この世の果てでツインテールの愛を唄う《叫ぶ》少年   作:絆蛙

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いいツインテールの日なので即興で作り上げました。テイルレッドちゃんはいいぞ。かわいい。
なんか考えてた展開とは違ったけど、まあ、またしても勝手に続いただけだしいいかな
ヒロインとか内容とか正直決めてないけど、テイルレッドちゃんの可愛さを全面的に出したいので、とりあえず赤面したりツインテールを変えたり色んな衣装を着て欲しいっす。
任せろ、俺がやってやる、たぶん。




EPISODE5 ようこそS.O.N.G.へ

 

 

 

綺麗な土下座を決め込んだ俺は、今はS.O.N.G.が所有するヘリに乗っていた。

本拠地まで行くにはヘリを使わねばならないらしく、逃げられないのもあって素直に諦めて捕まった。

吹雪ちゃんの元には人を派遣してくれたらしいし、俺も抵抗するつもりはない。

というか、仮に戦姫たちと戦っても負ける可能性の方が高いし俺にメリットはないからな。

そんな遂行な目的もないし、ツインテールさえ見れるならなんだっていい。

ただ病院脱走した扱いになりそうなんだけど大丈夫かな…。

 

「お、おぉー!?」

 

そして俺は、ヘリの窓から人々の暮らしによって発せられている輝きに窓にくっつきながら見とれていた---幼女の姿で。

俺は未だに男に戻れていない。

戦姫たちは今シンフォギアを解除してるので逃げようとしても逃げられるのだが、まあ意味ないしここまできたら諦めるしかないしって感じ。

しかし、それにしたって綺麗だ。空から眺める景色って、普通は経験出来ないけどこんなに綺麗なんだなぁ。見るならツインテールの方がいいけど。

あとはこの姿から戻れるならよりいいのだが……。股が寂しい。

俺はトイレに行く時どうしたらいいんだ?

 

「なんつーか…意外とあっさりだったな」

「彼女自身、助けた子が心配だっただけなのだろう」

「…ちょっと響に似てるかも」

「そうかな?」

「でもあんなにはしゃいで、子供みたい」

「可愛いらしいデス!」

「まぁ、見た目通りならば調や切歌より歳下だもの。所持してる力は凄いけれど、悪い子じゃないみたいだしね」

 

そういえば、このまま行けばOTONAたちと面会するのだろうか……。

OTONAと正面から相対するのはなんというか、威圧感凄そうなんだよな。

特にこの姿なら巨人のように見えそう。

ひえ、こわい。

やっぱ見るならツインテールだな…。

ちらりと気づかれないように装者たちの方を見たら、ツインテールが全くないことが悲しくなる。

でもなんというか、イメージとして定着してるせいで、短期間ならともかく常に髪型が違ったら違和感もあるか…。

ぐぬぬ、そこは盲点だった。ある意味原作知識を持つ者の欠点とも言うべきところだな。

 

そう思っていたら、街から離れ、海へと出ていた。

空から見る海も綺麗だ。

それに二課の時はリディアンだったけど、今は潜水艦だったか。

割とこの世界で生きてるから展開は覚えてたけど、薄れてはいるんだよな。DVDとかサブスクとかないしね。

流石に何十年も経ってるのに細かい部分なんて覚えているはずもないし、正直セリフなんて名言くらいしか覚えてない。

だから思ったんだけど…現実で見る潜水艦ってあんなデカいんだなー。

確かに色々と高性能に出来るのも納得だ。

 

「あれは?」

 

とりあえず知ってるけど知らないアピールをして、俺は窓から手を離すと装者たちに目を向けた。

 

「私たちが所属するS.O.N.G.の潜水艦よ。これからあそこに向かうことになるわね」

「いいんですか?」

「詳しくは本部に着いて司令と会ってもらってから話す予定だった。それに私たちが連れてきたのだから、いいに決まっているだろう?」

 

年長組が説明してくれたが、今は幼女でも俺は男だ。

見たことがあるだけで入ったことは無いし潜水艦なんてこうやって見たのは初めてで、俺は正直わくわくしていた。

なんというか、こういう…ロボットアニメを見た時のようなワクワク感があるのだ。

そんなことを思いながら中ってどんな感じなのかなーと考えていると、ヘリが下降していく。

どうやら着いたらしく、潜水艦の上にちゃんとポートがあってそこへゆっくりと安全に着陸していた。

ドライバーさんの技術の高さが分かる。

 

「着いたみたいだな」

 

その言葉が聞こえるとヘリのプロペラが止まり、ドアが開く。

じょ、上空から見た時も思ってたけど、現物物凄くかっこいい…ッ!!

青と白の色合いがすごく似合っている。

 

「足元には気をつけてね」

「転んだら痛いデスよ!」

 

確かにこの姿なら問題ないが、転んだら危なそうだ。

というか、潜水艦の甲板に顔面をぶつけるのは絶対洒落にならない。

なので俺は言われた通り足元に気をつけながらぴょんっと小さく跳んで着地する。

潜水艦は初めてだが、思わず足を後ろに出しながら足元を見てから足の爪先で音を立てれば、地面に足をつけるのとあんまり変わらなさそうだった。

 

「……何かあった?」

「い、いや……そうだっ! あの、ありがとうございました!」

 

一応囲まれている状態なのもあって、動かずに足元を確認していたら何かあったのかと聞かれたが、俺は忘れていたことを思い出して慌ててヘリのドライバーさんに頭を下げた。

少しして顔を上げれば、ドライバーさんは無言で頷き、サムズアップだけくれた。

……いや、普通にクールでかっこいいわ、それ。

 

「テイルレッドちゃん、行こう!」

「うぇぇ!?」

 

俺が再び会釈して顔を上げると、何故か他の装者たちが笑みを浮かべながら俺を見ていた。

しかしそれに対してきょとんとする俺に立花響は手を取り、引っ張っていく。

生身の彼女くらいこの体なら剥せるが、危ないのでそれは出来ず、俺はただ連れていかれる。

 

「あ、ちょっと響! 走ると転んじゃうよ!」

 

……え、言うことはそれじゃないと思います、小日向未来さん。

止めてくれないの!?

