その瞳の先に   作:天星

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二年目 二学期

 二学期が始まった。

 

 二年生は修学旅行がある。行先は京都だ。

 

「すっごく楽しみだねエリリン!」

「んだ! とっても楽しみだっちゃ!」

「雨にならないようにてるてる坊主たくさん作っとかないと!」

「んだんだ!」

 

 エリリンこと鳴瀬さんがすっごく楽しみにしている。

 その外人さんっぽい見た目に反して、あるいは見た目相応に日本文化に並々ならぬ興味を日ごろから示している鳴瀬さんだ。まさに『和』という京都は彼女にはピッタリの旅行先だろう。

 

「京都と、あと奈良もだな。鹿せんべいを食う奴が居ないか少し心配だ」

「アレって鹿の餌だろ? そんなヤツは流石に居ないだろ」

「どうだかな。隣のクラスの前田(まえだ)とかはうっかり食う気がしないでもない。

 あと、食いしん坊の柳とかも怪しいな」

「ちょっと!? 流石の私でも鹿さんのおやつは食べないよ!?」

「そうか。なら良いんだが。

 あ、そうだ学。鹿せんべいって実は美容に良いらしいぞ。イケメンになって女子にもモテるかもな」

「なっ、何だとぅ!? ダース単位で! いや、グロス単位で食わねば!!」

「嘘だ」

「…………だ、騙したなぁっ!?」

「ああ。騙されて食う奴はそれなりに出てきてもおかしくないな……」

 

 鹿せんべいかぁ……一応食べても害は無いらしいけど、食べる物じゃないね。

 私たちが奈良公園に行ったときは普通にあげるとしよう。

 

 

 

 

 という訳で当日。

 五日間の日程のうち初日は移動だけで終わる。

 

「私たち、同じ部屋みたいだね。五日間よろしく!」

「よろしくね! 目いっぱい楽しもうっちゃ!」

「うん、よろしく!」

 

 三人部屋で同室になったのは富美子ちゃんと鳴瀬さんだ。

 仲のいい人で良かった。これならあんまり気を使わなくて良さそうだ。

 

「それじゃ、今日はもう休もうか。

 明日から楽しむ為に!」

「んだ!」

「楽しみ過ぎて眠れるかなぁ? ……すやぁ……」

 

 富美子ちゃんは楽しみ過ぎて疲れてたのかあっさりと眠りに落ちた。

 私たちも寝よう。うん。

 

 

 

 

 そして二日目。今日はクラス単位での行動となる。

 

「はぁ~……」

「鳴瀬、感動して声も出ないようだな」

「当たり前だっちゃ! 清水の舞台、和の心の真髄だっちゃ!」

「楽しそうで何よりだ。あ、そう言えば知ってるか? この舞台って釘を一本たりとも使用せずに組んでるらしいぞ」

「勿論知ってるっちゃ。日本の和の心は素晴らしい技術に支えられてるっちゃね」

 

 彼と鳴瀬さんがうんちくを語りあっている。彼の知識は底無しだ。

 …………ん? ちょっと待って?

 

「あの、ここって釘使ってないの?」

「ああ。そうらしいぞ」

「だ、大丈夫かな? く、崩れたりとかしないよね!?」

「そうだな……あり得ないとは言わないが」

「ええっ!? どどどどうしよう!」

「ははは。まぁ、テロリストに爆撃でもされない限りは大丈夫だろ。この地震大国で数百年無事だったんだ。まず問題ないさ」

「そ、そうだよね……もぅ!」

 

 

 そんな感じで、二日目の観光は終わった。

 

 そして三日目……ではなく二日目夕方。

 

「うーん……どうしようかなぁ……」

 

 明日は奈良方面を自由に見て回る予定になっている。

 私が悩んでいるのは『誰と見て回るか』という事だ。

 富美子ちゃんたちは二人で観光して回る予定らしい。別に着いていっても良いんだけど……う~ん……

 そんな事を考えながら歩いていたせいか、うっかり人とぶつかってしまった。

 

「うわっと、ごめんなさい」

「気にするな。そっちこそ怪我は……うん?」

「あれ?」

 

 顔を上げて目の前に居たのは、例の彼だった。

 あれ? 何かデジャブだ。一年くらい前にも同じことがあったような?

