仕事人『ヘルメス』   作:八坂ノ宮

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ゾルディック家
ヘルメス×ハ×タメサレル


 

 ハンター試験を無事に合格した私達はキルアを迎えに行くためにパドキア共和国のククルーマウンテンにあるゾルディック家へと向かう。

 一度調べ物があると、別行動をとったが夕方には飛行場にて集合。

 

「むぐっ―待ってたよ」

 

「待たせたな……って何食ってんだ」

 

「ハンバーガーだけど。中々いける」

 

「また山盛りだな」

 

「おぉ……」

 

 別に多くはないけどなぁ。ボリューム満点チーズバーガーをたったの四十個しか頼んでいないというのに。

 実際、待っている間に十六個は食べている。飛行船でゆっくり食べれば着くよりも前に食べ終わる予定だ。

 

「ほら私のハンバーガー事情は放っておいて、さっさと乗り込む。欲しかったらあげるから」

 

「うん!」

 

「貰うのか……」

 

 それからは飛行船に乗り込み、ゆっくりとパドキアに着くまでの時間を過ごす。

 そしてハンター試験を終えて翌日、私達は無事に到着するのであった。

 

「着いた‼︎」

 

「さてとハンター(ライセンス)を使えば永久滞在も出来るからしっかり準備をしてからキルアの所に行こうか」

 

「えっとね、ルメーネ。俺、観光ビザの方にするから一カ月しか時間がないんだ」

 

「は?」

 

「今回の試験でお世話になった人達に挨拶をして回りたいし、なによりもヒソカにこのプレートを返すまで使わないって決めたんだ」

 

「私達も止めたんだが、頑固なんだ」

 

「俺達もそれに付き合おうと思ってる」

 

 いやいやいや……相手はゾルディック家だよ。あんた達舐めてない?

 私が格闘なりの特訓をつけて少しでも対抗できるようになったら向かおうと思っていたのに計画破綻だ。

 

 仕方ない、これは私が気合を入れていかないといけない仕事になった。

 ゴンもレオリオもクラピカも……そしてゾルディック家にいるキルアも死なせない。

 

 気合を入れ直した私はゾルディック家の門まで行ける観光バスを見つけて、乗り込んだ。

 バスの中は観光客が殆どだが後ろの座席には賞金稼ぎの姿がある。しかし彼らは念も使えなければ素の力も弱い、まず死ぬな。

 

 バスが発車して数時間、遂に到着。

 さてとまずは有名な“試しの門”を見てみますか。私ならどこまで開けれるかな。

 ゴン達はガイドさんに色々と説明を受けているようだが手がかりは得れていない。

 

「どきな」

 

 変な声がしたと思い、声の先を見てみるとそこにいたのは実力不足の賞金稼ぎだった。

 彼らは門の端の方にある小屋の扉をこじ開けて、守衛さんを掴む。

 

 あぁ、なんて愚かなのか。

 

 賞金稼ぎは鍵を奪い、試しの門の横にある小さな扉を開けてゾルディック家の庭に侵入。

 ん、狩猟犬の匂い。そして僅かながら漂ってくる血の匂い……恐らくさっきの連中は全滅したのだろう。

 

 そう思っていると中から獣の腕が出てきて、骸骨を数体を扉の外へとポイ捨て。

 すると周り人はパニックを起こして逃げ出していく。私達にも逃げようと声をかけてくれるがここが目的地なので断り、行ってもらった。

 

「さてさて、観光客も行ったし私達も行きましょうかねぇ」

 

「すみません、あなた達はどうして残られたのです?」

 

「俺達、キルアの友達なんだ!」

 

「キルア様のお友達……よろしければ中の方で話を聞かせてもらえませんかね」

 

「私はさっさと行きたいんだけどね」

 

「ちょっとだけ、良いでしょ?」

 

「ご自由にどうぞ」

 

「それではこちらに、お茶でも飲みながら」

 

 それからは数十分程、ハンター試験でのキルアの活躍を守衛らしきゼブロに語り合うゴン達。ゼブロも嬉しそうだ。

 

 しかし試しの門か……確か一の扉は片方2トン合わせて4トンの重さだったはず。二なら8、三なら16と倍々に増えていく仕組み。七の門に至っては256トンだったか?

