この世の果てでツインテールの愛を唄う《叫ぶ》少年   作:絆蛙

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ツインテールの日なので投稿します。
ぶっちゃけ間に合わんかと思った…今原作見直してる最中なんですけど、テイルレッドちゃんやっぱり可愛いなと思いながら読んでます。
投稿遅れた理由はそれ。作者の知識も曖昧だからね仕方がないね。
それはそうと、今回の話…新ルート勝手に開拓するのやめてくれないかこの主人公。
あと話が進まん、説明回苦手なのがバレる。




EPISODE7 新たな出会いと確信

 

 

 

 

 

 

 

「皆さん…いくら何でも限度と言うものがあると思うんです。いくら彼女がそれほど可愛かったりしたとしても、こうなるまで言葉も聞かずに好き勝手にするのは良くないです。特にこういう時は普通、マリア姉さんや翼さんがしっかりするところじゃないですか。どうして一緒になってやってるんですか?」

 

あれから少しして、状況を理解した私と天羽さんは一人の女の子を救出した後、今も私の背中に怯えるようにくっついて隠れる彼女のために私は注意していた。

確かに彼女の外見も声も、髪も綺麗だ。なんというかこう、守ってあげたくなるような感じもある。

でも流石に助けを求める彼女の姿を見ていたら分かる通り、やりすぎだと思った。

 

「う……そ、それは…」

「え、えっと……で、でもねセレナ」

「いくらマリア姉さんでも言い訳は聞きません。少しは反省してください」

 

自覚はあるのか、全員が申し訳なさそうにしているものの、ここは心を鬼にして私は両手を腰にやりながら叱っていた。

ここで許してしまえば、さらに過激なことになるかも知れませんし。

 

「しかし驚いたなぁ。まさか久しぶりに来たらこんな状況になってるなんてさ。大丈夫か?」

「い、いやあの……」

「気にすんなって。お前のために怒ってるけど、本当に怒ってるわけではないから。ただまあ、流石にあたしもやりすぎたとは思うけどな」

 

私の背後で天羽さんが女の子の頭を軽く撫でながら苦笑して言っていた。

すると、バツが悪そうに視線を逸らしていた。主に翼さんが。

とにかく彼女が囲まれて揉みくちゃにされていて、埋もれかけていたくらいだったのだからフォロー出来る要素がないからなのかもしれない。

 

「お、オレは大丈夫だから、あまり…」

「でも……」

 

おずおずと、何故か彼女が申し訳なさそうにしながら私を上目遣いで見つめる。

彼女の赤い双眸はまるで宝石のように綺麗で、吸い込まれそうになる。

何よりも、可愛い。

私の方が身長が高いのと彼女が腰を少し引いてるのもあって見上げる形になってるだけなのは分かる。

けれどもその瞳で見つめられると、庇護力が掻き立てられて思わず抱きしめたくなりそうだった。

でも我慢しなくちゃ。

私がしてしまえば、意味がですしね。

 

「それに……彼女たちはオレを受け入れてくれた。本当は少し怖かったんだ。でも、彼女たちはそんなことは関係ないって言うように歓迎してくれて…オレはもう気にしてないし、そんな人たちにはこんな表情、似合わない」

「………」

 

彼女の視線が周囲を見渡す。

追従するように私も動かせば、彼女の言葉を聞いたほかの人たちも少し、嬉しそうだった。

 

「あの…助けてくれた人にこんなこと言うのはアレだけど、もう許してあげて欲しいな……と」

 

そう言う彼女の瞳は揺らぐことなく。

ただ本当にそうなのだろう、と思わされるほどに嬉しそうで、とても優しい雰囲気を纏っているのを感じられる。

当事者の彼女がそういうのだったら、私からはもう何も言えなくなる。

だったら---

 

「……はぁ。分かりました」

「! ありがとう」

「ですが、 嫌だったらちゃんと嫌だといってくださいね。言葉にしなくちゃ伝わらないものはあるんですから。それが条件です」

「ああ!」

 

元気よく頷く彼女の左右の髪が揺らぐ。

それはとても綺麗で、思わず視線がそこへ向かい、辿ってしまうほどだった。

 

「---い? おーい!」

「……へっ!?」

 

見とれていたからか、彼女が私の前にいつの間にか居て、覗き込むようにしながら手を振っていた。

驚いた私は数歩下がるけれど、目の前の女の子は可愛らしく小首を傾げるだけ。

彼女の容姿だと、その動作だけで様になる。

本当に可愛いなぁ……って、いけない。返事しないと。

 

