ドラえもん のび太の大魔境 second season 〜もう一つの伝説〜 作:田舎者
それではどうぞ!!
エル
「驚いたな……お前のようなロボットでも、人間と同じように血液が出るとはね」
エルはガイアの左腕の切断面から滴り落ちる血を見て呟いた。
ガイア
「人間に近い体なんだよ……スペックは人間なんかと比べ物になんねえけどな…!」
エル
「……その割には大した事はないね。僕が出会った仲間達に比べれば……全然」
ガイア
「言ってくれるじゃねえかよ……! それにさっきの言葉、『僕がやる』? この俺を一人で倒そうってのか?」
エル
「分からなかったか? 僕はそう言ったんだ。」
ガイアの言葉をあしらうように、エルははっきりと即答した。
ガイア
「この二流如きが………舐めやがってよォ!!!」
バッ! ブチブチブチ!!
エルの言葉に怒りを覚えたガイアは、切断された腕の肩から下を掴み、勢いよく引き千切った。
ガイア
「てめえだけは生かして帰らせねえぞ!! このドグサレが!!」
ガイアは引き千切った腕を投げ捨て、烈火の如く怒り狂う。
エル
「それはこっちのセリフだ。なんの罪のない病院の関係者を大勢殺したお前を…僕は許さないぞ!!」
ガイア
「ああ!? カス共はカス共なりに俺のウォーミングアップの為に役立ってくれたんだぜ!?」
エル
「ウォーミングアップだと? ふざけるなよ!! お前には人の命の尊さが分からないのか…!!」
ガイア
「分かんねえなあ!! どうせ大した能力もねえカス共だ! それなら俺の為に役立ってくれた方がまだ死に甲斐ってモンがあるだろうがよ!!」
ガイアの全く悪びれない様子に、エルの怒りはついに頂点に達した。
エル
「反吐が出るほどの下衆野郎だ…!! お前は……僕が殺す!!」
ガイア
「こいよ…! ブチ殺してやる!!」
そう言うとエルは再び剣をガイアに向けて構えた。
それに合わせてガイアもファイティングポーズをとる……
エル
「…………」
ガイア
「…………」
二人は構えたまま、十数秒間向き合った。
嵐の前の静けさである…
ピリピリとした2人の殺気が、皆の緊張を煽る。
ジャガー
「…………始まるのぉ」
腕を組みながらその様子を見ていたジャガーは、そう呟い
た。
そしてその直後、2人の間の沈黙は破られた!
ガイア
「おるぁ!!!」
ダッダッダッダ! シュッ!!
ガイアは右足を踏み込んで猛スピードでエルに接近し、右ストレートを放つ!
マタドーラ
「あのデカブツから仕掛けやがった!」
キッド
「!!! あの図体のクセしてなんてスピードだ…!」
キッドは思わず驚嘆した。
ガイアはパワーだけでなく、一瞬でゼロから一気にトップスピードまで加速する程の超人的な瞬発力も兼ね備えていた。
エル
(確かに速い………だけど!)
サッ!
エルは上体を素早く左に動かし、紙一重で攻撃を躱す!
エル
「そこだ!」
シュッ!!
ガイア
(な…!!)
攻撃を躱された事で隙が出来たガイアにエルは、ガラ空きの胴体へ剣を突き立てる!
ガイア
「う…ぐっ!?」
するとエルの一撃は見事にガイアの胸部を直撃し、剣はガイアの心臓ごと胴体を貫いた!
ドラメッド
「やったであるか!?」
ドラメッドはその様子を見て思わず叫んだ。
しかし、
王ドラ
「いえ、まだです!!」
エルの一撃は間違い無く人間の急所であるはずの心臓を貫いた。しかし、相手はただの人間ではなく、アンドロイドである……
ガイア
「………なんてなぁ、この程度でこの俺を殺れると思ったのかぁ?」
ガイアは剣に貫かれてもなおニヤリと笑い、平然としていた……
マタドーラ
「!? 野郎…心臓を貫かれてケロっとしてやがる…! いや…奴にそもそも心臓があるかすらも怪しいな…!」
キッド
「桁外れの耐久力……奴を倒すのは容易じゃないぞ…!」
マタドーラ達はガイアの生命力に驚きを隠せない様子であった。ある一名を除いては……
エル
「いいや、これだけで倒せるとは思ってなかったさ…!」
バッ!
するとエルはもう片方の手で、懐に忍ばせていた装飾の施された短剣を取り出した!
エル
「これならどうだ!!」
そしてエルは短剣をガイアの頭部に向けて渾身の力を込めて振り下ろした!
