おしゃべりな"個性"   作:非単一三角形

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 歩ちゃんの演習試験相手について

 ・オールマイト・イレイザーヘッド:原作の組み合わせ以外有り得ない。
 ・根津校長:重機? 非生物ですね。
 ・エクトプラズム:実体化した『エクトプラズム』は生物判定じゃないよなあ……
 ・パワーローダー:地形を凸凹に……? はい飛行技。
 ・プレゼントマイク・スナイプ他:【反射】がチート過ぎて相手出来ない。

 ・セメントス:候補その一。コンクリ波は大質量過ぎて操り切れないという展開を考えていた。
 ・13号:本採用。ただし原作リカバリーガールの台詞的にペア相手変更の必要あり。



C3-6 期末試験・後編

 

「―――あなたの"個性"相手だとこうなりますか」

「……はい。わたしに掛かる引力もまた【反射】の対象内ですからっ!」

 

 大方の予想通り、やけに華々しく装飾されたゲートを塞ぐように立っている13号先生を発見。

 向けられたブラックホールの吸引力と重力によって体に掛かる速度変化をまとめて【反射】し、高速飛行で一旦離脱。

 ゲートと先生を見下ろす形で、その視界の前に滞空する。

 

「……予想はしてましたけど、反射角度を調整して脇をすり抜けるというのは難しそうですね」

「そう簡単に逃がしてはあげられませんよ。僕は捕り物には一家言あるんです―――そして」

 

 わたしに向けた手と反対の方向へ、空いたもう片方の腕を伸ばした13号先生。

 その指から発生した二つ目の『ブラックホール』が、()()()()()()()をチリに変えた。

 

「山岳地帯の岩石……切島君が砕いて供給しているんですね。勿論そちらも見えてますよ?」

「むむ……吸引力の変わらない唯一つの"個性"……」

《言いたいだけでしょ、それ》

 

 わたしへの圧力と警戒を続ける片手間に、断続的に飛来する岩石を対処していく"個性"捌き。

 幾つかの岩石には屈折、加減速を駆使して懐へ潜り込ませようとしてみるけれど、やはり見事な反応でチリに変えられてしまう。

 

「おっとと……ふむふむ、良い操作精度です。僕の"個性"に対し安全を確保しつつ攻撃可能なことも含め、君の"個性"は応用性が素晴らしい。次の課題は同時操作数の増加ですね」

「そればかりは伸び悩んでまして……先生こそもうちょっと隙を作ってくれてもいいんですよ?」

 

 岩石の突撃を一旦止め、数が揃うのを待つ。

 その間に攻撃してくるかと身構えていたけれど、あちらもわたしの吶喊に備えてか動きは無し。

 

「……おや、岩の供給が止まりましたね?」

「あちらの山岳地帯で大きな岩を幾つか対象化しておいて、切島さんに砕いてもらっていたので。どうやらそろそろ砕き終えてしまったみたいですね」

 

「……試験とはいえ、そう律儀に作戦を話す必要はないんですよ? 何より今は対(ヴィラン)を想定しているのですから敵前で策を―――アッ、もしかして僕の影響ですか!?」

「え? あ、いえ、それも踏まえた作戦ですのでお気になさらず……」

 

 宇宙服じみたコスチュームの向こうで一瞬ショックを受けたように固まる13号先生に、慌てて無関係ですと言い繕う。《まさかの精神攻撃》……そんなつもりじゃありません。

 

 ……気を取り直し、傍らに揃えた四つの岩塊をそれぞれタイミングをズラして飛び込ませる。

 今度は簡単にチリにされないよう、吸引されかけた岩は【反射】による離脱も視野にして。

 

「【加速】、【反射】、【反射】【反射】【加速】【反射】【減速】【加速】……うぐぐぅ」

「こ、これはなかなか……おっと?」

 

「あっ……」

「……成程。一定ラインを越えると逃げられなくなるんですね」

 

 13号先生に近付かせ過ぎた岩石が一つ、吸引力を【反射】しきれなくなって じりじりと後退、やがてチリになって消滅した。

 操作数が一つ減って走り始めた頭痛は治まったけれど、状況的に良くはない。

 

 

『―――報告だよ。条件達成最初のチームは、轟・八百万チーム!』

 

「こんな放送あるんですね!?」

「……ふむ。あと20分ほどですが、このまま岩投げを続けますか?」

 

 リカバリーガールの声で響いた宣言で、同課題を突破したクラスメイトの存在を知る。

 そこに関しては競うわけではないとはいえ、否が応にも残り時間が思考に入り込んだ。

 

《…………》

(……いえ、まだです)

 

