僕はボクになって、彼女は親友になった   作:XOUND

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咲姫に励まして貰った小星は『元男である』という自分の秘密をもう一度話そうと莉玖に話しかける・・・
いよいよ完結編です。


Make UP Future!

ヒメが付いていたとはいえ、入院生活は大変だった。

 

まず何より、体が変わってしまったせいで上手く手や足を動かしたりすることが難しくなった。リハビリはしていったとはいえ、正直今も少し体は重たい。主治医曰く、効率良く体を支えることが出来なくなっているんだってさ。勿論元からぐうたらだったボクには凄く響いた。入院していたころは歩くのも勿論、何か行動を起こすことさえ億劫になってしまったんだ。

 

ヒメには秘密でリハビリをサボるようになって数日後、ヒメはとあるものを持ってきた。学校のパンフレットだ。しかも、ヒメの通っている学校のもの。

 

私立奏坂学園 高等学校。そこは紛れもなく女子高だった。どうせ女の子になったんだから、私の通っているところにこない?って、ヒメは満面の笑顔でそう言ったんだ。

 

その日から、ボクは重い腰を上げて頑張ることにしたんだ。

 

まず、受験勉強をした。事故で気を失っている間にも学校では授業が進んでいた。その分を取り返して、さらに奏坂にも合格出来るように勉強をした。

 

そして、リハビリも頑張った。日常生活くらいなら不自由なく送れるくらいまでには体力も戻った。

 

どれもこれも、ヒメのいる学校に行って、ヒメの期待に応えたかったからなんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

咲姫「こーぼーしー!!!起きなさーーい!!!!」

 

小星「んぅ・・・ヒメ・・・」

 

咲姫「小星?今日は久々に頑張るんじゃないの?ほら起きなさい!」

 

小星「んん・・・それと朝起きるのは別・・・」

 

咲姫「はぁ、全く小星ったら・・・布団ひっぺがすわよ?」

 

小星「んなっ!それはないじゃないかー!」

 

咲姫「問答無用よ!起きなさい!」

 

小星「ギャー!?ボクのお布団返せー!」

 

 

 ヒメはいつもボクを起こすときはこうだ。布団を引っぺがされて起きざるを得ない状況に変えてしまう。ボクはもうちょっとだけ寝ていたいのに・・・

 

 

咲姫「そんなこと言って、小星が二度寝してちゃんと間に合うわけないでしょ?」

 

小星「うっ・・・」

 

咲姫「分かったらさっさとリビングに行って朝食を食べる!今日は私が用意してあげたから!」

 

小星「む、ヒメが用意してくれたのか。仕方ないなー」

 

咲姫「全く現金な子ねぇ・・・」

 

 

 ヒメが作った朝食というならば起きるしかない。ヒメは料理も上手くて外れがないんだ。ところで本当ならボクは将来ヒメの朝食を毎日食べれる身になってたはずなんだけれどなぁ・・・一応付き合ってたし

 

 でもよく考えたら今の状況も付き合っているのと変わらないんじゃないか?ボクの家にヒメがわざわざ来てくれて世話してくれて・・・もしかして性別関係なく変わってなくない?

 

 

小星「ヒメ、毎日ボクの家に来てくれてるんだしさ、これもう結婚してるのも同然じゃない?」

 

咲姫「バカな事言ってないで早く食べるわよ。遅刻するでしょ」

 

 

 冷たくあしらわれた。悲しい

 

 

小星「ん、ご馳走様」

 

咲姫「お粗末様でした。じゃあ歯磨きして行くわよ!」

 

小星「今日のヒメ、ちょっとノリノリじゃない?テンションが高いぞ」

 

咲姫「だって、小星が久しぶりにゲーム以外でやる気を出しているんだもの!テンションが上がらない方がおかしいでしょ?」

 

小星「はぁ、それでこんなにもハイテンションなのか」

 

咲姫「そういうことよ!あ、そうだ小星、どうせだから髪整えていかない?」

 

小星「お母さんか!いいよ別に」

 

咲姫「はいはい。じゃあ学校行きましょ?」

 

 

 ボクにとっての少し大事な一日が、始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

咲姫「それにしても小星、今朝のあの悲鳴はちょっとないんじゃない?普通の女の子は『ギャー!』なんて悲鳴出さないわよ」

 

小星「ボクは普通の女の子じゃないからいいんだよ。」

 

咲姫「でも髪くらいは整えないの?いつもボサボサじゃない」

 

小星「めんどくさいからやだ。それにこの髪型は気に入っているんだ。手入れが要らないし」

 

咲姫「そういうの髪型とは言わないわよ。放置して自然に出来てるだけじゃない」

 

 

