授業が終わり、光聖は部活へ。
識は日直があるということなので帰宅部の俺は街を歩いていた。
学校を出て一時間は経っている。
俺は街を見渡しながら、ただ1点。
色んな人々の髪を見ていた。
ミディアム、違う。ショート、違う。セミロング、ロング、ストレート、ワンカール、ウエーブ、くるりんぱ、ポニーテール、ハーフアップ---
「……………っ!」
思わず両手を地面に着き、俺は絶望した。
どうなってやがる、ツインテールがそんなに存在しないだと!?
ショートとロングの比率が高すぎる!
何故だ、物欲センサー?それとも呪い?もっとツインテールを見せてくれよ!
「ん?」
あぁああああああ!
あ、あれはツインテールッ!?けど見逃したッ!ちょっとしか見れなかったああぁぁぁ!
くそう、何してやがるバカ!俺が余所見してる間にツインテールが通るだと!?
運悪すぎないか、俺…!でもホーステールだというのは見たぜ…!
というかこれ、もしかしてずっと見逃してただけでは? くっ、もっと周りを見なければ……。 違う、視野に入れようとするからダメなのでは…気配を探るべきなのでは……?
「ねえ---」
「うん、あの人ちょっと---」
「なんだあれ……」
「あ、もしもし---」
ひそひそと何かが聞こえ、ふと回りを見渡したら何故か注目されていた。
改めて状況を整理する。
俺→ツインテールが少ないことに絶望する→両手を地面について四つん這い→俺が見てない間に通ってただけということを知る→後悔する→動いてない→周りに人だかり→なんか警察という単語が聞こえた。
「やっべぇっ!?」
理解した瞬間、俺は跳ね起きるように立ち上がり、慌てて鞄を抱えながらラクビーばりの突進で慌ててその場から逃げるように去っていく。
写真を撮られてないのが救いか、チラッと見れば、ちょっと散っていく姿が見えたが明らかに不審者すぎた。
「はぁ、はぁ……。今日走ってばっかだな…帰ろ」
それにしても、今日もまた理想のツインテールに出会えなかった。
俺の心をときめかせてくれるようなツインテール持ちは居ないのだろうか……親父は言ってた。
いつの日か、お前にも理想のツインテールを持つものと出会える日が来ると。その時、その子との関係は大切にしなさいって。
それが私たちに代々受け継がれてきたツインテールを愛する者の血だと。
絶対俺が転生した理由それだろ、とは思ったな……というか代々受け継がれてきたって文字にすると面白く見えるの困るんだが。
生まれた子孫が全員ツインテールを好きになるとかご先祖さまの血がやばすぎるだろ。
普通に考えてこえーよ。あれ、でも前世から好きすぎた俺はひょっとしてご先祖さまやこの血筋よりやばいのでは?
「ただいまー」
親父に言われたことを思い出していると家に着いた俺は、鍵を開けて家の中に入る。
するとリビングからドタバタした音が聞こえ、母さんがピンクの服に白いエプロンを身につけて顔を覗かせる。
「あ、おかえりなさい。もうすぐご飯出来るからね」
「うん、手伝おうか?」
「ううん大丈夫。休んでて!」
……これ知らない人が見たら絶対母親だとは思われないよなぁ、と俺は淡々と思い、とりあえず服を着替えることにした。
制服が汚れたら母さんも大変になるだろうし、俺は迷惑は掛けたくないのだ。
ツインテールは探したいけど、無理してまで探したくはないしね。
特にこの世界にはノイズがまだ存在する……といっても普通のノイズというよりかはアルカノイズなのだが、たまに普通のノイズが現れるのは恐らく並行世界とギャラルホルンが繋がってしまったからなのかもしれない。
どの道俺には何も出来ないから装者に任せるしかないけどね。
それでもいつも知らないところで守ってもらってるって考えると感謝の気持ちしか湧かないし、ここは現実だからアニメ見てた時とは違って純粋に彼女たちの幸せを願いたいところなんだけど。
「母さーん」
「はーい」
着替えも済んだ俺はリビングに向かい、皿を持っていきながら母さんのことを呼べば、可愛らしく返事した---自分の母親にそれはどうなのかと思ったが、まあいいか。
「お皿置いとく。父さんは今日は夜まで?」
「うん、ちょっと遅れるみたい。だから先に食べてましょう」
「分かった、じゃあ母さんが届かないところあったら俺が取るからその時呼んで。それまでイラスト書いてるから」
「ありがとう、がんばってね」
「うん」
さて、暇だしTw○tterに今日描いた絵は挙げるとして、次はどんなイラストを描こうかな。
リクエストではロング髪の金髪美少女書いて欲しいです!とは来てたけど、残念ながら俺はツインテール専門の人なので、描かない。
そもそもやる気が低いのだ。ツインテールなら無限に溢れる。
というか最初の頃はクソ下手くそであれだったが、気がつけば俺のツインテール愛はそんな下手な自分を超えられたようだ。
フォロワーも知らぬ間に万超えてるし、俺が描きたいから描いてるだけなんだけどな。
…それよりどうしようか。ラビットスタイルは今日描いたからなー。
別の髪色で書いてもいいし、ちょっと絵柄を変えるのもありかもしれない。
まんが○らら風じゃなくて普通の感じで。
よしそうしよう。今日はツインテールをちょっとは見れたし、頑張っちゃうぞー!
「ただいま」
「あ、おかえり父さん」
「おかえりなさい」
相変わらず美味い母親の飯を食べた後に俺はひたすら集中して絵を描いていたら、父親が帰ってきた。
絵の進捗はまだまだ未完成だが、ツインテールはもう少し書いてから一番力を入れて描かなくてはならないため、今日は無理かもしれない。
「なんだ、今日も絵を描いてるのか?」
「理想のツインテールに出会えない」
「ハハハ、簡単に出会えたら苦労しないからな。特に自分の求めるものを見つけることの方が難しいものだ」
それはそうだが、俺としては早く理想のツインテールを見つけたいのだ。そして触りたい、撫でたい、抱きしめたい、顔を埋めたい。
もちろんツインテールが前提条件なだけで、全てじゃないが。
それに理想に近いのはあったが、もう亡くなってしまった。
「俺だって見つけるのに数十年も掛かったからな。知ってるか? 俺が出会ったのは若かった頃のあの日---」
「あ、あー!もうっ! やめてください、竜也さん!その話はダメですから!」
「というか聞き飽きたよ。つまるところ必死にツインテールを揺らしながら頑張る母さんが可愛すぎて一目惚れしたんでしょ」
必死に止めようと、母さんはぴょんぴょん跳びながら口を抑えようとするが、父さんは微笑ましそうに笑いながら動いてもいなかった。
なぜなら身長が足りてなくて意味を成してないからだ。
むしろ可愛いとしか思ってないだろうな……。
あの話に関しては俺としては数十回とも聞かされたので、聞きたくもない。
ついでにそんな惚気聞かされてたら俺は見つけらないかもしれないとかいう現実を受け入れてしまうかもしれなくなりそうだし。
「う、ううー…っ!」
「ごめんごめん。それに零士はまだまだ若いんだからさ。ゆっくりと探していけよ」
「…竜也さんの言う通りだよ。れーくんはまだまだこれからなんだし、お母さんは可愛い彼女が出来ることを応援してるから! あ、でも出来たらちゃんと紹介してね?」
諦めた母さんの頭を撫でて頬を綻ばせていた父さんは拗ねたように顔を背ける姿を見て謝りながら俺にそんなことを言っていた。
それには同意見なのか、拗ねた母さん---といっても小さい子供が拗ねてるようにしか見えないので父さんはますます表情が和らいでいたが、母さんは背中を押すような言葉をくれた。
母さん、流石に彼女とまでは無理だよ、俺そんなコミュニケーション能力ないよ。
特に美少女なんてモブには届かないよ。そういう子は主人公力のありそうな光聖だよ。
あ、ちなみにだが俺の父さんの名前は
名前がカッコよすぎる。
XDのイベントクエストの重要キャラにでも出てきそうな名前してるぞ、父さん。
竜の血を継いでいる---とか言われても不思議じゃないよ、実際昔は凄い同僚が居て一緒に平和を守ってたんだぞーとか嘘か本当か分からないが、父さんも凄かったらしいし。
今は普通の父親って感じだけどね。
けど、そうか……。
「彼女、かぁ……母さんたちに紹介できるような子、全然出会うことも話したこともないからなーむしろ気配すらないよ、俺ってダメダメだと思うし」
実際、前世でも今世でも俺は女の子にちゃんとした関わりを持てたことはなかった。
話すことはあっても親しい関係になれたことはなく、唯一親しかったのは今世での幼馴染くらいだろうか。
亡くなったけど。
前世の友人にも言われたんだけど、俺にとってはツインテールの愛が普通なのに他の人からしたら異常らしいからね。変わるつもりもないし変えるつもりもない。
特にせっかく二次元の世界にこられたんだ。俺は俺の夢を諦めずに追い続けたい。
このツインテールへの想いは、俺だけにしかないものだっ!