異性…じゃないけど異性の手を取るのは良くないだろ!俺じゃなければ勘違いする可能性だってあるんだ。

男は簡単に手を取られるだけでも『あ、こいつ俺のこと好きなのかも』って勘違いする。

俺? 俺は勘違いしない。なぜならよく(ツインテールに見とれてぼーっとしてたら)幼馴染に引っ張られてたからな。

けれどなんというかその……勘違いして告白して、振られた人見た事あるんだよね…いたたまれなかった。

というかその人の空気が重たかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのまま連れていかれて数分後。

彼女が走るせいで珍しそうに見渡すことも出来ず、転けないようにと完全に制御出来ているわけではないので下手に力を出さないように集中することに必死だった俺は、残念ながら潜水艦の中を見れなかった。

今は歩いているので、周りを見渡せば機械だらけでもなんでもなく、アニメによくあるような通路や部屋がある潜水艦だった。

その間、立花響はこれから会う司令や他の職員---つまり仲間のことを話してくれた。

彼女の語彙力がアレだったので自分の見ていた見解と合わせて結論を述べると、良い人達。悪いことはしない。怖くない。あ、でも司令は怖いかも。ジャパニーズ忍者いるよ。エルフナインちゃん性別は無いけど体はキャロルちゃんだから女の子でいいと思うけど、とにかく頭も良くてかわいい。

…うん、最後のは頭がいいってことだけは聞いてたけど、俺の見解いらんかったかな。

でもなあ…。

 

「美少女ばかりだもんなあ……」

「へ? 何か言った?」

 

思わず口に出していたのを、立花響に聞かれていた。

前世の記憶がある俺からすると、この世界の美少女の基準が分からないほどに良い。

装者たちもS.O.N.G.の職員も、無論キャロルナインちゃんも。

例えツインテール一筋な俺でも、可愛いと思うことはある。

 

「な、なんでも…えと、皆さん置いていって大丈夫ですか?」

「あ…。て、テイルレッドちゃんを早く案内したくって。で、でもほら、向かう先は同じだし!」

「……ですよね」

 

話題を変えるように聞けば、彼女は目を逸らし、言い訳するようにそう言っていた。

そして俺は目の前の人物に返事しつつ別のことを考えていた。

……この人も美少女に入るよな。髪は短いけど、色んな髪型似合うしねぇ。

正直、彼女が恋人とかだったら大変だろうけど人生楽しくなりそうではある。

恋人か……出来そうにないんだけど? そもそも恋人ってか俺はツインテールが毎日見たいだけだしね。

 

「皆さん、待った方がいいですよね?」

「そ、そうだね。うん、ごめんね……」

「いえいえ」

 

反省と言った感じでわかりやすいほどに落ち込む彼女に、俺はどうしたらいいか分からない。

俺のツインテールでも触らせたら治るかな?

とりあえず暇な俺は相変わらず武装状態のままどうやって戻ったらいいか分からずに装者たちを待つことにした。

歩いたとしても、五分もあれば来るだろう。出来るなら早く来てくださいお願いします。

俺は……ねむい!

その結論に至るとますます睡魔に襲われてきたが、こらえる。こらえるぞー。

 

「ったく、とっとと行き過ぎなんだよ!」

「あ、クリスちゃん!みんなっ!」

「随分と待たせてしまったか?」

 

壁に背中を預けつつぼうっと天井を眺めてたら、気がつけば立花響は元通りのテンションになってたり他の装者たちも来ていた。

俺は慌てて姿勢を正し、大丈夫という意味を込めて首を振る。

 

「ならよかった。既に司令には連絡している。あとはそこの扉を入るだけなのだが……」

「……まぁ、入ったら分かるわ。予測はつくのだけどね……」

「???」

 

頭が痛いというようにこめかみを抑える風鳴翼とため息を吐くマリア・カデンツァヴナ・イヴさん。

俺はただ首を傾げるだけなのだが、入ったら分かるということだろうか。

 

「じゃあ、失礼します---」

 

いつまでも話しても仕方が無いし、誰も動かない様子からして入れということなのだろう。

俺は眠気に負けないように早く終わらせようと思いながら、自動で開いた扉を潜り抜ける。

そして---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ようこそ、S.O.N.G.へ!」

「すみません、間違えました」

 

パンっと子気味よい音が鳴り響き、赤いカッターシャツの筋肉隆々な男性が笑顔でそう告げていた。

俺は一瞬の出来事に大量の情報があって呆然とするが、それがクラッカーだと認識し、紙テープが降り注ぐ中、部屋を間違えたと思った俺はすぐさま無意識にバックした。

しかし両肩をいつの間にか居た風鳴翼さんに掴まれ、思わず視線を向ける。

 

「……すまない」

「………」

 

すごく、物凄く申し訳なさそうにする彼女、風鳴翼に憐憫の感情を込めて視線を送る。

今の俺の目は、苦労してるんですね、と語ってる自信がある。

すると風鳴翼さんはため息を吐きながら困ったような表情をしていた。

 

「うわぁぁ、ご馳走様だーっ!」

「いっぱいあるデス! ご飯食べる前だったのでお腹ペコペコデスよ!」

「パーティー?」

「おっさんたちらしいっちゃらしいな……」

 

連れてこられたのは司令室ではなく大きな会場のようなものだが、短時間しかなかったはずなのに一期の立花響の歓迎パーティーのような状態が作り出されていて、テイルレッドって名乗ったばかりなのに横幕にテイルレッドって書かれてるというかやけに可愛らしい装飾がされている。

そこら辺にはうさぎとか犬とかパンダとか、そういったぬいぐるみも置かれてるし。

そう、まるで()()()()()()()()()

いや原典と変わらないわ、この人達クッソいい人だわ。

でも俺、こんな見た目してますけど16なんです。しかも別に可愛らしい趣味もないんです。

すみません、男なんすよ。

 

