんの意味もなくなる」
「うん、ありがとう」
103番のバーボンとやらは見覚えがあるな、確かタワーの中で蛇に食事を与えていたはずだ……奴は恐らく蛇使い。
厄介なのはコイツ、恐らくだが“念”を使える人間だ。一般人よりも優れた者は無意識に念を使っているということはよくある話。
蛇を使役するにはそれだけの想いと熱意が必要で、目覚めていてもおかしくはない。大したことはないレベルだろうが念が絡むと少し厄介な相手になるだろう。
「ねぇあなたはこの試験中どうするつもりなの」
「そうさね……ただ逃げるのも退屈だからプレート狩りでもしようかね。この試験で仲良くした人以外で」
わざと周りの人間に聞こえるように宣言すると辺りの反応が面白い。
喧嘩を売ったことだし、私と仲がいいからとレオリオやクラピカたちに迷惑をかける訳にもいかないので甲板で座禅を組んで時間を潰す。
そして船が出てから約二時間が経過し、目的地のゼビル島に到着した。
「それでは第三次試験突破の通過をした順番で下船をしてもらいます! 一人が出てから二分後に次の人にスタート方式です。滞在期間は一週間、それでは一番目の方、スタートです‼︎」
そう言われて前に出て行ったのはヒソカ。
走っていくわけでもなくただゆっくりと林の中に消えていく。不気味だ。
そして二分後にはギタラクルが林の中に消えていき私の番が回ってくる。
「ルメーネ!」
「ゴン、どうしたの」
「頑張ってね」
「かはは、ありがとう。」
ゴンに軽く礼を伝えて、私もスタートを切る。ヒソカたちが待ち伏せをしていないことを祈って少し進むと誰の気配もしない。
ヒソカであってもすぐに芽を摘まないということだろうか。私としてもありがたいので、【絶】を使い木に登りターゲットを絞り込むとしよう。
狙いをつけたのは三人の兄弟チーム。それぞれのターゲットを待ち伏せして機会を伺っているのを発見した。
まずは兄弟の長男と思わしき197番が89番のプレートを奪ったところを仕掛ける。
「なっ」
「どうも、プレート狩りです」
「待てよ、お前は何もしなくても合格なんだろ⁉︎ なんで俺を襲う必要があるんだ!」
理不尽な理由だが私がプレートを集めることでライバルを減らせるのは大きいからだ。私だけでなく仲良くした者にも合格をしてほしい。
だから可能性を広げるために半分ほど減らしておきたいのだ。余ったプレートは欲しい人に分け与えればいい。
「やめてくれ‼︎」
「さよなら」
私は197番を気絶させて持っていたプレートを奪い取りその場から去る。
次の狙いは199番にしよう、確か近くにいたはずだ。
狩りはまだ始まったばかり。
お疲れ様でした。今回は以上になります。
よろしければ評価やコメントをお願いします。
作者のモチベーション向上に繋がります。