「えっと、すみません。少し考えごとしていて……」

「あ、そうだったのか。じゃあ、もう一度。

名前聞いてなかったなって思ってさ。名前を聞きたいんだ」

「あぁ……そういえば」

 

そう言われて、今更ながら気づく。

私と天羽さんが司令室に入ってたら凄いことになってたのだから、自己紹介する暇もなかった。

 

「改めまして、私はセレナ・カデンツァヴナ・イヴです。察してるかもしれませんが、そこにいるマリア姉さんの妹です」

「そっか、オレはテイルレッド! えっと、よろしくなセレナ!」

「はい、よろしくお願いします」

 

彼女---テイルレッドというらしい彼女は明るく手を差し伸べてきたので、私も返す。

それにしても、珍しい名前…なのかな? 名前というには少しアレで、なんというか、名前だけど名前じゃなさそうな、そんな感じ。

 

「ん、アタシのことはいいのか?」

「……天羽奏さん。ツヴァイウィングの、もうひとつの片翼。有名だからな」

「奏でいいよ。そうか、この世界のアタシを知ってたからってわけね…ツヴァイウィングのことを知ってもらえてるっていう点では嬉しいな」

 

なるほど、知らないはずの天羽さんには聞かなかった理由は知っていたから、らしい。

知らない人は知らないかもしれないけれど、テイルレッドさんは知っていたみたい。

でも、テイルレッドさんの表情は不思議そうだった。

 

「でも()()()()で亡くなったはずじゃ?」

「あー……」

 

そう、この世界の天羽さんは私と同じく、亡くなっている。

私のことは知らなくても、ツヴァイウィングというユニットを知っているテイルレッドさんの疑問は最もで、何よりギャラルホルンのことを知らなければ分からないのも納得出来ます。

 

「そういえば説明してなかったか……」

「そうね、これから仲間になるんだから必要だったわ」

 

復帰したらしい翼さんとマリア姉さんが口を開く。

その言葉から考えるに、テイルレッドさんとも知り合ったばかり…?

今思えば、私は彼女のことを何も知らないし、私の世界でも彼女は居なかった。

シンフォギアのような装甲があることから、何かはあると思ってましたが。

 

「セレナちゃんや奏さんにも説明が必要ですよね」

「ああ、つってもあたしらも知り合ったばかりでまだまだ分からないことだらけだけどな」

「話をするタイミングがなかったから」

「あはは…テイルレッドちゃんがあまりにも可愛くって」

「それは分かるデス」

「お、オレか!?」

 

この場で唯一関係のなかった雪音さんを除いて小日向さんたちも復活したようで次々と言葉が出てくる。

でもテイルレッドさんのことに関しては皆同感なのか、頷いていた。

彼女は驚いたけれど。

私もそのことには同感なので、特に否定はしない。

 

「逆にテイルレッドちゃん以外に誰が居るのッ!?」

「いやおかしいだろ!? みんな可愛いし綺麗な人ばかりってのに! それにオレの()()()姿()()()だってっ!」

「えぇ!?」

「知ってるのに何故驚いた!?」

 

立花さんとテイルレッドさんが何やら言い合っているのが聞こえ、そこへ妙な単語が混じってたような気がした。

……んー? 気のせい、かな? 今とんでもないカミングアウトが聞こえたような、そんな気が……。

思わず視線を天羽さんに移せば、彼女も目を瞬きさせていた。

 

「気のせい…でしょうか」

「まさか、なぁ……」

 

小声で聞いて見れば、聞こえていたのは私だけじゃないようで、それでも私と天羽さん以外は皆、普通だった。

 

「ああ…そういえば私も忘れてたかも」

「…つい忘れる」

「そ、そういう時もあるデスよね!」

「む、確かにそうだったな」

「私も失念していた…」

「まあ、見た目的にな」

「ちょっと待て、この反応みんな忘れてた!? 嘘だろ……!」

 

何やらショックを受けたように、テイルレッドさんのツインテールが力なく垂れ、本人はがくりと脱力していた。

しかし私は未だに話についていけない。

なので私は意を決して聞くことにした。

 

「あの…話が見えないんですけど…」

「来たばっかだからってのもあるんだろうけど、どういうことなんだ?」

 

私と同じく事情を理解出来てない天羽さんも疑問を解消したいのか言葉を投げかけると、テイルレッドさんは一度ため息を吐き、後頭部---というより右側のツインテールに手をやりつつ視線を逸らしながら口を開く。

 

「知らないのも無理ないよな。簡単に言えばさ、今のオレの姿は()()してるだけで本当は男なんだ。それも、16歳の」

「………え?」

「………んん?」

 

これまで色々な経験をしてきた私たちでも、さすがに一瞬でその言葉を飲み込むことが出来ず、固まってしまう。

え、男の子? 誰が?

