まずさあ、なんで私この世界に転生してるの?
『ああ。それは一から詳しく説明しましょう。まず、あなたは地球の日本で死にました。ここまではいいですか?』
はい。
『その死因なのですが、先代の勇者と魔王が関係しています』
ん?
なんで地球にこの世界の勇者と魔王が干渉できるんだ?
『先代の勇者と魔王は両者ともに次元魔法の使い手で、かなりの天才でした。彼らは次元魔法を改変し、世界の壁を越える魔法を編み出してしまったんです』
そんなことできるの?
『できますよ。できない道理がありません。ただ、システム外の技術に対して、システムの補助は働かないですがね。システムの補助に慣れてしまったこの世界の住人では、そんな高度な術式は制御できませんでした。結果、術式は暴発。次元を越える際にMA領域を一部破壊し、世界の壁を越えた先、地球の日本のとある高校の教室で爆発してしまったというわけです』
うわ。
なんてはた迷惑な。
つーかそれで巻き込まれて死んだ私は何なんだって言うの。
『まったくです。おかげで私は作ってから放置していたその世界のシステムを点検しなおす羽目になりましたよ』
え?なんやねん放置って。
『言ったでしょう?その世界では私は部外者だと。その世界を管理するのはあくまでその世界の管理者です。私はシステムの提供はしましたが、それ以上のことはしませんよ』
(とか言いつつこの頃結構干渉してんじゃん。)
『仕方ありませんね。その世界の勇者と魔王が暴走した結果とはいえ、何の罪もない高校生たちが死んだ上にシステムに巻き込まれてしまいましたから。私も原因の一部ですし、システムの構築者として最低限のフォローはしておくべきだと思いまして』
ん?
原因の一部?
高校生たち?
『今その世界には27人の元地球人が転生しています。授業中の教室は見るも無残に破壊され、生存者はいませんでした。そして、その時の衝撃で、その時に死んだ人の魂はその世界のシステムに逆流してしまい、その世界で転生することになってしまったのです。私はそのままでは分解されてしまう魂を保護し、記憶や元の魂の力をそのままにこの世界で生きていけるように、n%I=Wのスキルを付与しました。あとは、適正を見て適当なスキルを1つずつプレゼントして、なるべく魂の波長が近い種族に転生できるように斡旋しました。これで、最低限のフォローはしてあげたと思っています』
え、マジで?
私達以外にもいたのか。
ん?
うちのクラスって何人いたっけ?
確か26人だったよね?
で、教師入れたら28人じゃね?
1人足りない?
『ああ。それは私ですね』
え?Ⅾさんかい!?
ん?
教室にⅮさんいたの?
『はい。だから勇者と魔王の魔術があの教室に開通してしまったんですよ』
ええ?
ちなみ名前は?
『それは秘密です』
えー?
誰だ?
そんな人いたっけ?
『まあ、私の話は置いておいて。システムの最高管理者である私があの教室にいたから、あの事故は起きてしまった。なので、原因の一端は私にもあるのです。その責任取りをするために、こうしてその世界に干渉しているわけです』
(けど、叡智は?)
聞く感じだともう生まれ変わった時点で、責任取りは終わったみたいな感じで言ってたじゃん?
『あれはあの時も言ったように、頑張っているご褒美ですよ』
(ありがとう)
『どういたしまして』
(で、叡智なんてもん授けて、禁忌をカンストさせて、私にこの世界救えと?)
『そんなことは言いませんよ。その世界であなたが何をしようと自由です。私はそれを止めませんし、指示もしません。傍観者ですよ』
(だといいんだけどねー)
『信用がないですね』
だって邪神だし。
『違いありません』
あ、そうだ。
勇者と魔王って結局何がしたくてそんなバカなことしたの?
『多分ですが、私を倒そうとでもしたんじゃないですかね』
なぜに?
『どうにも管理者を敵と見做している勢力がいるようですね。先代の勇者と魔王は彼らに唆されたのではないかと』
あーあ。
そんな奴らに交通事故ばりの不幸な事故で巻き込まれて死んだって。
いやだなあ。
『まあ、フォローはしましたので、異世界で転生して何をするのかはあなた方次第ですよ』
ああ、うん。
そうだね。
邪神のくせにそこらへんマメに仕事してくれてありがとう。
マジな話、助かったわ。
『どういたしまして』
で、勇者と魔王唆した奴らって?
『それを教えてしまうと面白くなさそうなので、自分の目で確認してみてください』
えー。
そこで焦らす?
『そのほうが面白そうですから』
うわー。
ところでさー、さっき魂の波長が近い種族に転生するって話してたけど、私恐竜だよね?
『恐竜ですね』
私の魂は恐竜に近いと?
『よほど波長があったんでしょうね。他の方は大半が人族に転生してますよ』
What!?
なんでやねん!?
なんで恐竜やねん!?
私もできれば人間に生まれたかったわ!
『ですが、恐竜に生まれたからこうしてフライング気味に活動できているわけですし、あながちハズレとも言い難いですよ?』
え?フライング?
『ええ。他の方々はまだ赤ん坊ですね』
ん?ああ。
そっか。
まだ私生まれてからそんな経ってないのか。
『それもありますが、生まれるのも人族より早めでしたからね。地球の年月計算から言うと、大体半年ほど早めに生まれています』
へえ。
じゃあ、半年分フライングした挙句、赤ん坊でバブバブ言ってる間にガンガン成長してるってことか。
『そうなりますね。他に質問はありますか?』
じゃあさ、システムなんてめんどくさいもん何で作ったの?
そんなもん作らなくても、Ⅾさんならどうにか出来たんじゃないの?
『どうにかする意味がありません。私は邪神ですからね』
まあ、そうか。
『あなた達の行動はこれからも面白く見させていただきます』
いや、見ないでほしいわ。
『見ますとも。ポテチ片手にゲームでもしながら眺めています』
何その贅沢。
Ⅾさんまだ日本にいんの?
『はい』
うっそーん。羨ましい!!
『ポテチ美味しいです。ああ、新発売のアイスがありましたね。後で食べましょうか』
アイスー!
『それでは、また』
スマホがフッと消える。
チクショー!!
ポテチー!!