「れーくんなら大丈夫。あなたは優しくて、他人を思いやれる子なんだから」
「そうだぞ、特にお前は父さんや母さんの子供なんだからな。ただお前は俺よりも勇気がある分、勇気と無謀を履き違えないかちょっと心配になるが」
「あはは、まっさかー。俺なんて勇気の欠片もないよ父さん」
相変わらず両親は俺の事を過激なまでに評価する。
自分の子だからってのもあるんだろうが、俺は残念ながら主人公にもサブキャラにもなれないほどに出来てない人間だ。
第一、自分優先な人間だからな。
だから罪悪感はあったが原作知識があっても何もせず、死にたくないからXVのライブ会場に行かなかったわけだし。
結局俺は自分が大切なだけの自分勝手な人間なのである。
転生者として何らかの力があったらアレだけど、何も持たない俺にとって何も助けられないし救えない。
理想のツインテールを見つけるという夢のため、自分の命だけを守りたいから逃げるだけなのである。
主人公や主要キャラになれるほどの人材ならば、ノイズなどの危機に対して誰かを助けるような行動を取るはずなのだから。
それこそ俺の周りでは光聖だろう。
あいつは運動部って言うよりかは、正確に言えば助っ人なのだ。一つの部活に居座っているのではなく、頼まれたら色んな部活を手伝っている。
それをする理由を聞いても困ってる人を放っておけないからと言ってたし、凄いやつだよ、本当に。
その分、一度死んだ身としては心配なところがあるから何かあったら守ってやろうくらいの気持ちはあるけど。
そんなあいつでも、評価されてる割には上面は笑顔なのに時々悲しそうな表情が隠されていたのは記憶に深く残っていたから関わったわけだが。
そしたら気がつけば友人になるような関係になっていた。
うん、何もしてないはずなんだけどね。ツインテールの愛を語った気はするが、分からん。
なんかめっちゃ話逸れたな……つまるところ、俺は何も出来ない人間なので自分勝手で自己保身が強い人間なのだ。
周りが死のうとも自分さえ生きてりゃいいって。
「……まぁ、頑張るかな」
「私たちはずっと応援してるからね。そのためにも明日はれーくんの好きなご飯作っておくから!」
「な、なに? お、俺にはないのか……!?」
「ふふ、竜也さんにもちゃんと用意するから、安心してください」
「っ…! 零士、見たか? 今のを聞いたか、見たか!? 天使だ、天使がいるぞ……!」
「ハイハイ、おやすみ」
母さんの笑顔を見て、面倒な父さんが出てきた俺はこの後の展開を読めたので逃げるように部屋へと帰っていく。
「きゃっ! ちょ、ちょっと竜也さん!?」
最後にそんな母さんの声が聞こえたので、まああの後父さんが抱きしめたんだろうなというのは理解していた。
隙あらばイチャイチャするので、見飽きたのだ。
仲良さそうで何よりだけど、新しく弟か妹を作るつもりなら家ではやめてくれよと日々思ってる。
夜が明け、朝となれば所詮は一介の学生でしかない俺は学校に行かねばならなく、母さんに迷惑は掛けたくないしツインテールも見たいしで仕方がなく学校へと向かっていた。
正直学校は前世でも今世でもただ面倒にしか思ってないのだが、ツインテールが見れる分には行くしかないのが悲しいところだ。
俺の視界上の女子だけツインテールに変わらないだろうか、無理だわ。
「レイジー!」
「うげぇ!?」
パンっと心地の良い音が響き、俺は衝撃に耐えきれず思わず足が前に動いていた。
数歩前進し、止まって振り向くと恨ましげに俺は睨む。
「おい、せめて止まってから叩けよ!」
「いやそこじゃないでしょ」
「ごめんごめん!レイジが猫背でなんか疲れてそうだから元気づけようと思ってさ!」
俺はいつも猫背だっ!と言いたいが、諦めた。
合流の仕方があれだが、結局はこうやっていつものメンバーは自然と集まる。
というか背中を叩くことに関しては俺も光聖や識にやってるし文句は言えないからな。
俺たちなりの挨拶みたいなもんだ。
「確かに元気はないようには見えたな。何かあったのか?」
「俺たちに出来ることがあるならやるぞ!」
「いや、大したもんじゃないよ。彼女出来ないなーということと両親が相変わらずバカップルぶりを発揮してるなーと朝から見せつけられただけだから」
後者は慣れてるし二人とも幸せそうだから全然いいが、前者がまずい。
このままじゃ年齢イコール彼女なしを何十年も引き摺るかもしれない。
学生の頃が彼女を作るチャンスなのだ。
「…聞いて損したな」
「おい、お前というかお前らは欲しくないのかよ。彼女だぞ? ツインテールを好きに出来るかもしれないんだぞっ!」
「彼女かー。考えたことないな」
「僕も同じく。今に満足してるし、第一それに至っては双月しか喜ぶやつはいないから」
嘘だろ、こいつら一切邪な感情がねぇ。
純粋すぎて俺がむしろ悪く思えてくる。というか彼女欲しい訳じゃなくて、正確にはツインテールを触りたいから欲しいってのが十分最低な理由な気がする。
というか、そもそも光聖に至っては普通に人気あるし、識に至っては俺たちと関わらなければ冷静だし。
その真面目な性格は一部の層には人気出るだろう。
光聖が見た目も性格もイケメンすぎるだけで、識も十分イケメンだ。
そんな中、俺は間違いなくやばいやつ認識されているのだろう。
恐らく最初の自己紹介の時点で好きなのはツインテールと叫んだ時点で俺の学生生活はほぼ終わりを迎えたに違いない。トドメは間違いなくツインテール部を作ろうとしてた情報が教師から漏れたところ。
ほぼ最初から詰んでるじゃねーか。俺の人生厳しすぎる。
「くそぅ、お前らはむしろ何なら欲しいんだよ」
「……本?」
「レイジたちと遊ぶ時間だな」
「遊ぶ時間はいつでも取れるだろ。いっそ今日どこかにでも出かけたらいい。んで、識は……本好きなのは見た目通りでなんと言ったらいいか分からん」
「本は面白いよ。双月も読めばいい。遊ぶことには賛成だな」
「お、じゃあ今日はそうするか。放課後までには決めておこうぜ!」
何か自然と遊ぶことが確定したが、まぁ良いだろう。
それと俺は本読むぞ、飽きるけど。
漫画なら良いんだが、小説とかは目が疲れる。
「それじゃあ話し合いは休み時間にするとして、少し急いだ方がいいかもしれない」
「確かに早めに着いておくことに越したことはないよな。行くぞーっ!」
「ちょ、それはそうとしてなんで朝から走るのさ!? 双月、助け---」
インドア派な識は体力がないというのに、アウトドア派の光聖に引っ張られて連れていかれていく。
最後に助けを求められたような気がしたが、俺は敬礼して見送った。
しかしここで止まっても行かないため、騒がしい空間から妙に静かになった中、俺は早歩きで学校に向かうことにした。
「やれやれ、騒がしいヤツらだよ。本当にさ」
二人のお陰でさっきまでの眠気が覚めた俺は、一息付いてから心地の良い日常に悪くないという感情を今日もまた感じ、この平和を噛み締めながら学校へ向かう速度が少しずつ上がっていた。
いつもと何ら変わらない、騒がしくも楽しい日々。
