私対ゴンの一戦目が終わった。
私がコイントスに負け、降参したことによるゴンの勝利。
それに対して不満はない。
コレしか決着を決めるものが思いつかなかったからだ。
そして二戦目、ヒソカ対クラピカの試合が始まった。クラピカは持ち込んでいた木刀を使わず、そしてヒソカも武器であるトランプを使用せずの格闘戦が繰り広げられる。
しかしその実力差は歴然でヒソカは楽しんでいるのか攻撃を躱し受け流しと防御に徹した。
すると突然ヒソカがクラピカを蹴り飛ばしたと思うと奴は彼の耳元で何かを囁き、降参を宣言。決着がついた。
よく聞き取れなかった。
しかしクラピカの動揺から何を伝えたか予想することができる。そう、彼を釣るならデカい釣り針があるのだから…………ヒソカは蜘蛛のメンバーであることが。
もしそうなのだとしたら、私はいずれヒソカを“始末する”必要がある。蜘蛛に、クロロに、兄貴姉貴達に火の粉をかけるような輩は消しておかないといけない。
まだ疑惑だが警戒がいるな。
そんな事を考えていると三戦目を始めると審判から伝えられて前に出る。相手は四次試験で相手をした忍者、名はハンゾー。
軽く笑みを浮かべていると、ハンゾーから思わぬ一言が出てくるのであった。
「参った、アンタとはやらなくても分かる。だからオレは降参だ」
「あっそ。じゃあそうさせてもらうわ」
戦わずして勝利を得れるならそれが一番ね。可哀想なのは次にハンゾーと当たるポックルだけど……仕方ないよね。
そして次の四戦目。相手はヒソカ対武道家ボドロ。当然ながら実力差もあり、ボドロは一方的に打ちのめされるが頑丈だった。
ヒソカも殺すことは出来ないので相手の心を折ろうと容赦ない攻撃をするもボドロは降参をしない。
十分ほど経過、ボドロは限界を迎えて倒れている。顔はまだ諦めてはいない。そこへヒソカがボドロの耳元に何かを囁くとボドロは打って変わって降参を宣言し気絶。ヒソカが勝った。
「あの爺さん、起きるかね。次はポンズが相手だけど」
「これじゃあ不戦敗扱いになるのかな。私としては願ったり叶ったりなんだけど……」
「スッキリしない感じ?」
「うん、運営側に確認してくる」
今回の試験でゴンに助けられたこともありポンズも一方が不公平なのは納得がいかない様子だ。
そうしているうちに第五試合、ハンゾー対ポックルが始まる。
「頑張りなさいな、ポックル」
私の応援が届いたのか彼は少し嬉しそうだった。
が、それはすぐに絶望に変わる。
「降参しな、手首を折るぜ」
「…………ッ」
開始の合図と同時にハンゾーがポックルの背後に回り地に伏せて、手首を極める。あと少し力を込めるだけで彼の腕は綺麗に折れてしまうだろう。
「言っておくがオレはやると言ったらやるぞ。次の試合に腕が折れてたら、どうなるかな?」
「‼︎」
それから少しして、ポックルの口から弱々しく降参の一言が出るのであった。
「クソ、次こそは」
「危なかったね、ポックル。ハンゾーは間違いなく腕を折る気だったよ」
「やっぱりか……せっかく応援してもらえたから気合い入れてたんだけどな」
「次も相手が悪いけど頑張りなさいな」
ポックルの次の相手はキルア。
まともに戦ってキルアに勝てるのは私やヒソカ、そしてキルアの兄だけ。無理だけはしてほしくないものだ。
「ここで皆様にご案内申し上げます。次の六戦目はボドロ対ポンズでしたが先程の戦いの影響でボドロさんはまだ治療中で試合を行えない状態です。対戦相手であるポンズさんの了承を得た為、試合を繰り上げて続行します」
それはつまり、次の試合。
ポックル対キルアを始めるということだ。
「ふーん、オレの番って訳ね」
「キルア」
「何?」
「少しだけでいいからあいつと……ポックルと遊んでやってほしいんだ」
「えぇ〜? なんでだよ」
「そこは言えないけど、お願いよ」
「…………わーったよ、けど少しだけな」
「ありがとう」
よし、これで治療の時間稼ぎもできるしキルアがポックルに勝つ可能性も増えた。可能なら私はキルアを次の相手……キルアの兄と戦わせたくないのよね。
弟に念を使うような兄だ、何をしてくるか分からない。
六戦目は十分ほどはポックルの弓矢を躱したり掴んだりで戦いというよりかは遊ばれていた。試合が動いたのはボドロが目覚めた時。
それを確認したキルアは降参を宣言して敗北、結果としてあの兄とぶつかることになってしまった。
「ま、次の相手で勝つさ」
「キルア……次の相手はかなり強いから気をつけなさいな。私よりかはマシでも厄介だ」
「……マジで?」
「マジ」
「なら……気をつける」
とは言うもののキルアは半信半疑といったところだ。何も悪いことが起きなければいいが。
その前に飛ばしていた七回戦、ボドロ対ポンズが始まる。