 言葉は無く、それでも伝わってくる『彼女』の感情に否の意思を示す。

 わたしだって、考えなしに挑んでるわけじゃない。ここまでは()()()()なのだから。

 

「……13号先生。コレ、何だか分かりますよね?」

「捕獲証明のカフス……君ならソレ単体を嗾けることも可能ですか」

 

「吸われないギリギリのラインは把握出来ました。……後は根競べですよ、先生!」

「良いでしょう。君の意気を見せて下さい!」

 

 残った三つの岩石と、一つのカフスに空を舞わせる。

 やはりというべきか、他に比べてカフスに対する警戒が一段強い。

 元々近付けることが困難だったそれが、更なる鉄壁へと変化……けれど、()()()()()

 

 

「行きますよ―――切島さん!!」

「―――ウオオォォーーッ!!」

 

「……はぁッ!?」

 

 突如、()()()()()()飛び込んできた切島さんに、13号先生の素っ頓狂な声が聞こえた。

 その右手には配布されたカフスが、そして左手には『金属の羽根』が握り締められている。

 

 ―――職場体験後、ホークスさんの『剛翼』に着想を得てサポート会社に要望を出した新装備。

 靴に使っていた金属で作られた、人間を運べる強靭で軽い羽根、その名も『銀翼(シルバーフェザー)』。

 普段は靴の両側面に収納する形で計四枚を携帯……蹴撃用に考えていた靴がそれだけ薄くなったけれど、結局近付かれないように立ち回る方が向いているし、そこは最低限で構わない。

 

 ただし本来は数枚を使って運ぶ対象を『乗せる』形で使うモノであって、『掴んで移動』なんて想定されていない。

 鋭利ではなくとも、高速で動く薄い金属の板を掴んだりしたら裂傷を負ってもおかしくないし、身体を引き回されながらそれを握り続けるなんて並みの根性で出来ることじゃない。

 

「相方が切島さんで良かったです!」

「こっちこそだぜ、干河ぁっ!!」

 

 握られた手から、引っ張られる肩から、ギシギシギリギリと軋み音を響かせ飛行する切島さん。

 全身を『硬化』出来る彼だからこそ、無茶な軌道変化にも耐えて『銀翼』を握り続けていられる彼だからこそ成立する高速軌道。

 

「高速移動手段を持たない、どころか山岳地帯で岩を供給していた筈の切島さんが飛び込んでくるとは思いませんよね、13号先生!」

「……! 敵前での饒舌さはそういう……っ」

 

 13号先生の"個性"が向けられ、当然わたしも切島さんを危機から遠ざけるべく【反射】。

 それと同時にわたしのカフスを先生に向かって【加速】。

 先生の意識がそちらに向いたところで、『銀翼』を通じて切島さんに合図を送る。

 

「……っしゃ! 今だな!? オラァっ!!」

「なっ、カフスを!?」

 

 切島さんがカフスを13号先生の右手側から投げ付ける。当然これも"個性"の対象化済み。

 そして、わたしが突撃させたカフスは先生の左手側。

 吸われず、かつ離脱出来ない速度を与え、二つのカフスを同時に先生の眼前に滞空させる。

 

「ああ……これは……時間が足りないなあ」

「ええ、先生なら二つとも片手で対処して手を空けることも出来ますよね……時間があれば」

 

 13号先生は"個性"を両手の指から発生させている。

 両手指それぞれの吸引力、範囲を調整して隙を作らないように岩石群には対処していたけれど、一定以上離れた二点から同時に迫れば両手を使わせられるというのは既に分かっていた。

 

 問題は先生に近くなってしまえば、片手で対処出来る範囲に収まってしまうということ。

 だからこそタイミングをズラして吶喊させたり、【反射】でフェイントを掛けたりと試していたものの、攻撃を届かせることは出来なかった。

 

 時間いっぱいまでこれを続けて勝機を探るという手もなくはなかったかもしれないけれど、既に許容限界の頭痛が始まっていたわたしに、そう悠長に仕掛けていられる余裕はない。

 

「その隙は攻撃が届く程ではないですけれど……脇を潜り抜けるには十分です!」

「……っ、ああ、やっぱりダメか」

 

 カフスへの対処を片手に切り換え、空いた手をすかさず背後に回して吸引。

 ……けれど吸い込めるラインを離れている以上、その引力は脱出ゲートへと向かう切島さんへの追い風にしかならない。

 

 

『―――おっと報告。切島・干河チーム、条件達成!』

 

 

「オッシャオラアアァッ!!」

「……いい雄叫びだねえ」

「切島さーん、『銀翼』歪んじゃうから返してくださーい」

 