理想のツインテールを見つけるという掲げた夢はまだ道半ばだが、アイツらとこんなふうにバカして楽しく話すのは、俺にとっては大切な日常だ。
だからこのようなノイズと遭遇する確率がある世界でも変わらない日々を過ごせることに、俺はただ嬉しかった。
だからこそ、今日の放課後は何して遊ぶか、ただそれだけを考えて俺は学校へと向かった---
日常というのは些細な変化はあれど大きな変化か起きるはずもなく、普通に休み時間を迎えて、授業が始まって、ご飯を食べて、また授業が始まっては終わる。
大した変化ではないが、せいぜい今日はやけに当てられる回数が多かったくらいだろうか。
学生でいる限り、たまにあるんだよな。
当てられてもわかる時に限って当てられないのに、当てられても分からないやつに限ってしか当てられない。
あれは勘弁して欲しいわ。
多分俺以外にも経験あると思う。
くそっ、そもそも俺はツインテールのことを考えていて授業聞いてなかったんだ。識のアシストがなければIKIHAJIを晒すところだったな…。
それにしても---
「やっっっっっっと終わったぁー!!」
体を伸ばして気持ちよさを感じていると、途端に脱力して机に伏す。
現実を見てしまうと、やはり耐えられない。
もうツインテールに触れずして何年経つのだろうか。
四年か……最後に触ったのは中学生の頃だったな。思えば彼女が居なくなってから、俺は見るだけしか出来なくなってしまった。
あの時が一番幸せで、俺の全盛期だったのかもしれない。
俺の幼馴染は美少女って言えるほどに顔も整ってたしスタイルもよかったし、ツインテールも綺麗だった。
俺と会わない時は大変だからかツインテールじゃなかったのに、なんで毎回会う時は作ってくれてたのかは分からなかったが……俺はツインテールが見れるし触れられるし基本好きにさせてくれるしで嬉しかった。
……今更過去を遡っても仕方がないことだ。死んだ者は帰ってこないし、俺だって前世には帰れない。
しかし今世での両親はきっと俺に彼女が出来ること---正確には幸せになることを望んでいるだろう。
前世の俺は両親よりも早く死ぬという親孝行すらしなかったクソ野郎だったのだから、今世ではしたいところだ。
その前にノイズに殺されないか不安だが、そう何度も遭遇しないだろう。
ちなみに俺は過去に五回遭遇している。
ちょうどシンフォギアのクールと同じなのは世界の法則が発生したのだろうか?
まあ原作と関わってないだけで、世界にとっては異物っちゃ異物だからな。
今思えば、あいつの考察当たりすぎじゃないか??? 天才だったのかも…いやそういえば頭良かったわ。
なんか宇宙や並行世界に関しての論文で賞取ってたしな。当然俺は友人のおめでたいことにめっちゃ喜んだ。
なんで俺が喜んでたのかはよく分からないが、友人が評価されて嬉しかったのだろう。
…未練がましいな。仕方がないだろう、考察好きな友人の話を聞くのも、オタク同士の会話に花を咲かせるあの日々も楽しかったのだ。
今世ではオタク卒業してるし、ツインテール一筋にしかなってないからな。
この世界に不満が無いわけじゃない。
現に---
「よし、俺から歌うぞ!」
「おーし、やってやれ!」
「カラオケは予想外だった…」
俺たちは今、男三人でカラオケに来ていた。
虚しくないわい、第一男同士の方が盛り上がれるしやりやすい。
つーか女呼んでも俺がひとりぼっちになる未来しか見えないのでやめてくれ。
「で、何歌うんだ?」
「そうだなー盛り上がれる曲にしたいな、やっぱさ!」
「盛り上がれる曲かぁ。流行り知らないからなー」
あ、恋の桶狭間と英雄故事あるじゃん。
やる時歌おう。
俺この二曲歌えるんだよね、だってSAKIMORIとOTONAが作中で歌ってたもん。
あれ、前世で覚えたわ。他にもツヴァイウィングの曲なら歌える。
「うーんそうだなぁ。識は何か知ってるか?」
「僕もそこまで知らないからなんとも…」
「昔ので良くないか?」
「それもそうだな!」
別に外面だけ取り繕わなければならないクラスメイトたちがいるわけもなく、あくまで娯楽を満喫するために俺たちは来ただけだ。
身内同士なのだから各々好きにやればいい。
そう思って提案したら、光聖は曲を迷いなく入れていた。
こいつ、さては何度も来たことのある上級者だな? 俺が未だに入れ方分かっていないのにあっさりと入れやがったぞ。
誰か操作教えてくれ、前世でオタクだった俺はこういう場には来れなかったのだ。
行ったらシンフォギア曲歌って最終的に虐められるのがオチ。迫害されるオタクを舐めるな。
そんなことを考えていたら、曲のイントロが流れ始め---って。
「イマジネ○ションかよ!?」
良い曲ではあるが、2040年代に歌う曲じゃない!
俺らの時代ならともかく、この世界で歌う曲じゃないというか、そもそもよくあったな!
そうしてイケボで歌われるテンポの良いイマジネーション---入れたのお前かよ光聖ッ!?
予想外だわ! お前はもっとこう、流行に乗ってくると思ってた。
確かにスポーツ関連ではあるが、それこの世界ではかなり昔に流行ってたアニソンじゃねーか……!
ちなみに結果は98点。いや光聖のスペックが高すぎる。
「じゃあ次は僕が歌おうかな」
「おう、楽しみだ!」
「いや、もう何来ても驚かんぞ」
この時代でも平成の曲を聴くとは思わなかった俺は、耐性が出来た。
俺も今のうちに曲変えておくか…シンフォギアの他にも前世で好きだったアニメに変えておこう。
ギャグパートとシリアスの差が上手くて好きだった作品だ。
俺がそんなふうに悩んでいた曲をやめて、この世界にもあったことに安堵するとそれを入れたのと同時に曲が流れ---
「いや、なんで演歌!?」
方向性が全く分からなくなってしまった。
しかもこれ、多分この世界の曲だな。
知らん曲だからなんとも言えんが、恋の桶狭間より昔っぽい?
そこは分からないが、なんで遡ってるんだよこいつら。
流石に最近のも知ってるはずだが、最初に入れる曲じゃないような気がしなくもない。
なお、点数は95点。十分やばすぎてプレッシャー掛かるんだけど。
ツインテール愛しかない俺に歌を求める気か、こいつら。
「やっぱり昔の曲は難しいな……」
「なぜ昔をチョイスしたのか分からないんだが……俺もやるか」
「レイジがどんな曲歌うのか期待してるぞ。識は相変わらず難しい曲ばかりだけど!」
「いや、演歌でもこれしか歌えない」
「だったら最近の歌ってくれ…ったく、俺そこまで上手くないぞ」
そう言いながら、俺は流石にシンフォギア世界なのもあってその曲はツヴァイウィングかマリアさんくらいの有名人の曲しかないため、俺が入れたのはとあるアニメ曲---『サクラミツツキ』を熱唱した。
なお、久しぶりに歌ったのもあって、90点だった。
こいつらがおかしいだけで俺も十分高いんだ、ゆるせ。
むしろ演歌で95取る識がおかしいんだよ。
「これで一周か。じゃあ次はレイジの言う通り最近の曲限定にしようぜ」
「そうだな、僕も歌える曲入ってるみたいだ」
「いや、それは最初からしろよ!」
カラオケなんだから最初が肝心だろ!