「はぁ、こうなることは予想出来てたわ」

「叔父様らしいといえばらしいが、些か過激過ぎないだろうか…」

「ま、まぁまぁ……この子のためにやったのだと思いますし」

 

俺も過激だと思う。

…いやまあ、確かに八歳くらいの幼女が力を持っていて?こんな夜遅くに連れてこられて?そりゃお腹も空いてるだろうし重々しい空気で司令室に連れてこられたら、普通はその幼女は怖がるだろう。そもそも連れてこられる時点で怖いはず。

俺が幼女じゃないだけで、ぶっちゃけ赤いカッターシャーツの彼は幼女目線だと大きくて怖く見えると思う。

何はともあれ、退路も立たれてしまった俺はこのまま逃げても風鳴翼さんの悩みが消えるどころか俺が逃げたら問題をひとつ増やしてしまうため、眠たいし帰りたい気持ちを押し殺しながら部屋の中へ入る決断をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

部屋に入った俺は三人と分かれ、改めて周りを見渡すが、そんな時間もなかっただろうにこの出来に驚き、次に色とりどりな料理が目に入った。

恐らく装飾に関してはJapanese NINJAが頑張ったのだろう。彼、色んなこと出来るね。

俺も忍術学べないだろうか。

分身の術とか出来たらいいよなーと思ったけど、やることないな。より多くのツインテールを見つけることにしか活用出来そうにない。

それにしても本当に凄いなあ。

あはは……目をそらすのはやめようか。見ろ、これが現実だ。

 

「先程はすまなかった」

 

そう頭を下げてきたのは、赤いカッターシャツの男性。

でかい、デカすぎる。

俺がかなり見上げなければ彼の顔なんて全く見えない。

むしろちょっと見上げたとしても腹しか見えない、筋肉がすごい。

でもいいOTONAに頭を下げさせるのは気分が悪いな。

何もされてないし、感謝はすれど誹謗中傷するつもりは微塵たりともない。

 

「だ、大丈夫……ですから頭を上げてください!えっと……」

 

名前を呼ぼうとして、そういえば聞いてないことを思い出す。

流石に名前で呼んだら怪しまれるどころか、墓穴も良いところだ。

素直に転生したことを話さなくてはいけなくなる。

めんどい。

 

「ああ、自己紹介がまだだったな。改めて俺はここの司令をやらせてもらっている風鳴弦十郎だ」

「あ……て、テイルレッドですっ!」

「うむ、よろしく頼む」

「こちらこ---そっ!?」

 

自己紹介を自己紹介返し、わざわざしゃがんで手を差し伸べてくれた彼の手を取ろうとすると、ぐぅぅと言った音が鳴った。

思ってたより鳴ってしまったせいか、この場にいる全員の視線が俺に注がれる。

殆どが微笑ましそうな視線だった。

……もうヤダ帰りたい。ギャグアニメじゃん。

節操なしじゃないんや。なんかめっちゃねむかけん、ひだるか……。

 

「詳しい話は後にしよう。キミからは敵意を感じられないからな。今は飯食って休むのが一番だッ! 是非ともゆっくりしながら楽しんでいってくれ」

「……は、はい。事を荒くするつもりはないです…すみません。ありがとうございます」

 

大人な対応をしてくれたこと、歓迎してくれてそうな態度、空腹に苦しまなくてもいい点、色んなことに申し訳なさを抱きながら頭を下げる。

話は後でになるらしいが、今は飯を食べてもいいのだろうか。

正直、今話しなくていいのは問題の先延ばしになるが助かったし、好意的な方で助かった。

もし彼に警戒されていれば、時間もかかっていただろう。

けれど、食べるにしても流石にまだ警戒されてるかもだし、仲間でも組織の一員でもなく、正体不明の未知の力を持つのは俺が下手に動くのは危険扱いされるかもしれない。

それだと食べにくいし、動く訳には---

 

 

「テイルレッドちゃーんっ!」

「う、うわぁ!?」

 

深く思考していたせいか、彼女の存在に気づかず、俺は気がつけば立花響に抱きしめられていた。

今度はギアがないからいいが、なんすか!?

 

「一緒にご飯食べよう! いいですよね、師匠ッ!」

「おうとも。彼女も一人だと動きにくいだろう。だからといって俺がついて行けば食べにくいかもしれん。こちらの方から是非とも響くんに任せたい」

 

正直悟られてるとは思ってなく、俺は目を見開きながら弦十郎さんを見つめた。

彼はそんな俺に気づいたのか、ひとつ頷き、笑顔を浮かべた。

 

「やった、ありがとうございます!」

「うむ、ところでテイルレッドくん……でよかったかな」

「……?」

 

何故か俺に抱きついたまま喜んでいる立花響は引き剥がしたら安定で危ないので無視することにして、呼ばれたことに首を傾げた。

 

「我々はキミを歓迎するつもりだ。誰もキミに危害を加えるつもりはない。

だから家だと思ってとまでは言わないが、外で食べるのと思って過ごして欲しい。

その方が気軽に居られるだろう」

「……はいっ!」

 

見抜かれていたのか、それとも俺が分かりやすいのか、それは分からない。

でもここまで気を遣わせて、フォローまでされたら俺もいつも通り過ごすべきなのだろう。

元々俺も何かをするつもりはないし、腹減ったのには変わらない。

何よりもS.O.N.G.なら安心出来るし、俺のこの状態も何とかしてくれるかもしれない。

……ところでそろそろ離れてくれませんかね、俺男なんです。

でも信じてくれないよなぁ。俺も信じられないからなっ!!

