ONE PIECE 『ドレスローザ奪還』RTA【完結】 作:九時誤字くじら
この国は、息が詰まりそうなほど窮屈だ。
民衆は『ホビホビの実』で愛する人を奪われた苦しみに浸ることすら許されない。
かつての王族は私が無理矢理変装させたり、自ら部下になったりで辛うじて生きている。
そして、私の義兄さんは。
愛する人の最後の温もりすら感じることを許されず、ずっと心に傷を背負って生きていた。
「ピッ……お前、この力はセニョールと、ジョーラの⁉︎」
「YES!2人に″も″死んでもらいマシタ!」
「家族を……お前はピッ⁉︎」
「食べてくだサイ……死に水のgiftデース」
そして私も、自らの心の中の『鬼』に締め付けられて身動きだって取れないくらいだ。
……ピーカは可哀想な子なのに。
それでも、彼がドフラミンゴの仲間だというだけで、私の心が彼を生かしておく選択を拒絶するのだ。
ぱぁん、と弾け飛んだ彼を前にして、私はまた心が壊れていくような痛みに胸を痛めながらもキュロスの方を見た。
──まだ戦闘が続いている。
「……スイトピー。トレーボルにバックドロップを仕掛けて。アフェランドラは、これを食べて……彼の顔面を石で覆って」
「了解の巻よ」
「は〜い!……うぇ〜、まずっ!」
「よっと……」
ならば、もはや彼を人質に使う意味もない。
若の気配からして、ちゃんと狙った場所に待っててくれている。
「ディアマンテは死んでくだサーイ」
「お……おい!待て、まさかスカーレットの事か?」
「スカーレット?」
スカーレット。
私の姉で、キュロスの奥さんだ。
……あの人はドレスローザ陥落から数日、私の目の前で、
「アイツを殺したのは……仕方がなかったって奴なんだよ!」
「そうデスか……なら苦しんで死んでもらいたいデスが、時間も押してマース!」
「おい、やめ……」
鉛玉を打ち込む。
……この作業にも、すっかり手慣れたものだ。
上の階で響く破裂音を聞き、見聞色と覇王色を発動させてアフェランドラと念話をする。
恐らく、まだドフラミンゴは死んでいない。
「アフェランドラ、あの部屋を潰してくだサイ」
「は〜い!……きゃっ!この人、まだ暴れてるよ⁉︎」
「だと思いまシタ……!」
まだ、彼には空を飛んで逃げ延びられる可能性がある。
そのまますっかり愛用になったペッパーボックス・ピストルに弾丸を込めると、6発の鉛玉を彼の腹に叩き込んだ。
「グフゥ……!ドルシネア……!何故、裏切った……」
「……ごめんなサーイ」
痙攣するのがせいぜいだが、まだ息のある彼の首に鋸を当てる。
それと同時に、私は胸の中の少女に声をかける事にした。
「ウィッカ。
「……いいれすけど、なんで」
──もう、悲鳴なんて聞きたくない。
うめき声一つあげない彼の首を切り落とす作業は、だいぶ苦痛が軽減されているような気がした。
すっかり慣れた私は『見聞色』で近くを見つめてから、目的の人物に話しかける。
「モルガンズさん」
「うん……⁉︎オイオイ、ビッグニュースの予感はしてたが……!ドフラミンゴの首だと⁉︎」
「真実を、話させてください」
──せめて、リク王が王座に戻れるような世論にするために。
私は最後の1仕事を終えてから、そっと首を抱えて蹲った。
善良な王の子供が、必ずしも善良だとは限らないらしい。
「私は、人殺しの獣なんだな」
そこにいたのは真面目な殺し屋ドルシネアでも、愚鈍だが善良だったティン王子でもない、ただ1匹の獣だ。
「……ウィッカ。私の音……消して」
「……わかったのれす」
ナギナギの実は最高の能力だ。
……だって、こうやって泣き叫んでいる事だって……誰にもバレやしないから。
ヴィオラが止めに来るまでの間、私はドフラミンゴの首を抱え、無音のままに泣き叫び続けたのであった。
こうして、ドレスローザの『ドンキホーテの百日天下』は、船長ドンキホーテ・ドフラミンゴとその最高幹部の全滅によって幕を閉じた。
あとは少しだけエピローグがあるだけです。