よう実   作:よよフラッシュ

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綾小路の選択

短かった修学旅行も終わり、冬休みを迎えた俺たち。

 

計画のズレをやや強引に修正した事で、計画を全体的に前倒しで進めることになるだろう。

幸いなのは、俺の想定を超えてBクラスが成長しているということだ。

唯一の懸念点だった桔梗と龍園の関係も楔を打つ事が出来たので問題は起こり得ないと考えていい。

 

ここからは多少無茶をすることになるが、南雲生徒会長と一之瀬、櫛田にも協力をしてもらうとしよう。

 

俺はポケットに手を入れ携帯を取り出す。

 

「もしもし、茶柱先生。急ですが、伝えておきたいことがありますー」

 

 

 

 

冬休み明け、朝のHRも始まらない時間帯、Bクラスでは異変が起こっていた。

 

涙を流し、目に見えて元気のない軽井沢さん。その横で不安そうな顔ながらも慰めている佐藤さん。

そしてー。

 

「どういうことだよ!なんで綾小路の席がねえんだ?」

 

私より少し前に登校して、声を荒げている須藤くん。

目が合うと少し戸惑うような表情を見せるものの、真っ直ぐに私のところまで向かってくる。

 

「堀北!綾小路の席がないんだが心当たりあるか?」

 

「おはよう須藤くん。いいえ、私にも何がなんだか分からないわ」

事情を唯一知っていそうな軽井沢さんは尋ねられる雰囲気ではなく、平田くんもクラスメイトに囲まれながら不安そうな顔をしている。

 

事情を知る人は誰もいなそうね。

冬休みの間にある彼が事件を起こしたのかー。とも思いながらも、今まで徹底的に裏方で暗躍している事を想像しそれはないと否定する。

 

騒がしいままHRを迎えるかと思ったが、普段より少し早く茶柱先生がクラスに入ってきた。

 

「おはよう。冬休み明け早々に寝坊する生徒はーいなそうだな。」

池を一瞥して言った後に軽井沢に視線を向け、再び前を見る。

 

「先生!綾小路の席がないのは、その、冬休みになんかやらかしたってことなのか!?」

須藤が茶柱先生にそう投げかける。

クラスの人達も不安そうな顔をしながら茶柱先生の言葉を待っている。

 

「まずは落ち着いて聞いてほしい。綾小路は退学になったわけではない。」

その言葉にクラスの半数は安堵の声をだす。

少なくともポイントが減るような事ではなかったと言うことだ。

ただ、退学でないと言うことはーー。

 

「綾小路はプライベートポイントを消費し、BクラスからDクラスへ移動した。」

再びクラスが騒がしくなる。

なんでAクラスじゃないんだー。移動にはポイントが必要だよなー。そのような言葉が周りから聞こえてくる。

 

「みんな、落ち着いて。茶柱先生、綾小路くんはポイント申請をする際に何か理由を言っていましたか?」

 

「みんなが疑問に思っていることは概ね理解している。なぜAクラスではなくDクラスに移動したのかと」

茶柱先生はクラスの人たちの顔を見ながら続ける。

「今まで問題が多かったクラスもほとんど解決して力をつけてきた。後は俺がいなくてもクラスは成長すると判断し、移動する。ーそう言っていた。」

 

そう聞いた時にほとんどの生徒は要領を得ない顔をしていた。

それもそのはず、彼は表立って事を進めることはほとんどしなかった。

満場一致試験の際も堀北を矢面に立たせつつ発言していたため、彼がクラスのために何かを成した…と思わないのも当然である。

 

成長のきっかけになった平田や櫛田も全てを把握できていないため、戸惑った顔をしている。

 

彼からは何も連絡は来なかった。

口止めして欲しい時は最低でもメールしてくる彼の性格を考えて…

ある程度の情報はクラスで共有するしかなさそうね。

 

 

 

 

お昼の時点で事情を聞きに行こうとする須藤を止めて、堀北は放課後に

皆と情報を共有する時間を作りたいと申し出た。

 

「みんなに集まってもらったのは他でもない、綾小路くんのことよ。」

 

 

 

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