ドラえもん のび太の大魔境 second season 〜もう一つの伝説〜 作:田舎者
「ドラえもん! 誕生日おめでとう!!」
ドラえもん
「みんなありがとう! えへへ……」
ジャイアン
「よし! お祝いに俺の新曲を披露するぜ!!」
一同
「なにぃー!!??」
ジャイアン
「ホゲェ〜!!」
えー、改めましてドラえもん、誕生日おめでとうございます!!
それでは始まります! じゃあ皆さん! タイトルコールを!
一同
「ドラえもん のび太の大魔鏡 second season!!」
サベール
(くそっ…! 今ので左肩がやられた…!! 脳にも少なからずダメージがあるな……)
サベールはザンダクロスのコックピットへの攻撃に成功し、攻撃の手を緩めていた……しかしその直後、サベールは一瞬で優勢から劣勢に追いやられてしまった……
一時は沈黙したかと思われたザンダクロスが再び動き出したかと思えば、
ザンダクロスはコックピット周辺にしがみついていたサベールを掴み、地面に勢いよくサベールを投げつけたのである…。
そのザンダクロスの動きは、先程とは比べ物にならない程荒々しくなっていた。
受け身もままならない程の強烈なザンダクロスの投げは、サベールの左肩を完全に砕き、彼の脳を激しく揺らすまでに至ってしまった……
しかもその際、サベールの握り締めていた剣は、投げられた衝撃によってサベールの手元から十数m程離れてしまったのである……
サベール
(とにかく……ここに膝を着いたままではまずい…! 直ぐに移動しなくては…)
グッ!
サベールは脚に力を入れ、なんとか立ち上がろうとする。
しかし……
サベール
「うっ…!」
ガクンッ!
一度は立ち上がれたサベールであったが、その後直ぐにサベールは苦しそうに頭を抑え、再び地面に膝を着いてしまった……
サベール
(…!! 脚すらも動かんか…!!)
そサベールは先ほどの攻撃で脳を揺らされてしまった。
脳を揺さぶられると人は平衡感覚を失い、自らでは立とうと思っていても脚が言うことを聞かないのだ。
何度もサベールは脚に力を入れるが、一向に立ち上がれそうな気配はない。
ジュド
「許さない…! 許さない…!! 絶対にお前だけは許さない!!!」
リルルがサベールに攻撃を受けた事に激昂したジュドは、サベールに対して強い憎しみを抱いていた。
その表情は醜いまでに歪み、まだ目は少なからず涙で潤っていた……
ジュド
「これで終わりにしてやる…!!」
ザンダクロス
「ーーー!!!」
グォン!!
するとジュドはザンダクロスに指令を出した。
そして指令を受けたザンダクロスの左腕はサベールの方へ向いた。
先程のバルカン砲を発射するつもりなのである。
サベール
(!! 急がねば…! ここで終わる訳にはいかない…!)
サベールはまだ諦めていない。
だが何度も立ち上がろうとしたが、立てない……
サベール
(動け…! 動け…! 動いてくれ…!!)
サベールはそう何度も念じた。
それでも、サベールが立ち上がる事は無かった……
サベール
「…………ここまでか……」
そしてサベールは自らの敗北を認め、地面に顔を伏せ、ひたすらに死を待った。
しかし…!
サベール
「……?」
不思議と、ザンダクロスの攻撃が始まらないのである。
サベールは不思議に思い、伏せていた顔を上げた……
サベール
「何が………起こっている…!?」
サベールはとても驚きが隠せないようであった。
その訳とは……
ザンダクロス
「!!ーー!!ー!」
グググググ
ジュド
「くそっ! 何なんだこれは…!!」
ザンダクロスの挙動が明らかにおかしいのである。
何故かサベールに向けられたザンダクロス左腕が下がりつつあるのだ。
それだけではない。ザンダクロスの体は金縛りにあっているかのように小刻みに震え、まったく身動きが取れていない状態だったのである。
ジュド
「何でだ…!? 何故言う事を聞かない!!」
ジュドは必死にザンダクロスに指令を送り出すが、ザンダクロスは動かない。
そしてその現象を引き起こした者たちは、その後直ぐに現れた……
???