 

「ほら、こっちに美味しいものたくさんあるから!」

「あ……うい」

 

簡単にスキンシップを取ってくる立花響にタジタジになりつつ、やはりこの見た目が原因なんだろうと思っていた。

……いつ男に戻れんの?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

手を引っ張られ、装者たちは集まって食べているようで、俺はその輪の中に向かっていた。

 

「あ、響。取り分けておいたよ」

「ありがとう未来!」

「…………」

 

手が離れ、お皿を受け取る立花響の姿を見ながら、俺はどうしたらいいか分からないままだった。

 

「はい、あなたも……あ、そういえば私のこと話してなかったよね」

「ありがとうございます…。えと、そう、ですね?」

 

慣れない敬語を使いながら、料理を取り分けてくれた小日向未来さんに軽く頭を下げる。

…そういえばみんな私服なのに俺だけ未だにメカメカしい。

 

「私は小日向未来」

「わらひはふぁひふあなひびき!」

 

俺が割とどうでもいいことを考えていたら、目の前にいる小日向さんは優しそうな声音で名乗ってくれて、立花響の方はごめんだけどちょっと分かんない。

 

「もう…食べてから話さなきゃ分からないでしょ?こっちは立花響だよ。あなたのお名前、改めて聞かせてくれるかな?」

 

なんて言ったのか分からなかったが、小日向未来さんが隣にいる立花さんの紹介をしてくれ、 怖がらせないようにか笑顔で聞いてきた。

 

「て、テイルレッド…です。小日向…さん、立花…さん」

「うん、テイルレッドちゃんだね。私のことは呼びやすい方でいいし、無理に敬語使わなくても大丈夫だよ」

 

……そんなわかりやすいのだろうか?

しかしそう言ってくれるなら助かる。敬語はなんというか、やりづらい。

でも正体隠すなら敬語の方がいいか。ワンチャン、バレるし。

 

「じゃあ…未来さんって呼ばせて貰います」

「そっか。困ったことがあったら力になるから言ってね。といっても、テイルレッドちゃんってしっかりしてるみたいだけど」

「あっ、あはは」

 

未来さんの気持ちは有難いが、ちょっと心が痛む。

別に年齢と性別を偽ってる訳では無いのだが、罪悪感とやらだろう。

イメージ的には彼女らも知ってるであろうグリッドマンやULTRAMAN、キラメイジャーと似た感じの『変身』なんだけどな。あ、ULTRAMANはスーツだから装着だっけ。

この姿なら似たようなもんか。

 

「……じー」

「おわぁ!?」

「調ちゃん!?って、お皿!」

 

お皿にある野菜をむしゃむしゃ食べながら考えていると、視線と声が聞こえて横を向けば、かなり近くに黒髪のツインテールを持つ少女が居た。

俺は突然のことでぎょっとしつつ下がりながらお皿を離してしまい、空中に浮いた皿を慌てて身体能力を活かして受け止める。

お皿を割らなかったことに俺はほっとし---というか未来さんもホッと胸を撫で下ろしてた。

そして時間差で浮いたチキンがお皿に落ちてきた。

我ながらギャグアニメにありそうな素晴らしいファインプレーだが、正直めっちゃ驚いた。

だって、なぜなら---

 

「あ…ごめんなさい。そんなつもりはなかったの」

「おおっ、ナイスキャッチ!怪我はしてないデスか?」

「だ、大丈夫…うん」

 

ツインテールッッッ!!

いつの間にかもう一人居たが、そのことにすら若干上の空になりながら返す。

そう、俺は彼女のツインテールが近くにあることに何よりも驚いたのだ。

俺はツインテールが好きすぎるあまり無意識に触ってしまう癖がある。無論親しくない人にはやらないように気をつけているが、近くにあったら触ってしまうかもしれない。

そんなの、この姿ならともかく、元の姿になったら蜂の巣にされかねない。

近づけられたら、撫でちゃうだろっ!

 

「…気を取り直して、私は月読調」

「アタシは暁切歌なのデース!」

「お…わ、私はテイルレッド」

 

年齢的には同じなので、敬語にするか悩んだが、結局俺は敬語を使わないことにした。

しかしやはり慣れず、まだ俺と名乗りそうになる。別に俺でもいいと思うが私の方が誤魔化しやすい。

 

「えっと……よろしく?」

「うん」

「もちろん! お近づきの印にこれもあげるデスよ。とっても美味しいデスから!」

 

静かに返事をする調とは対称的に、明るく元気いっぱいに俺のお皿に次々と料理を置いてくる切歌。

俺はそれを受け取りながら、パクパクと食べていく。

和だけではなく洋に中華、イタリアだったりフランス料理だったり色んなものがあって飽きない。

今食べてるポトフは野菜を口に含めばとろけるようにあっさりしていて、チーズが入ってるのか深みのある味が美味。

さっき受け止めたフライドチキンもサクサクとしながらもそこまで固くはなく、味付けのタレもいい味を出している。

 

『………』

「………?」

 

他にも置かれた料理を軽々と胃袋に入れていきながら、パンとかあったのであらゆる料理に手を出せて満足していた。

そしたら視線を感じて、ふと周りを見渡す。

未来さんに調、切歌だけでなく響さんも目を瞬きさせながら俺を見ていた。

 

「テイルレッドちゃん、響に負けず劣らずって感じ……」

「何処に入ってるのか、気になるデス」

「ふふーん、美味しいからいっぱい食べちゃうよね!」

 

こくこくと頷きながら、俺は笑顔になっていたと思う。

飯を食べるのはツインテールが不足している今、生きるために必要なのだ。それに美味い、母さんのも美味しいけど別の美味しさがある。

 

「んえぇ?」

 

再び首を傾げるというか今日一日傾けすぎて固定化しそうだが、何故か響さんと未来さん、切歌の頬が若干紅潮してるように見える。

調はちょっと分かんないが、他は料理の食べ過ぎだろうか。それとも熱?

 

「た、確かに響の気持ちも分かるかも……」

「は、はい…なんデスか。今の破壊力ッ!」

「はかい?」

 

言っている意味が分からない。

ひたすら疑問符だけが浮かんでいく。

いや、それにしても今日分からないことばっかだな…考えるのやめよう。

俺が考えたって分からないだろう、俺だもん。

ツインテールなら分かるけど。

頭痛くなっちゃうしね、誰か俺の代わりに考える役呼んできてくれ。

 

「じー……」

「……う」

 

何故か調に見つめられる。

何かを探るような視線にこう、背中がムズムズとしてくる。

 

「調?」

「調ちゃん、テイルレッドちゃんを見つめてどうしたの?可愛いのは分かるよっ!」

 

絶対そこではないと思うのだが、どうやら切歌と響さんも分かってないようだ。

もしかしたら、何か食べカスでもついてるのだろうか?

