妹のように可愛がっていた女の子ならどうか? というアイディアも頂いたので、ご近所さんや親戚など、いくつかパターンを考えてみようと思います。
その日、首都エリアのとある地区のゲームセンターにて、有名FDメーカーのひとつ『赤城山製作所』主催の小規模なバトルイベントが開催されていた。
使用するFDやパーツに制限はなく、特殊なルールも設定されていない。賞品であるパーツ素材もそれほど特殊なものではなく、それを考えればCランク以下のマスターのみ参加できるという制限もとくに珍しいものではなかった。
なんの変哲もない、いたって普通のFDバトルの大会である。少なくとも参加者や観客にとっては。
「運が良いのか悪いのか。そりゃ新型FDのデータなんてのはエンジニアとしては興味津々だがね、もう少し心の準備ってヤツをさせて欲しかったねぇ」
「マスターのほうはパッと見た感じ普通の高校生の男の子、って感じですけど。なんとなく駆け出しって雰囲気というか、初々しさはありますね~」
赤城山製作所の所長である青木と相棒であるFD『肆式・霞』は大会の開会式を待ってソワソワしているマスターたちを眺めながら、参加者のひとりである“とある少年”について話していた。
FDマスター・稲村銀星。レンタルFDでバトルの世界に飛び込んで1週間、不幸にも新型FDの盗難事件に巻き込まれ、それが縁となってアテナインダストリー製の最新型FD『アスクレピオス』のマスターとして登録される。
同社が開発している『ゾディアックシリーズ』のノウハウが活かされたアスクレピオスの性能は高く、マスターである稲村銀星はFDバトルを始めてからわずか1ヶ月の間でランクをFからDまで上げている。故にFDの性能頼りのマスターという評価も出ているが、少なくとも青木が見る限りでは本物の情熱を持った将来性に期待できる若手マスターという印象であった。
「少なくとも悪い子ではなさそうだな。めっちゃ女の子にモテてるし。しかしあの様子だと、学校で男子からムダに恨まれてそうだねぇ」
「なにアホなこと言ってんのよアンタは。で、アレが噂の新型FDのマスターね。思ったより普通って印象かしら」
「よぅ、来てたのか。山城重工お抱えのマスターは参加していなかったと思ったんだがね。霞、志津田チーフのぶんのコーヒー頼んできてくれるかい?」
「了解でーす。志津田さん、砂糖とミルクはどうしますか?」
「砂糖は無し、ミルクは増し増しで。フォートレス、アンタも運ぶの手伝ってあげて」
「かしこまりました~。それでは霞様、お手伝いさせていただきますね~」
相棒であるFD『フォートレス』がテーブルの上を歩いていく姿を見送ると、赤城山製作所のライバル企業……と、ファンの間では認識されている重装型メーカー『山城重工』の開発チーフである志津田は再び稲村銀星のほうへと視線を戻した。
別に技術を盗んでやろう、などといった腹積もりではない。純粋にFD開発のエンジニアとして、他所の企業が開発した新型がどんなものか興味があって見にきただけの話である。
「アタシも一応動画は見たけどね、やっぱりそれだけじゃあわからないこともあるからさ。ま、単純に仕事の息抜きってのもあるけど。……で、どうよ?」
「なにが?」
「アンタのとこのお気に入りも参加するんでしょ? 世界にたったふたりの現役零式使いの片割れ。名前は確か……伊瀬、なんだっけ」
「伊瀬天成くんね。もちろん参加してくれてるよ。彼は賞品に食べ物がある大会には必ずと言っていいほど顔を出しているからねぇ。ほら、いまもフードコートに」
「……リアルでおかわりした丼重ねてるの初めて見たわ。バトル前にあんだけ食べて、よくまぁ気持ち悪くならないものね。で、どうなの? もしぶつかったらどっちが勝つと思うワケ?」
「普通に考えるなら稲村くんだろうねぇ。親父が設計した零式を悪く言うつもりはないけどさ……例え新型じゃなかったとしても、ゾディアックシリーズ相手じゃあバトルにならないよ。普通に考えるなら」