 

 

 

「―――干河さん!? 切島くんも!」

 

「わぁ、見慣れた光景」

「干河の言う通りだったなー」

 

 試験会場近くに設置された『リカバリーガール出張診療所』……と銘打たれたプレハブの中。

 校舎に戻る途中で聞こえてきたデクさん達チームの達成報告からもしやと思って訪れてみれば、案の定満身創痍でベッドにうつ伏せになっているデクさんの姿があった。

 

「まあ、お前んとこオールマイト相手で、しかも相方爆発さん太郎(爆豪)だろ? よく達成出来たよな」

「……でも今までみたいに手足を壊したわけじゃないですね。今回はどの辺りを?」

「今回はこの子のせいじゃないさ。オールマイトがやり過ぎたんだよ」

《あらまあ》

 

 話を聞くと、デクさんは腰に結構ギリギリな一撃を貰い、爆豪さんも気を失ったまま先程校舎のベッドに運ばれていったとのこと。

 入れ違いかあ、という切島さんの呟きを聞きつつ、プレハブの中を見回して、ソレに気付く。

 

「あ……ここから試験の様子を見てたんですね」

「うおっ!? モニターの数すげえ……!」

「あんたらも見たいのかい? まあ、怪我人が少ない内なら構わないがね」

「……いや、干河さんの場合、多分みんなを見たいというよりは……」

 

 デクさんの苦笑いを背中に聞きつつ、大量のモニターを見渡して目的の姿を探す。

 見付けたと思った次の瞬間、カメラの視界一杯に巨大な顔が映った。

 

 

『―――【強制収容ジャイアントバイツ】』

 

 

「ひえっ!?」

「エクトプラズム先生の"個性"『分身』! 口から吐いたエクトプラズムを実体化して三十以上の分身を出す"個性"だけど、それを一つにまとめた必殺技だ!」

《相変わらず流石ね、緑谷さん》

 

 お茶子ちゃん、常闇さんの二人を呑み込むような勢いで迫る、デクさん曰くの巨大な『分身』。

 咄嗟に天井まで跳び上がったお茶子ちゃんは逃げきれたけれど、『黒影』を纏う技からでは即座に飛行は出来ない常闇さんは、巨大分身の影になる形で見えなくなってしまった。

 

『何たる万能"個性"』

『俺もダヨ』

 

 すぐに分身の背中側、表面に手足を拘束される形で浮かび上がる常闇さん、および『黒影』。

 あの状態でも『黒影』だけは動けるようだけれど、彼自身はもう身動き取れないだろう。

 

『すまん、麗日!』

『大丈夫や、常闇くん! 引っ張れェ!!』

 

 そう思っていた矢先、天井から降りて来たお茶子ちゃんが巨大分身の頭に五指を押し当てた。

 次の瞬間、『黒影』の飛び出す勢いに引かれるように、巨大分身が丸ごと浮かび上がる。

 

『……コレデハ逆効果カ』

『っ!? 解除される! 今や!』

『【深淵闇駆】ッ!』

 

 自分に向け倒れかかってくる巨大分身を堪らず解除した先生に、その隙を突かんと二人掛かりで攻めに回るお茶子ちゃん達。

 両脚義足とは思えない体捌きで応戦するも、大技後の隙かつ二対一の上に重りを嵌めた状態では流石に抑えきれなかったらしく、最後には義足をお茶子ちゃんが触れたことで勝負は決まった。

 

「やったー、お茶子ちゃん!」

「放送入れるから黙ってるんだよ? ……『麗日・常闇チーム条件達成!』」

 

 モニター越しに常闇さんと喜び合うお茶子ちゃんの姿が見える。

 エクトプラズム先生にも何かしら労いの言葉を掛けられているらしく、揃って晴れやかな表情でステージを後にしていた。

 

 

 

 

「……あの分なら二人とも治療に来る必要は無さそうだね」

「あ、じゃあ、わたし校舎に帰りますね」

「「わっかりやすいな本当に」」

 





 13号本採用の最大の理由:ポジション青山として台詞消化。……冗談ですよ?
 新装備により左右の靴から一対二翼の羽根が生えた見た目になってます。タラリアかな?

 歩ちゃんの存在で組み合わせが変わった組があと一つありますが、そちらの顛末は追々。
 麗日さんのところと違って歩ちゃんが興味持ってくれないからね。仕方ないね。


 私事ですがハーメルンの掲示板形式タグというものに触れてみました。
 意外と簡単に書けるようなので、ヒロアカ二次では定番になりつつある体育祭掲示板回というのも折を見て投入してみようかなと思っています。
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