電子妖精のMasquerade!   作:はめるん用

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アドバイスを参考に目次を少し整理してみました。
これで多少は読者の皆さんの混乱も和らぐ……と、いいんですけどねぇ……。


②テンプレ盛り合わせ胃もたれセット。※大根おろし抜き

「さすがに人通りは少ないな。やっぱりみんなギリギリまで実家にいるもんなのかねぇ。いまなら色んな施設が使い放題なのに。稼働してるヤツだけだけど」

 

「昔と違って、いまはパソコンさえありゃ自宅からオンラインマッチングが可能だし、そんなもんじゃないかい? ま、エンジニア志望の子たちは別だろうけどさ。中学生高校生にとっちゃ、この出雲学園ほどFDをいじる設備が充実してる環境なんてまずないだろう?」

 

 パートナー、というよりはバトルの先生役であるレンタルFD『ルビア』を肩に乗せたまま、雑談を楽しみつつ現在自転車で学生寮に向かっているのだが……普段なら散歩している学生たちの姿も無く、鳥さんたちが我が物顔で道を堂々と歩いている。キミたち飛ばなくていいの? 

 

 ほかの学生たちとは違い、俺は早々に学園に戻ることに……実家を離れることに抵抗が全くと言っていいほど無い。この辺りの感覚の違いは俺が転生者だからってのもあるんだろう。学園都市で生活ってだけで特別感というか、青春満喫してるって感じするもん。

 思い出すは小学校6年生のとき。社会科見学で見学先が学園都市ってだけでテンション上がったもんな~。はしゃいでいたのはもちろん俺だけではなかったが、クラスメイトたちが抱く憧れとは方向性が違うからね。FD関係ないような部分でもアゲアゲだったからね。

 

 

「ようやく到着したぜ。ここが学生たちのハウスね!」

 

「いきなりなに言ってんだいマスター。ほら、さっさと部屋に行くよ。たった1週間とはいえ閉め切りだったんだ、しっかり換気して空気を入れ換えないとダメだよ?」

 

「イェス、マム!」

 

「よろしい! 部屋の細かいところに異常がないかはアタシがチェックしておくから、マスターはまず洗濯物をちゃんとタンスにしまうところから──ん? 新着メッセージ? ……。マスター、部屋の掃除は後回しになるかもしれないよ」

 

「なんだ、管理人さんからのお知らせでも届いたのか?」

 

「いや、救援要請のほう」

 

「まさか……」

 

「そのまさかだよ。とりあえずゼリー飲料でも持っていくとしようか。空きっ腹にいきなりモノを詰め込むとお腹を壊しちまうからね」

 

 

 ◇◇◇

 

 

「……いやぁ~、助かったぜ! オレとしたことが作業に集中し過ぎてさぁ。メシ買うためのBP稼ぐの忘れてたぜ! だっはっは!」

 

「天成どの、救援感謝するッス。某がどれだけ進言しても、蔵人どのが『まだ大丈夫だから心配すんなッ!』って聞き入れてくれなくて大変だったッス」

 

 俺もあまり人のことを偉そうに言えないが、趣味に生きる人間ってのはどんな世界でも変わらないらしい。この須和蔵人という生物にエサを与えるのはこれで何度目なのか、もはや数える気にもならんわ。

 この阿保が寝食を忘れて作業に没頭し、なにかトラブルが発生するたびにパートナーであるFD『黒影』からメッセージが届いている。今日はただ腹ペコだったから後始末も楽だったけど、ときどきワケわからんこと平気でやらかすからな。

 

「それで、今度はどんな面白いモノ見つけてぶっ倒れたんだ?」

 

「ん~、今回は見つけたとかじゃないんだな~。ま、もったいぶるほどのもんじゃないし、とりあえずこれ見てくれよ」

 

「コイツは……そうか、無事合格できたのか。Dランクエンジニアライセンス獲得、おめでとう」

 

「おう! 食費その他をギリギリまで削って参考書揃えて、授業をサボってコツコツ勉強をしたかいがあるってもんよッ!」

 

「前半分だけなら立派だったのになぁ。それはそれとしてDランク取得は素直に尊敬するよ。クワガタムシをカブトムシのメスのことだと本気で思っていたお前がこんなに成長するなんてな」

 

「まったくだねぇ。冷やし中華の画期的な調理法を思い付いたとか言ってカップラーメンに氷水を注いでた子がこんなに立派になっちまって」

 

「よせよ……そんなに褒められたら、さすがのオレでも照れるぜ……」

 

「そうそう、蔵人どのはまだまだ未熟者ッスから、そんなに褒めることないッス。まったく、冷やし中華のタレは酸っぱいんだから、お酢もいれなきゃダメに決まってるッス」

 