 割と髪型を変えてみないかという誘いはヒメ以外にも、色んな人から受けたことはある。事実としてボクの髪は長いし、アレンジのしようはあるのかもしれない。まあめんどくさいから全部断っているけど。

 ちなみにこの長い髪は短く切ろうとしたらヒメやお母さんに猛反対された。正直体に絡みつくことがたまにあって鬱陶しい

 

 

咲姫「小星も女の子なんだし、もうちょっと身だしなみにも気を配ってもいいんじゃない?」

 

小星「やだよ。化粧道具とか髪飾りとか服とか、そういうのに金をかけるくらいなら、ボクはゲームにお金をかけたほうが幸せだ」

 

咲姫「この分じゃ小星は結婚とかすることもなさそうねぇ・・・」

 

小星「いっつも言ってるだろう?ボクの性自認は男だって。付き合うなら女の子がいいに決まってるだろ?例えばヒメとか」

 

咲姫「っ!?ちょっと小星、急に言うのは反則よ・・・」

 

小星「へへっ。やっぱヒメってボクのこと好きなんじゃないの?」

 

咲姫「そうかもしれないわね・・・ってこの話はやっぱりナシ!今日じゃなくてもいいでしょ?」

 

小星「それもそっか。・・・ねえヒメ」

 

咲姫「何かしら?」

 

小星「もしかしてさ、ボクがあまり考え込まないように話題振ってる?」

 

咲姫「うっ!?そ、そんなことはないわよ?」

 

 

 ヒメは嘘が分かりやすい。いや、嘘をつくことはできても追及された時に誤魔化すことが出来ないんだ。それこそアニメやゲームに出るような純粋無垢なキャラクターみたいだ

 

 

小星「ボクはそこまで気にしてないよ。ただサラッと言って終わりだ」

 

咲姫「嘘ね。それだったら昨日泣いてなんかはいないわ。変に心配をかけることを嫌がるんだから・・・」

 

小星「・・・本当は少し怖いよ。昨日のことで少しはマシになったけどさ。」

 

咲姫「小星は少し疑いすぎよ。じゃあこうしましょう?もし小星がちゃんと言えたなら・・・」

 

小星「ちょっと待って!」

 

咲姫「どうしたの?」

 

小星「それだとボクが報酬に釣られてばらす形になるじゃないか。ボクは自分で決意を決めて話すことにしてるんだ。」

 

咲姫「そう、なら放課後帰るときに話すわね。あ、そうそう。ちゃんと自分で決めたんだから言い終わるまでは帰さないからね」

 

小星「分かってるよ。ま、ヒメは扉の外で見守ってるといいさ。」

 

咲姫「はいはい。でも、どうしても勇気が出ないときは、ちゃんと私を呼ぶのよ?」

 

小星「ヒメは心配性だなぁ・・・」

 

 

 

 

 さて、ヒメにいつも通りおぶって貰って学校に来た。まず最初に莉玖に言わないと

 

 

莉玖「おっす小星!今日も早いな!」

 

小星「莉玖、よく聞いてくれ」

 

莉玖「おう!なんだ?」

 

小星「放課後、隣のいつも使われていない教室に来てくれ。決意が出来たんだ。全て話すよ。」

 

 

 ボクはもう、逃げたりしない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

莉玖「小星ー!放課後になったから来たぞー!」

 

小星「来てくれてありがとう。取り合えず扉を閉めてくれ。余り他の人には聞かれたくないんだ」

 

莉玖「ほかの人には聞かれたくないのに、なんでオレには話そうとしたんだ?」

 

小星「莉玖になら、大丈夫だと思ったからだよ。ボクのこの『秘密』も、笑って受け入れてくれるんじゃなかと思ってさ」

 

小星「ボクが『ボク』と言っている理由は・・・」

 

莉玖「・・・」

 

小星「っっ・・・」

 

莉玖「なあ小星、やっぱりやめたほうがいいんじゃないか?」

 

小星「止めないでくれ!これは自分でボクの口から言うことが大切なんだ。ボクは・・・ボクは・・・」

 

 

 涙が出てくる。体が震える。声も震える。どれもこれも、ボクが怖いと思っているからだ。でもボクは踏み出さないといけないんだ!