いくら身内とはいえさぁ……まあ俺ららしくて良いけど。
しかし最近か、最近かぁ……やべぇ、前世の記憶がアニソンで染まってるせいで俺が知らない…ツヴァイウィングの曲で何とか乗り越えるか---
そして何曲も歌い、ありとあらゆるジャンルを歌ったりデュエットしたり時々知らない曲も頑張ったりと身内だからこそ出来る遊びを堪能した俺たちがカラオケを終えて外に出ると、楽しい時間はあっという間なもので、もう太陽が沈む時間帯となっていた。
何故か昭和縛りになったりドラマ曲縛りになったりなどカオスなカラオケだったが、十分に楽しめたので満足だ。
というか喉が痛いくらいには疲れた。
本当はこの後ボウリングに行く予定なのだが……無理な気がしてきたぞ。
「まだ大丈夫か?」
「初めてだったけど、まだ行ける」
「お、俺もいけるぞ」
いや嘘。めっちゃ嘘。
あまりにものガチでやりすぎて喉が痛い。
でもまだまだ遊び足りない感はあるし、ボウリング場に行けばツインテールが見られるかもしれない。
よし、回復したッ!
「じゃあ、行く………ん?」
「いでっ、おい。立ち止まるな」
「……光?どうかしたのか?」
先頭で歩いていた光聖が突然止まったせいで俺は背中に鼻をぶつけて多少ダメージを受けたため、軽く鼻を抑えながら文句を言う。
一方で識は珍しい光聖の様子にか、訝しげだ。
「いや、なんか焦げ臭いなーって」
「炭火焼きでもしてるんだろ。美味いぞ、あれ」
「……言われてしまえば確かに、それとは別な感じがする。それにこの感じ……?」
二人して妙なことを言い出してなんだなんだと思ってると、俺はふと空を見上げた。
特に何も変化が起きていない。
ただ普通に暗くなっていて、雨雲のように雲が黒く---黒い煙?
「やっぱり、火事だ!」
「って、待て!」
すぐに人助けしに行こうとした光聖の腕を掴んで慌てて止めると、少し離れた先で
思わず顔を覆うと、人雪崩がやってくる。
「これはどうなって……」
「っ。そう言うことかよ……! あぁ、もうっ! なんでこんな時に限って来るんだ!?」
「火事じゃない? レイジ、何か分かったのか!?」
突然訪れた非日常な出来事。
しかし俺はこのことを
これはまずい、俺だけなら何とか逃げられるかもしれないが周りの人たちが危ない!
「決まってるだろ、この人の多さ。爆発!
間違いなくテロなんかじゃない。これは---」
「ノイズだぁあああああああ!」
「ということだっ! とりあえずお前らこっち来い!」
逃げる人の声が聞こえ、即座に二人の腕を掴んで人雪崩を回避すると、俺は忙しげに周囲を見渡し、識はともかく光聖へ視線を送る。
すると腕を掴んでるお陰で向かわないが、今にも飛び出しそうな勢いだ。
この世界ならば、こういう非日常はいつ起きても不思議じゃないがこう油断してるタイミングで来られるのは心臓に悪いし、光聖が居る時に来られるのが一番の最悪だ!
こいつはお人好しがすぎるせいで人助けを優先する可能性がある!
識は突然の非日常に機能してない。
だから俺が何とかしないと。
こいつらを前世の俺のように死なせる訳にはいかない!
「レイジ、このままじゃっ」
「うるさい、お前は何もするな。おい識、しっかりしろ! ノイズが現れてもいつもと変わらない、というかお前が頼りだからしっかりしてくれ!」
「っ……!? あ、ああごめん。頭が真っ白になってた…」
ここで最悪なのは、識が完全に動けなくなること。
だからこそ俺は光聖を言葉で黙らせ、腕は決して離さないまま識を揺らして意識を取り戻させる。
良かった、冷や汗は掻いてるようだが発狂してないようだ。
正直この場面は大人も含め、学生からしたらSANチェックが入る可能性がある出来事だ。
俺は慣れてるのがあるが、光聖は猪突猛進だからだろう。
冷静なのが居てくれないのは困る。
「でもノイズってことはここにいても……」
「ああ、危ないだろうな。というかいつ人が死ぬか分からん。見ろ、あの状態」
何とか建物の間に入り込んだが、俺が指指した方向には我先にと逃げようとして詰まっている姿がある。
まるでおしくらまんじゅうだ。
お陰で全く進めないどころか、何人かは倒れてしまっていた。
この展開はアニメでも見たし、現実でも見たから俺は二人を連れて逃げたわけである。
「これは……酷いな。このままじゃみんなが危ない。でも僕らもこのままじゃ逃げることは……それに、光は絶対逃げないぞ」
「わーってるって。だからこそお前らを連れてきたんだよ。こいつの性格からして人助けに行くのは目に見えてるからな」
「なぁ、褒められてるのか?」
「ある意味褒めてるよ…」
お人好しも度がすぎるというか主人公気質というか……良い奴なんだが、危なっかしいし手がかかる。
こういうやつは嫌いじゃないんだが、こういうやつに限って死にやすいからな。
友人をみすみす殺させたくは無い。
しかし時間は、猶予はあとどれくらいある? ノイズの出現はなんだ?
原因は自然発生? それともアルカノイズかカルマノイズか?
装者は既に駆けつけてくれてるのか? 見た感じまだ避難誘導する人達も来ていない。
ダメだ、考えるのは後だ。多分ここにいる人間で慣れてるのは俺だけ。
力がない分、せめて知識を活かして犠牲者を減らすしかない。
恐らく時間の猶予は数分もない。
なら、役割分担するしかないか…!
「レイジ?」
「……双月?」
俺が深く考えるため俯いてた顔を上げると、視界に映ったのは僅かに不安そうな表情を浮かべている二人だった。
しかしその瞳の奥には恐怖よりも俺に対する信頼が見て取れる。
……前世でもだが、ツインテールに恵まれない割には友人には恵まれるらしい。
こんな命の危機だってのに信頼してくれてるなんてな。
「よし! じゃあやることは簡単!
まずは光聖!」
「おう!?」
「お前は得意分野の足を使え! その足と身体能力を活かして親子と老人を最優先に救出し、その上避難誘導!
とりあえず避難先は今スマホに送った!」
「レイジ…! 分かった、任せろ!」
待っていたというようにこの場でも明るく返事をする光聖に俺は頷き、これならこいつは下手に突っ込まないだろうと今度は識に視線を送る。
「僕はどうすればいい?」
「お前は大変だろうが、あの集団をまとめてくれ。多分それはお前にしかむり」
「無茶を言ってくれるな……はぁ、けれど分かったよ。出来るだけやってみるけど、双月はどうするつもりだ?」
仕方がないとため息を吐きながら答えてくれる識は、俺はどうするつもりなのかと聞いてくる。
俺に関しては考えてなかったのが正直なところだ。
そもそも俺はこいつらに比べて出来ることが少なすぎる。
であるなら、状況を見て指示を出せるようにしておいた方がいいか……?