 

「そうだ、丁度いい。明日ヒマか?」

「ヒマ……いや決してヒマではないけど……もしかして、また?」

「ああ。学の奴の煽りがまた鬱陶しかったんで顎を揺すって気絶させてきた」

 

 以前……去年の文化祭の時よりも報復が過激になっている気がする。小林くんは大丈夫なんだろうか?

 

「大体把握してくれているのなら話が早い。また一緒に回ってくれないか?」

「それは別に良いんだけど……小林くんは大丈夫なの? 気絶するって相当だと思うけど……」

「まぁ、大丈夫だろ。多分」

「そ、そう……ちょっと心配だから一応見てくるね。部屋ってどこだっけ?」

「ああ。こっちだ」

 

 その後、本当に大丈夫そうだったけど一応応急手当しておいた。

 彼は大丈夫なように計算ずくで気絶させていたのだろうか? きっとそうなんだろうな。

 

「鮮やかな手際だな。応急手当をかじっているのか?」

「うん。私、将来は看護師さんになりたいんだ。

 だから、こういう事も勉強中」

「看護師ねぇ……お前さんなら医者になる事も決して夢物語では無さそうだが」

「ええっ? 私がお医者さん? そんなの無理だよ」

「そうか? まぁ、医者と看護師だと似てるようで色々と違うからな。好きな進路を選べば良いさ」

「買いかぶり過ぎだと思うけどなぁ……」

「ま、気が向く範囲で手助けしてやろう、処置の実験に優秀なモルモットが居るからな」

「いや、小林くんをモルモット扱いしちゃダメだよ!?」

「ははっ、冗談だ」

 

 ホントかな……? 少し不安だ。

 まあとにかく、そういう訳で3日目は彼と一緒に回る事となった。

 

 

 という訳でやってきました奈良公園! 鹿さんがいっぱいだ。

 

「知っているか? この鹿たちは飼われている訳ではない。あくまでも奈良公園内に生息する野生の鹿だ」

「え? そうなんだ」

「ああ。人間と野生動物がこんな近い距離で上手い事共生しているという稀有な例だな。

 ただ、あくまでも野生生物である事に変わりはないから注意が必要だ。例えば……」

 

 と、彼がそこまで言った所でこんな叫び声が聞こえてきた。

 

「暴れ鹿だ! 暴れ鹿が現れたぞ!!」

「……野生動物に過ぎないから人を襲う個体も居るという訳だな」

「え、襲、え? いや、そんな冷静にコメントしてる場合じゃないよ!?」

「安心しろ。伊達に放送部と生徒会のエースはやっていない。あんた一人を逃がす時間くらいは余裕で作れる。

 ここで食い止めておくから怪我しないうちに逃げてくれ」

「うん! ……っていやいやいやいや、キミはどうするの!?」

「さっきも言ったはずだ。エースの名は伊達ではないと」

「伊達でしか無いよ!? キミが強いのは知ってるけどわざわざ怪我する危険を冒す事は無いよ! 一緒に逃げよう?」

「……ま、それもそうだな。ただ、追いつかれてしまったらオレの事は気にせず逃げてくれ。足手まといだ」

「まったくもう……それじゃ、急いで逃げよう!」

 

 足手まといだなんて強い言葉を使ったのは私を心配してくれての事なんだろうな。

 そんな事を考えながら私たちは無事に奈良公園から脱出したのだった。

 

 

 

 

「ふぅ、ここまで来れば大丈夫だね」

「そのようだな。ふぅ、少し疲れた」

「大丈夫? 怪我とかしてないよね?」

「それはこっちの台詞だ。

 ……そんな台詞が出てくる時点で大丈夫そうだな。お互いに」

「そうみたいだね。

 あ、そうだ。今日はこんなになっちゃったけど……明日も一緒に回ってくれる?」

「それもこちらの台詞だ。そもそも学が鬱陶しいからオレがあんたを誘ったんだからな」

「あはは、そうだったね。それじゃあ明日も宜しく!」

 

 

 

 

 四日目。

 