で、でも明らかに見た目も声も触れた手の感触も、全部が女の子で。でも変身って、え?

 

「……オレ、男です。忘れられかけてますけど」

「……えぇえええええっ!?」

 

その言葉を聞き、私が理解したのは数秒後。

もう一度言われたその言葉に、脳が処理した瞬間には、私は思わず大声を上げながら驚いてしまっていた---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

あれから数分経ち、なんだか疲れたなーって思うと、俺の姿はいつの間にか戻っていた。

そして今は、ようやく俺の説明を終えたところだった。

といっても俺自身が全く分かってないため、自己紹介とテイルレッドに変身出来ること、S.O.N.G.の一員になったということくらいだが。

だって知らないしぃ?俺、ツインテール以外わからねぇから……!

ツインテールだったら感情や()()()ツインテールの近場の気配すら読める。

いつかは半径20mの気配を感じられるようになるのがひとまずの目標だ。ツインテールの結界を作らなくちゃ…(使命感)

本当はこう、具現化でも出来たらいいんだけどなあ、それは無理なのかなぁ…。

とりあえず近い目的としてはそろそろ真面目にツインテールに触りたいな……普通なら一日も経たずに死ぬが、四年以上持った俺は頑張ったと思う。

これも俺の妄想が成した力だ。妄想力が皆無だったら死んでた。

てか、今更だけどなんでセレナさんと奏さんが居んの? 並行世界から渡ってきたにしてもタイミング良すぎだろ…。

 

「そんなことが…運が良いというべきなのか災難と言うべきなのか、微妙なところだなぁ」

「本当に、男の人だったんですね」

 

奏さんとセレナさんから珍しいものを見るような、好奇心の目を向けられる。

俺は少しムズムズとした感覚があるが、一応信じては貰えているらしい。

むしろこれでダメなら説明しようがないが。

 

「あはは…騙すようなことになってすみません」

「戻った時は驚いたけど、自分でも分からないなら仕方がないって。気にしてないよ」

「はい、私も驚きはしましたが…話は理解出来ましたから。それでも変身したら女の子になるって、結構大変そうですけど…」

 

やっぱり良い人たちすぎませんか???

俺だったら引いてるわ、絶対。

いくら変身したら美少女でも変身前の俺はその辺にいるモブなんだがなあ。ただ人よりツインテールがちょっとだけ好きなだけの人間なだけで。

 

「どう…でしょうかね。確かに身長が一気に縮むのでいつものようにはいきませんけど、そんなの関係ないって感じで自由に動かせれますし」

 

無論力加減をミスったらとんでもないことにはなりそうだが、戦いを思い返す限りはそこまでデメリットはなさそうだ。

むしろ鏡とかあればツインテールが自分で見れるようになるので俺としては全然ヨシ。

いや待てよ、ツインテールを自分で触れるのでは?

なんだそれは!? 俺にとって最高の姿じゃんか!

 

「じゃあ、次はアタシらのこと話しておこうか」

「ですね」

「その前に、ギャラルホルンのことを話す必要があると思うわ」

「ああ、その方が混乱も少ないはずだ」

「ギャラルホルン?」

 

一応知らないアピールは忘れない。

しかし翼さんとマリアさんが仕切るようになってるけど…んまあ、後説明出来る人って小日向さんか雪音さんくらいだもんなあ…ああ、調も問題ないか。後はお察しで。

何はともあれ、もしかしたらアプリと違うかもしれないので俺は聞き逃さないように話を聞いていった---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

長い話は面倒なので端折って結論を述べると、ギャラルホルンとは並行世界とのゲートを作る役割を持つ完全聖遺物である*1こと。

今いる奏さんとセレナさんはそれぞれの世界の奏さん*2とセレナさん*3であることを教えてもらった。

どうしよう、聞くだけじゃまっったく分からん。

アプリでの情報がなければ、間違いなくはてなマークで空間を埋めてた自信があったぜ…けど、どうやら違いはなさそうだ。

…いや、やっぱり頭痛いわ。難しい話は聞きたくない。

 