本編中の出来事と前世で死んだお陰で冷静だが、ノイズを見たら俺も恐怖でどうなるかは分からないし、ノイズの位置を確認したい。
装者が来るにもどこに彼女らがいるか分からないが、数分はかかる。
その間に犠牲者が出てしまえば意味が無い。
なら俺は俺のやりたいことをやるだけだ。
「俺は困ってる人を最優先に救出する。いいか、絶対無茶はするな。いのちだいじに、だ!」
「分かってるって!」
「そうだな、何かあったら連絡し合おう。
放っておいたら不安だし僕は光にも目を光らせておくよ」
「頼む。じゃあそれぞれ役割を果たすぞ、ノイズが見えたら自分優先だ、いいな!」
俺がそう言い、手を突き出すとこういう時だけ即座に理解したように光聖がすぐに乗せ、遅れて識が乗せてきた。
この二人は恐らくこういう場面は初めてだが、円陣は大切だろう。
「それじゃ、ボウリングに行くためにも誰も欠けることなく避難誘導だ!やるぞ!」
「おう!絶対勝つからな!」
「え? 今それ言う場面じゃないよね?
いや……僕たちらしいか」
同時に手を上に上げ、それぞれ離す。
その時、乗ってくれる光聖と苦笑しながらも表情を和らげる識といった感じで真反対だが、俺は日常を捨てるつもりはないのだ。
無事に生きてこいつらと遊ぶ。そのためにも避難誘導。
目標は装者たちか避難誘導してくれるであろうNINJAたちエージェントが来るまで。
俺がするのは自分が助かるため、罪悪感に苛まれたいため。
保身だ。
「よし、行くゾ……っ?」
そして早速行動に移ろうと隙間から出ようとしたら、さっきより酷くなっていた人の流れに逆らうことを考えると、ため息しか出なかった。
もうやだ、ツインテールが見たい。
……なんて言ってる暇ないよな。原作は終わってるけど、まともな知識持ってるの俺くらいだもんな! 流石に自分第一な俺でも目の前で救える命は見捨てない。
「って、レイジ!」
「ん?」
「あの人、流れに逆らって誰かを探している……?」
「マジか、仕方がない。俺らも突撃して事情を聞こう。子供とはぐれたなら探さないと大変だ。子供はどう動くか予想が出来ない!」
顔を見合わせて頷き合い、俺たちは人混みの中を掻き分けるようにして、体がぶつかっても倒れないように踏ん張って必死に誰かを探しているらしい女性の元へ向かう。
が、身体能力が一般人レベルな俺と三人の中で最強の光聖はともかく、クソ雑魚な識は流されていた。
……そこは想定してなかったかなあ。
光聖にさっきの指示をやるように言ってもらおう。
流石に俺は体力的に戻れん。ツインテールがあったら回復するが、この人の多さではツインテールが見えなかった。
「あの、どうかしましたか!?」
「はぁ、はぁ……お、俺たちでいいなら手伝うんで……!」
俺より一足先に辿り着いた光聖は既に話しかけていたが、俺は一歩遅れて辿り着いた。
おい待て、俺がこんなギリギリなのにこいつ息切れしてないぞ。
「あなたたちは……っ。えっと……それが子供とはぐれてしまって…」
一瞬驚いたように目を見開き、話すべきか悩んだようだが迷う時間も惜しいのかすぐに話してくれる。
おおよそ予想通りだ。特徴を聞かないと。
「俺達も手伝います! 特徴と出来れば名前を聞いても?」
…俺が何か言うまでもなく解決しそうなんだが。
流石人助けに手馴れてるだけある。多分迷子とかよく一緒に探してたんだろうな。
「でも……」
「今は一刻も争うでしょう。人の善意を無碍にせず、話してください。それとどこではぐれたのかおおよそでいいので」
時間が無い。
こうしてる暇も逃げ遅れた人は死んでるだろう。
いつこっちに来るか分からないんだ。
「……すみません、ありがとうございます。
名前は吹雪で、小学生に上がったばかり頃くらいの
……ガタッ!
っ、ツインテールだとッッッ!?
い、いや待て、落ち着け! さすがに小学生はダメだ、犯罪に……俺の父さん犯罪じゃん! 見た目小学生レベルのロリだし明らかにロリコンだよ父さん!
ってそうじゃない、それは大変だ!
「レイジ、どうする?」
「お母さんは避難してください。光聖はこの人の避難を頼む!」
「レイジは!?」
「その子は俺が探す!」
決してツインテールが見たいとかそういう思いがあるわけじゃない!
本当だ、いやちょっとはあるし見たいけど、この判断は正解だ。
出来ることの少ない俺よりも光聖は残すべきだからな。
「で、ですがそれだとあなたが……」
「……親が死んでしまったら、子は一人残されてしまうんです。そんなの生きていたって辛いもんでしょう? だから貴女が生きるのは最優先事項なんです。絶対見つけて助けるので!」
「そ、そうじゃなくて、その…吹雪とはぐれてしまったのはここに来る前---爆発が起きた時くらいでかなり近かったんです。私は人に流されてしまったので場所は分かりませんが、そうなるともしかしたらノイズが……」
「ッ!?」
この人の言いたいことは理解したが、余計にまずい!
装者が来るとか言えなくなった!
「光聖、その人を頼んだ! お前が探すより俺が探した方が効率がいいっ!」
「お、おいレイジッ!?」
後ろから驚くような声が聞こえたが、俺は強引に人混みを突破していく。
追ってくるような騒がしい声も音も聞こえないことから、俺の指示通りに動いてくれたと信じる。
急げ、急げッ!
とりあえずは人混みを抜けて探せ!
大丈夫だ、いいヒントを貰った!
「ツインテール、確かその特徴は……!」
人混みを下から潜るように潜り抜けた俺は走りながら周りを見渡し、完全に人混みが見えなくなると、慌てて崩れた瓦礫に隠れる。
こっそりと覗いて見れば、もうノイズがかなり近くまで来ていた。
どうやらカルマノイズではないらしい。あれならば装者が来てくれたら解決する…しかしそこまで少女が持つとは思えない。
なら俺に出来ることをやれ!
「ツインテール、確か白髪のツインテールは……!」
目を閉じて、脳をフル回転。
全意識を集中させる。
ここに遊びに来る前、見てきた全てのツインテールを脳内に保存していた中から全ての情報を抜き出し、親子連れの記憶を引きずり出す。
信号前、違う、カラオケ、違う。コンビニ前、違う。
情報が多すぎるんだ、ツインテールならば俺は探せる!
白髪のツインテールは確か…そうだ、カラオケに入る前に一瞬だけ見た!
ならその時の匂いと特徴を追え、イメージして、予測するんだ……!
「向こうか!」
行先はノイズを突っ込む必要があるが、場所は恐らく分かった。
彼女は爆発の近く---ちょうど向かおうとしていたボウリング場に多分近い。
俺はこの場にいるノイズにバレないように冷静に、それでいて静かに移動していく。
もし見つかれば待つのは死。
けれど原作知識を利用すればいい。ノイズは探索はしても人間を探知する力までは備わっていない。
ただ音に反応するノイズもいるから、慎重に行かなくちゃいけなかった。
空を見上げたら、
上空も見ないといけないのは大変だが、これでも5回遭遇して生き延びた人間だ。
なんとかいける。大型がいたら無理。バレてしぬ。その時は諦めろ。
そこは運ゲーだが……いけるな。
ボウリング場近くまで数分は掛かったが、何とか辿り着いた俺は周りを見渡す。
「……分からん」
匂いで探ろうにも、爆心地が近い影響か焦げ臭い匂いしかしない。
というか割と間近くに炭素の塊あるんだが、これじゃないよな?
犠牲者が出たのは俺にはどうしようもない。
俺は神でもないし力を持たぬのだ、許せ。元から全員守れるとは思っちゃいない。手の届く範囲だけだ。
それよりも少女だ。
どうやって探すか……うん?