「移動を除けば今日で最終日だな。お土産でも買うか。あんたは何を買う?」

「そうだね~。八つ橋かな」

「無難だな。やはり菓子類はお土産として普通に優秀だ。

 形に残る物も良いが、日常生活を考えると完全に邪魔だからな」

「相変わらず現実的だなぁ……ところでキミは何を買うの?」

「八つ橋と奈良漬けと木刀だ」

「三つも!? ……いや、ちょっと待って? 木刀? 思いっきり形に残るんじゃ……?」

「木刀の素振りはそれなりに優秀な筋トレになるんだぞ? 実用性があるならセーフだ。

 それに、常日頃から振り回す事に慣れていれば昨日のシカみたいなのに襲われても多少は安全に立ち回れる」

「あんな事はそうそう無いと思うけど……」

「備えあれば憂いなしだ。どうする? あんたの分も買うか?」

「いやいや、私はいいよ」

「そうか。ちなみに知っているか? 完全に脱力した人体の足とかは結構重い事を」

「看護師として筋力は必要だって言いたいのは分かるけど、筋トレしたかったら別の方法もあるし」

「それもそうだな」

 

 一昨日にサラッと言っただけの私の夢を話題に絡めてくるとは。見習いたい話術だ。

 『看護師』という観点からも患者さんとしょっちゅう話す事になると思うし、鍛えておいて損は無いだろう。

 帰ったら弁論能力を底上げ……これは自分で頑張らないと。つぐみにも彼にも頼る事はできない。私が欲しい弁論は相手を吹っ飛ばす類のものではないから。

 

 

 

 五日目。

 

「到着! 五日間楽しかったね!」

「そうだな。あんたのおかげで助かったよ」

「いや、むしろ私の方が助けてもらったような」

「じゃ、お互い様という事で」

「そうだね! あ、でもまだ修学旅行は終わってないよ!

 家に帰るまでが修学旅行です! な~んてね」

「そうだな。浮かれて車にでも轢かれたらシャレにならん」

 

 そんな言葉がフラグになった……なんていう事も無く、私たちは無事に帰宅した。

 楽しかったな、修学旅行。でも今年しかやらないんだよなぁ。来年もあったら良かったのに。

 そしたらまた彼と二人で回って、そして……どうするんだろう?

 ……無い事を考えててもしょうがないか。また週明けから学校生活頑張ろう!

 

 

 

 

 修学旅行が終わったらひと月も経たないくらいの次期に文化祭がある。

 去年は何の出し物もない帰宅部だったから楽だったけど、今年からは運営する側である生徒会として頑張らないと。

 

「う~ん……」

「どうしました皐月先輩?」

「この書類、締め切りが今週末なんだけどまだ一部のクラスが出ていないの。ちょっと様子を見てこないとと思って」

「それくらいだったら私が行きますよ! どこのクラスですか?」

「気持ちは嬉しいけど三年生のクラスだから。下級生が書類の催促に行くとトラブルになりかねないからやっぱり私が行くわ」

「そうですか? う~ん、でも会長が直々に催促しに行くって言うのも角が立ちませんか?」

「そうなのよね。だけど何もしない訳にもいかないから」

 

 会長である皐月先輩以外の先輩が居れば良いのだけど、今はちょっと皆席を外してる。

 どうしたものかと悩んでいたら彼が声を上げた。

 

「だったらオレが行きますよ。要は意図的にサボってる奴が居たらぶっ飛ばせば良いんでしょう?」

「いえ、ぶっ飛ばしたらダメだからね? あくまでも書類を出すように促すだけよ」

「分かりました。じゃあ行ってきます」

「あ、ちょっと! ……仕方ない。あなた、彼がやりすぎないように見てきてくれるかしら?」

「私に止められるかなぁ……行ってきます」

 

 なお、例の書類が出てないクラスは単純に忘れていただけだったらしい。彼と二人で普通に感謝された。

 結果的にはあんまり深く考えずに突っ込んだ彼の行動は正しかったらしい。

 

 

 

 そんなこんなで文化祭当日。

 去年は彼と色んな所を回って楽しかった文化祭。今年は……

 

 ……メッチャ忙しいです……

 

「お化け屋敷の暗幕が破れました! 予備下さい!」

「暗幕? えっと……」

「別に明るくても良いんじゃないか? お化け屋敷なんて」

「ダメだからね!? えっと……音楽室のヤツを借りてこよう!」

 

