本音をぶちまけると意見なども欲しいところですが、運営対応される可能性があるのでなんとも……。
あと、ウチの地元は甘い味噌ダレは別皿注文なんで。
(とんかつ過激派)
「……生徒会長などという肩書きも不便なモノだな。真面目な相談事ならばいくらでも歓迎するが、意味も無く媚びる連中に付き合わされるのだけは慣れそうにない」
「それもまた上に立つ者の義務ですわ、マスター。もちろん無駄に時間を浪費したという意見には賛成ですが。これなら彼からの昼食の誘いを受けたほうが100万倍有意義でしたわね」
不機嫌さを隠しきれずにいる未熟なオレに、相棒であるFD『ブルーブラッド』がわざとらしいほど呆れた様子で同意してくれる。生徒会長という立場故の多忙さに不満はないが、実力ではなくオレに気に入られることで学園の代表になろうとするような無能どもの相手はさすがに面倒でしかない。
やはり素直に友人からの誘いを優先するべきだったか。生徒会長という肩書きに惑わされること無く、ただのクラスメイトとして接してくれるヤツの存在がどれだけ貴重なのか身に染みる思いだ。
「さて……気分転換にゲームセンターに来てみたが、どのマシンも並んでいるな。ふむ、たまにはじっくりバトルを観察するのもいいか。技量に関係なく得られるものはなにかしらあるだろう。……む?」
《警告! 正体不明のFDが接近中! 戦闘中のマスターは襲撃に備えて下さい! 繰り返します、正体不明のFDが接近中! 戦闘中のマスターはただちに襲撃に備えて下さい!》
ゲームセンターにアナウンスが響き、来場者がサバイバル戦のモニターの前に集まり始めた。TNSの遊び心として、乱入者の実力に合わせてアナウンスの内容が変わるのだが……警告に、襲撃に備えよ、か。これだけ強い言葉が並ぶということは、かなり上位の実力者が現れるのだろう。
「あら、サバイバル戦のフィールドに乱入者が現れるようですわね。正体不明ということは相当な手練れのマスターですか。今日はどなたでしょう? 楽しみですわね!」
「そうだな……TNSは純粋に実力だけでマスターを判断するからな、期待しても大丈夫だと思うが。どれ、早速お出ましに──なにッ!?」
漆黒にカラーリングされた装甲と、その表面を走る深紅に輝く魔力のラインを目にした瞬間……ゲームセンターが沈黙に包まれた。皆、知っているのだ。あの『オービタルフレーム装甲』という名称で登録されたアーマーを装備したFDが何者なのかを。
期待と興奮、そして畏怖を抱くマスターたちやFDたちが見守る中、モニターに乱入者のデータが表示された。
マスターネーム『UNKNOWN』
フェアリーデバイス『零式』
◇◇◇
《さぁ、始めようか》
乱入と同時に零式が武器を構えた。女神像を模した大型キャノンなのだろうが、鎖で拘束されたその姿は神聖さなど欠片も感じないほど禍々しいデザインだ。
放たれた光弾が地表に届く。古代遺跡をイメージしたフィールド『ルーインズオブサイレンス』の象徴とも言うべき遺跡郡が一撃で蒸発する。そして逃げ遅れた、あるいは油断して呆けていた何名かのマスターが大破判定を受けてサバイバル戦を脱落した。
「戦闘開始の時点では全ての武器が使用可能であることを利用した先制一撃戦法、か。効果的だと頭で理解していても実行できるかは別だな。キャパシティの少ない零式だからこその思い切った方法だ」
「1度パージした武器は戦闘中に戻せませんからね。──あら、ふたりほど接近戦を挑むようですわね。たしかに攻撃後の隙を狙うのはセオリー通りの動きですが……お可哀想に。収納とパージの区別ができなかったのかしら」
《フッ……全弾持っていけ》
憐れなことだ。TNSがあれだけ盛り上げるための前ふりをしたFDマスターが、なんの対策も無しにあんなバカげた威力の武器を使うものか。案の定、勇ましく格闘戦を仕掛けた2体のFDは零式が肩に装備していた補助武装『アヴァランチ・クレイモア』でまとめて大破させられた。
射程距離をギリギリまで切り詰めることで低コストと高火力を兼ね備えたあの武器は、間合いの取り方が甘いと物理属性特有の衝撃力でこちらの動きを封じてくる。そして大量に吐き出される弾丸は回避するのが困難というだけでなく、至近距離で受けてしまえば重装備型のFDですら無事では済まない攻防一体の装備だ。
「派手なだけではなく、しっかりと奇抜な武装を使いこなす堅実さ。ある意味では、マスターのご友人である零式マスターに近いものがありますわね」
「ヤツは標準パッケージをカスタムした平凡な装備を好んで使っているがな。だが丁寧に攻撃を当てることを考えた立ち回りは、たしかに通ずるものがあるかもしれん」
◇◇◇
通常のサバイバル戦と違い、UNKNOWNが乱入してきた時は少しだけルールが変更される。今回のように上位の実力者であるFDマスターの場合、脱落者が出て空いた枠には次のFDマスターが参加することができる。
それが意味するのはただひとつ、UNKNOWN側は絶対に生き残れないということだ。ノーダメージで戦い続けたとしても、ブーストやリロード、飛行するだけでもマスターの魔力と体力は消耗されていくので、いずれは必ず限界がやってくる。
《零式ィッ! その御首、頂戴するわよッ!!》
《うむ、よかろう。ここまで楽しませてくれたこと、感謝するぞ》
騎士をイメージした装備のFD『シェバリエール』の渾身の一撃を、零式が微動だにせず受け入れる。大破判定と同時にフィールドから消失し、ゲームセンターには歓声が沸き上がった。
あとはサバイバル戦の続きが再開されるのだが……参加者は全員がリタイアすることを選んだ。別にそういう取り決めがあるワケではなく、協力してイベントボスを撃破した一体感が邪魔でバトルする気にならないのだ。乱入者がもう少し──言い方は悪いが、弱ければそうでもないのだが。
「残念でしたわねマスター。もう少しゲームセンターを訪れるのが早ければ、私たちも参加できたのに」
「仕方あるまい。まさか列を無視して割り込むなどというマナー違反をするワケにはいかんからな。なに、オレの中に蓄積された闘志は友人に協力してもらって解消すればいい」
「また学園のランチを賭けますの? では次で彼をご招待するのは14回目になりますわね」
「おい、まて。何故オレが負ける前提なんだ。オレだってヤツに2回もおごらせているんだぞ」
「ぜんぜん自慢になりませんわよ、それ。いい加減諦めて、新しい装備をお使いくださいませ」
「しかしだな……相手がパッケージ装備をベースにしているのだから、オレもなるべく対等な条件で正々堂々と戦うのが生徒会長としてだな……」
「はいはい正々堂々、正々堂々ですわ。あらマスター、向こうのフィールドが空いたようですわよ」
気のせいだろうか。ヤツと友人になり気楽に過ごせる時間が増えたのはいいが、なんとなくブルーブラッドの態度というか、オレへの対応が日に日に雑になっている気がする。解せん。
転生者が前世の知識を活かして自作したパーツを使用する、という部分をメインにするなら戦闘描写はこんなものかな~と。あくまでメインディッシュは“知識チート無双”なので。負けてますが。