待たせておいてすみません。
ユウジン×ヲ×シゴク
ルメーネ=マーキュリーは友人と合流する為にヨルビアン大陸のとある都市に来ていた。
目的は新種の生物が目撃された事の調査。
彼女は集合場所のカフェで大量のサンドイッチとコーヒーを堪能していた。周りの客はその光景に引いている。
「あの……ルメーネ。流石に周りの人も見ているからこのサンドイッチなんとかして欲しいんだけど」
「んぁ、ごめんよ。サクッと食べちゃう」
一〇分も経たずに山のように盛られたサンドイッチは一人の女性の胃袋へと消えていった。
「凄いなぁ。私も同じ女性のはずなのに……絶対入らない自信があるよ」
「かはは、ここのサンドイッチも美味いからついね。さてともう一人来るはずだけど彼はどこにいるのかな」
「なんかバスが遅れているみたい」
「あれま、不運だね」
そこから一時間ほどルメーネと友人、ポンズの二人で最近はどうなのかと情報交換をしていた。
得たのはポンズも既に念を使える事、【発】のアイデアが決まっておらず悩んでいると。
「裏ハンター試験に合格も出来たし、貴女と最初の仕事をしてみたかったのよね」
「ポックルも同じなのかな」
「さぁ? 私と彼って同じ幻獣ハンター志望だったから今回の新種発見の件で連絡を取り合ったから分からないわ」
ポンズが話し終えると店の前の道路をバスが通過、一瞬ではあるがポックルの姿を確認できた。
「やっと着いたみたいよ」
「見えたの?」
「バスくらいのスピードなら中にいる人間を区別できるくらいには見えるね、かはは」
それから数分、バスから降りたのかポックルが合流。なお現時点でルメーネはコーヒーを十七杯、紅茶を六杯と大量のサンドイッチ。ポンズも紅茶を四杯も飲んでいた。
「遅くなってすまない! 俺の乗ったバスが急にパンクしたりで遅れてしまった」
「まぁ仕方ないよ」
「不運を責めるのは違うしね」
「それで今回のターゲット……あー見つかった新種ってなんだっただけ」
「小さい獣だよ、ふわふわしたうさぎみたいなやつ。まんまるのピンク毛だった」
「それじゃあ森に行きましょう!」
「おい、聞いたか⁉︎ 新種の動物が捕獲されたらしいぜ。もう既にハンターが研究施設に送ったそうだ……」
「…………」
「…………」
「…………」
「目的終わっちまった……」
「かはははは!! ギャグみたいだよね!」
「確かに……そうかも」
目的である新種生物が捕まってしまった為に何をするべきか悩み笑った三人は滞在期間の間、普通に過ごすのも面白くないので念の修行をする事になるのであった。
ルメーネは一日中、座禅をしながら【練】の修行。ポックルとポンズはそれを見習って【練】をしているが念を覚えたばかりの二人は五分と保たない。
「くっそ……」
「つ、辛い……」
「かはは、これからこれから。毎日【纏】と【練】を持続させて、最終的には【凝】を維持して二時間くらい森の中を走り回れるようになったら大したもんよ」
二人がへばる中で彼女だけが平気なのはこれまでに積んできた鍛錬によるもの。その力の差は二人も痛感していた。
「そうだ、ポンズから相談されていたけどポックルの方は【発】はどんな形にするのか決めたの?」
「あぁ、まだ思いつき程度だけどな。オーラの矢に七つの色で個性を与えてみようと思ってる。七色……虹から取って
「面白いね、でも……七つか」
「なんだよ。思った事があるなら言ってくれ」
「オーラの性質を変化させるのって結構難しいよ。私の場合、自傷した時の経験を再現の向上にしているね」
「例えば強力な火を使いたいなら……自分自身を炙るって事か!? いやいや、いくらなんでも」
「そうだよ!! だったら貴女の身体には無数の傷があるという事なの?」
「その通りね。動かすのにはそこまで影響がないけど、なぜか傷跡が消えないのが不思議」
ルメーネ自身は気づいていない制約と誓約。
制約は再現する性質を得る為には研究をしてその性質を理解する事、自分の身体で体感・実験する事などいずれかを満たす。
誓約は自傷する場合はその傷を一生背負っていく事。即ち、その為に付けた傷は癒えない。
他者を傷つけるからこそ、まずは自分が先に傷付き苦しむべきと闇の住民として、これから生きる覚悟を決めた彼女がこの誓約を無意識に作り出していた。
故に彼女の再現は並外れている。
「ちなみにさ、能力を多く作ってもそこまで強力な能力にならないよ。シンプルな方がより使いやすい」