 三人とも一の門を開けれるくらいの力をつけないとゾルディック家に行かせるのはマズイ。

 とはいえ私も三人を見守る時間は勿体ない……どうしようか。

 

「本当の門に鍵はかかっていない!」

 

「その通り」

 

「何‼︎」

 

 ん、考え事をしていたらレオリオが試しの門の方へ飛び出していった。

 そうか彼らは知らなかったな。

 

「あ、開かねえ……ハッ、ハッ…………」

 

「力が足りていないのですよ。この門を開けれなければゾルディック家に入る資格なし……それがこの門ですから」

 

 そう言いながら着ていたスーツを脱ぎ捨ててゼブロは構える。歳の影響もあって念が弱っているが今でも鍛えているのが伝わるな。

 

「ハァッ!!!」

 

 掛け声とともに念が揺れて力を増す。

 それに呼応するように一の門が開いていく。

 そして押していた手を離すと門は自動的に閉まっていった。

 

「ここから入ればミケは攻撃してきません、キルア様に会うためにはここから行くしかないのですよ」

 

「ゾルディックに会うにはそれくらい出来る人間であれって訳ね」

 

「その通り、住む世界が違うんですよ」

 

「うーん…………気に入らないなぁ」

 

 また始まったか?

 

「おじさん、鍵を貸して。友達に会いに来ただけで試されるなんて変だよ。だからオレは侵入者の方から入るよ」

 

 その無茶だけはさせれないぞ、ゴン。

 ゴンからすれば友達が会いに来ただけだとしてもゾルディック家からすれば息子の友達を名乗る知らない連中でしかない。

 中に入れたとしても殺される危険がいっぱいなのに、よりによって死ぬ扉を開けるなんて想像力が欠如していると言わざるを得ない。

 

 いや、分かるはずがない。

 分かってはいけない世界なんだ……

 

「確かに君の言う通りな点もありますよ。でも無理ですよ、ミケに殺される」

 

「ゴン、絶対にダメだからね。あの番犬とやり合って生き残れるの私だけだから」

 

「…………」

 

 あぁ、聞いてないなこれ。

 ゼブロも困り、守衛室にある電話でどこかへと連絡をしている。が怒られているようだ。

 

「いやぁ、叱られてしまいましたよ。やっぱり執事からは断られるか」

 

「ゼブロさん、今度はオレにかけさせて」

 

「いいですけど嫌な思いをさせちゃいますよ」

 

 そう言いながらもゼブロは執事宛の番号を打ち込み受話器をゴンに渡す。どうやら電話に出たようでゴンはキルアがいるか聞くと、返事をせずに切られたようだ。

 怒ったゴンは番号を再入力して電話し、キルアを出せと大声を出す。

 先程とは違い、向こうからも話があったのかゴンは軽く頷きそしてキレる。そして一方的に何かを言われているのかゴンは黙って聞き、そして電話が終わる。

 

 ゴンはやっぱりキレている。

 釣竿を振り壁の上に引っ掛けようとしているのか、無謀すぎる。

 しかも止めようとしたレオリオ達にそこで待ってろ、か。考えが足りないなぁ。

 

「待った」

 

「止めないでよ、ルメーネ」

 

「ゴンは少し黙んなさい。ゼブロさん、私が中に入るから鍵貸してよ」

 

「ですが……」

 

「“ヘルメス”が番犬で殺されるとでも?」

 

「‼︎ なるほど、分かりました……扉の外からゴン君達には見てもらいましょう」

 

「うん、それでいいよ……みんなも従ってよね。じゃないと分かるかな?」

 

 少し圧をかけておかないといけない。

 おやどうしたんだいゴン、不気味なものを見るような目をして。ちょいと殺気と念を飛ばしただけじゃないか、かはは……

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 ゼブロは扉の鍵を開けて全開にする。

 距離をとっても番犬の姿を見えるように。

 

「気をつけろよ‼︎」

 

「余裕さね」

 

 彼女が扉を抜けると飛んでくるのは殺気。

 動物から飛ばされる殺気と言えるのだろうか、まるで機械人形のような冷たい殺気をルメーネは不思議に思っていると。

 

 その主がずんずんとやって来る。

 数メートルはある巨大な体、動物のような雰囲気はなく、殺しに特化した不気味な眼をした怪物が彼女の前に姿を現した。

 

「‼︎」

 

「おぉ素早い、でもね」

 