 

「……うーん、あの時の子と一緒に居たこともあって、何処かで会ったような、そんな気がして……」

 

その言葉を聞いた途端、俺の心臓が飛び出るかと思うくらいには冷や汗が出てくる。

この姿で会ったことはないから感覚的にだろうが、男だとバレた瞬間に俺は女装趣味のある変態扱いされてしまう。

ツインテールバカとか言われるのはいいが、それは勘弁願いたい。

 

「あ、私もそう思ったよ。でも流石にこの子と会ったなら覚えてるだろうから気のせい…かな。最初に吹雪ちゃんを助けてたのは男の人だったし」

「はい、でも一瞬違和感があったので…ただ未来さんの言う通り会ってたなら覚えてるかと。ごめんなさい、不快な思いさせたかも…」

「そっ、そんなことはないから大丈夫!」

 

正直ドキドキが止まらなかったが、バレてないことにほっとする。

そもそも変身前に会ってたとはいえ、性別も見た目も全然違うからそこは問題ないと思っていた。俺に辿り着くのは難しいはず。

しかしまさか吹雪ちゃんの傍に居たという点から真実に近づいてくるとは思わなかったぜ…あの時、吹雪ちゃんにお兄ちゃんって呼ばれてたら多分この時点でバレてたな。

 

「---どうやら心配は無用だったようね」

「そこ、あんまり困らせんじゃねーぞ」

「素直に心配だったといえば良いだろうに…」

「し、してねえっ! 特にそこのバカが何かやらさないかヒヤヒヤしてただけだ!」

 

危うく人生の危機になりかけていたら、マリア・カテンツァヴナ・イヴさんと雪音クリス、風鳴翼さんが来ていた。

そしてどうやら雪音クリスは俺が困ってないか心配してくれてたらしい。

やさしい。

 

「えぇ!?私、そんなことしないよ! ね、テイルレッドちゃん!

ぎゅーっ!」

「はふっ!?」

 

またしても抱き着かれ、やはり抵抗出来ない俺はお皿を割らないように持ちながら固まるしかない。

しかも頬擦りまでされる。

流石に近い。

近すぎる。

めっちゃいい匂いするというか柔らか---じゃねえっ!!

 

「んん…そ、それよりありがとうございます。心配してくれた…んですよね? えっと…」

「…雪音クリスだ」

「クリスさん…クリス先輩?」

「別に呼び方は好きにしたらいい」

「はい」

 

俺は響さんのことは早速諦め、どう呼ぶべきか悩んでいたら彼女はぶっきらぼうに答えた。

正直呼び捨てかちゃん付けの方が呼びやすいししっくり来るのだが、まあ先輩だしね。うん、年下にちゃん付けされるクリス先輩は可哀想だし俺は先輩と呼ぼう。

 

「そうだ、私の自己紹介もしておこう。私は風鳴翼だ」

「あ、はい! 翼さんの歌声、好きなのでライブには何度も行かせていただきました。となると、そちらの方は……」

 

我ながら自然な流れで翼さんの隣にいる方へ視線を送る。

 

「マリア・カテンツァヴナ・イヴよ。その反応から察するに、私のことも知ってるみたいね」

「あはは… まぁ」

 

全国で放送してたし。

まぁ俺は原作知識でほとんどのキャラ知ってるだけだがな!

ところでサインって貰えるかな…いやでも、流石にそれはズルいか。母さん辺りにあげようかと思ったんだけど。

 

「そ、そういえばどうしてここに?」

 

しかしこのままでは地雷を踏みそうなので、俺は話を変える。

クリス先輩はともかく、翼さんとマリアさんはOTONAと話していたのを見ていた。

何か要件があったのだろう。

 

「ああ、そろそろ呼びに来る必要があると思ってな」

「片付けに入ってる頃だし、司令がみんなを集めて話したいそうよ。---あなたのことについて、ね」

「……あぁ」

 

来たか、とは思う。

後で話すとは言ってたし、職員の方が結構頑張って片付けしてるみたいだ。

気がつけば他の装者も傍にはいないし、響さんだけは俺から離れないのを見て、未来さんが引っ張っていったけど。

 

「問題は無いと思うのだが…そう身構える必要はない。目的や今も纏うその力について聞きたいだけなのだ」

 

そう言われて、俺は苦笑するしかない。

それが問題なのだから、それ以外の反応をどうしろって話だ。

俺が聞きたい。それになぁ……。

 

「まぁ、とにかく行きましょう。私たちはそのために呼びに来たの」

「……ぅい」

 

正直行きたくはないが、迷惑をかける方が嫌だし問題は解決しない。

そのため、俺はどうすっかなーと五割、いや六割……やっぱ九割諦め全開で遠い目をしながらついて行く---というか手を繋がれて連れていかれる。

…あれ、仕方がないけどこの人達にまで小さい女の子のように子供扱いされてね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから二時間ほど経った。

俺は休憩所で待機するように言われたので足をブラつかせながら思考していた。

ぼーっとしながら睡魔に耐えていると、再び翼さんとマリアさんが来て案内された先は、 司令室だった。

司令室の中へ入ると、さっきと打って変わってみんなの服は私服ではなく制服に変わっている。

プライベートはプライベート、職務は職務。

ちゃんと分けているのは凄いことだ。

…制服じゃなきゃ仕事モードになれないってのもありそうだが。

 

「どうやらある程度は休めたようだな」

「…お陰さまで」

 

軽く頭を下げつつ、俺が対峙するのはS.O.N.G.の司令で、OTONA筆頭の風鳴弦十郎。

俺はこれから彼と話しないと行けないのだが---やっぱり大きすぎる。

俺の足元になんて台あるくらいだからね?これでも全然見上げる必要あるからな?