 

 

小星「ボクは元男なんだ!!!!!今はこんなナリだけど、中学三年生のころまでは男だったんだ!!!」

 

 

 言い切った。言い切ってしまった。漠然とした不安が一気に襲い掛かってくる。もう後戻りは出来ない。

 軽蔑されたら、嫌われてしまったら、ボクの居場所なんて何処にもないと言われてしまったら・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

莉玖「なんだよ!そんなことか!オレすっごく心配したんだぜ?」

 

 

 目を瞑って震えていたボクが感じたのは優しくて暖かい抱擁の感触。受け入れられて貰えたんだってそう実感したとたんに堪えていた涙が一気に溢れ出してしまってボクは莉玖に抱き着いたまま大泣きしてしまった。

 

 

莉玖「オレはさ、もう数ヶ月しか生きれないような病気に罹ってるんじゃないかとか、そういうのを心配してたんだぜ?良かったー!!!」

 

小星「それじゃ『ボク』って言っている理由にならないだろ。・・・莉玖」

 

莉玖「なんだ?」

 

小星「ボクのこと、嫌ったりとか思わないの?半年くらい前までボクは男だったんだぞ?それなのに何も言わずにこの奏坂学園という女子高に通っていたボクを軽蔑したりとかしないのか?」

 

莉玖「何言ってんだよ!そんなのロックじゃないだろ?」

 

小星「ふふっ、それもそうだな。」

 

莉玖「それにしてもよ、小星ももうちょっと皆を信用してくれてもいいんだぜ?その程度のことで嫌うようなやつなんて奏坂にはいないからさ!」

 

小星「証拠はあるわけ?」

 

莉玖「ない!!!!」

 

小星「あははっ、やっぱり最初に莉玖に言えて良かったよ。」

 

莉玖「おう!それは良かったぜ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

冒頭の話の続きだ。パンフレットを差し出した時、ヒメは言ったんだ。「きっと小星と一緒に通ったなら、もっといい高校生活になると思うの!何より、毎日が楽しいわよ!だから小星もここに来なさい!」って。

 

何それってその場では鼻で笑ったけどさ、今なら分かる気がするよ。

 

元男なんてレッテルの貼られたボクのことをちゃんと認めてくれる友人がいて、ボクのことを受け入れてくれる環境があるんだ。ボクが自分を偽らずに、過ごすことが出来るんだ。

 

やっぱり、ヒメの言う通りこの学校に決めて良かったよ。勉強もリハビリも、今の授業もめんどくさかったけど、こういうのもやっぱり、悪くないかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

咲姫「ふふっ、ちゃんと小星も言えたようね!だから言ったでしょ?ちゃんと受け入れてくれるわよって」

 

小星「本当にそうだったよ。やっぱりヒメは凄いなぁ」

 

咲姫「この調子で、クラス全員にも言えるといいわね」

 

小星「ちょっ、それは話が違うじゃないか!流石にハードルが高すぎるぞ!」

 

咲姫「一人に打ち明けれたんだから二人も三人もクラス全員も変わらないわよ」

 

小星「むぅ・・・」

 

咲姫「あっそうだ小星!実は言えたご褒美にこんなものを買ってきてて・・・じゃーん!」

 

小星「それボクが欲しかったコントローラーじゃないか!本当にくれるの!?」

 

咲姫「勿論よ!ちゃんと秘密も言えて、仲良くなれたご褒美なんだから!」

 

小星「やったー!!じゃあ早速家に帰ってから・・・」

 

咲姫「その前に課題はちゃんとやらないとダメだからね?」

 

小星「うへぇー、めんどくさいなぁ・・・」

 

 

 

 明日はきっと、昨日よりも今日よりもいい一日になる。




 なんか思ったよりも長くなりましたな。流石に『TSして生徒の身長以下になっちゃった教師の話』の最終話である『HEADLINER』までとは行きませんがそれでも僕の書いた作品の中では二番目ですよ。やっぱ長いですね。大変でしたけど、それでも書いていて面白かったです。

 実は最後のヒメからプレゼント案として、『もう一度小星と付き合う』なんていうことも考えていました。ですが、これは前提として『小星から別れの言葉を切り出す必要がある』という条件があります。二話の回想にて伏線を張ると完璧にここで回収できるのですが、なんせこの案を思いついたのが投稿日である11月11日だったんですねぇ・・・いやはや、もうあと一週間思いつくのが早ければ・・・悔しい限りです。

 さて、次週からはまた『TSして生徒の身長以下になっちゃった教師の話』の方を更新しようと思っているのですが、この『僕はボクになって、彼女は親友になった』を執筆していて色々とアイデアが湧いてきたので外伝も作ろうかなと思います。内容としましては、基本一話完結をベースに、もっと色々なオンゲキキャラと絡ませて更に面白くした内容にしようと考えてます。
 勿論連載している作品もありますので、一作品ごとの更新頻度は半々になってしまいますが、やっぱり僕の小説を書いている理由は『見たいものが誰も書いていないから自分で作る』というのがベースなんで僕のやりたいようにやらせて頂きたいと思います。なので再来週は僕はボクになって、彼女は親友になった』の四話目の投稿がなされるかもしれませんね。

長くなってしまいましたが、全三話のこの作品を最後まで読んでいただき、ありがとうございました!また別の話でお会いしましょう。
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