ボドロはヒソカの攻撃でぼろぼろ、ポンズは四次試験の際に蜂の入った帽子を洞窟に忘れてしまったようで武器がない。私の小型ナイフを貸してはいるが不利のままだ。
しかし試合が始まるとボドロがすぐさまに棄権を宣言。いきなりのことでポンズも放心していたが、理由を問うとボドロから返ってきたのは「子供や女子を殴る拳など持ち合わせていない」との事。
そして……最悪の八戦目が始まる。
「八戦目、キルア対ギタラクル‼︎ 始め‼︎」
合図と共にキルアはギタラクルと距離を取り構える。ギタラクルは強者である、ルメーネから伝えられていた事を警戒して。
「久しぶりだね、キル」
ギタラクルから放たれた一言にキルアは困惑する。こんな奴をオレは知らないはず、と言いたげな顔をして。
するとギタラクルは顔面に刺さっている針を一本ずつ抜くではないか。抜いた箇所の肉がじわじわと変化し、別人の顔へと変わっていく。
キルアは少しずつギタラクルの正体を理解し、冷や汗を流すと共に恐怖していた。
針を抜き終わり、肉の変化がしなくなった時のギタラクルは。
黒の瞳に黒のロングヘアーの感情が見られない人形のような顔立ちの若い男へと変化していた。
「あ、兄貴…………」
「(ルメーネが言っていた厄介な奴って兄貴のことだったのか⁉︎)」
「やぁ」
ギタラクルと名乗るキルアの兄、本名イルミ=ゾルディックはキルアをハンターをさせないために圧力をかける。
キルアはハンターに向いていない、お前は殺し屋でしかない。熱をもたない人形であり、欲する事も望む事もなく人の死で歓ぶ人間だ。
オレと親父にそう
「そんなお前が何を求めている?」
「それは……」
「無いんだろ?」
「違う……‼︎」
理解をしてもらえるとは思えない。出来るはずがないと言われるのを承知でキルアは求めた。ゴンと“友達になりたい”と。
人殺しなんてもうしたくない、ゴンと友達になり普通に遊びたいと。
「無理だね」
そんなキルアの願いは一蹴。拒否された。
イルミの圧力は続く。
キルアは人を殺せるか殺せないかしか判断はできない。一緒にいてもいずれはゴンを殺したくて仕方なくなる。お前は根っからの殺し屋だからだ、と。
すると我慢できなくなったレオリオがキルアに向けて檄を飛ばす。
「ゴンと友達になりたいだ⁉︎ お前らはとっくに友達だろうが‼︎ 少なくともゴンはそう思っているぜ!!!」
「え、そうなの? 参ったなぁ…………向こうは友達のつもりか。よし、ゴンを殺そう」
部屋の空気が凍った。
殺し屋に友達はいらない、とイルミは針を取り出し別室で休息をしているゴンを始末しようとする。協会員が止めに入ろうとすると念を込めた針を三本刺されて顔が歪む。
イルミが質問をすると協会員は操作されているのかゴンの居場所をあっさりと吐いてしまう。
さて、殺しに行くかと動くとその先に立ち塞がる複数人。その中にはルメーネ=マーキュリー……彼女も顔を伏せながらそこにいた。
「んー、アンタとはやり合っても得することなさそうだしな……殺してもオレが不合格になるだけか。じゃあ合格してからゴンを殺すか」
イルミは宣言した。
合格してからゴンを殺すと、キルアが聞こえるように大きな声で。そのまま続けて……
「『勝ち目のない敵とは戦うな』、教えたよね? 動くな、動いたら開始の合図とみなす。オレがお前に触れた時も同様だ」
止める方法は一つ、降参する事。
しかし戦うならゴンを必ず殺すと念入りにイルミは脅す。
恐ろしいのはこのイルミの発言はただキルアを縛りたいから話しているだけではなく、キルアを愛する兄弟愛から来ているものである。恐ろしく歪んだ兄弟愛、否。狂愛だ。
レオリオはイルミの圧力に屈しているキルアに自分達が守るから戦えと大声で叫ぶもその声はキルアには届かない。
兄イルミの念による洗脳のせいでキルアの思考力は平常時を大きく下回っていた為だ。
じわじわと迫る兄の手。
あと少しでキルアに触れようとしたその瞬間、キルアは。
「ぁ…………ぁぁ」
「…………………………ま」
刹那、イルミは最終試験会場の壁の方へと吹き飛ばされる。
弟キルアは理解が出来ない。自分よりも遥かに強い兄イルミが壁に吹き飛び激突し、砕けた壁に押し潰された事も。
先程まで兄がいた位置にいる、普段はマイペースであり今までの試験で見せたことのない表情を浮かべ飛行船で感じた殺気よりも深くドス黒い殺気を放つ。
“ヘルメス”がそこにいた事も。
「………………」
この瞬間、最終試験は終了する。
ルメーネ=マーキュリーがキルアを助ける為に
お疲れ様でした。今回は以上になります。
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ルメーネは本気で怒ってしまったようです。
試験は終わりましたが次回はどうなるのか?
お楽しみに‼︎
ハンターの教習会までは行く予定です。