 

「うむ、時間も時間だ。

長く話するのは酷だろう。本当はもっと色々と聞きたいこともあるのだが、俺---いや、ここにいる者が気になっていることはひとつ。

君の目的を聞かせて欲しい」

 

時刻はもう22時を過ぎる。

幼女なら寝てる時間で、俺も割と眠いからか早速本題へと入ってきた。

恐らく俺や装者を気遣ってだろうが、目的……か。

理想のツインテールを見つけることくらいしかないんだよなぁ…ツインテール触りてぇなぁ。

 

「それは……」

 

話そうとして、俯きながら言い淀む。

さて、どうしようか。俺としては素直に話せない。話したら引かれるだろう。

悲しいね、俺いつもそうだよ。子供の頃からツインテールに頬擦りして抱き締めながら一緒に寝たいとか俺にとっては軽いスキンシップのつもりで言ったら引かれたもん。大人どころか同年代にも引かれたもん。

幼馴染だけだぜ、肯定してくれたのはよぉ…!

……あれ、そう思うと彼女は女神だったのでは?

 

「……何か話せないことがあるなら、無理に話そうとしなくていい」

「……え?」

「すまない、言い方が悪かった。俺が言いたいのは、シンフォギア---彼女たちが纏う鎧と同等の力を持つ君が()()なのか()なのかを聞きたいのだ」

 

何を勘違いしたのかは知らないが、言い方を変えた弦十郎さんは至って真剣な瞳で見つめてくる。

しかし、その瞳の奥に込められた感情には期待するような…いや、()()()()()()ようなものを感じられる。

本当に、あくまで立場上聞いてるだけなのだろう。

彼はここに来てから一度も俺を()だと言ったことも認識したことも、警戒することもなかった。

 

「えっと……味方か敵かなんて()が判断することじゃないから」

「………」

「ただ()()は目の前で吹雪ちゃん---助けた女の子が殺されるのが嫌だった。

戦える力があった……ううん、ノイズと戦える力を手に入れた」

 

俺の独白に、彼らは言葉を挟むことなく聞いている。しかし瞳はずっと、この場の全員が俺に向けたまま。

続きを話してくれ、ということだろう。

正直、今も力を解放しようとすれば、自分の意志で凄まじい力が出てくる。

湧き上がるような、そんな力。なんでも出来そうな、そんな力が。

自分の手を見て、握って、実感出来る。

もし俺が敵だと言おうが、味方だと言おうが、判断するのはこの人達と政府だ。

俺としては本音を言えばツインテールのために戦ってツインテールのために生きてるだけだけど。

 

「けど約束したんだ…誰かを守る力があるなら、正しいことに……()()()()()()使()()()って。

例えあんたたちに敵と認識されようが、その約束を反故にするわけにはいかない。

オレが戦う理由はひとつ、()()()()()()()だッ! この命を燃やしながらも目の前の守れる命を救う…オレは、それがオレの持つツインテール()だと思ってるッ!!」

 

真剣な表情を作りながら拳を握りしめ、湧き上がる力を突き出すように力強く宣言する。

当然、本音と嘘も入っている。

幼馴染のように周りの人が死ぬのは嫌だ。ツインテールを失うのは、この世で何よりも嫌だ。

彼女が死んで、約束は俺と彼女を繋ぐ唯一の、大切なものとなった。

誰かを守りたいとはと思うが、本当のところは結局、自分のため。

ツインテールのためなのだ。

仕方がないだろう、俺はツインテールバカと言われるほどにツインテール第一なのだから。

けど、だけど……実の所、約束よりも罪悪感の面が大きい。

俺に最初からこの力があれば?

---天羽奏を救うことが出来たかもしれなかった。

---セレナ・カテンツァヴナ・イヴを救えたかもしれなかった。

---キャロルを救えたかもしれなかった。

---サンジェルマン、カリオストロ、プレラーティを救えたかもしれなかった。

---ヴァネッサ、ミラアルク、エルザを救えたかもしれなかった。

---幼馴染を、守れたかもしれなかった。

他にも、大勢の人を救えたかもしれない。

ライブの被害者を減らせたかもしれない。

神でも何でもなく、全能な力があるとか全部救えたとか何でも出来るとか、そんな傲慢な考えを持っているわけではないし、『もしも』の話をしても仕方ないと分かっている。

でも、俺は原作というもので『未来(みらい)と過去』を知っていた。

そう、結末も、どうなるかも、何もかも知ってて、何もしなかった。

それは……十分罪なのでは無いだろうか。

今更解決することでもないし、力がなかった件に関しては仕方がない。

そもそもこの力だって、不明なのだ。

なぜ発現したのか、今なのか、どんな力があって何を出来るのか、分かんないことだらけ。

それでも今持つべきことは、俺のやるべきことは幼馴染の約束に従うように『誰かのために』力を使うことなのだろう。

 

「………」

「………」

 

辺りを沈黙が支配する。

S.O.N.G.の者たちは誰もが笑うことなく真剣に聞いていて、真面目に俺のことを見ている。

…何か間違えたかと俺は不安になりながら冷汗が頬を伝う。

ずっと笑顔を浮かべた響さんすら今は真面目で、誰も喋らないことに不安だけが募っていく。

 

「あ……あの……」

 

空気に耐えられず、俺はついに口を開いてしまった。

何か反応が欲しいというか、返してくれなければ変な宣言をした変な変態になってしまう。

というか、恥ずかしい。

顔が熱くなってきたかもしれない。

そもそもなぜ俺はこんな宣言をしたのだろう、素直にツインテールのためにって言うべきだったかも---

 

「……そうか」

 

ようやく、重々しく目の前の弦十郎さんが口を開いた。

彼の表情は何処か辛そうで、悲しそうで、嬉しそうで、色んな感情が入り交じっているが、低身長のお陰で罪悪感と悔しさが現れてるのか血が滲むほどに拳を強く握りしめている姿が見える。

 

「君に何があったのか、俺たちは知らない。しかしその答えを持っている君は、何かあれば戦うのだろう。

……本当のことを言えば、俺は君のような子供にこんなことを言いたくない。

だが---俺たち大人はノイズとは戦えない。本来守るべき立場である君を巻き込むのは、頼るしかないことに不甲斐なさを覚える」

 

そういう彼は、一体どんな思いを抱いているのか。

少なくとも握られているその拳を見れば、簡単に予想がつく。

 

「…はっきり言おう。君の力は危険で、君を狙う者は現れるかもしれない。俺としてもそれは看過できない。

だからこそ、正式に要求したい。どうか我々S.O.N.G.に協力を---いや、入って貰えないだろうか?