「…大丈夫?」

「大丈夫だ、つまりへーこーせかいってところから来た二人で、それはこの世界から分岐した世界のひとつってことだろ?多分、知らんけど。

…まあ、非日常に溢れてるなーとは思ったかな」

「ちょっと前まで一般人だったんだ。すぐに適応出来る方がおかしいってもんだろ」

「うんうん、難しいもんねっ!仕方がないよ!」

「響も分かってなかったもんね」

「さっきの説明だけでそこまで理解出来てるのが凄いデス」

 

なんかフォローされてる気がする。

正直並行世界って俺の世界でもどんなのか解明されてなかったしなぁ…俺が分かるのは、()()()()()()ということ。『あの時、こちらの選択を取れば?』といった感じで別の選択を取った世界もあれば、途中で別の歴史へと歩んだ世界もあるのだろう。少なくとも可能性がある限りは無数に広がる世界、それをまとめて並行世界と呼ばれるものじゃなかったっけ。

二人はどちらかというと前者か。

ああ、けど蒼空は割と並行世界がどんなのか推測と計算して資料にまとめてたなあ。

早口で言われた時は俺のキャパがオーバーヒートしたが。

あいつが居たら俺にもわかるように解説してくれたんだろうな。

 

「ふむ…後々話すつもりだったのだが、必要無くなったようだな」

「あ、弦十郎さん」

「おっ、弦十郎のダンナ。邪魔してるよ」

「お邪魔してます」

「奏にセレナくんも来ていたのか。その様子からして説明する必要はなさそうだな」

「はい、さっきほど彼のことを聞きましたから」

「流石にびっくりしたけどな」

 

休憩を挟むということで離席していた弦十郎さんが戻ってきた。

するとセレナさんは頭をぺこりと下げ、奏さんは軽く手を挙げて挨拶を交わすと状況把握した弦十郎さんは辺りを見渡した。

NINJA以外は既に全員集合済みだ。

 

「零士くんはいつの間にか戻ってるな」

「なんかよく分かりませんけど戻れました」

 

俺に視線が止まるとそう言われたので、俺は真顔で言葉を返す。

だって分からないもん!

未だに変身する方法すら分からねぇぜ!

さっきはツインテールのことを考えたらいつの間にかなってたし。

 

「そうか、ならば無駄足にはならなかったようだな。こちらの方では先程零士くんのその力を調べるための準備をしておいた。君が構わないならば、エルフナインくんと共に向かって欲しい」

 

休憩だと思っていたら、なるほど。

確かに俺の力について調べようにも何の準備もしてなければ出来ないしな。

 

「俺はいつでも大丈夫です」

「ボクも構いません」

「ですが、叔父様。一つよろしいでしょうか」

「どうした?」

 

よっしゃ行くか!という空気感を出しながらいざ前進しようとしたところで、俺の片足は浮いたまま固まった。

何かあるのかと気になってしまえば、聞きたいのが人間というもの。

俺は耳を傾けた。

 

「私たちの中で誰か一人でも着いていくべきなのではないでしょうか。 もしかしたら何かがあったら止めるために必要なはず…」

「…多分必要ないと思いますよ、それ。俺の勘ですけど、この力は、少なくとも今は安全だと思うので」

「うむ、しかし翼の言葉もあながち間違ってはいない。何か起こってからでは遅いからな。元々装者は向かわせるつもりだった」

「そうでしたか…出過ぎた真似をして申し訳ございません」

「気にするな。問題は…」

「誰が行くかってことね…『もしも』の危険性がどれだけの危険性があるのか分からないんだもの」

 

話が勝手に進んでいく。

その影響で装者が着いてくることになったが、各々の時間を楽しんで欲しかったんだけどね。

それに大丈夫だと思うしなぁ…てかいつまで足上げなきゃいけないのっ!

 

「あの…そのことなんですけど、私が行ってもいいですか?」

「未来?」

 

俺を含めて、全員が未来さんの方を見た。

意外そうな様子で、俺からしたら驚きだった。

確かに彼女というか、装者の方たちはお人好しで優しいが、自ら立候補するかと言われれば意外性のある人物だった。

それこそ、マリアさんか翼さん、立花響ならば分からなくはないのだが。

 

「ああ、確かに未来くんの持つ神獣鏡ならば、零士くんのブレスレットが暴走を起こしたりしても容易に鎮めることは可能か…」

「けど意外だな。あたしはてっきりそこのバカが挙手するかと思っていたんだが」

「そう? ほら、今はセレナちゃんや奏さんが居るんだからマリアさんと翼さんには行かせるのはどうかと思うし、調ちゃんや切歌ちゃんも同様ね。

そうなると候補は---」

「あたしらの三人ってわけか…」

 

