Q. 【ジャイアントバイツ】に『無重力』効くの?
A. 本作内では効くということで。また重さも不明ですが、エクトプラズムの体重を×30したとして『無重力』の許容重量(3t)は恐らく越えないだろう、という判断からキラキラ(婉曲表現)も無しとしました。
※歩ちゃん父親の名前が何だか意図しない被害をもたらしているようなので、次話更新までに特に反対意見が無いようなら改名しておこうと思います。ミーム汚染を甘く見てたんよ。
(2022/11/24 13:15追記)
※歩ちゃん父親の名前を改名しました。(2022/11/25 2:20追記)
「―――皆……土産話っひぐ、楽しみに……うう、してるっ……がら!」
「まっ、まだわかんないよ。どんでん返しがあるかもしれないよ……!」
「緑谷、それ口にしたらなくなるパターンだ……」
「試験で赤点取ったら林間合宿行けずに補習地獄! そして俺らは実技クリアならず! これでまだわからんのなら貴様らの偏差値は猿以下だ!!」
「《うわぁ》」
「ドン引きするのはやめたりぃや、歩ちゃん……気持ちは分かるけど」
期末試験翌日、悲壮という言葉を絵にしたような風情で立ち尽くす芦戸さんと上鳴さん。
宥めに行ったデクさんに、八つ当たりとも何とも形容しがたい勢いでまくし立てる姿に、思わず漏れた声が何だか久し振りに『干渉』と揃った。
「わかんねえのは俺もさ。峰田のおかげでクリアはしたけど寝てただけだ」
「おいやめろよ……早々にダウンして梅雨ちゃんの足引っ張りまくった俺まで不安になるだろ」
そう言って間に入る瀬呂さんと、降って湧いた矛先に怯える砂藤さん。
……いやに得意気な
「……ほんまに『干渉』さんの言ってた通り皆で合宿行けるんやろか。いや、確かに聞いたらその通りやなあとは思ったけど」
《どちらにせよ今の彼らには言えないけどね。万が一ぬか喜びになったら流石に可哀想過ぎるわ》
「……確定するまでは黙っていましょう。多分すぐに相澤先生が―――」
「予鈴が鳴ったら席につけ」
中の騒ぎを聞いていたのか、勢い良く音を立てて扉を開けた相澤先生。
クラス全員が速やかに着席し、シー……ンと静まり返った教室に淡々とした声が響く。
「おはよう、今回の期末テストだが……残念ながら赤点が出た。したがって……」
上鳴さん、芦戸さん共にわたしの席から表情は見えず、しかし後ろ姿から既に諦め切った哀愁が滲み出ている。
けれど次に続いた言葉は彼らにとっては予想外の、わたし達にとっては想定通りの知らせで。
「―――林間合宿は全員行きます」
「どんでんがえしだあ!」
即座に涙ながらに叫んだ芦戸さんに、まだ何が起きたか分かっていない様子の上鳴さん。
そんな様子を斟酌する気配もなく、相澤先生の宣告は続く。
「筆記の方はゼロ。実技で芦戸・上鳴、あと瀬呂と砂藤が赤点だ」
「……確かにクリアしたら合格とは言ってなかったもんな……」
「……クリア出来ずの二人よりキチぃぞコレ……」
望外の朗報に喜び合う二人と対称的に、身構えていなかった凶報に沈む二人。
四人の置かれた立場は同じはずなのに、その顔が明暗に分かれているのは不思議なものだ。
相澤先生がその後説明したのは、試験を通して個々人に突き付けた課題について。
また、まさに『干渉』の見立て通り、ここで赤点を取った者こそ林間合宿という名の強化の場で鍛え上げなければならないとのこと。
「―――合理的虚偽ってやつさ」
「「「ゴーリテキキョギィイー!!」」」
と、いつものフレーズが飛び出した。
その後、浮かれる面々に対してこれまた『彼女』の推測通り、合宿内の時間を削った補習地獄の存在を仄めかして相澤先生は締め括る。
歓喜の姿勢のまま顔だけ青白く固まった彼らに、わたしは悪いと思いつつも笑いを堪えていた。
「―――まぁ何はともあれ、全員で行けて良かったね」
「一週間の強化合宿か!」
「けっこうな大荷物になるね」
「水着とか持ってねーや。色々買わねえとなあ」
「暗視ゴーグル」
「何に使う気だ、そこのブドウ」
「遂にブドウ呼びに……」
「意外と歩ちゃんの方が厳しいねんよな」
《まあ、どうせ私の身体じゃないし?》
「干河が反応してくれるからウチらまで言う必要が無いというか」
「あ、じゃあさ! 明日休みだしテスト明けだし……ってことでA組みんなで買い物行こうよ!」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「―――ってな感じでやってきました! 県内最多店舗数を誇る、ナウでヤングな最先端! 『木椰区ショッピングモール』!」
《どこ目線なの、その解説》
翌日、集まったクラスメイトは爆豪さんと轟さんを除いた18名。
そんなわたし達を迎えるのは、盛況なショッピングモールのそこかしこから飛ぶ無数の視線。
「……お!? アレ雄英生じゃん!? 1年!?」
「体育祭ウェーイ!!」