「化学部の部室で異臭騒ぎが! 誰か生徒会の人来てください!」

「えっ、いや、換気するだけじゃダメなの?」

「あの郡山先輩がやらかしたのか、それとも先輩すらも手を焼いている有様なのか……

 どちらにせよ手助けが必要なのは確かだろう」

「そ、そっか……じゃあ行こう!」

 

「大変だよ! 放送機材が壊れちゃった!!」

「富美子ちゃん!? そ、それ一大事なんじゃ!?」

「生徒会室にはサブの放送機材が置いてある。しばらくそっちで凌いでくれ。

 皐月先輩! 業者呼んでおいてください! オレは一応機材見てみます。

 もしもし前田か? 暇なら放送室に来て手を貸してくれ!」ダダダッ

 

「大変です! 漫研部の人が原稿を落としました! 作品ができてません!」

「今言う事それ!? もっと一週間前とかに分かるものじゃないの!?」

「『明日には完成する』と一週間前から言っていました……」

「ど、どうしよう……」

「空いたスペースにはネームでも飾っておけ。制作過程の漫画の資料という事でそれなりに需要はあるだろ。

 ……まさか漫研部全員がサボっているなんて事は無いだろうな?」

「それは無いので大丈夫です! 行ってきます!」

 

「吹奏楽部で使う予定の楽器が根こそぎ壊れました!!」

「えっ!? な、何があったの!?」

「なんでも加湿器が壊れて異常に加湿してしまっていたとか」

「替えの楽器……よし、プログラム書き換えて吹奏楽部をなるべく後回しにするぞ」

「後回しにしたくらいで替えの楽器間に合うの?」

「全部アカペラでやってもらう。替えの楽器は部員の喉だ」

「ええっ!? 流石にそれは無茶なんじゃ……」

「それ以外の楽器が用意できない以上はその無茶を押し通してもらうしかない。

 もしもし響野(きょうの)。編曲の仕事をしてくれないか? 金管楽器向けの曲をアカペラ風にしてくれ。1時間以内に」

 

「手を貸して! 文芸部でラッパーが乱入してきて喧嘩売ってきたのよ!」

「つぐみ!? 何事!?」

「何か『YO~』とか『RO~』とか変な語尾の奴が私たちの作品をバカにしてきたのよ!! とっちめてやらないと!!」

「語堂、お前が弁論で後れを取ったというのか?」

「そういう訳じゃないけど、全力を出すと部室が無事じゃ済まないから……」

「そういう事であれば仕方ないな。

 もしもしカイ、手を貸してくれ。場所は文芸部の部室だ。騒いでるバカをぶっ飛ばすぞ!」

 

 

 ……あの、忙しすぎないかな? 文化祭ってこんなにもトラブルまみれの物だったの?

 

「皐月先輩、どうなんでしょう?」

「ここまでトラブル続きな文化祭は私も初めてね。事前準備も抜かりは無かったはずだから単純に運が悪かったわね」

「うぅぅ……来年は普通だといいなぁ……」

 

 

 こうして、一抹の不安を残して文化祭は終わった。

 あ、トラブルの類は彼やその友達が奮闘して何とかなったらしい。生徒会以外はそれなりに平和な文化祭になったみたいだ。

 ……あ、そう言えば普通に見て回る事できなかった。忙しかったから仕方ないかな。

 

 

 

 

 

 もうしばらくしたら生徒会選挙の時期だ。

 私たちの任期は卒業までだからまた選挙するような事は無い。ただ、新しく生徒会役員になってくれそうな人を探さないといけない。

 しつこいようだけど任期は卒業までだ。つまり下手な人を選ぶと卒業まで一緒に仕事する事になる。いやまぁ、下手な人を選んでも信任投票で弾かれるとは思うけど。

 そういう訳で大事な仕事だ。主に私たちの仕事量削減の為に。

 

「結構候補者が集まってきたかな。選挙に出てくれるかどうかまではまだ分からないけど」

「オレ達は二人だけだったというのにな。後は信任投票をパスできるかだが……まぁ、心配してもしょうがないか」

「そうだね。信任投票はその人次第だもんね。私たちが投票を操作する訳にもいかないし」

「……その手があったか」

「ちょっと!?」

「ははは、冗談だ」

「冗談に聞こえなかったんですけど……?」

 