「──ッ!? そうか、そうだったな……オレとしたことが、そんな初歩的なミスを犯していたとは。さすがだなジライヤ! オレの足りない部分を補ってくれるお前は間違いなく世界最高のFDだぜッ!!」

 

「よすッスよ蔵人どのぉ~。さすがの某も照れちゃうッス~♪」

 

 

 

 

「えーと、今日のスーパーの特売は豆板醤とナンプラーか。誰だ仕入れ担当したの」

 

「マスター、気持ちはわかるけど投げっぱなしにしないでおくれよ。アタシだけでこのふたりの相手はムリだって」

 

 

 ◇◇◇

 

 マスターにランク制度があるように、エンジニアにもランク制度が存在する。名誉的な部分が強いマスターランクと違い、エンジニアランクの恩恵はとてもわかりやすい。各種素材の割り引き購入、複雑な刻印の使用許可、カスタムパーツの売買取引など、ランクに応じてお得な特典がどんどん使えるようになる。

 そして、学生でCランクエンジニアのライセンスを取得できれば将来は安定したようなもの。これがBランクまで到達しようものならエリートコースまっしぐらである。

 

 つまり、いま俺の目の前で俺のBPのオゴリで幸せそうに焼きそばとナポリタンのセット食って涙を流してる金欠の阿保もいずれはエリートコースで出世する可能性があるワケだ。

 

「なぁ天成、知ってるか? 人間は水と飴だけじゃ生きていけないんだぜ。信頼と安心のオレ情報だ、巧く活用するといい」

 

「その情報に頼るぐらいなら商店街を巡っておからでもパンの耳でもなんでも恵んでもらいに行くわ」

 

 いつもと変わらない蔵人のマイペースぶりを適当にあしらい、俺も注文したサンドイッチに手をのばす。特別な具材が使われているような豪華なお皿ではなく、シンプルにハムとレタス、ポテトサラダ、そして玉ねぎのアクセントが微笑ましいツナという王道の組み合わせ。

 カツサンドやコロッケパン、海老カツなどのパワーファイターたちを迎え撃つだけの気構えはある。しかし、ここはあえて気取らず威張らず侮らず。まだまだ朝食の時間帯なのだ、暖気運転のつもりで穏やかな味の広がりを楽しむのも悪くない。

 

 

「っぷはぁ~♪ 1日の終わりに飲む麦ジュースもいいが、バァさんに隠れて朝の喫茶店で海を眺めながら飲むラムネも美味いねぇ~♪ 店長、オムレツひとつ、チーズ増し増しトマトソースたっぷりで」

 

「あとで奥さまに叱られても知りませんよ? ほかにご注文は」

 

「心配ご無用! ワシにはいざとなれば『土下座』というオーバードライブスキルがあるからな! え~と、追加でパインサラダも」

 

 

 マスターの中には魔力を高めるために早朝トレーニングに励む者も多く、普段はこのカフェテリアも朝早くから賑わっている。なので興味はあれどなかなか足を運ぶ機会がなかったが、いま店内にいるお客さんは俺と蔵人、そして派手な色のシャツを来て三つ編みの白髪にリボンをつけた老人だけだ。

 うむ、実によい。俺は賑やかな雰囲気も好きだが、食事のときはこうして落ち着いた空気の中でモノを食べたいほうなんだよね。蔵人とジライヤの掛け合いも、気心知れた相手ならではの心地よさがあって嫌いじゃない。

 

「それで、お迎えするFDの目星はついたのか? レンタルFDを悪く言うつもりはないし、お前とルビアのコンビネーションもバッチリだけどさぁ。つまり、ホラ。そういうことだよ、わかるだろ?」

 

「お前にしては歯切れが悪いな。別に知らない仲じゃないんだからさ、遠慮しないでハッキリ言いなよ」

 

「なにも知らない連中にダチがバカにされるのが気に食わねぇ。特にパーツは一流技術は二流性格は三流の連中がお前を指差して笑ってんのがマジでムカつく」

 

「すげぇハッキリ言った上に内容が予想してたのと全然違ってビックリしたわ。そうだね、基本的にいいヤツなんだよねキミ。興味ないことについてはちょっと残念なだけで。まぁ、FDね、うん。ボチボチBPは貯まってんだけど、いざカタログとか見てるとなかなか決まらなくてさ……」

 

「なんでもいいから迎えてみろよ、まずはさぁ。あとから素体のガワだけ買い換えることできるんだし、ちょっとくらい好みから外れてても一緒に過ごしてるうちに気にならなくなるって! ま、お前の場合は最初にお迎えしたFDをずっと使いそうだけどな。レンタルでさえそれだけ大事に長く使ってるもんな」

 

「いや、そもそも短期間で交換繰り返してたらバトルの技術身に付かないだろ。なに? みんなそんなすぐにコツ掴めちゃうの?」

 