君の身を、我々にも守らせて欲しい。そして共にノイズや脅威から人々を守るために戦って欲しいのだ」

「………!」

 

本来簡単に下げるべきでは無い頭を、彼は躊躇することなく下げる。

彼の言葉は最もで、きっと俺は一人で戦うだろう。

何の後ろ盾もない俺は狙われて、孤独に戦って死ぬかもしれない。

シンフォギアと並ぶほどの力があって、もしかしたら誰でも使えるかもしれないのだから。

正直、そこまで考えてなかったのが本当のところだった。

力があるなら、正しいことに使えばいいだけだと思っていた。

守りたいなら、一人でも守れると思っていた。

ああ、本当にこの人は『良い大人』だと思う。

普通、組織のトップであるなら利用するため、戦力のため、何かのために協力させるだろう。多分だが。

しかし彼は俺に選択肢を与えるだけでなく、今も血が滲むほどに力が入っている。

それは俺のような子供に戦わせることに、無力感と不甲斐なさを覚えているからなのかもしれない。

しかも与えてきた選択は、俺の身を案じて、なのだ。

本当は戦わせたくないだろう。俺だけじゃなくて、装者にも戦って欲しくないはずだ。

でも立場上そうするしかなくて、どれだけ人外であろうとも普通の人はノイズと戦えないから頭を下げてまで協力を申し出るしかなくて---

こんなこと言われて、自分の気持ちを押し殺してまで、本来頼み込むのは俺の方だと言うのに頼んでくる人に対して、断れるだろうか。

客観的に見ても入った方が良いし、戦いが素人の俺はいつか限界が来る。

いつノイズがまた現れるかも分からない。

それに---こっちの方がお願いしたいくらいなのだ。

ツインテールのために戦う気持ちもあるが、守りたいという思いに嘘は無い。

なら俺がやれるのは、目の前の彼に頭を下げさせず、安心させることだろう。

 

「頭を上げてください」

 

俺が彼にそう言うと、弦十郎さんは頭を上げる。

俺にどこまで出来るのかは分からないし、俺が役に立つかは分からない。

でもこの力が誰かの役に立つなら、何かのために使えるなら、それを正しく導いてくれる人のところに入った方がいい。

この力を利用せず、正しく調べてくれる人がいた方がいい。

 

「その、オレなんかで逆にいいか聞きたいくらいなんだけど、こっちの方こそお願いしてもいい…でしょうか。力があっても、オレは力があるだけ。

この力を扱えるか分からないし、正しいことに使い続けられるかも分からない。

一人では限界もあるし……皆さんと過ごした、少しの時間は楽しかった。弦十郎さんだけでなく、皆さんが受け入れてくれるなら…S.O.N.G.へ加入したいです」

「!」

 

身長差があって大変だろうが、俺は背伸びして手を差し伸べる。

協力の証として、入るという意味を込めて。

すると彼は一瞬だけ目を見開き、嬉しそうに、悔しそうに俺の手を掴んでくれた。

ゴツゴツとして力強く、確かな優しさを感じられるような手のひら。

 

「もちろんだッ!君を正式にS.O.N.G.の装者---という扱いで歓迎する。是非ともよろしく頼む」

「よ、よろしくお願いします」

 

ぺこぺこと頭を下げる俺。

こうして俺は、正式にS.O.N.G.へと加入することになった。

なんだか夢に遠のいた気もするが、彼らとの日常は楽しくなりそうで、俺という存在のせいでこの先が不安ではあるけど、不思議とこの選択は()()()と思った---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして話が付いたので俺は手を離すと、タイミングを図ってたのか、早速響さんがグイッと前に出てきた。

 

「師匠、ということは!?」

「これからは彼女も仲間になるってことだッ!」

「やったぁー!!」

「またあっ!?」

 

喜びを現すように何度目か分からず、抱きしめてくる響さんに、俺はちょっと抵抗を試みるが、力を入れてないので無駄にペコペコ叩くだけだった。

 

「立花、困っているだろう」

「あっ……はい。ごめんね?」

「い、いえ……」

 

翼さんの言葉で離れる響さん。

驚いたけど、別に悪いとは言えない。

邪険に扱われるより喜んで歓迎してくれた方が俺も有難いし、ただ俺って男なんすよ。

 

「けれど、大丈夫かしらね…流石に戦えると言っても、こんな小さい子が戦うとなると色々と世間の目とか---」

「あっ、オレ16歳ですよ?」

『………えっ?』

 

見た目はどうしようもないが、なんだか勘違いしてそうというか絶対勘違いしてるので本当の年齢を暴露したら、この場の全員が固まった。

S.O.N.G.の職員たちも全員固まり、視線だけが集中する。

そしてあれ?と首を傾げつつ固まる俺だった。

 

「お……おい、本当か?」

「はい」

「同い年?」

「だったのデスか!?」

「た、確かに外見よりもしっかりしてるなーとは思ってたけど……」

 

ジロジロと見られ、ちょっと居心地が悪い。

言わなかった方がいいかなと苦笑いするしかない。

 

「何か不思議があるのでしょうか…。錬金術とか使えばあり得ると思いますが、彼女からはそんな気配を感じられませんし……」

「えっと……?」

「あ、すみません。ボクはエルフナインって言います。テイルレッドさん…でしたよね。錬金術ってご存知だったりしますか?」

 

金髪の白衣を着た少女が何かを言ってたので見れば、自己紹介してくれた。

全部知っているのだが、残念ながら錬金術をつかった記憶はないし使えない。

 

「ううん」

「そうですか……」

「なんか…ごめんね」

「いえいえ」

 

嘘をついてる意味も込めて謝るが、彼女はそこまで気にしてないらしい。

確認のために聞いてきた、といったところか。

 

「……衝撃の事実ね」

「流石に驚いたな……」

 

トップアーティストの二人すらも目を瞬きさせて驚いている様子。

俺も聞く立場だったら驚いてるよ、この姿になってる俺が驚いているくらいなんだからな!