「相手ストッパーー!!!」
相手ストッパー…その機械に声で指令を出すと、特定の物体を無理矢理停止させる事が出来る。
サベール
「!!!」
サベールはハッとしたようにその者たちを見た。
ドラミ
「のび太さん! スネ夫さん! 今のうちに静香ちゃん達を!」
のび太&スネ夫
「任せて!!」
サベールの窮地に現れた者たち。
それは22世紀から駆けつけた、ドラミとのび太、そしてスネ夫であった……
サベール
「……なるほど……そういう事か」
のび太
「静香ちゃん! 静香ちゃん! しっかりして! 意識はある!?」
のび太は地面に倒れ込んでいた静香に駆け寄り、必死に肩を揺らして彼女の意識の確認をした。
静香
「のび太……さん……? ……来てくれた…のね……」
意識が混濁していた静香であったが、自分に駆け寄ってきた相手がのび太だと分かると、彼女は精一杯の笑顔を見せた。
のび太
「静香ちゃん…! 良かった…! 僕……静香ちゃんの事が心配でしょうがなかったんだ…!」
静香
「ふふふ………大丈夫よ…。私は……こんな事で死んだりなんかしないから……。」
半泣きで静香に接するのび太であったが、静香は笑顔のままのび太に受け答えをした。
するとのび太の顔にも笑顔が戻った。
のび太
「ははは、やっぱり静香ちゃんは強いなあ。…じゃあ静香ちゃん、とりあえず一緒にあの集落まで行こうか…。」
静香
「ええ……。」
のび太
「よいしょっと…!」
そしてのび太は静香をおぶり、ノシノシとゆっくりであるが、集落まで歩き始めた……
スネ夫
「ドラえもん! 大丈夫かい!?」
一方スネ夫はドラえもんに駆け寄っていた……
ドラえもん
「僕は怪我もないし問題ないよ…。僕よりは……ジャイアンを頼むよ…。」
スネ夫
「……え?」
するとドラえもんは、門の近くに座り込み意気消沈としているジャイアンを指差した。
スネ夫はそんなジャイアンの様子を見ると、一瞬だけジャイアンを哀れむような表情をしたが、直ぐに毅然とした表情を取り戻した。
スネ夫
「………分かった、ジャイアンは僕に任せて。ドラえもん、君も休んだ方がいいね。」
スネ夫はドラえもんとジャイアンの身を案じて言った。
ドラえもん
「ごめん……ありがとう。」
そしてドラえもんは顔を伏せながら、スネ夫に礼を言った…
ドラミ
「サベールさん……だったわよね?」
ドラミはザンダクロスを相手ストッパーでホールドしたまま、サベールの下に降り立ち、サベールに声をかけた。
サベール
「ああ、………見ない顔だな。聞くが、お前は何者だ?」
ドラミ
「私はドラミ。あそこにいるドラえもんの妹よ。」
ドラミはドラえもんを指差した。
サベール
「そうか……ひとまず礼は言っておこう。」
ドラミ
「どういたしまして…。それはともかく……まずは奴をどうにかしないといけないわ。」
ドラミはザンダクロスの方に目をやった。
サベール
「……そうだな。…奴が今動けない要因はお前によるものなのか?」
ドラミ
「そうよ。とりあえず動きは封じているけど……あと3分が限界ね…。」
ドラミはそう言うと、自分が握っていた相手ストッパーに視線を移した。
相手ストッパーの効果は絶大ではあるのだが、その強力さゆえ、内蔵バッテリーの消耗が激しく、長持ちしないというのが難点として挙げられているのである。
サベール
「3分か……考えてる暇はないな。手を貸せ。今の内に早急に奴を叩くぞ。」
そうサベールはドラミに対して言った。
しかし……
ドラミ
「あなたはいいわ、奴は……私達だけでなんとかする。」
ドラミはサベールの怪我を見て、彼の気を遣うように言った。
サベール
「ふざけるな。 奴はお前たちだけでどうにかなる相手ではないんだぞ。」
サベールはドラミの言葉に憤慨する。
ドラミ
「だけど…そんな体で戦いを続けたら…あなただって死んでしまうかも知れないのよ…?」
ドラミはサベールの身を案じたつもりで言った。
しかし……
サベール
「私にも誇りがある。敵を目の前にしてこのまま引き下がるなど……私には出来ん…!」
ドラミ
「そんな事言ったって……あなたが死んでしまったら元も子もないじゃない!」
サベール
「私が死のうが知った事ではない。問題は奴を止められるかどうかだ!」
一向に引き下がる気配のないサベールであったが、ついにドラミは痺れを切らし、強行手段に出た……
ドラミ
「…………ごめんなさい。」
カチッ バンッ!