「うおお、まだ覚えてる人いるんだぁ……!」
「いつにも増して注目されますね」
《一人二人ならともかく、全国放送にも出ていた顔がこれだけ並んでいれば気付かれるわよね》
この注目度からして固まって動くのは難しいということや、それぞれ意外と目的がバラけていることなどから、誰かの呟きで自然と数人毎に分かれて行動することに決まる。
目的別に分かれようとする流れの中で、ふとした気付きがわたしの視界に映った。
「とりあえずウチ大きめのキャリーバッグ買わなきゃ」
「あら、では一緒に回りましょうか」
「……わたしもそちらに参加して良いですか?」
「っ! 干河、さん」
「え、干河? あれ麗日と一緒じゃなくて良いの?」
「ふふ、それがですね」
驚く耳郎さん、八百万さんに見えるようにそちらを指差す。
そこにはグループを作り終えたクラスメイト達の中で、あぶれたような形になった二人の姿。
「……皆、行動早いな」
「そ、そやね……」
「ああ、成程……麗日めっちゃ干河のこと見てるけど?」
「同じだけデクさんにも意識が向いてますよ。がんばれー、お茶子ちゃーん」
《歩にしては珍しい気の回し方ねえ》
小声で送った
一体そこからどんな思考に至ったのか、突然「虫よけーー!」と叫んで走り去ってしまう。
……必死に笑いを堪えたものの、その場に残されたデクさんが「虫!?」と叫んで自身を指差す姿に、わたしはトドメを刺された。
「っ! ……っ! あ、あれでつつくと毎度そんなんじゃない、って否定するんですよ……っ」
「き、気持ちは分かるけど笑い過ぎでしょ。いや本当分かるけど……っ」
笑ってはいけないと思うほど沸点が下がるとはよくいったもので。
わたしは耳郎さんと一緒に暫く含み笑いを喉奥に収めることに奮闘する。
「ふう……お茶子ちゃんのことですから、そのうち置き去りにしてしまったデクさんを気にして戻ってくるはずです。気にせずに、いえ
「あんたもイイ性格してるよ。そうしよっか、八百万」
「……ええ、そうですわね」
「―――そういえば干河は緑谷に対してそういうの無いの?」
「わたしですか?」
見付けた旅行鞄を取り扱う店舗で陳列された商品を眺めること十数分。
幾つかを手に取り、使い心地を確かめていた耳郎さんが不意にそんな話題を振ってくる。
「ほら入学したての頃、何か放課後呼びだされてたじゃん?」
「ああ、あれは色々と相談に乗ってただけですよ。……彼の"個性"のことで」
「…………ああ、そっかあいつ初めは……そういうことだったんだ、アレ」
お茶子ちゃんから『彼女』の事や、わたしとの関係も聞いたらしい耳郎さんが頻りに納得の声を上げる。……この様子なら【
「自分ガンガンぶっ壊す"個性"だもんね……ヤバかったの?」
「……想像以上に想像以上でしたよ。何とか話し合いにはなりましたけど」
その『想像以上』の中身についてはお茶子ちゃんにしたのと同じ説明で誤魔化す。
ここに関してはデクさんと、それから八木さんとの約束なので詳しくは話せない。
「……ですので、デクさんに対してお茶子ちゃんみたいな感情は持ち合わせてないですよ。それにわたしはこう見えても理想は結構高いので!」
「ほほう? 具体的には?」
「……やっぱり理想は両親のような関係になりますよね。乙女としては」
「あ、あー……うん、分かる」
何かを思い出すように明後日の方向に目を向け、耳先をつんつん合わせる耳郎さん。
……手は商品のキャリーバッグを持ったままで。便利だなあ『イヤホンジャック』。
「ウチの両親は業界が縁で知り合ったらしいんだけど、もう本当にノリが同じというか、あんたら元他人のはずだよね? って言いたくなる感じでさぁ……」
「わたしもお父様に寄り添うお母様の姿を見ていると、するならこういう恋愛をしてみたいなぁと常々思って―――」
「お待ち、ください……干河さん」
「……八百万?」
「…………」
……聞こえてきたのは、迷いに迷ったという声音を含んだ八百万さんの声。
その様子に目を白黒させる耳郎さんを余所に、彼女はわたしに問いかけを続ける。
「干河さんのお母様というのは、『干河
「……八百万さんの御実家とは縁があったようですね」
「っ、やはり……体育祭で干河さんを見た両親が、
《……ああ、歩があんまり普通に話題に出したものだから驚いたのね》
「し、知らずにって……どういう……?」
見つめ合うわたし達の間に挟まれてオロオロする耳郎さんを一度見遣った八百万さんが、今度は目線でわたしに問いかける。
彼女への説明の許可だろうと『彼女』に言われ、わたしにとっては隠すことでもないので首肯を返した。
「干河さんのお父様……『干河
遂に歩ちゃん両親の名前が出せました。
細かな設定も用意してはいますが、作中に出せるのはもう少し先かなあ。
ゆるーくコイバナ振ったら突如始まった激重会話。
耳郎ちゃんこんな役目ばっかだなあ? 何でだろうなー?