「ま、待て……お前は何でプレートを!?」
「それさ。アンタと似たやつが同じことを言っていたよ」
「まさか俺の兄弟のことか」
「そうじゃない? まぁ今年は私がいたことが不幸だったということで来年も受けるこった」
そう言いながら
近くの方で倒した二人と似た気配を持つ人間がいるようなのでこっそりと跡をつけてみる。そうしたら彼の狙いは99番。
つまり、ターゲットはキルアなのだ。
アマチュアレベルの彼が戦いを挑んでもあしらわれるか機嫌によっては殺されるかの二択になるだろう。
殺されないように暖かくキルアと一緒に見守ってあげようかな。
「(……俺の跡をつけるやつが増えた。しかも伺っているやつと違って気配をほんの僅かしか漏らしてねぇ、ルメーネか?)」
かはは、キルアの奴気づいてないねぇ。
私がいるのはアンタのいる木の真上さね。
私が【絶】を使っている時にのみ発動できる能力。
効果は、私がいる場所から半径65m内の好きな場所に僅かなオーラ(気配)を出せる。
一見使い道がわからない能力だろう。しかしこれのお陰で私の仕事はやりやすい。
何せ警戒網を引かれる仕事をする中で相手に誘導や誤った認識をさせる事ができるから。
でも少し動き過ぎたか、キルアにも勘づかれるし後一人は私を目視で追跡している。
「おや、キルアも下手くそな追跡に我慢ができなくなってきたかな。少し雑になった」
そこはまだ子供ということだ。
キルアはいつ動くかな。
結果としてキルアが動いたのは次の日。
198番が隠れている方向に向き直り、「出てこいよ」と軽く挑発。
しかし198番は慎重なのか臆病で動けないのか挑発には乗らずキルアは「来ないなら俺から行くよ」と警告。
あぁもう見ていられないなぁ!
私は【
「かっ!?」
「なんだ‼︎ ルメーネか!」
「かはは……追跡するなら気配を殺すくらいはしないとね」
プレートを回収し、キルアの方へと姿を現し敵意のないことを知らせないといけないな。
「言っておくけど私はキルアを狩るつもりはないから安心しなさいな」
「ちなみにそいつの番号は何番だったんだ。俺、まだターゲット見つけられてないからさ」
「198番」
「惜しいけどハズレか……確かコイツに似たのが二人いたからどっちだ」
お、キルアのターゲットは三兄弟の一人だったのかな。ならば都合がいい。
私はポケットに隠していたプレートを2枚取り出して再度キルアに話しかける。
「その二人ならすでに私が狩ったよ。プレートが欲しいならあげるから番号を言いなさいな」
「……本当に渡すのか?」
仕事人は信用第一、関係を悪化したくない人間に嘘なんかつくわけないでしょ。
キルアからすれば怪しい提案なのは仕方がないんだけどね。
「ほれ、197番と199番のプレート。どっちが欲しいんだい」
「199番」
「素直でよろしい、ほいっと」
「マジで渡してくれるのかよ。サンキュ」
その日は私達は共に野営地を作って休むことにした。暗殺者と仕事人だから別に眠る必要がないのだが暇つぶしにはちょうど良い。
しばらく焚き火で暖をとっているとキルアが話しかけてきた。
「親父とやり合ったってどんな感じだったんだ?」
「ん、いきなりだね。そうさね……あん時はまだ無名だってのは話したか」
今でも思い出すだけで鳥肌が立つよ。
依頼主はとあるマフィアの組長、コミュニティの仕事でヘマをしたから殺される。だから助けろって依頼が舞い込んで来たのよね。
あの時はなんでもいいから仕事をこなして名を上げたかったから無茶もしてたわ。
二週間ほどは送り込まれて来た刺客を全員皆殺しにしてあげたけど、そしたらコミュニティも本気になっちゃってゾルディック家の当主を送り込んできやがった。
しかも暗殺者の一族でありながら堂々と門を突破して私のところまで来て焦ったわ。
それでいざ対峙してみるといきなり「やるな」と言われて相手さん結構本気で襲い掛かって来たんだから。