ほへーとぼうっとしながら聞いていると、未来さんが立候補したのは色々と理由があったようだ。

俺的には誰でもいいんだが、確かに能力面でも未来さんのは聖遺物特効だもんな、このブレスレットが聖遺物なのか知らんけど。

 

「なんか気を遣わせてしまったみたいだな」

「あはは…タイミングがある意味悪かったかもしれませんね。申し訳ないです…」

「セレナたちが悪いわけじゃないのよ。でも私たちに気を遣わせたのは確かに申し訳ないわね…」

「ああ、これも任務の一部。私としては同行しても良いのだが---叔父様の言う通り、小日向の方がこの場に適してるのは事実だ」

 

彼女たちから見ても未来さんの考えは否定出来るようなものでもなく、正しいらしい。

…となると、決まった?

 

「はい、ですから私が行こうかなと思います。それに---気になることも、ありますから」

「………?」

 

何故か未来さんが俺を見ながら、そんなことを言っていた。

もしかして、テイルレッドのことでまだ知りたいことでもあるのだろうか。

残念ながら俺は全く知らないです。むしろ俺が知りたいです。

ツインテールのことなら話せるけどな!

 

「じゃあ、私も行くよ。元々私が行こうと思ってたし、未来と一緒なら尚更ッ!

師匠、いいですよね?」

「そうだな…戦力を全て割く訳には行かんが、一人より二人の方がいいだろう。同行するのは響くんと未来くんに任せるとしよう。

頼んだぞ、二人とも」

『はいっ!』

 

どうやら話は終わったらしく、立花響と未来さんになるらしい。

そしてやっと俺は足を地面に着くことが出来た。

 

「ごめんね、待たせちゃって」

「改めてよろしく、零士くんッ!」

「い、いえ…大丈夫っす。よろしくお願いします」

 

いきなり名前呼びしてきたことと、距離感が物理的にも近いことに動揺しかけるが、幼馴染のお陰で耐性バッチリな俺は問題なく頭を下げた。

フッ、彼女がツインテールだったらやばかったな…。

 

「それでしたら、そろそろ向かいましょうか。どれだけ時間がかかるかまでは流石に分かりませんから」

「だね!」

「そうしよっか」

「はーい」

 

各々それぞれ返事し、エルフナインちゃんさんの案内について行くように後ろを歩いていくのだが---ふと気づいた。

小さめに結ばれている髪が揺れていることに。

どちらかといえば二つ結びに分類されていると思うが、こっちはこっちでまた別の良さがあるな…これがツインテールならどれほどの魅力があるのか。

キャロルちゃんに会えたらツインテールにして貰うようにお願いできないだろうか…普通に死ぬ未来が見えるなぁ。

 

「ねぇ、未来」

「んー?」

 

ただじぃっとエルフナインちゃんさんの髪を思考の海に沈みながら追っていると、立花響の声で戻された。

そっちに視線を向ければ、何やら聞きたいことでもあるような感じだった。

 

「さっき言ってたよね、気になることがあるって。アレって何だったの?」

 

ああ、確かに言ってたな。

ぶっちゃけ頭から抜けていたが、俺のことあの時は見てたよな。別に俺が意識が高いわけじゃなく、俺は鈍感属性じゃないからそういうのは分かるのだ。

 

「ああ、そのこと?うーん…まぁ、言ってもいいかな」

「あ、嫌なら話さなくていいよ?」

「ううん、そうじゃないの。確信してないから…合ってるか分からないだけなんだ」

「そうなんだ……」

 

 

二人の会話が背後から聞えてくる。

…これ、俺は聞いてもよかったのかな。耳塞ぐべきだろうか?

あんまり女性の話に耳を傾けるのは、流石にアレだろうし。

 

「ボクもそのことに関して少し気になるので、是非聞きたいです」

「それなら---」

 

俺を除いて二人は気になっているようで、その言葉を聞いた未来さんが足を止めた。

当然そうなると立花響もエルフナインちゃんさんも足を止めるわけで、一人じゃ道も分からない俺も足を止めるしかない。

どうせなら聞くかと、俺は未来さんの顔を見れば、彼女の表情は真剣で、さっきの言葉とは裏腹に、間違いなく確信している目だった。

そしてその目は---

 

「零士くん」

「なん…でしょう?」

 