 必殺であろう頭蓋砕きの顎が迫るもルメーネは余裕そうに回避。それで終わらずにミケの顎を軽く殴り飛ばす。

 手応えはなし、鍛えられた狩猟犬の肉体は彼女の攻撃を耐えていた。

 

「(うん、打撃はやはり効かないよな。これくらいでダウンするようなのはゾルディックが番犬にはするはずもない)」

 

 それを把握しながらもルメーネはミケへの攻撃は念を込めない殴打のみ。あくまでこれはゴンに現実を突きつけるためだから。

 

 そしてゴンもそれを実感する。

 ミケの姿を見るまではコミュニケーションをとれる自信があった彼もミケの眼を見た瞬間に察したのだ。

 この動物(ミケ)とは分かり合えないと。

 

 ゴンは恐怖した。

 

「(ようやく気付いたか、ここは常識なんて通用しない世界だって事に。まぁ世界は広いというのを知れてよかったねゴン)」

 

 横目で怯えるゴンを優しい眼で見つめた彼女は、ミケの頭上に飛び踵落としを叩き込む。

 地面にヒビが入り、数秒耐えていたミケもバランスを崩した事により顎が地面と激突。

 

 数秒後にはすぐに起き上がるがその時にはルメーネはもういない。ゴンが諦めたのを見た彼女はミケと遊ぶ意味はもうないと、扉から帰っていったのだ。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

「どうだったゴン、まだ侵入しようと思う?」

 

「嫌だ、怖い……」

 

「素直が一番さね、ゼブロさんや」

 

「何でしょう」

 

「この夜だ、屋敷以外で“三人”が泊まれる場所はあるかい」

 

「ありますよ。これからお連れしようと思っていたところです」

 

「そりゃありがたい。三人の事を頼むよ、出来るなら門を開けれるレベルまでに」

 

 ゼブロは今でも鍛えている。それをするための物はあの小屋にないならどこかで鍛えているはず、と思ったら当たりだ。

 せめて一の門位は開けれるくらいになってもらわないと。

 

「ちょっと待って‼︎ ルメーネはどうするの?」

 

「私は先にゾルディック家の方に行くよ、今度は試しの門を開けてね。あの家に行くなら門を開けれる実力がないと何も通用しない……三人はまず鍛えなさいな」

 

「危険すぎる‼︎」

 

「お前まで無茶言うんじゃねぇよ!」

 

「かはは、心配してくれるのは嬉しいけど無用さね。私は試験で一回も本気になってないから、勿論あのクソ兄貴の時もね」

 

「はぁ、私達では止めれないわけだ」

 

「……無理するんじゃねぇぞ」

 

「しないよ、流石の私でもゾルディック家に真っ向から喧嘩を売る真似はやらないって」

 

 軽く会話を済ませて、二手に分かれる。ゴン達はゼブロの案内で扉の内側にある使用人の家があるようでそちらの方に。

 私はまず守衛室にある電話手に取り、先ほど打ち込んでいた番号を入力。

 

『はい、ゾルディック家執事室』

 

「もしもし、私はルメーネ=マーキュリー。キルアを連れ戻しにきた者だけど」

 

『先程のゴン君とやらと一緒の人間か、悪いがお引き取り──』

 

「“ヘルメス”」

 

『……何?』

 

「私の別名義、お宅の当主に一度は弄ばれた仕事人。そっちも少しは知っているでしょ」

 

『それを証明する事は?』

 

「今から試しの門を開けてそっちに行く。殺す気で来てくれて構わないよ。当主様に報告するのもオススメだ」

 

『…………分かった』

 

「それじゃあ電話を切ったら扉を開けるから、さようなら」

 

 受話器を置いて、扉の前に立つ。

 観光客がいた時よりも、ゴンの為に動いた時よりも、今の扉は巨大に見える。

 さてさて、今の私はどのくらいか試されるとしますかね。

 

 ふと気付いた、手が震えている。

 恐怖するのは久しぶりだ。やはりゾルディック家に侵入は危険すぎる、だがそれでも行くと決めたのは私……やるだけさね。

 

 扉の左右に手を当ててゆっくりと念を使わずに力を込める。

 結果、四の扉までが開いていく……素の力ならこの程度か。

 

 さーて、と。

 

 ヘルメス、久しぶりの大仕事の始まりだ。




お疲れ様でした。今回は以上になります。
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ヘルメスを止める事はミケではできません。
ですが動物特有の耐久力で攻撃自体は耐えてました。
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