https://ongeki.sega.jp/character/1110/
そしてこっちは咲姫さんの公式プロフィール
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次に僕が目を覚ました時には、全てが終わっていて、真っ白い病室にいた
手に暖かくて優しい温もりを感じて、重い頭を傾けて見ると、そこには僕の手を握りながら泥のように眠っているヒメがいた
ずっと僕のそばで看病してくれていたんだって思ったよ
僕が手を動かそうとしたことに反応したのが、さっきまで眠っていたヒメは飛び跳ねるように起きて、僕の体調を心配するように質問を投げ掛けてきた
長いこと使わなかったせいで掠れてしまった喉を酷使して質問に答えようとしたんだけど、その時に気づいたんだ
声がおかしい。どう考えても僕の声じゃないって
喉仏に手を当てようとしたけどうまく手が上がらないからヒメに目線を送ったら、察しのいいヒメは手鏡を持ってきてくれた。
写っていたのは僕ではなかった
ボサボサだけど長い髪、ぱっちりとした大きな目、整った顔、そしてゆったりとした患者衣を着ているのにも関わらず目に見えて主張する二つの膨らみ
それは、紛れもなく『女』のもので
この日、『僕』は『ボク』に変わったんだ
小星「うぅ・・・ヒメ〜聞いてくれよ〜」
咲姫「小星?どうしたのよ。そんなに情けない声出して・・・」
小星「莉玖のやつに『なんで『ボク』って一人称なんだ』って聞かれたんだ。今ならあの事を言えるかもしれないと思ったんだけどさ・・・」
咲姫「その反応見るに、言えなかったのね?」
小星「そうだよ。いつかは言わないといけないって分かってるのにさ・・・」
咲姫「そんなに落ち込まなくても、それに必ず言わなきゃいけない訳でもないんでしょ?」
小星「そうだけどさ〜・・・ボクだってずっと隠し通したまま三年間も生活なんか出来ないんだよ〜。今のままじゃボクはみんなを欺いているに過ぎないんだ。」
咲姫「はぁー、全く小星は情けないわねぇ・・・というか、今のご時世ではそんなことで一々悩むのはナンセンスよ?」
小星「うぅ・・・」
咲姫「はぁ・・・ほら、乗りなさい?帰るわよ」
小星「うん・・・」
授業も終わって正面玄関へ行くと、一足先にヒメが待ってくれていた。帰りながら今日のことを話す。ヒメには気軽に相談することができるのにな。
咲姫「私はその、『みんなを欺いている』っていう考えがそもそも間違いだと思うわ。元男っていうのは事実かもしれないけど、そこまで気にする程のことじゃないわ。」
小星「ヒメがそうなだけで莉玖も気にしない保証はないじゃないか」
咲姫「あの子こそ気にしないと思うわよ。大胆に『その程度のことでお前を嫌うなんて、ロックじゃないぜ!』って言いそうね」
小星「ちょっと分かる気がする」
咲姫「でしょ?だからそんなことに悩む必要なんてないの。それに、早く吐き出したほうが楽よ?」
小星「それは分かってるんだけどさぁ・・・」
咲姫「往生際が悪いわね・・・」
小星「自分で言うのもなんだけどさ、ボクは性自認は男なんだぞ?嫌じゃないのか?」
咲姫「そのくらい知ってるわよ。でも私聞いたわよ?更衣室とかではいつも見ないように努力しているようで、顔を赤らめがなら隅で着替えているって。女であることをいいことに他人の体をまじまじと見るようなことはしてないんだから大丈夫でしょ?」
小星「だって犯罪になるじゃないか」
咲姫「ならないわよ。でも、その意識があるってことは、少なくとも女であることを良いように使おうとは考えないでしょ?」
小星「うーん、それはそうだけど・・・」
咲姫「兎に角、ウジウジしてても一向に進まないわ!もし否定されても私が何とかするから、小星はあまり気負わずに言って来なさい!」
小星「ヒメがそう言うなら・・・」
ちょっとだけ、気が楽になったかもしれない。めんどくさいけど、明日もう一回挑戦してみようかな
小星「ただいまー」
小星の母「おかえり小星。先に風呂入っておきなさい」
小星「はーい」
もはや慣れてしまった手つきで服を脱いで籠に入れ、浴室へと入る。
両親やヒメから「流石にもう自分の裸くらいは慣れた?」って聞かれることがあるけど、そんなことは全くない。十数年培われた男としての価値観とか意識なんかがいくら女の子に変わったからと言って半年足らずで変わる訳がないんだ。だから今でもボク自身であろうとも裸はあまり見たくないし、他の女の子のものとなれば尚更だ。