「あれは……」
方法を考えようとしていたら、ここからは見にくいがパンダのぬいぐるみが落ちてるのが見える。
あのパンダ、やけにぽっちゃりしてんな……。可愛くない。
そうじゃない。俺は見逃さなかった。
なんと幼い白髪のツインテールの少女が泣きそうな顔で周りを見渡しているのである。
流石に欲情しないが、あの子だろうか。
「おかあさん……ぱんちゃん…どこぉ…?」
あの子じゃん!
しかしどうやって助ける? このまま走ったら間違いなく怪しいヤツというか誘拐犯だ。それはまずい。
「うう……こわいよ、くろいのばかりで誰もいないの……?」
だが見てるだけで何も解決しないのが事実で、今にも少女が泣きそうだ。
すぐに助けに行こうにも俺が動けばノイズが来る可能性だって…クソっ、本当に何故力がないんだ。
「ぐす…うっ、うわああああああん」
そんなことを考えていれば、少女が泣き出してしまう。
そのことにノイズが来る可能性を考えていた俺は脳が判断するのに遅れてしまい、何かが上空で飛来しているのが視界に映った。
あれは……鳥型ノイズ!? 助けに行こうとした瞬間、昨日の言葉が蘇る。
『お前は俺よりも勇気がある分、勇気と無謀を履き違えないかちょっと心配になるが』
何の力も持たぬ一般人。
知識があるだけで、何も出来ない。歴史を変えてしまう可能性があるから、何かをする訳には行かない。
俺は自分の命が大切だ。俺には夢があるから、前世では夢半ばで死んだから。
だから今世ではそれを果たすためにも、何があっても生きなくちゃ行けない。
そう、今思えば一体何を考えていたのか。助けて得なんてひとつもない。
人助けする必要なんてない。両親は俺を褒めてくれるが、俺は勇気もなければ力もなくて、友人たちに比べて頭も身体能力も高くないのだ。
あの少女が亡くなるよりも、自分が大事だ。
どうせ間に合わない。間に合ったとしても一緒に死ぬだけ。
無駄死するだけで、今なら俺だけは助かるのだ。
なら彼女の母親には申し訳ないし、友人たちには申し訳ないが俺はこのまま逃げよう。
クズだと罵られるかもしれない。最低だと言われるかもしれない。
それでも、それでも俺は自分が大切で---
「ふっざけんなっ! やらせるかッ!」
そうだ、彼女が死ねばどうなる? 彼女のツインテールはこの世界から消えてしまう。俺には理想のツインテールを見つけるという夢はあるが、人一人が持つツインテールには夢がある!
彼女のツインテールはこの世界にはたったひとつしかない。この世界の宝物だ!
俺の目の前でツインテールを壊させるわけにはいかない!
俺の前でツインテールを傷つけさせるわけにはいかないっ!
俺が見える範囲で、二度とツインテールを失わせるわけにはいかないっ!
「っ--ぉおおおおおお!」
火事場の馬鹿力というべきか、ツインテールの危機に対して、俺は今まで以上の速度が出ていた。
だが所詮は人間。
ノイズの方が速いに決まっていて、このままじゃ間に合わない。
唯一助かる方法はただひとつ、俺が怪我しようとも守ってみせる!
「とどっ……けぇええええええ!!」
俺は走るのではなく、例え筋肉が動かなくなっても構わないと今引き出せる全ての力を、足に込め、一気に飛び込む。
時間がゆっくりと感じる中、ノイズが迫るよりも速く俺の体は少女を抱きしめていた。
さらに地面に着地することなくそのままの勢いだったお陰か、ノイズの落下地点から離れた瞬間、落下速度の加わった凄まじい衝撃波によって吹き飛ばされる。
「ッ! う、ぐぅうううう……!!」
自分の反射神経を褒めたいレベルですぐさま少女を抱きしめたまま庇った俺は、背中が地面に擦れながら瓦礫にぶつかると、体は停止する。
「…だ、大丈夫か!?」
「あ……だ、だいじょうぶ……」
状況を理解する前にすぐに無事かどうか確かめると、涙を貯める少女の姿が見えるが怪我はなさそうで、安堵の息を吐く。
しかしその瞬間、右利きの俺は咄嗟に地面についていたようで、右肘---特に背中が凄まじい痛みが走り、背中は見えないが服が破けた影響で見える右肘に至っては血だらけになってしまった。
めっっっっちゃ泣きたい!!
だがそんな暇はない。してたら殺される。
今はこの子を助けないと。ひとまず安心させるのと一緒に行動してもらわないと…!
「君が吹雪ちゃん……であってる?」
「ど、どうしてわたしのなまえ……」
「そうだよな、ごめん。君のお母さんから聞いたんだ。
吹雪ちゃん、お母さんは俺の友人が安全なところに連れて行ってくれて、今も君を待ってる! 知らない人で不安かもしれないけど、絶対にお兄ちゃんが守るから。だから、だから今だけは信じて欲しい」
「……! お、おかあさん…おにいちゃん、知ってるの?」
「うん、だから行こう。君のことを心配してた」
「…うん!」
「よし、いい子」
出来る限り優しく、それでいて笑顔で言えば、吹雪ちゃんは信じてくれたようで、手を差し伸べた俺の手を掴んでくれた。
だから俺は離さないように吹雪ちゃんの手を繋ぎ、何処かで似たようなシチュエーションを見たことがあった気がした。
確かあれは……シンフォギアの第二話……?
場面が蘇る。
絶対に離さない、この繋いだ手は……か。
残念ながら俺は彼女にはなれない。主人公じゃないから絶対は言えない。
けれど出来る限り離さず、守り抜こう。
そのためにも、この場を突破したい……が、やばい。
ノイズ一体ならなんとかなるが、もはや数えるのが嫌になるほどにいる。
おいおい、こりゃめーったなぁ……勇気と無謀は違う。ほんとうにそうだよ。
身の丈に合わないことをするからこうなるんだ。
今度こそ俺は死ぬかもしれない。
それでも、俺に何があったとしてもツインテールだけは壊させてたまるかっ!
「すぅ……ふっ…!」
まずはノイズを避ける!
いやその時点でほとんど運ゲーだが!
賭けろ!
そしてあのぬいぐるみは回収だ。この子が一瞬悲しそうに見てたのが見えたからな。
「……!」
ノイズの動きは何度か見てたお陰と原作知識のお陰で目視で動きが読めた俺は、ノイズが真っ直ぐ飛んでくるのを知っていたため、吹雪ちゃんの体を抱いて横に転がり、瞬時に起き上がってぬいぐるみを回収した。
「このまま真っ直ぐ!」
「うん…!」
行先だけを伝え、吹雪ちゃんの手とぬいぐるみを抱えながら真っ直ぐ走っていく。
後ろを見れば、標的は俺たちしかいないからかノイズが凄まじい速度で迫ってくる。
この感じ、こいつら普通のノイズか…?
だとしたら余計に無力だ。
あぁ、本当に転生者のくせに力のない自分が恨めしい。前世の友人の言葉で参考に出来るのは…!