 

「う、うむ……何はともあれ、踏み込んだ話は明日にしよう。本当は君の力について聞いたりメディカルチェックなどもしたいが、戦闘もあって疲れているだろうからな。

まだ紹介してない者も明日紹介したい。

今は部屋は空いているところがあるから、そこで休んでくれ」

「あ……はい」

 

ある程度自己紹介が終わったからか、今日はひとまず解散にしてくれるらしい。

思い出すと、睡魔が帰ってきた。

割と限界は近いらしい。

 

「緒川…に頼むのはアレか。翼、案内を頼めるか?」

「はい」

「緒川さん?」

 

誰か分かりませんアピールをすると、弦十郎さんの視線が俺の後ろへ向けられる。

俺は視線を辿り、振り向いた。

 

「僕のことです。こんばんは、緒川慎次と言います。普段はマネージャーをしてるんですよ」

「うぇぇぇっ!?」

 

黒い服に身を包む青年がいつの間にか立っていて自己紹介してきたが、俺は驚きで数歩下がっていた。

アイエエエエエ!ニンジャ!?わかってたけどニンジャナンデ!?

いつの間に現れた!?

この姿でも気づけないってOTONAはやっぱり違うのか!?

 

「いいいい、いつの間に!?」

「すみません…呼ばれたのでさきほど。驚かせるつもりはなかったのですが……」

 

申し訳なさそうな表情を緒川さんは浮かべていたが、音どころか風も気配もしなかったんだが。

この姿じゃない状態でここが戦場だったら首取られてるレベルだよ、今の。

 

「なんだか珍しい反応」

「私たちが慣れただけデスよ……」

「普通の人はあんなこと出来ねぇよ」

「なんだか新鮮だよね」

 

正しいツッコミが入る。

確かに普通の人間はいつの間にか音一つ立てることなく背後へ現れることなんてないだろう。

OTONAだから仕方がないか……。

 

「さて、今日のところは解散だ。各員、明日に備えて体は休めるんだぞ」

 

弦十郎さんは全く驚いている様子はなかったが、締めくくるようにその言葉を告げると、翼さんが近づいてくる。

 

「改めて、案内は私がしよう」

「あ……お願いします」

 

案内役として任命されたからか、彼女はそう言うと俺を通り過ぎてこちらを向いて止まってくれる。

そのため、俺は彼女に近づこうと歩を進めて---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ……れ……?」

 

急に目眩がした俺はガクン、と膝から力が抜け、足を曲げた状態で両膝を開けたまま両手を間についてその場にへたり込む。

立ち上がろうと力を入れても、一切入ることなく、瞼が重たくなってきた。

 

「!?叔父様ッ!」

「どうした!?」

「テイルレッドちゃんッ!」

「大丈夫!?」

「何かあったデスか!?」

「もしかして怪我とかしてるのかも…!」

 

誰よりも近くにいた翼さんが体を抱いてくれるが、意識が薄れていく。

慌てたように装者たちも近づいてくるが、まずい。

やばい、なんかあの時と同じだ…もしかして傷口が開いたのか?

この姿になってから、痛くはなかったけどよく分からない機械ノイズの一撃を受けたりしてたし背中に何度もダメージを受けたが、ガチでまずい。

 

「っ、おい。しっかりしろッ!」

「とにかく医務室へ運びましょう!」

「ま、待ってください!何か高エネルギー反応が再び---」

 

あ、無理だ。

息も切れてきたし、残念ながら俺の旅はここまでらしい。

なんか体も光ってるし。

最後に、最後にツインテールを抱いて、しにたかっ……た---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突如として倒れ、意識を失うように前のめりに倒れるテイルレッドの体が突如として光り輝いた。

突然倒れたことに関してもだが、何かが起きるような前触れのような現象に警戒するように装者たちは離れ、S.O.N.G.の職員たちも確かな警戒心を表に出す。

 

「一体何事だ!?」

「分かりません!」

「これは…起動された時と同じ反応?」

 

テイルレッドが光の繭に包まれ、眩い光が辺りを照らす。

思わず腕で目を覆うほどに光は強く、この場の誰もが何が起こるのか分からなかった。

 

「クソッ、なんなんだ!?」

「分からない……一体何が!?」

 

そうして、一際強い光が再び発せられる。

いつまでも対処出来るようにペンダントを握りしめ、各々臨戦態勢を取る。

光が徐々に小さくなり、晴れた先に居たのは---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『なっ!?』

 

先程のツインテールを持つ美少女ではなく、背中から血を流しながら何処かの高校の制服らしきものを着た男性の姿だった。

それを頭が認識した瞬間、納得は出来なくてもこの場の誰もが驚き、立ち竦む。

 

「これは……どういうことだ……?」

 

ただ困惑したように呟かれた、S.O.N.G.の司令の言葉だけが、驚愕に染められた空間に木霊していた---

 

 

 

 

 

 

 

 





作者も知らず手が動いて出来上がったこの作品

  • 続けて
  • ツインテールはいいぞ
  • 戦闘シーン多くして欲しい
  • 続けて欲しいしXDのイベストやって♡‪
  • LOST SONG等もやるんだよ
  • 期待してる
  • 作者が無理しない程度にして欲しい
  • 無理せずに毎秒投稿しろ
  • 困った人用
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