「単純に色んなFDで色んな戦法試して自分のスタイル探してるだけだろ。天成はさぁ~、そういうところの大胆さが足りないんだって。バトルでの思い切りのよさをさ、もっとリアルでも発揮していこうぜ~?」

 

「思い切りのよさか。たとえば夏休みの課題がまったく進んでないであろう友人から『宿題写させてくれぇ~ッ!』って泣きつかれても毅然とした態度で断るとか」

 

「やっぱりさ、FDバトルは楽しんだもの勝ちなところあるし。天成は天成のままでいいと思うぜ、オレはさ」

 

 うん、知ってた。

 

 

 ただまぁ、いつまでもレンタルに頼ってないで自分のFDを持つってことは真面目に考えないといけない問題だ。

 レンタルだと色んな制限があり、特にランクアップのための公式戦に出場できないってのは大きな問題だ。何故なら──。

 

 

 

 

 

 

 自分でカスタムしたパーツを自由に使うためには、まずはFランクマスターとして認定される必要があるからだ! 

 

 

 

 

 

 

 初心者マスターはまずはちゃんとしたパーツでバトルに慣れてほしいという配慮なのはわかる。だがしかし! 前世でエンジョイしていたロボット作品のあんな武器やこんなパーツを再現して使ってみたい俺にとっては、このFランクの壁は1秒でも速やかに越えねばならぬ壁なのだッ! 

 

 スーパーロボットの代名詞、マジンガーZの『ロケットパンチ』や『ブレストファイアー』

 

 数々の強敵たちを撃破したプレイヤーたちの切り札、真・ゲッターロボの『ストナーサンシャイン』

 

 一撃必殺のロマンの塊、ガンダムXの『サテライトキャノン』

 

 ドリル攻撃の極みと言える迫力のコン・バトラーVの『超電磁スピン』

 

 神秘に満ちたラーゼフォン、ファンネルのオールレンジ攻撃、バルキリーによるミサイルの嵐、士魂号の精霊手、傭兵たちの魂の銃カラサワ……再現したい武器だけでも沢山ある。

 これに各種アビリティーを組み合わせようものなら、パーツ再現の試行錯誤だけでも何年かかるかわからない。バリア系だけでも相当な種類あるし。ピンポイントバリアとか攻撃にも使えちゃうからね、どんな刻印の組み合わせ方すればいいのか想像もつかないね! 

 

 蔵人が作ったパーツならある程度使えるんだけど、さすがに自分の都合を友人に押し付けるのはダメだろう。

 パーツ作りのコツを教わるぐらいならともかく、全部丸投げはさすがに図々しいというものだ。

 

 

「マジな話、どうするんだ? 先生たちはお前が自力でFDお迎えしようと頑張ってんの知ってるからいいとして、生徒会とかさぁ……。高等部の先輩たちはわりと優しいというか、下手に関わらないように気をつかってくれてるけど」

 

「どう、って言われてもなぁ。学園のランキング戦とかには正直あんまり興味ないんだよ。ムリにFD関連の仕事したいとも思わないし、趣味は趣味として楽しむだけに……して…………」

 

「天成?」

 

「なぁ、蔵人。なにか……」

 

「あん? ……なんだ、コレ」

 

「マスター? 急にどうしたんだい?」

 

「蔵人どの、体調でも悪いッスか?」

 

「いや、なんというか」

 

「微妙に変な感じが」

 

 

 

 

 

 

 

 

「────ッ!?」

「────ッ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「蔵人ッ! 海のほうだッ!」

 

「あぁ! ハッキリ感じたぞッ! 嫌な気配じゃないが、なにかこう……不思議な魔力の感じだ!」

 

「すみません、会計お願いしますッ! BP払いでッ! ルビア、肩にッ!」

 

「ジライヤ、オレたちも行くぞッ!」

 

「ちょっとマスター! そんなに慌てて、いったい何事だってのさ!?」

 

「ちょ、危なッ!? 蔵人どの、落ち、落ちるッス! もっと優しく運んでほしいッス~ッ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「珍しいですね、彼らのように若い世代のマスターが“海渡り”の声に反応するとは。素敵な出会いになるとよいのですが」

 

「なるともさ。どんな形だろうと人間とFDの関係ってのはそういうものだからな。とはいえ、少しは物識りジジイのフォローも必要だろう。店長、スマンが注文はキャンセルだ」




イロモノ友人から意味深呟き老人までの欲張りセット。これでも前回と合わせて、ホビーアニメや特撮ヒーローならようやく前半10分の内容でしょう。

パーツの改造、売買や譲渡、大会のレギュレーションに違法改造の基準など、この章が終わるまでにできるだけしっかり設定を固めたいところ。


零式との出会いは前章で『中古で購入』としていましたが、ギリギリ中古で購入と言えなくもない範囲でファンタジー要素をガッツリとブチ込むことにしました。仮にもメタ視点での主人公の相棒ですし、多少はね?
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