私だって師範の所で散々鍛えられたのにその格闘術で防御に必死だった。たまにの攻撃だって防がれたし私の本気は警戒されて戦闘に使えなかった。
それで二十分ほど戦っていると、アイツの方に私の依頼主を始末したと連絡が入って戦いは終了。これが私の最初の失敗。
そんな話を念のことだけはボカしてキルアに伝える。
「親父と二十分もやり合っていたのかよ⁉︎」
「ありゃ地獄の時間だったよ。今まで通用してきた技術が次々捌かれる……そのおかげで私の戦闘技術は大きく進化することができたけど」
「やっぱお前も化け物じゃん」
「かはは!」
まぁね。そうでもしないと数年で名前が知れ渡る仕事人になれる訳ないし。
そんな会話をしている中、まだ監視は解ける様子がない。
「なぁ、お前ずっと見られてるけど」
「気づいてたんだ、私がわざと逃しているだけだよ。なんだったら今から捕まえようか」
「じゃあ見せてよ」
あいや、任されましたっと。
「(あの女……一瞬で消えやがった。俺の方に向かっていやがる⁉︎)」
ジャポンの忍び、ハンゾーは己の危機が迫っている事を直感した。
彼の狙いは自分のターゲットである
ターゲットが彼女になってしまったのは彼の不幸である。逃げると判断した時にはもう遅い、すでに彼女はハンゾーのすぐそばまで来ていたのだ。
一戦交えるしかないと思い刃を出すも彼女が木々を飛び回るスピードを捉えきれず。
そう思っていると突然と気配が消え、辺りを見渡すも存在を感じ取れない。
今まで見てきた忍びともまた違う別次元の存在に彼は追い詰められる。
気づいた時には腕にロープが巻き付けられており、ロープの先には彼女がいた。
ハンゾーもロープを切ろうと刃を向けるもなぜか切れない。彼は悍ましい何かを感じ取る。
「(なんだこりゃ、間違いなくただのロープだろ⁉︎ 何をしたらこんな鋼鉄並みに硬くなるんだ)」
「未知の技術ほど恐ろしいものはないよね」
クイっとロープを引く彼女にハンゾーは抵抗できない。結果、ロープを木の枝に引っ掛けられて宙吊り状に吊るされてしまう。
そうなると抵抗もできないのでハンゾーも諦めて、彼女が何を話すかを待った。
「目的は?」
「お前の持っているプレートが俺のターゲットだった。197番だ……」
「なるほどね。じゃあプレートをあげたらもう私を追ってこない?」
「…………追跡はしない。約束する」
「交渉成立」
するとロープにかかっていた謎の力が解除された気がする。通じてなかった刃を当てるとスルリと切れるではないか。
ハンゾーは驚きながらも軽く着地をすると顔面めがけて何かが飛んでくる。それを掴むと正体は197番のプレート。
「それじゃ残りの間ゆっくりとするんだね」
「あぁ、そうさせてもらうぜ」
「(もうやってられるか‼︎ まさかここまで怪物の実力だとは思ってなかったぜ、チクショー……)」
ハンゾーが吊るされた影響で肘が脱臼したのを他所に彼女は焚き火の場所へと戻る。
そんな一瞬の戦いをキルアはこっそりと覗き見ていた。
「(勝てる気がしない……)」
焚き火に戻った後はそのままゆっくりと時間を潰して過ごし朝を迎える。
そのまま二人は共に行動することなく別々の道を行く。
そして試験最終日を迎える。
お疲れ様でした。今回は以上になります。
よろしければ評価やコメントをお願いします。
作者のモチベーション向上に繋がります。
今回出てきた念能力について
【
・使用者 ルメーネ(放出系)
→ルメーネが【絶】状態の時にのみ使用可能。
→半径65メートル内のどこかに僅かながらオーラを自由に設置、操ることができる。
→人が走っているかのように錯覚させることも可能。
→能力の使用範囲はルメーネの【円】の使用範囲と同等。
この能力を作った理由
→自分が誰にも見つからないようにしたかった。
→仕事の際も相手の注意を引くことができるため。