ドラミはそう言うと、ポケットから「ドリームガン」を取り出して弾を装填して撃鉄を起こし、引き金を引いてサベールの頭に命中させた。
ドリームガン……実弾の代わりに相手の眠気を誘う弾丸を発射することの出来る回転式拳銃。弾丸の効き目はそれぞれ段階分けされており、一番効果のある弾丸は、食らった相手が丸一日眠り続けるほどである。
サベール
「な……!!」
バタッ
食らえば1時間は眠り続ける弾丸を受けたサベールは、為す術なく地面に倒れ込み、気を失ってしまった……
ドラミ
「少しの間、眠っててちょうだい……」
そう言うとドラミはドリームガンをポケットにしまった。
そしてそれと同時に、ドラえもんらを避難させたスネ夫とのび太がドラミの下へ駆け寄ってきた……
ドラミ
「スネ夫さん! のび太さん! お兄ちゃん達はどうだった?」
のび太
「 静香ちゃんは無事に集落まで避難させといたよ。脚の骨が折れてるみたいだから…今は安静にしてるよ。」
スネ夫
「ドラえもんとジャイアンは特に怪我も無いようだし何とか大丈夫そうだよ…。……さて、そろそろ奴を片付けないとね…。」
スネ夫はザンダクロスに目をやった。
ドラミ
「そうね……そろそろ相手ストッパーの効果が切れる頃だわ、2人とも、簡潔に私の考えた作戦を説明するからよく聞いていて……。」
のび太
「分かった。」
スネ夫
「オッケー。」
そしてドラミは自らが考案した作戦の説明を始めた……
ドラミ
「まずあの装甲……私達の持っている道具では絶対に太刀打ち出来ないわ。だから外からではなく……中から切り崩しに入るわよ。」
のび太
「中からだって?」
スネ夫
「一体どうやって…?」
ドラミの発言に疑問を抱くのび太達であったが、ドラミは続けた……
ドラミ
「…『天才ヘルメット』と『技術手袋』を使って……ザンダクロスの機体の中に張り巡らされている電子回路をシャットアウトし、無理矢理活動を停止させるのよ。」
ドラミの考えた作戦。
それは、まずドラミとのび太が2人がかりでザンダクロスの注意を引く。
そして残ったスネ夫はザンダクロスの死角からザンダクロスの首の辺りまで接近し、天才ヘルメットと技術手袋を使ってザンダクロスの電子回路を切断するという物である。
ドラミ
「あれほど複雑な動きを可能にするロボットよ、必ず頭と胴体とを繋ぐ中枢回路が存在している筈だわ。」
一見シンプルな作戦だが、注意を引く2人はザンダクロスの攻撃を受ける可能性もあり、スネ夫に至っては、揺れるザンダクロスの機体にしがみつきながら破壊工作をしなければならないというリスクの大きい作戦だ。
4年前ののび太達なら尻込みをして「こんな作戦無茶だよ」などと言っていたかも知れない。
しかし、今は昔とは違うのである……
スネ夫
「………分かった。やってやろうじゃないか。」
スネ夫はニヤリと笑いながら言った。
のび太
「囮なら任せてよ! ジャイアンから逃げまくって鍛えた僕の逃げスキルを見せる時が来たみたいだね…!」
それは鍛えたと言えるのか……。
ドラミ
「うふふ、やっぱり頼もしいわね……2人とも。」
そんなのび太達を見て、ドラミは心底楽しそうに笑みを浮かべた……
ドラミ
「お兄ちゃん達が決死の覚悟で奴から右腕を奪ってくれたの……それを絶対に無駄にしないわよ!!」
のび太&スネ夫
『うん!!』
そして場所はザンダクロスのコックピットの中。
ジュドは身動きのとれないザンダクロスの機体をなおも動かそうと命令を出し続けていた。
ジュド
「動け!! 動け!! 動けよ!!」
ジュドは ドンッ ドンッ と、自分の座っているコックピットの台を叩かながら言った。
ジュド
「リルルの……仇を討つんだ!! こんなとこで止まってなんか居られるか!!」
ジュドはいたすら怒りを剥き出しにしていた。
そして……
ジュド
「あああああああ!!!」
ザンダクロス
「ーーー!!!」
ブォン!!!
ジュドがそんな叫び声を上げると同時に、ドラミがザンダクロスに対して使用していた道具、相手ストッパーの効果が切れ、ザンダクロスは空を仰ぐように大きく腕を上げた。
ジュド
「やっと動けるようになったか………さて……。」
そしてジュドは怪しい笑みを浮かべた。
ジュド
「……行こうか。」
収まることを知らないジュドの怒り。
それは既に頂点に達しつつあった……。
ザンダクロス
「ーーー!!」
そしてザンダクロスはのび太達へ向かって歩き始めた……
リルル
「……………」
ジュドはその時気付かなかった。
ジュドの後ろで横たわっていたリルルの指が、微かだが動いていた事に……。
リルル
「とんだリサイタルだったわね…」
ジュド
「そうだね…」
スネ夫
「でもやっと終わったよ……これで帰れる…」
ジャイアン
「おいお前ら、どこ行くんだよ?」
静香
「どこって……お家に帰るのよ?」
ジャイアン
「次は俺の新アルバムの発表があるんだぜ!? 特別に全曲歌ってやるぜ!!」
一同
「なにぃーー!!??」
ジャイアン
「ホゲェ〜!!」