Q. 発目さんは?
A. 体育祭の間だけ原作青山くんの役割を担ってもらってます。
※本作とは全く無関係ですが息抜きに短編を一作書きました。
ノリと勢いだけの駄作ですが、気になる方は作者名→投稿小説リストからご覧ください。
「―――時間後半、爆豪チームおよび轟チームで二対一もしくは三つ巴……そう読んでましたが」
「そう考えると想定よりは甘い状況やね」
「けど足を止めた現状、仕掛けてくるのは一組じゃ―――」
A組B組問わず、集まって来た騎馬に対して動いたのは轟チーム。
八百万さんが『創った』シートを被った瞬間、わたしの視界を稲光が照らした。
「う、わっ……!」
「ヒャアッ」
「上鳴くんの放電! それじゃ八百万さんが創ったのは絶縁体のシートか!」
急にオドオドと怯え始めた『
葉隠さん、峰田、それにB組生徒が騎手を務める二チームを入れた計四つの騎馬が、放電に巻き込まれて硬直していた。
「驚きましたが……届きませんよ、轟さん!」
「……これも駄目なのか。だが残り六分弱、後は引かねえ」
そう呟いた轟さんが、八百万さんから地面にまで届く棒を受け取る。
何の為かとわたしが浮かべた疑問を、彼は『氷』の伝導に使うという答えで晴らしてくれた。
「氷もわたしが居る限りは……あれ?」
「狙いは僕達じゃない! 電気で止まった周りの騎馬の足を固めたんだ!」
「一騎打ちが望みか……随分買われたな、緑谷」
行き掛けの駄賃とばかりに近くに居たB組のハチマキを奪いつつ、轟さんの騎馬が迫ってくる。
牽制にと伸ばした『黒影』の一撃は、八百万さんの腕から『創造』された装甲に防がれた。
「かん……干河さんの
「ああ……上鳴の電光で『黒影』は及び腰だが、防御ならば問題無いはずだ」
氷の壁に区切られた空間で、改めて轟さんの騎馬と対峙する。
冷気に電気、まだ使ってきていないけれど炎が来たとしても、わたしが居る限り届かせない。
何が出るか分からない八百万さんの『創造』も、流石に生物は創り出せないだろうから大丈夫!
「……干河が居る限り遠距離攻撃は無駄、か。行くぞ、飯田」
「ああ! しっかり掴まっていろよ、皆!」
「っ、来るよ!」
《まあ、それしか選択肢はないわよね》
飯田さんの『エンジン』を噴かせ、飛び込んでくる騎馬にデクさんが身構える。
『黒影』が両腕を広げて待ち構えるその上で、彼の身体に緑色の稲妻が走った。
「……僕を信用してくれた、三人の思いを……僕は今、背負ってんだ……っ!」
「「……!」」
《あらまあ》
おそらくは無意識にデクさんが口から漏らした言葉に、両手に感じる力が強くなる。
電光に涙目になっていた『黒影』まで、心なしか顔付きに締まりが戻ったような気がした。
「【フルカウル】……5%……っ!」
「っ!!」
接触は一瞬。轟さんが伸ばした炎を纏う手を、デクさんの腕が掠るように弾く。
直前に放たれた電撃はわたしが、『創造』された鉄棒の一撃は『黒影』がそれぞれ捌いた。
轟さんの騎馬は勢いをすぐには止められず、数歩分余計に前進したところでこちらに向き直る。
状況は変わらず、けれど時間を稼ぐというこちらの目的だけはしっかり果たされた。
《残り5分よ。始めなさい、歩》
「時間来ました! 行きますよ、お茶子ちゃん!」
「了解や!」
「何だ!? 何する気だよ!?」
再び三人の重さが消えたところで、ここまで
『干渉』が考えてくれた残り5分の『ダメ押し』を実行する。
「【
"個性"の対象化の射程は、わたしの場合半径二メートル。
一度対象化しておけば、三十メートル離れるか損壊しない限り、いつでも力を加えられる。
一度でも、わたしの射程圏内に入ったことのある
『何だァ!? 全員の……いや、1000万以外の全てのハチマキが一斉に宙を舞った!? っと、その隙に上空へ逃げる1位緑谷……って、オイお前らどこまで飛んでく気だァ!?』
『完全に逃げ切りに動いたな。混乱を撒いておいて残り時間を高空でやり過ごすハラか』
しっかり頭に結んでいるならいざ知らず、取り易さ重視のマジックテープ式。
額にあろうと首に巻こうと、一度の【加速】で十分に剥がしてしまえる。
残り五分、ある程度上位陣が決まってきていたところで、引き起こされたちゃぶ台返し。
相澤先生の言う通り、『彼女』が狙ったのは混乱だ。
「けろ……640P。これ爆豪ちゃんのハチマキね」
「うおおお!! これさえ守れば4位は狙えるじゃねーか! 障子が固められちまってもう終わりだと思ってたのによお!!」