 そんな会話をしていた時、皐月先輩から声がかけられた。

 

「二人とも、ちょっと良いかしら?」

「はいぃっ!? と、投票の操作なんてしませんよ!? 彼が勝手に言ってただけです!!」

「おい。オレを売るな」

「ふふふ、その事じゃないから安心して。

 選挙が終わると同時に私の生徒会長としての任期も終了するの」

「え、そうだったんですか? 役員の任期が卒業までだから会長も同じだと思ってました」

「それだと新年度になる時に大変だから。

 それで、次の生徒会長なんだけど……」

 

 生徒会長かぁ……まぁ、順当に考えて彼だよね。前回の文化祭では八面六臂の大活躍だったし。

 

「次の生徒会長は、あなたにお願いするわね」

「だってさ」

「…………えっ、わ、私ですか!? どうして!? 彼ではなく!?」

 

 私だった。あれ? 夢でも見てる?

 ほっぺをつねってみる。痛い。

 

「確かに彼は凄いわ。だから、事前に相談してみたんだけど……」

「会長なんて役職に就くよりもヒラの方が自由に動けてやりやすい。

 他に誰も居ないなら仕方ないが、会長というのは会長である事を生かせる奴がやるべきだ」

「……という感じの事を言われたわ」

「いや、でもその条件私に当てはまります?」

「十分だろう。やる気は人一倍あるんだから。

 少なくとオレみたいな変人よりは人を引っ張っていける能力はあるだろう」

「……という感じよ」

「あの……もしかして、彼の推薦ですか?」

「それもあるけど、最終的には私の判断よ。

 『この人だったら学校をより良くしてくれる』『この人だったら着いていける』

 そういう人が、あなたがなるべきよ」

「そ、そんな……わ、私に務まるでしょうか?」

「意外と何とかなるだろ。実務とかはできる奴に割り振れば良いんだから。

 お隣のひびきの高校のある時期の生徒会長なんかはとんでもない破天荒な奴だったらしいし」

「あの伝説の生徒会長はちょっと特例過ぎるけど……」

 

 破天荒な生徒会長? 一体どんな人だったんだろう。皐月先輩は知ってるみたいだけど。

 

「ん、気になるのか? 結構前の話だから多少脚色されてるかもしれんが……

 当時の校長とのコネで一年から生徒会長になった。

 合宿での事務仕事中に脱走し、役員たちが総出で探し回った。

 秋の大掃除をしてる傍らで校長と一緒に焼き芋をしていた。

 ……他にも色々伝説があるぞ」

「あの……それ実話? 私にやる気を出させる為の方便じゃないよね?」

「さっきも言ったように脚色されている可能性はあるが、オレが聞いたものからは脚色はしていないぞ。

 皐月先輩が完璧超人過ぎて生徒会長もそういうものだと思ってしまいがちだが、それだけが生徒会長という訳じゃない。

 あんたはあんたなりの生徒会長になればいいさ。オレもヒラ役員として手を貸してやる」

「う~ん……まだまだ不安だけど……分かった。頑張ってみるよ。

 先輩! 私、頑張ってみます!」

「ええ。宜しくね。

 会長は解任されるけど役員である事に変わりはないわ。いつでも頼ってね」

「はい!」

 

 という事で、生徒会長になった。

 正直なところ不安しか無い。けど、私を信じてくれた人が居るんだ。その人たちの為にも頑張らないと。

 

 

 

 

 そんなこんなで忙しく過ごしていたらもうテスト期間だ。

 しっかり勉強できたかって言われるとちょっと自信が無い。忙しかったから。

 それでも、やれるだけの事はやろう。そう決めてテストに挑む。

 

 そして結果がこれである!