「伊瀬って子は充分普通じゃないでしょ。羨ましいわね~ホント。ウチで開発したFDもお迎えしてくれないかしら? 砲撃系パーツとセットで。是非とも重装備FDの新しい可能性を見せて欲しいんだけどな~」
「別に伊瀬くんだって俺らンとこで抱えてるワケじゃあないんだけどなぁ。ま、気持ちはわかるよ。彼、い~い戦い見せてくれるもの」
零式の性能をとことん引き出して戦う伊瀬天成というFDマスターは、赤城山製作所のスタッフだけでなく他のメーカーに所属するFDエンジニアたちにとっても注目のマスターであった。
旧型のFDであれだけ戦えるのであれば、もし自分たちが開発した新しいFDを使用してバトルをしたらどうなるのか? 青木ですら自分が設計・開発した空閃シリーズの新型でどんなバトルをするのか見てみたいと考えているのだ、ほかのエンジニアたちだって同じようなことを考えるに決まっている。
たまにネタ武器を堂々とバトルに持ち込む、その思い切りの良さも好ましい。それなりの規模で開催されたサバイバル戦でギター型の自作武器を取り出したときの動画などは海外でも大人気だという。
全方位を衝撃波で攻撃できる風属性の武器、という思いの外まともな性能を維持しつつ、ちゃんと楽器として機能するという抜け目の無さはエンジニアたちを大いに楽しませてくれたものだ。途中から戦闘を放棄してビルの上で流行りの歌を熱唱していたときの会場の盛り上がり方などはいまも語り草となっている。
歌い終えたあと、カメラに向かって「波紋のビートを刻め」とキメたところにグレネードランチャーが直撃して大爆発リタイアという芸術的な流れは大勢のファンの心に深く刻まれたことだろう。確実に。
「エンジニアとしては嬉しいよ、やっぱりさ。だって勝っても負けてもいつでも楽しそうだもの。純粋な戦闘能力を比べるならたぶんUNKNOWNマスターのほうが上かもしれないけど、我が子同然のFDを託すってンなら……ま、俺は伊瀬くんのほうが好きかな」
「そもそもUNKNOWNの正体知らないでしょうが。その辺りのTNSのガードはホント鉄壁よね。で、今日の彼はどっち系?」
「かなりガチ寄り。
「アンタさっきと言ってること違うわよ」
「レギュレーションチェックのために持ち込みパーツの確認したけどさ。伊瀬くん以外はね、みぃ~んなメインウェポン祭りだったよ。もちろん噂の稲村くんもね」
「あ~、そりゃ勝てないわ。ご愁傷さま」
キャパシティの許す限り主力となるような強力な武器を携帯する。多くのマスターが1度は通る道だが、それが通用するのはせいぜいCランクまで。なにも考えずに攻めの一手を繰り返しているようでは、決してBランクに昇格することはできないのだ。
そして伊瀬天成というマスターの戦い方は、そんな火力一辺倒の立ち回りしかできない者にとっては悪夢と言ってもいい。彼とのバトルで
「いやぁ、たまたまブースが空いてたからさ、たまたま在庫で抱えてた色んなパーツを偶然にも持ってきて並べてあるんだよねぇ。なんだか今日はロケット砲やミサイルなんかが売れそうな予感がするんだよ、不思議だねぇ?」
「アンタ、いい性格してるわね……」
最近の流行りは存じませんが、以前はけっこう定番でした。素人の主人公に最新型を任せる流れは。
なおFDの名称は適当に「こんな名前ってことはなんかあるパターンだな……」と感じそうなものをつけました。
感想での意見交換はガイドライン的にアウトかもしれないとのご指摘を頂きましたので、活動報告に『ロボチー設定会議』という項目を追加しました。
ぶっちゃけ作者も活動報告を使ったことがないので手探りです。とりあえず『全般』と『企業』という項目で作ってみたので、興味本位でなにか適当に書いてくださると助かります。
よほど悪意のある書き込みでなければ大丈夫だと思います。たぶん。
某鼻毛漫画のラップ並みにブッ飛んだ内容だった場合に運営様がどのような判断をするかまではわかりませんが。