終焉を知るハロウィンの王、過去に戻り混沌を齎す者と悲しみの鏡を救済する 作:選ばれざるオタクⅡ
環ういを殺し、自動浄化システムさえも奪い取った鏡の魔女。
それは人類の消滅を願う鏡の魔女の元に、神浜中の魔法少女が魔女化した際の相転移エネルギーが流れ込むことを意味し、一人、また一人とその命が絶望の糧となる。見渡す限り使い魔だらけ、魔女と化してなおドッペルシステムを通じて身体を操られ鏡の魔女の手先となった魔法少女だらけ。まさしく世界の終末に相応しき惨状。
そんな地獄にアリナ・グレイは、立っていた。
芸術家としての使命を全うするため。
ようやく気付けた人間の美しさを観測するため。
自分が始めた実験の終わりを見届けるため。
悲しみに捕らわれてしまった
自らの命を失ってでも、己の役割を遂行するために、最後まで傍観に徹していた。
そして、答えは出てしまった。
「…っ、もう、結果はわかったの」
彼女の隣にくっついている御園かりんが、苦しげに、悔しげに、呟いた。
「サッドネスで終わるケド、レジストするほど、人の命はサイッコーに輝くワケ。
瀬奈みことにはベストなアートを見せてもらったヨネ。」
それは、彼女なりの優しさだったのかもしれないし、単に頭の中の思考をそのまま口にしていただけなのかもしれない。
しかし、真意はどうであれ、彼女は自分の辿り着いた答えを、後輩である御園かりんへと伝えた。
もうこの世界は終わってしまうというのに。
「どこへ行くの…?」
後輩の声を聴きながらも、アリナ・グレイの脚は前へと進む。
「ただ静かにデッドを待つなら、レジストしてくるワケ」
あたりまえのように。
いつもと変わらない調子で。
「じゃあ、わたしもアリナ先輩と一緒に戦うの」
そんな彼女の隣に御園かりんは並び、追い越し、目を合わせる。
大好きな先輩と共に居られる時間もあと僅かだから。
「一緒に輝いて、散るの。」
肩を掴んで、小さくも力強く呟いた御園かりん。
その瞳からハイライトは消え去り、希望よりも熱く絶望よりも深い闇が広がっている。
死を前にして、精一杯抗うフールガールをブリリアントガールと訂正して、ラストバトルへと赴くのだ。
しかし、この世界でのアリナ・グレイは御園かりんの覚悟に対して即答できずにいた。
彼女の中で、どんな苦悩があったかはわからない。
何故なら彼女は一般人とは全く違うジーニアスアーティスト
その神の才能は常に予測の先を行く。故に、彼女の内心を理解できる人間は一握りしかいない。
二人の間に沈黙が流れる。時が経過するごとに御園かりんが肩を握る力は強くなっていき、その柔らかな肌に食い込んでいく。
「………ソーリー」
沈黙を破ったのは、アリナ・グレイだった。
彼女はそう小さく謝ると、力ずくで御園かりんの腕を振り払い、自らのキューブに御園かりんを封印した。
次の瞬間、御園かりんが居た場所に魔法弾が着弾し小規模な爆発が巻き起こる。いつの間にか、周囲には使い魔に包囲されていた。
御園かりん入りのキューブを回収したアリナ・グレイは懐から異彩な魔力を放つ手鏡を取り出すと、キューブの中で「出して欲しいのー!!」と大暴れしている
「残念だけど、アリナと違って、まだフールガールには生きていてもらわなきゃいけないワケ。」
手鏡を見て使い魔がより活発に仕掛けてくる攻撃を避けながら、自らの魔力のほぼ全てをその手鏡に注入する。
「瀬奈みことに気付かれないように持ってきたから何処に繋がってるかわからないケド……」
それは、過去へのゲートと呼ぶにはあまりにも小さすぎるゲート。
人一人どころか、腕の一本ですら入らないほどのちっぽけな穴。
しかし、たった一つのキューブを入れるには十分な大きさだった。
「バイバイ。アナタというイレギュラーがその先の世界にどんな確変を巻き起こすのか、楽しみにしてるワケ。」
最後まで「やめるの!!アリナ先輩と一緒じゃなきゃ意味が無いの!!」と泣き叫んでいた御園かりん。
キューブの結界越しではあるが彼女の顔を網膜に焼き付けたアリナは、満足した表情でキューブを鏡の中へと落とす。
そして、手鏡を叩き割ると同時に、使い魔の攻撃がソウルジェムに当たり、その華々しい生涯に幕を降ろした。
「アナタに会えて、アナタを育てられて、そしてアナタを旅立たせる事が出来て、
アリナはサイッコーに幸せなんですケド……」
目標は、ハロウィンの終わりまでの毎日投稿
そのため、一話一話の区切りが多くなったり少なくなったりするかもしれません
ご了承ください