 

国語数学理科社会美術

100100100100100

 

 ……うん、まぁ、様式美だからね。やっぱり彼の成績から見せないと。

 私の成績は……まぁ、前回よりは良かったよ。うん。

 

 

 テストが終わったらクリスマスがある。今年もあのパーティーに参加する予定だ。

 という訳でバッチリとドレスコードを決めて出かける。

 門のところまで辿り着くと去年の門番さんと、あと彼が何か話し込んでいた。

 

「あれ? こんな所でどうしたの?」

「ああ、あんたか。何かこの門番に『特別なパーティー』とやらに誘われててな」

「特別?」

「なんでも『Special(スペシャル)なパーティー』らしいんだが、どうにも胡散臭くてな」

「それだったら断って普通のパーティーに行けば良いんじゃ……?」

「ほら、怖いもの見たさってあるだろ?」

「う~ん……まぁ、気持ちは分からないでもないけど」

「ふむ……そうだ。門番、彼女を一緒に連れて行く事はできるか?」

「ええっ!? 私を連れてく気!?」

「ショウショウお待ちを。

 フーム……アナタと同伴であれば許可しまショウ!」

「ええええっ!?」

「マジか。断られる事前提だったんだが。

 どうする? 一緒に行ってみるか?」

「……断ったら、キミはどうするの?」

「……普通のパーティーに行くかな」

 

 どういう訳か私に決定権が委ねられてしまったようだ。

 確かに『特別なパーティー』というのも気になる。去年のパーティー以上に美味しい物が食べられたりする可能性も……いや、あれ以上があるのかな。

 ……悩んでてもしょうがないか。

 

「それじゃ、特別なパーティー、行ってみよっか」

「よし。そういう訳だ。案内してくれ」

「ワカリマシタ。それデハ、こちらになりマース」

 

 

 

 門番の人に案内されるがままに進んでいく。

 だいぶ進んで……結構地下の方に来たかな?

 一体いつ着くんだろう……

 そんな疑問を感じてしばらくして開けた場所に出てきた。

 広めの台座の上がスポットライトで照らされている。まるでプロレスか何かの試合会場みたいな……

 

「……僅かだが血の匂いがするな」

「え?」

「目の前のリング、血の匂い、そしてこの視線。

 戦いを見世物にしようって所か?」

「その通りデス! あなた方には、ココでセレブの為に戦って貰いマース!」

「ええええっ!? パーティー会場じゃなかったんですか!?」

「これもある種のパーティーだ。嘘は言っていないな。

 タッグマッチってヤツか。ま、二対一でも構わん。

 あんたは大人しくしててくれ。巻き込まないように注意はするがヤバそうだったら自力で何とか逃げてくれ」

「いやいやいやいや、ええええええ……?」

 

 そういう訳で戦いに巻き込まれる事になった。

 何を言っているのか分からないと思うけど私にも分からない。

 

「フゥ、持ってきておいて良かった。オレの愛剣、XIII(エクスかリバー)を!!」

「……あの、そんなのどこから持ってきたの?」

「文化祭の時に文芸部に絡んでたチンピラから巻き上げた」

「…………そっか」

 

 深くは突っ込まないでおこう。キリが無いから。

 

「この程度の連中には卍解を使うまでもない。喰らえっ!!」

「「ぐわぁぁぁぁ!!!!」」

 

 対戦相手の人たちが一瞬で散った。

 ……もう突っ込まないよ?

 

「オオ! マーヴェラス!! 流石は私ガ見込んだ筋肉デス!!」

「これで終わりか? なら急いで普通の方のパーティーに合流したいんだが」

「イイでショウ! あ、コチラがファイトマネーとなりマス!

 おヒトリにつき、100リッチです!」

「え、私も? 私何もしてないんだけど……」

「こんなのに巻き込まれた迷惑料だと思っておけばいいさ」

 

 大丈夫なのかな、こんな大金貰っちゃって。これは口止め料的なアレなのだろうか?

 ……このお金は大事に取っておいて、どうしようもなくなった時だけ使うとしよう。

 

 

 その後、門番の人の案内で普通のパーティー会場に到着した。

 時間の都合で最後の方しか参加できなかった。

 こういう怪しい話には金輪際近づかないようにしよう。その教訓はきっと何よりも価値のあるクリスマスプレゼントだった。

 ……そう思わないとやってられないよ。ぐすん。






 ・修学旅行 概要
 2年生2学期の始めに行われるイベント。
 行先は『京都・奈良』か『ハワイ』の2択。何と主人公が当日に選択できる。
 (あくまでもメタ的な話。作中では事前に決まっていたのを主人公が当日朝に思い出すという体で進行する)
 あくまでも2年生が参加するイベントなので先輩や後輩は参加できない。勿論他校生も。
 筆者としては行先はどっちでも良かったが、鳴瀬さんが居るので折角だから京都にしておいた。