『もしノイズが居たら、どうなるんだろうな』
『間違いなくシンフォギア世界が優しく見えるほどアホみたいに死ぬだろうね。残念ながら科学力が通じない時点でこの世界にシンフォギアレベルでの聖遺物と呼ばれるほどの特別な力が込められたのはないから詰み。
もし出てきたとしても適合者が現れるまでどれだけかかるか分からない。唯一出来るのは、囲まれないようにして逃げることくらいじゃないかな。もしかしたら超古代文明にはあったかもしれないけどね。
ほら、特撮に出てくるような光の巨人とか』
ダメだ、参考にならなかった。
結局のところはそうなんだよな、この世界はモブには厳しすぎるんだ。聖遺物がなけりゃ何も出来ない。
あいつが一緒なら……いいや、あいつが無事な方がいいに決まってる。
そんなことよりせめて誰かにこの子を託さないと。
最悪俺一人なら死ぬつもりで川にでも飛び込めば生きられる。
経験済みだ。
「お、おにいちゃん……!」
逃げても逃げても、ノイズは決して俺たちを逃さない。
正直突撃されたらもう避けられる気がしないのだが、何故か追ってくるだけで飛んでこなかった。
学習された? 確かに一度避けたが……しかし横に行こうとしたらそこだけは封じられるし、前進するしかない。
けど、吹雪ちゃんの体力が限界らしい。
「ぬいぐるみを離さないようにな」
「わ、わかった……」
危険だが1度止まり、吹雪ちゃんにぬいぐるみを差し出せば大切そうに抱えたのが見える。
そうしたら俺は、彼女をお姫様抱っこして走っていく。
「はぁ、ふぅ……。よし!」
体力は割と限界だが、俺はただひたすら走る。
でもおかしい。流石にこれは……何故ノイズは道を封鎖するだけで俺たちに攻撃しない?
何を狙っている? 他にノイズは? 光聖や識、あいつらは無事なのか?
ダメだ、俺の頭じゃ何も分からない。原作知識にない行動をされたら何も出来ない。
とにかく走って走って、ひたすら走らないと---
「はぁはぁ、ふー……ぁ、はぁっ、はぁ……」
果たしてどれだけ走ったのだろうか。
俺からすれば十分以上は走った気分だが、正確にはそんな経ってないのだろう。
あの人たちの技術力、それもXV終了後を考えたら全員が並行世界にでも行かない限り十分あれば来れるだろう。
外国でもないし、街は同じだからな。
「っぁ……!?」
そんなことを考えていたら、いくらツインテール愛があっても人間である限り限界はあるらしく、俺は足が縺れて倒れるが、吹雪ちゃんを庇って背中から倒れる。
痛すぎて泣きそう。
しかも背中が熱い、物凄く痛いし熱い。
「お、おにいちゃんだいじょうぶ!?」
「は、はは……ゲホッ、ゲホッ。へ、へいき、……っだから」
「……ご、ごめんなさい」
口から鉄の味がする。
別に切れてる訳では無いと思うが、体力が限界突破しすぎた。
それでも吹雪ちゃんを安心させようとするが、彼女は申し訳なそうに涙を浮かべて謝ってくる。
……光聖ならそんな表情させないんだろうな。
「ふっ、ふぅ……ハァ、だい……っ、じょうぶ。はっ、ぐっ…ま、まだ……ッ!?」
そう考えたところで、頭もぼうっとするほどに痛いが、立ち止まった影響で違和感に気づけた俺は周りを見渡し、理解した。
そう、今俺たちがいる場所は何処にも建物がなく、あまりにも大きく開けていた。
前後左右ありとあらゆるところが開いていて、まるで
それを証明するかのように、ノイズが囲むようにして現れる。
中にはアルカノイズも混じっていた。
どういうことだ。誘導されていた?何故、なぜだ!?
アルカノイズはともかく通常のノイズが制御されてるなんてこと、ソロモンの杖が消失してる時点で有り得ないはず。ノイズが勝手に判断した?
いや、待てよ……そもそもおかしい。だって、Gの時のノイズはウェル博士がノイズを制御していた。
でも何故
つまるところ、こいつらは……俺の存在を、消そうとしている…?
前世の友人曰く、異物は排除されるものらしい。
それにしても何の力も持たぬ人間をこうまでして殺しにくるか?
それはもう……。
「ひっ、お、おにいちゃんっ……!」
「……っ」
恐怖で抱きついてくる吹雪ちゃんを優しく抱きしめ、状況に唇を噛み締める。
……詰みだ。
考えても何も出来ない。聖遺物も持たない俺にノイズは倒せないし、司令のようなイレギュラーな力は無い。
正直なところ、シェムハとの決着が着いた頃、俺は度々こうして原作を終わったこの世界は何処へ行くのか、気になっていた。
バラルの呪詛*1が解け、敵は居なくなった。
この先の物語は、あるならアプリ版のストーリーにしかない。
だが恐らくこの状況でもカルマノイズが出現しないということはギャラルホルン編終了後、LOST SONG編前とみるべきか。
LOST SONG編一章のことを考えるとスサノオの出現がなかっただけ、この世界や俺にとってはよかったことなのかもしれない。
やつは戦闘特化の並行世界防衛システムの一種だからな。
「……はは、クソが」
しかし所詮モブはモブ。状況は何も変わらない。
モブ禁なこの世界では何も成し得ることは出来ず、一人のツインテールの少女を救うことすら出来ない。
だから嫌だったんだ、こうやって誰かを助けるのは。
原作に関わるのも、避けていたんだ。いや……避けていたつもりだった。
あーあ……今世でも理想のツインテールは見つからず、結局死ぬのか。
どうしようもない。理解したよ……なぁ、これが
俺にとって、敵が強大すぎる。友人の推測通りじゃないか。
異物は異物でしかない。
いくら関わってなかったとはいえ、そもそもこの世界に生きているだけでノイズというこの世界の根本には関わることになる。
そして三年前のライブ、Gのライブ、集束現象として繋がることになってしまったGのAppleと70億の絶唱、GXのライブ、敢えて行かなかったXVのライブ、シェムハの洗脳・支配---他にも関わったのはある。
俺は無意識のうちに、気づかない間に歴史の一部に触れてしまっていた。
そう、認識されてしまったんだ。
明らかに
ルナアタックと呼ばれるフィーネとの決着が終わり、フロンティア事変が終わり、魔法少女事変が終わり、パヴァリア光明結社との神の力を巡る戦い、そして神であるシェムハとの人類の未来と存亡をかけた戦い。
そして世界蛇とベアトリーチェとの決着---じゃあこの後の世界は?