小星「ん・・・やっぱり慣れないなぁ全く」
同級生と比べても一際主張してしまうこの大きな胸を洗う時に感じるこの悩ましい感触も、腰にまで髪が張り付くこの感触も、腕も、掌も、太腿も、体の至る所から発せられるこの感触をどうやらボクの脳は未だに『異性のものである』と認識しているらしく、頭の中で悶々とした感情が駆け巡っていく。どれもこれも、ボクが男の精神を持ちながらこの体に閉じ込められたからに過ぎない。
小星「はぁ・・・どうしてボクはこんな中途半端なんだろう」
ヒメは勿論悪くないし、手術を決断した両親だって悪いと思っていない。むしろ感謝してる。でも、意識だけが男のままで取り残されたせいで一体いつまでボクはこのまま悩み続ければいいのか分からなくなってくる。
小星「はぁ〜、ようやく洗い終わった。手順が多いってめんどうだなぁ・・・」
なんだかんだで他事を考えながらだけどようやく体を洗うのが終わった。以前よりも時間が掛かっているのは丁寧にやらないといけないとみんなから口酸っぱく言われていたからだ。
ボクが『洗うのなんていつも通りでいいだろ〜?』って言った時のヒメの顔と言ったら・・・今でも恐ろしいよ。
と、まあそんなこんなで髪も縛っていざお風呂に・・・ん?ヒメからL!neが来てる。
咲姫『小星は莉玖に打ち明けてどんな反応をされたいの?私が思うに、欺いているとか、罪悪感とか、多分そういうことじゃないと思うわ。一回ゆっくり考えてみて。打ち明ける明けないの話はそれからだと思うの』
ボクはこの秘密を打ち明けて、何を望んでいるんだろう。
慰めて欲しい?
共感して欲しい?
貶して欲しい?
笑い飛ばして欲しい?
それともただの自己満足?
自分の胸に渦巻くこの罪悪感を減らしたいから?
どれも違う気がする
きっとボクが望んでいるのは、全てを曝け出した上で、それでもいつも通りにボクと振る舞って欲しいんだ。
だから、認めて欲しいんだと思う。ただのボクの持つ一つの「個性」として、認めてもらいたいんだ。
面倒な感情を持っているのは分かっている。ボクのこの秘密を知ってもらいたいのに、気にしては欲しくないなんてすごくめんどくさいじゃないか。
でも、認めて欲しいんだ。肯定してほしんだ。
女の子の体をしながら男の精神を持っているちぐはぐなボクを肯定して欲しい。この私立奏坂高等学校という女子校に居てもいいんだって言って欲しいんだ。中途半端なボクにも居場所があるんだって、そう言って欲しいんだ。
ヒメにL!neを打ったら、すぐに返信が返ってきた。
咲姫『小星の言うことは分かったわ。小星は自分の事を半端者だと思ってるのよね?』
咲姫『私達の中では、そうじゃないと確実に言えるわ。小星が自然体でみんなに接している限りは』
小星『どういうこと?』
咲姫『私達の中での『井之原小星』という人間はぐーたらな性格や、変な所で恥ずかしがる性格とか、頑張るときはちゃんと頑張る性格とか、小星が私達と初めて会ってからの行動なんかを色々ひっくるめて完成されているの。つまり、元男であるという事実を知っている知っていないに限らず、無意識の内にその行動は『井之原小星の個性』として肯定しているし、その『個性の由来』を知ったところで、小星という人間が変わるわけでもなければ、見る目が一変するなんてこともないわ。あなたは半端者じゃないの』
・・・そっか。そうなんだな。
ボクは少し考え過ぎていたのかも知れない。
軽く話して、もっと仲良く慣れたらそれでラッキー。その程度の話だったんだ
小星『ありがとうヒメ。お陰でボクは決断することが出来たよ。明日はボクが逃げないように見張っててくれ』
ヒメから『OK!』というスタンプが返ってきた。こういうところがヒメらしいな。
さて、ボクも久々に頑張ってみようかな。少し、気持ちは晴れやかだった。
何となくなんですが、風呂っていう場所はTSっ娘が自分を見つめ直す場所として一番適していると考えている節がありまして、今回は風呂シーンを入れさせて頂きました。ただし僕自身はそういう表現が苦手なので浅い表現しか出来ていないのがなんというか残念というか。自分に文才があったらなぁと思う日々です。
次回は後編、最終話となります。一体どんな結末になるのか・・・また次回もよろしくお願いします。