 ・修学旅行 1日目
 移動のみ。特に特筆するイベントは無い。

 ・修学旅行 2日目
 クラス単位での行動となり、同じクラスの女子と話すイベント。
 該当者に爆弾が点灯している場合は学と正志が出てくる。地味にレアなイベントと化す。
 システム的には『クラスメイトの女子』は立ち絵があるキャラは1名のみなので少々寂しい。本作みたいに複数の女子が出てきてくれてもいいのに。

 ・修学旅行 3日目
 自由行動。修学旅行の参加者の中で最も好感度の高い女子から一緒に回る誘いを受ける。無論、断る事もできる。
 断った場合は改めて他の女子を誘う事になる。無論、断られる事もある。因果応報である。
 女子と行動できた場合は観光中に敵に襲われる。何を言っているか分からないかもしれないが、前に言ったようにときメモ世界は生徒会長がメテオをぶっ放すようなイカれた世界なので問題なく対処可能。

 ・修学旅行 4日目
 3日目で一緒に回った女子と別の場所を観光する。お土産のチョイスに3択の選択肢が出てくる。まともな回答をすると評価が上がる。
 更に、その女子の評価が『ときめき状態』の場合は夜に女子の部屋にお邪魔するイベントが発生。先生の巡回の目から逃れる為に布団を被ってやり過ごす。そしてその際に女子と密着するというギャルゲーらしいイベント。
 なお、テストプレイ時は星川さんがまだときめいていなかったのであえなくカットされた。流石に他の女子からの爆撃に晒されながらデートも無しにこの時期にときめかせるのは少々厳しい。
 主人公の特技を女子と仲良くなるように特化させてやれば何とかなる気がするが、パラメータ厨には厳しかった。
 (具体的には『友情の誓い』『清廉潔白 or 火消し人 or 火消しの匠』『祝福』『ときめく挨拶』『鉄板』『優等生』といった組み合わせなど。他にも有用そうな特技はある。
  なお、実プレイでも『祝福』『鉄板』『優等生』は付けていた。パラメータの為に)

 ・修学旅行 5日目
 移動のみ。



 ・前田さん
 同級生の運動系少女。本話では名前のみ登場。
 実家が機械屋をやっているのでメカには結構強い。放送機材に強いかは分からないが一応呼んでみた。
 ゲーム中で遭遇するにはサッカー部で活動するか一定以上の運動パラメータが必要。この主人公なら普通に会えてる。

 ・響野さん
 同級生の音楽系少女。本話では名前のみ登場。
 絶対音感の持ち主であり、学生でありながら既に音楽の仕事をしている。かと言って無茶な編曲を1時間でできるかは謎だが。
 ゲーム中では一定以上の芸術パラメータが必要。この主人公なら余裕。

 ・龍光寺さん(カイ)
 同級生の不良少女。本話では名前のみ登場。
 物理的な戦闘力はピカイチ。実家に反発しているので主人公もあえて名前で呼んでいる。
 ゲーム中では全能力が一定以上必要。この主人公なら楽勝。

 なお、本作の主人公はこの時期には都子さんを除いて攻略ヒロイン全員に会っている設定。
 (正確には文通相手であるハルちゃんには会っていない)
 都子さんの王子様はこんな原作主人公もどきではなく原作主人公であるべきだと思うので。
 携帯番号とかはこの主人公のコミュ力なら自力で入手できそうだし。


 ・クリスマスの特別なパーティー
 運動のパラメータが一定以上あると招待されるパーティー。断って普通のパーティーに参加する事もできる。
 どちらか片方しか参加できないので注意。
 セレブの見世物になる為に戦う事が強いられる。1年目と2年目は普通に人間が相手だが、3年目はクマと戦う事になる。
 無事に勝てればバイク1台買えるくらいの大金が手に入る。

 どうでもいいことだけど『ばんかい』と打って一発で『卍解』と出る事にビビった。流石と言う他無いですね。




 おまけ 『彼女』のテスト成績 2年目2学期

国語数学理科社会美術順位
858178817658

順位は同学年の『200名』からの順位
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