間違いなく、俺を射抜いていた。

立花響に向けるわけでもなく、エルフナインちゃんさんに向けるわけでもなく、真っ直ぐに俺に向けられていたのだ。

今の自分の心情を現すなら、銃を突きつけられた時のような、そんな感じだ。

と言っても俺は銃を突きつけられたことがないのでどんなのかは分からない。

あくまで比喩表現だ。

しかし、それでも分からない。

何故彼女は、俺を見るのだろう。俺は彼女たちと関わったことなんて、テイルレッドになる前くらいなんだが。

ノイズには襲われても、原作回避しまくっていた俺が話すはずもないし…。

だが何かを確信しているようで、それが何なのか分からず、未知の物が怖く感じる。

人間ってのは、自分の知らない未知の物に恐怖するって蒼空も言っていた。

だから中には幽霊が怖く感じる人も居れば、人間や動物に恐怖を感じるものも居ると。

あの時はあんまりよく分からなかったが、ここに来てその意味を理解したような、そんな気がする。

 

「さっき言った気になることって、貴方に関することなんだ」

「………?」

 

そう言われて、思わず身構える。

しかし目の前の未来さんはそんな俺に一度苦笑すると、また真剣な表情になって真っ直ぐに見つめてくる。

---もしかして、ツインテールが好きなこと、今もツインテールの妄想を度々していることがバレたか!? くっ……ま、まずい。既にというか、入学して初日で校内で俺=ツインテールバカが浸透したというのにバレたらここでも---いや、待てよ?ダメージねぇわ。特にないどころか、むしろそっちの方が嬉しい。

よっしゃ、なんでもかかってこーい!

 

()()()()会ったこと、あるよね?」

「……はい?」

「えっ!?」

「……へっ?」

 

………はい?

 

だがそれとは裏腹に、自分で解決し、どんな言葉が来ても問題ないと調子に乗って息巻いていた俺は、未来さんから言われたその言葉に、何故か胸の中と表でも全く同じ反応をしてしまった。

それどころか、みんな似たような反応なんだけど。

一体何の冗談かと彼女の目を見れば、嘘は何一つなく。

確信している未来さんと違い、俺はそのことに全く記憶も見覚えもないため、嘘の許されなさそうな重圧感に嫌な汗を掻きつつ、固まって困惑した---

 

 

 

 

 

 

 

*1
より踏み込むと、正確にはこちらの世界(この世界)からこぼれた可能性が生んだ並行世界と、こちらの世界(この世界)とを繋げる特性を持つ。

それらは並行世界側で異変が生じたときのみ発動し、完全聖遺物でありながら一切の制御も干渉も受け付けないと言う変わった物。

外見はカラフルな法螺貝で、当時発掘チームを率いていた櫻井了子によって発見され、発見当初から起動状態だった。

一度繋がった並行世界に対しては、異変が収束した後でも渡ることが出来、イベントでは一度行った並行世界へ再び訪れている。

装者であれば並行世界の方からも訪れることができるため、奏やセレナが今回も来たのはこのため。

ゲーム中で最初に発動したのは片翼の奏者イベント時となるが、その前にも二度並行世界と繋がったらしい。

一度目は(こちらの世界の)奏が秘密裏に解決。二度目はネフシュタンの起動実験=ライブ事件のときであったため、とても対処することが出来ず、結果として甚大な被害を生んだ。

尚、並行世界に行くことができるのはシンフォギア装者のみとなっているが、現段階でその詳しい理由は不明。

ちなみに並行世界へと渡ると、到着した場所に元の世界とのゲートが発生する。

エルフナインの見立てでは「並行世界間を乱しかねない脅威」に対する、一種の防衛機構も有している模様。某エピソードでは、ある者が自身を手にその機能の「悪用」を謳った途端拒絶反応を示しており、装者たちを"特例"としてその世界へ呼び寄せる事まで行うこともやってのけた謎の多い完全聖遺物である。

*2
片翼の奏者と呼ばれるイベントストーリーがあり、超簡単に言うと奏の代わりに翼が亡くなった世界軸。ちなみにルナアタック、フロンティア事変、魔法少女事変といったシンフォギアにおける重大エピソードが一切起こっていない世界である。

*3
同じくイノセントシスターというイベントストーリーがあり、こちらは死んだのがマリアであり、セレナの姿が変わってないのはコールドスリープによって眠っていたため。ちなみによく誤解されがちだが、別にセレナは絶唱で亡くなったわけではないのでイノセントシスター時空でも同じく発動している。無論他にも色々と違いはあるが、並行世界だから当然だろう。決して説明が面倒だから投げ出したわけではない。

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