グサッ!!
ガイア
「!!!」
短剣はガイアの脳天に突き刺さり、ガイアの顔は慌てふためく様な表情に豹変した。
エル
「アンドロイドと言えど、不死身な訳じゃない。どこかに必ず弱点があると踏んでいたが……正解だったらしいな!」
グッ!
エルはガイアの頭部に刺さったナイフを更に奥へ押し込め、中身を掻き回す!
エル
「お前の体のどこかに、お前自身を制御する為のコンピュータが組み込まれている事は最初から推測していた。機械仕掛けの相手とは闘い慣れているからね…! しらみ潰しに弱点を探っていくつもりだったが……早い段階で見つけられてホッとしたよ…!」
ガイア
「て…めぇ…!!」
バッ!
ガイアは痛みに苦しみながらも、片方しかない一本の手で短剣を掴み、頭部への追撃を止めようとする。
エル
「諦めろ。もう何をしようが無駄だ!」
するとエルは短剣から手を放し、胸に刺さっていた剣を勢い良く引き抜いた!
エル
「はぁぁぁ!!!」
ガイア
「なっ!?」
サクッ!!
一瞬の出来事であった。
エルは勢い良く引き抜いた剣を斜めに振り下ろし、ガイアの首をギロチンの如く刎ね飛ばした!
エル
「…………」
刎ね飛ばされたガイアの首は、床をコロコロと転がった…
エルは黙って剣を収め、ガイアの亡骸から目を背けた。
あまりにも呆気ないガイアの最期に一同は唖然としたが、その後すぐに全員に安堵の表情が戻った……
キッド
「…意外と早く決着が付いたな……拍子抜けだがとりあえずホッとしたぜ……」
キッドは胸を撫で下ろした。
エル
「ああ、敵が単身でこちらに挑んできたのが幸いだよ。もし多数で攻めてきていたら……負けてたかも知れない…」
ドラメッド
「そうであるな…」
ドラメッドはエルと同じ意見であったようだ。
一同は戦いには勝利したが、決して気持ちの良い勝利とは言えなかったようだ…
マタドーラ
「ま、所詮は口だけ野郎だったな。俺一人で十分とかほざいてたクセによ」
王ドラ
「マタドーラ、貴方こそ口が過ぎますよ。」
マタドーラ
「王ドラは黙ってろっての」
ドラリーニョ
「まあまあ」
マタドーラは王ドラに対して少し声を荒げるが、ドラリーニョはいつものようにフランクな口調でマタドーラを制止した……
ガイア
「フッ……フフフ…」
すると突然、首から上だけが残ったガイアが笑い声を上げた……
エル
「こいつ…! まだ生きているのか…!?」
エルは思わず振り返り、ガイアの生命力に驚愕していた。
ガイア
「フハハハ……フハハハハ!!!」
それを他所にガイアは更に大きな笑い声を上げる。
マタドーラ
「てめえ……何がそんなに可笑しい!!」
マタドーラは激しく問い詰める。
そしてガイアはこう言った。
ガイア
「"負けていたかも知れない"? 自惚れんなよ!? さっきのはほんの小手調べだ!! てめえは"俺と戦った時点"で負けが確定してたんだよ! フハハハハ!!」
エル
「な…!? どういう意味だ!」
エルはガイアの言葉に動揺し、どういうことだとガイアに問い詰める。
ガイア
「すぐに分かるさ!! てめえ……いや、てめえらは相手が悪かったって事がな!! フハハハハハ!!」
そしてガイアがその言葉を言い終えた瞬間、ガイアの頭は謎の光を発し始めた……
ガイア
「フハハハハ!! いいか!? "俺は必ず戻ってくる!!" 楽しみにしてな!! フハハハハ!!」
ガイアはそう言い残し、ガイアの頭は激しい閃光と共に爆発し、跡形もなく消え去った……
残ったのは、ガイアの胴体だけであった。
エルたちはガイアの残した意味深な発言が心残りでしょうがなかった。
エル
「俺は必ず戻ってくる…? あれは一体どういう意味なんだ……?」
キッド
「分からねえ……だけど、すげえイヤな予感がするぜ…」
キッドは自分の感じている違和感を隠せないようであった。
王ドラ
「とにかく、今はドラえもん達の事が先決です。急いでのび太さん達を追いかけましょう!」
エル
「………そうだね」
そしてエルたちは走り出した……
ガイアの残した言葉の意味を知らずに……
あっさりと死んでしまったガイアですが、彼がこんな所で終わる訳ではありません……
それでは、また次のお話で!!