どうなるかが分からない。
逆を言えば、
そう、俺という異物の敵は
なぜなら歴史の一部に触れてしまった際に、世界は俺という危険因子を認識したから。
危険を孕むであろう存在を消すべく、星の抑止力が働き、この状況を生み出した。
俺が何か脱するような奇跡や力を手に入れぬ限り、例えこれを乗り越えても世界は俺を敵と認識するんだろう。認識されたままでも、力があればどうともなる。
……俺は勝手に転生させられただけだってのに、理不尽にも程がある。今の俺が抱きしめている少女の犠牲も、他の人々の犠牲も、俺という異物の影響。
当たり前だ、この世界にとって
所詮世界にとっては何も変わらない、少数など必要な犠牲に過ぎない。些細な問題だ。
まったく……本当に、理不尽だ。
嘆いても変わらない。
ならせめて、せめて吹雪ちゃんだけは救わせろ。
「………ここまでか」
だが俺の願いも思いも虚しく、俺たちを囲んだノイズはついに一斉に飛びかかってきて、俺は死を悟る。
こうまで来ると力も持たぬ俺は諦めがつき、唯一出来たのは、無意味だと知りながらも吹雪ちゃんを守るように抱きしめるだけだった。
そうして、思い出す。
運命に抗うことは不可能だと、友人は言っていた。
例え強大な力があろうとも運命に抗えるのは強い意志と勇気、それから一人ではなく大勢で立ち向かえる力がある者だと。
それこそ、物語に出てくるような、色んな人と関係を持ち、色んな成長を成す主人公のように、勇者のように、ヒーローのように---。
でも、結局俺は転生しても誰かを救うことすら出来なくて、原作キャラも救えなくて、理想のツインテールを見つけることも出来なくて、手が届く少女を守ることも出来なかった。
幼馴染を亡くして、失って、全部失ってばかりだ。
両親に親孝行することも、出来なかった。
こんなことなら、歴史が狂うことになってでも救うべきだったのだろう。
俺という存在は、何も結果を残すことも出来なかった。
光聖や識は無事だろうか。両親はどう思うのかな。
俺と関わりある人は、俺が死んだら悲しんでくれるかな……いや無理だな。
恐らく俺が死ねば、俺という存在そのものは消されるだろう。
痕跡すら消され、歴史は全てを修正する。
何も無かったかのように俺は消え、この世界は『戦姫絶唱シンフォギア』という作品として物語は永遠に続くのだろう。
悲しいかな、モブが死んでも歴史はまだ大きく変わらない。
モブがモブでいるうちに、世界は排除したかったのだろう。
本当に…最期に理想のツインテールを見たかった……。
ああ、ツインテールが傍にあるだけまだいいのかもしれない。
吹雪ちゃんを救えないことに申し訳なさはあるが、お兄ちゃんの力がなくてごめん。
転生しても、無力でごめん。
ツインテールを守れなくて、ごめん。
光聖、識、お前らは無事でいてくれ。
なんだかんだ俺は救われてたし、楽しかった。光聖はちょっと心配だが、識がきっと抑えてくれるだろう。
母さん、父さん。何も返せなくて、残せなくて、ごめん。残念ながら彼女は出来なかった。
……幼馴染の件も、何も出来なかった。記憶がもっと早く蘇ってたら、違ったかもしれなかったのに。
……そうだ。死んだら、俺は帰れるのかな。なあ、ここで死んで、今度は、またお前と会えるのかな。
お前の知識は、この世界に生きる俺に力をくれた。XV終了後まで生きることが出来た。
ありがとう。
……けれど、最後に。
たった最後のひとつ、俺の人生二つ分全ての一生の願いをかけてもいい。
この少女だけは、逃してくれないかな神様。
何かあったら神様頼みなんてな……都合が良すぎるってのは分かってる。
でもどの神様に願えばいいのかな…ツインテールの神様にでも願っておこう。
ああいや、ツインテールの神様だしやっぱ分けて欲しいかな。もうひとつだけ後悔がある。
理想のツインテールを見つけるという夢を叶えること。前世でも今世でも諦めきれなくて、ずっと求めていた夢。
だから……俺は、俺は生きたい。今度こそ叶えたいんだ。
世界に屈して、こんな理不尽な世界に負けて、何も成せないまま、異物を排除しようとする世界に殺されたくはない---
『---だからそんな 世界は 伐り刻んであげましょう』
「ッ……?」
死を悟り、全てを諦めてもなお、抗う意思を持っていたことに
静謐で優しく---しかしそれでも確かな熱を感じさせる透き通るような
生きている、そんな自覚を確かに持ちながら俺は状況と真実を知るために恐る恐ると目を開けると、そこには---
「……間に合って、よかった」
まだ俺と年齢も変わらぬような、紅色の綺麗な瞳に、黒い髪で
そんな少女は安心したようにうっすらと笑いかけて、そんな言葉を優しく投げかけてくれた。
その姿にこんな状況だというのに見惚れてしまい、同時に彼女のことは見た事があった。
そう、彼女は戦姫絶唱シンフォギアという作品のG…つまり二期から出てきたメインキャラのひとり。
二期だけでなく、三期、四期といった多くの話で割と重要なキーパーソンを担う一人の
その身に纏う鎧はシュメール神話における女神サババが振るったとされる二刃のひとつ、肉体を伐り刻む紅い回転鋸---聖遺物であり、シンフォギアのひとつ。赤の刃の名は、『シュルシャガナ』。
そして彼女の名は、原作を監修済みならば知っているであろう少女、
『原罪』とも称される。
そのバラルの呪詛というのは現実の旧約聖書にあるようにバベルの塔を建設していた者たちが存在していたが、塔は砕かれ、撒き散らされた呪いによって統一言語を奪われ、人類は相互理解が出来なくなってしまった。
言葉を奪われたことで理解できない他者への恐怖に怯えた古代人達は、互いに歩み寄るのではなく排除を選び、環境を汚染しない兵器として対人類用兵器、ノイズを作ることで殺し合いを始め、その末に滅亡する。
だが神の一柱であるエンキに想いを寄せていたフィーネはこの呪詛の解呪に心血を注ぎ、発生源である月---正確には月を改造して建造された遺跡を破壊するべく暗躍していた。
それが戦姫絶唱シンフォギアにあたる第一期の全貌。
しかし真相は地球の生命の進化を促してきたアヌンナキの一柱であるシェム・ハが、地球を改造する担当であった自らの立場を利用し、アヌンナキを裏切り、望むままに地球と生命を改造して星の支配者となることを企んでいた。
アヌンナキたちはシェムハを討つために戦うが、シェム・ハは惑星改造システム、ユグドラシルの稼働に必要なネットワークの生体端末としてデザインされた人類の遺伝子に自らの情報因子を潜ませており、シェム・ハを倒しても人類がいる限りは彼女は何度でも復活出来るようにしていた。
そこでアヌンナキが取った手段が、人類を繋ぐネットワークである統一言語をジャミング・分断し、シェム・ハが人間の身体に宿るのとユグドラシルシステムに接続されるのを阻害するという方法。
そのネットワーク・ジャマーの名称こそバラルだった。
つまり、相互理解を阻む呪詛ではなく、
故に人類は繋がれないのではなく、繋がってはいけない状態にあった。
結局はシェム・ハの策によって月遺跡は中枢を破壊され停止、自爆させられたためバラルの呪詛が消滅するのだが。
第二回、キャラ紹介。
友人A=
髪型は七三分けでオレンジ色。
身長は170cmで体重は60kg。属性はイケメン。
名前を体現したような人物で、零士のことを『レイジ』と呼ぶ。幼馴染は識。
ただでさえバカな零士よりも頭は良くないが身体能力はアホほど高く(自己評価が低いだけで学生組ではトップクラスに入るレベル)、訓練すればギアを纏わないSAKIMORI以上は余裕だと思われる。
ちなみに頭が犠牲になった代わりに
体力も高く、どこまでもお人好しで明るく笑顔の似合う太陽のような存在。
原作キャラに例えるならば、彼は響。
性格も見た目もイケメンで陽キャだが、人助け優先するあまり猪突猛進で危なっかしい。
事実、あの場で零士が指示を出さねば代わりに突撃して死んでいた(少女を探そうにも零士とは違って一日分のツインテールの記憶を完全把握、そこから推測で探すツインテール探知能力がないため闇雲に探すことになる)
零士曰く、神レベルに良い奴。
そんな陽キャでイケメンな光聖が関わってきてるのか零士は謎に思ってるが、光聖は人に囲まれる分上っ面しか見られず、ただ評価されたりチヤホヤされてもあくまでお世辞や合わせてるだけだったり、カースト利用のために関わって来る人たちしかいなかった。
『本当の自分』を見てくれる存在は識だけだったが幼馴染は別枠で、『本当の友』と呼べる人物もおらず、寂しさを覚える毎日だったが、その時に出会ったのが零士だった。
故に零士が覚えてないだけで光聖は全てを見抜いたレイジに救われ、彼が本物の友達と呼べる存在になった。
だからこそ救われた光聖からすればレイジのことを凄いやつと思ってるし慕っているし大切に思っている。
ちなみにモテるくせに女性に興味は持ってないし彼女欲しいとも持ってない。
もし彼にレイジか女の子どっちが好きか聞けば即答で前者で返ってくるだろう。
彼にとっては、レイジ>家族=識>>>>>越えられない壁>>>女性>>>ちょっと超えられる壁>自分くらいの差。
作者も知らず手が動いて出来上がったこの作品
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続けて
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ツインテールはいいぞ
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戦闘シーン多くして欲しい
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続けて欲しいしXDのイベストやって♡
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LOST SONG等もやるんだよ
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期待してる
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作者が無理しない程度にして欲しい
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無理せずに毎秒投稿しろ
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困った人用