電子妖精のMasquerade!   作:はめるん用

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⑨主人公と正々堂々は相思相愛。

「……稲村、銀星です。よろしくお願いします」

 

「伊瀬天成だ。お手柔らかに頼むよ」

 

「……オレは」

 

「うん?」

 

「伊瀬さんは強い。それは間違いないし、きっとオレなんかよりもずっと凄腕のマスターなんだと思う。でもッ! オレはオレの戦い方で伊瀬さんに勝ってみせるッ!!」

 

「ア、ハイ」

 

 

 決勝戦が始まる前に挨拶したら宣戦布告されたでござる。元気がいいのは大変結構なんだけど、なんかこう敵意というか……絶妙にこの子、俺のこと好きじゃないよね? 

 はて、なにが気に入らないんだべ。自分ではマナーやモラルは大切にしてるつもりだし、意味のない挑発や汚い言葉を投げかけたりした覚えはない。今回はおふざけに特化したネタ武器も持ち込んでいないし、真面目にバトルしてると思うんだけどなぁ。

 

 

「なぁ、俺、知らんうちになんかやらかしてる? 自分では普通のつもりなんだけど」

 

「普通のつもりという点に関しては色々と言うべきことはあるが、ともかく先ほどの稲村銀星の件ならば想像がつく。準決勝でステージギミックを最大限に活用して、最後にマシンガンで殴ったのが気に入らないのだろう」

 

「マシンガンぱんちに関してはなんも言えねぇわ。アレは完全に俺の趣味でやったったもの。でもステージギミック使うの気に入らないってのはどうなのさ? だって予め用意されてるヤツ使っただけじゃん。俺悪くなくない?」

 

「彼のデータを軽く調べてみたが、素直というか実直というか。とにかく真向勝負を好む、いや、それしかできないのかもしれない。技術が未熟なのではなく、これは性格の問題だろうな」

 

「……ほ~ん? なるほど、そういうタイプか。いいね、俺は嫌いじゃないよ。勝ちにこだわるヤツも、プライドにこだわるヤツも、どっちも戦ってて楽しいからね」

 

「惜しむらくはパーツの選定がまだまだ甘いことぐらいだな。本人の距離はクロスレンジからショートレンジ、だがFDのアセンブルはミドルレンジのようだ。たぶん、このアスクレピオスというモデルそのものが汎用性を求めた設計なのだろう」

 

「だからなんとなく武器と戦い方が噛み合ってないように見えてたのか。どうしよう、そのまま我が道を突き進んで欲しいという気持ちと、真っ直ぐな心のまま新型を使いこなしてみて欲しいという気持ちがあっち向いてホイ勝負を始めてるわ」

 

「つまり面白ければどちらでも構わないということだな」

 

 

 ◇◇◇

 

 

 危なかった、俺の人生が2回目でなければ致命傷だったかもしれない。対戦相手がハーレム野郎だとは思わなかったぜ。大会決勝に挑む男の子、それを応援する女の子が3人。 いまの俺には、こういう“いかにも”ってシチュエーションはグッときて楽しいものだ。

 全員面識はないのだが、ひとりだけニュースで見たことがある女の子がいる。アテナインダストリーの若き美少女アーキテクト、名前はたしか『塩屋歩美』だったかな。学生でありながら企業でFD設計を担当している本物の天才だ。

 

 推察するに、稲村くんが扱うアスクレピオスのデータを集めるために手頃な大会に出場させたのかな。で、開発者自らリアルタイムで観察するためにわざわざ同行したのだろう。

 

「ま……相手がどんな目的だろうと構わないけどね。俺は楽しくバトルできればそれでよくないわ。今日の賞品はジンギスカンなんだわ。なんとかして勝たねば」

 

「油断さえしなければ問題は無いと思うぞ。現状、稲村銀星の戦い方はアスクレピオスの性能で成り立っているようなものだからな。それなりに光るものは感じるが」

 

「可能性がある、ってだけで脅威だよ。戦闘中に種が弾けるように覚醒するかもしれないだろう?」

 

「そうなったらそうなったで面白いと思っているんだろう?」

 

「あらま、お見通しですか」

 

「愚問だな。私はお前の相棒だぞ?」

 

 

 ◇◇◇

 

 

 ゲームセンターに設置してあるフィールドテーブルはどこもエアホッケーの台ぐらいの大きさだ。大規模な施設であればフィールドテーブルも大型になり、使用できるフィールドモデルの種類も豊富になる。

 逆に言えば、この規模であればフィールド選択がランダムに設定されていても安心できるということでもある。崩壊する宇宙ステーションとか、どんどん海に沈んでいく瓦礫の塔みたいなイロモノは基本的に出てこない。

 

 難点は、その仕組みのせいでポータブルフィールドは設定できるエリアがひとつかふたつしかないってとこだな。

 

「マスター、用意はいいな」

 

「おうよ」

 

 零式の足元に魔法陣が出現し、ゆっくりと上昇して円柱となり全身を包み込む。同じように俺の足元にも魔法陣が現れ、それに意識を集中させ魔力を流し込むと、やはり同じようにゆっくりと上昇して全身を飲み込んだ。

 これでFDとリンクする準備は完了だ。あとは瞬きひとつであっという間に戦闘フィールドへ転送「フハハハハハッ!!」されるはずだったんだけどなぁ? 

 

 

 

 

「色艶よしッ! 弾力申し分なしッ! これが名店のジンギスカンというものかッ!! これほどの逸品であるならば、次の幹部会も意見交換が活発になることは自明の理というもの……。悪く思うな、若きFDマスターたちよ。この素晴らしきお肉の山は、我らセイテン団が頂いていくッ! 異を唱えんとする勇者は前に出よッ! この私、GDコマンダー・幻斎がお相手いたそうッ!!」

 

 

 

 

 うわぁ、出たぁ。




あくのそしき!

現代人はご存知無いことでしょうが、かつて、通信ケーブルなる宝具の所有者がクラスの英雄とされる時代がありました。ポータブルフィールドのイメージはそんな感じのアイテムです。

頂いたアイディアを参考に、プレイヤー側はFDマスター、エネミー側はGDコマンダーと区別することにしました。GDは『ゴーストドール』の略称です。細かいことはもちろんこれから考えます。

頂いた名称はもっと強そうでしたが、そちらは別の機会に使いたくなったので少しだけアレンジ。
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