「とは言ってもな……ルメーネに指摘されるまではこれでいこうと想像してただけに変えるには難しくて」
「ポックルは念の得意系統はどんな感じなの」
「俺は放出系」
「だったら弓矢はアリね、オーラの込め方次第でスピードは調整できる。放出系らしさを出すなら“転移”とかどうかな」
「は!? そんなの出来るのか?」
「もちろん、念だからね。イメージとしては矢を放ってから数秒は別空間で飛んで着弾するタイミングで元の空間に戻すといった感じかな」
オーラを飛ばすのが放出系、しかしそのオーラそのものを別空間に飛ばして戻すとなると遥かに高難易度と化す。
「矢を武器にするなら、貫くとかも面白そうね。強力な回転を込めれば防御しても徐々に相手の身体を貫くなんて事も可能になるし」
「ははは……発想がエグいわね」
「ポンズの場合なら、蜂をオーラで纏って攻撃する形になるね。又はポンズを女王蜂として、蜂に刺された相手を女王に従う働き蜂にするとかも面白そう」
「なるほど、操作系で蜂を操る以外にも考えられるのね。うーん、ルメーネのそのアイディアもらおうかな。私も直接戦闘は苦手だから敵を味方にできる可能性があると助かるから」
「ここにいる女の発想が支配する側で怖い」
「ポックルー? あなたにはもう一ついい攻撃を思いついたからアイデアを出すわね。それはこれよ」
そう言ってルメーネがコートの内側から取り出したのは複数のパーツ。組み立てると一つのボウガンが出来上がった。
「これはボウガンか」
「そ、念には制約と誓約っていうのがあるんだけどルールを決めるとより強力な能力になるんだよね。弓以外にもボウガンの破壊力を持った攻撃があると魔獣に襲われた時でも対処が可能になるんじゃないかな」
「なるほど……例えばこの矢を引くには数秒ほどの溜め時間がいるとかにすれば放つ矢の力強さも増すって感じか?」
「良いアイデアね、念を使う戦闘において数秒を使う攻撃はリスクがある代わりに攻撃力も増すケースもよくあるよ」
ルメーネは自身の経験からもポックルへとアドバイスを送る。友人には少しでも死ぬリスクを減らしてほしいが為に。
ハンター証目当てにハンターそのものが狙われることもあるのが今のご時世。危険はいつも隣り合わせだから。
それからはルメーネによる地獄の鍛錬第二弾と言わんばかりのシゴキがポックルを襲った。
起きている時は常に【練】か【凝】を維持。
それが終われば【発】を身につける為にまずはオーラの弓矢とボウガンを繰り返して放てるようになる訓練。
二週間弱で出来るようになると次はその精度向上としてルメーネを的にする修行と少しずつではあるがゴン達が受けたものと同等のものへと変化していく。
オーラの使いすぎで気を失えば、“優しく”起こして修行を再開。限界を感じとれば彼女が用意する豪華な食事でエネルギーを確保して休養。また明日から地獄といったメニューだ。
ちなみにポンズには多少厳しく程度のメニューでトレーニングをしてもらっている。攻撃などの技術をつけず【練】を維持した状態で森の中をマラソンや筋トレなどで身体能力向上と【発】の開発をしていた。
そんな修行が続き八月の後半に差し掛かろうとしたタイミングでルメーネは九月の始めにヨークシンシティに集まる為に修行を打ち切る。
「ま、こんなところで終わろっか」
「長かった……」
「ポックルはだいぶ扱かれていたもんね」
「それでも二人とも能力の形は出来てきたんだから頑張って修行と仕事を持続していつかは見せてほしいね」
「あぁ、次こそは当ててみせるさ」
「私もこの能力をものにしてみせるわ」
「かはは、また仕事があったら連絡してよね。今度はすぐに終わらないやつを」
こうしてルメーネ達は別れ、彼女は一足早くヨークシンシティにあるアジトへと向かう。
まだ彼女はこれから起きる事を知らない。
「あ、そーだ……そろそろ時期が時期だしあそこに寄ってからみんなに会うとしようかな」
お疲れ様でした。今回は以上になります。
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作者のモチベーション向上に繋がります。
本来はこの修行も二話予定だったのですが、メインストーリー以外で挟むのは長く感じるので一話にカットしました。
ポックル、ポンズの能力名はまたの機会に。
この二人もまた原作より強くなってます
出番はまたやってくる
次からヨークシン編に入れるかなぁ