「……595P。これだけで突破できるかは分からないが……」
「やっと『ボンド』も取れたところだ! ここからだよ、凡戸!」
動きを止められたり、体力が切れて半ば諦めていた騎馬も、目の前を無防備にちらつくハチマキがあれば話は変わる。
「ここまできて0Pに……」
「あの小人の方のP、穢らわしい取り方をしてしまった罰でしょうか……」
「はは……振り出しか。可愛い顔してやってくれるよA組」
「あンの青髪ィ!? 面倒臭ェことしやがって!!」
上位に居た騎馬は、盤石だったはずの状況を奪われた衝撃と焦燥に襲われる。
そうなれば彼らは、失くしたPの再回収に躍起になるしかない。
『個々の騎馬の士気も含めた"振り出し"だ。制限時間は三分の一、上位に居た騎馬ほど"喪失"が頭に浮かんだ状態で、な。一部まだ1000万を諦めてない奴は居るだろうが―――』
「轟さん!」
「……分かってる。凍ってる奴らから回収するぞ」
「爆豪!! まずはP確保しねえと!」
「わあってる! ……クッソがあぁ!!」
『―――団体競技である以上、我は通せない。1位は十分かけて機動力と防御力を散々見せつけ、おまけに今は簡単には手の届かない空の上……どう判断しても意識から外さざるを得ない』
『
『その場合、全騎馬が空に逃げた緑谷チームを引き摺り落とす為に協力し合う可能性が出てくる。1000万を守れれば良いと判断して、協力する、という択を潰しにかかったんだ』
『オイオイ、エゲツネーな!? マジでどんな教育してんだよ、イレイザー!?』
『奴らが勝手に火ィ付け合った結果だと言っただろ……あの四人の中でこんな策を考えそうなのは……さて、誰だろうな』
《さて、誰でしょうね?》
「干河が予測した通りだな……何という慧眼……!」
「そ、そうですね。わたしに掛かれば……ごにょごにょ」
「歩ちゃん……」
「干河さん……」
スタジアム上空、観客席をも一望できる高度を保ち、遥か足元で行われる戦いを見守りながら。
常闇さんと、ついでに『黒影』さんから向けられるキラキラした視線と、デクさんお茶子ちゃんから向けられる生暖かい視線から、わたしはまとめて顔を逸らした。
一応、眼下の戦いに意識を払ってはいるけれど、『彼女』の見立て通り轟さんどころか爆豪さんすらこちらに視線を飛ばす余裕も残っていないようで。
棚ボタであろうと手に入ったPを死に物狂いで守る騎馬の抵抗を受け、少なからず苦戦している様子が見て取れる。
「……こほん。お茶子ちゃん、時間まで保ちますか?」
「うん、大丈夫。……二回も見立てを外させるわけにはいかへんよ」
《…………》
『―――そろそろ時間だ、カウント行くぜ!
スタジアムのモニターでPの推移を確認しつつ、実況のカウント終了を静かに待つ。
やはり轟さん、爆豪さん、あとはB組らしい鉄哲さんチームがPを集めていた。
『彼女』に聞く限り、振り出しに戻す前の状況に収束するかのように推移しているらしい。
《大半の騎馬は動けなくなっていたか、そもそも地力の差でハチマキを奪われていたから、当然と言えば当然……ん?》
(どうかしました?)
《鉄哲チームのPがごっそり心操チームに……はて、誰かしら?》
『―――2! 1! TIME UP!』
「……降りましょうか」
「終わってみれば最後まで作戦通りやったね」
「ありがとう……麗日さん、干河さん、常闇くん……」
「選んだのはお前だ、緑谷。こちらこそ感謝する」
わたし達が地上を目指し降下する間に、実況が第二種目突破となる上位四チームを挙げる。
四位、轟チーム920P。
三位、心操チーム1070P。
二位、爆豪チーム1290P。
一位、緑谷チーム10000525P。
ちょっと未来のどこぞのネズミ「頭脳派
原作騎馬戦の不思議その二。
残り十秒のカウント開始時点で爆豪チームの保持Pは1350P。
内訳は爆豪チーム、物間チーム、そして物間くんが「漁夫の利」の一言と共に確保していた葉隠チームのハチマキであるはず。しかしその合計は1360Pである(665 + 305 + 390)。
物間チームが実は心操チームのハチマキを確保していて、自チームのハチマキを手放していたとすればこちらの計算は合う。
ただしその場合、拳藤チームの合計520Pを実現できるハチマキの組み合わせが存在しない。
(拳藤チーム225P + 心操チーム295P = 520P)
※作者の持っている単行本4巻は第1刷です。