闇の業界において信用とは情報や金、命よりも大事なものである。故に彼女は裏切り者を許さない。
彼女によってカニステルファミリーのアジトの内部は地獄のような様変わりをしていた。
「ぎゃっ⁉︎」
「ぺっ──」
雑兵如きで彼女を止める事はできない。止めようとした一人は胸元がべこりと凹み、もう一人は顔が吹っ飛んでしまった。
その様子を見て腰を抜かしていた組員の胸元を掴み、問い詰める。
「若頭のアテモヤはどこだ? 私に依頼をしておいて裏切ったケジメをつけてもらわないといけないんでね」
「か、頭は……知らない。本当だ、あの人の場所なんて知らない‼︎」
「そうかい……もう一度聞くよ。若頭はどこだ?」
二度目の問いは脳内麻薬を弄って、吐かないと快楽を得れないようにして嘘をつけないようにして問い詰めると。
「一番上にある頭の部屋に閉じこもってます……ヒヒ、全て話しました……だ、だからオレをもっと気持ち良くしてくれ」
「あ? 嘘つきが何言ってんだ、そこで寝てな」
「アパッ」
嘘をついた組員は手刀で首を切り落とされて血の噴水を流す。
目的地を把握した彼女は階段を登り最上階を目指す。その中で抵抗してくる組員達はあらゆる方法をもって皆殺しにされてしまった。
「数だけはいる組織って面倒なのよね」
「だったら俺と遊んでいけよヘルメ──アピョ?」
「念を使えるだけで強気なのは話にならないよ。せめて能力を身につけなよ……」
道中に念を使える組員がいたが実力は大した事なく、念の刃で一振りで斬られてしまう。
そして彼女は目的地にたどり着いた。
若頭アテモヤは外にいるヘルメスに恐れ慄いている。武器として拳銃や刀剣を持ち込んでこそいたが勝てる気がしなかった。
「くそ……こんな事になるならあいつを裏切るんじゃなかった。まさかここまでやるとは」
彼女の実力は想定以上であった。
ヘルメスの名前を甘く見ていた為に自分達の組織の崩壊を招いてしまったのである。
「あのデブめ、どんな奴でも返り討ちにしてくれるなんて強気だったくせにやられるなんて金払い損だ」
「アテモヤ」
「お、親父……」
「お前のせいでウチは終わりだ。私も組長としてケジメをつけないといけない、お前がどうするかは任せる」
「親父はどうするおつもりなんですか」
「ヘルメスに挑む、それだけだ」
「親父……すんませんでした。俺もあいつをぶっ殺してみせます、一緒にやります!」
「…………そうか。早く出てこい、奴はもうすぐ来る」
「はい!」
しかしアテモヤはその選択を直ぐに後悔することになるのであった。何故なら彼女は…………
「はーい、最上階到着〜」
「ヘルメスゥ‼︎ テメェは俺と親父でぶっ殺す」
「ヘルメスよ、済まんかったな。私は依頼の事を全く知らんかったがこれは組長のケジメとして受け取る……しかし私も組の長としてやらないといけない」
「……組織ってのは面倒だね」
プルート=カニステルは上着を脱ぎ捨てて、念を高める。ルメーネは先程までの相手よりかはマシだと思っていた。
「行くぞヘルメス、かく──」
「お終い」
目にも止まらぬスピードで動いた彼女はプルートの胸元に腕を突っ込み心臓を抜き取った。
彼女の右手に握られていた心臓をみたプルートは全てを悟り、そのまま倒れる。
残るはアテモヤのみ。
「親父⁉︎ そ、そんな……」
「アンタは簡単には死なせないよ、裏切り者には制裁を……当然よね」
「ゆっ、許してくれ‼︎ 出来心だったんだ!」
「出来心? 私を始末すれば金を払わないで済むからかな……まぁ愚かでしかないね」
「今後はあんたの為にカニステルファミリーは動く、あんたの手足としてな。悪くない提案だろう⁉︎」
「かはははは‼︎‼︎ 実に愚か、既にお前だけだよ」
「俺だけ……? そんな馬鹿な!?」
ルメーネには言い訳や慌てふためくアテモヤを冷たく見下していた。
「待ってくれ、待ってください! この俺の命だけは助けていただけないでしょうか‼︎」
「五月蝿い」
彼女はコートに隠していたナイフを取り出し、アテモヤの手の方に投げつける。
切った箇所は血管を切らず肉だけを切った。
「ひっ」
「これからあんたは出来る限り死なないようにながーく拷問するから覚悟しなさい」
「や、やめてぇぇぇぇええええええ‼︎」
ルメーネがカニステルファミリーを襲撃してから数時間が経過した頃、地元警察が調査の為に訪れていた。
しかし警察達は気分を悪くし、まるで調査は進まない。各フロアが血の海に染まりあらゆる形式で殺された死体がゴロゴロと転がっていた為。
「特にこの死体は酷い……間違いなく拷問されて死んでいる。全身に切り傷や薬品の跡、剥き出しの臓器、くり抜かれた眼球……だいぶ酷いな」
「警部、見てください。血文字で書いてあります……これはメッセージという事でしょうか」
「……そうか、これは制裁だったのか。それにしてもまさかこの規模の制裁とは相手はマフィアンコミュニティか?」
構成員一〇〇〇人を超えるカニステルファミリー、組長プルートや若頭アテモヤを含めてその全てが壊滅してしまっていたのであった。
警察が最後に見つけたメッセージ。
それは、
“話を聞かない耳は切り落とせ”
“曇った眼はくり抜いてしまおう”
“裏切り者には死を”
仕事を終えて一週間、ヘルメスとして動くのをストップしたルメーネはカフェでコーヒーとケーキを堪能していた。
「うん、やっぱり甘いケーキと合わせるならブラックコーヒーよね。甘味と苦味で口の中をリセットできる」
そう思いながらゆっくりしていると、ルメーネの携帯が鳴った。どうやら電話のようだ。
「もしもし」
『あ、ルメーネ。今大丈夫か?』
「キルア、どうしたんだい」
『俺一五〇階に到達したからそろそろ来た方がいいぜ、二〇〇階まですぐに行っちまうよ』
「早っ、分かった今日のうちに天空闘技場へのチケットをとって向かうね。油断せずに頑張りなさいな」
『あいよ、それじゃこれからゴンの試合だから一回切るぜ』
「了解」
そう言って携帯を切ったルメーネは急いで天空闘技場行きの飛行船チケットを予約して空港に向かった。
その時のルメーネは嬉しそうな笑顔だった。
次回からは天空闘技場編の始まりです。
参加はしないで師匠役としてルメーネは動きます。
お疲れ様でした。今回は以上になります。
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ルメーネと戦う場合には高速の先制攻撃を防げない限り一方的な虐殺になるだけなのでゼノ並み程ではないにせよ高い実力が必要です。または戦闘センスが必要。